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カテゴリ:牧場
ばんえいファンなら大種牡馬、ウンカイの名はご存じでしょう。牧場便り3回目は、ライターの小久保友香とカメラマンの小久保巌義が、本別町仙美里地区にある樋口敏則さんの牧場で過ごすウンカイに会いに行ってきました。 オレノココロ、コウシュハウンカイ、フジダイビクトリーをはじめ、センゴクエース、キサラキク、ミスタカシマなど現在のトップホースを多数輩出。古馬重賞で上位をウンカイ産駒が占めることも珍しくはありません。 2004年に引退、種牡馬入りし、初年度の2007年からニシキエースが当時の牝馬三冠を達成しています。そして2010年から種牡馬総合リーディングを続けています。 現役時代は1997年の3歳三冠を達成現調教師の松井浩文騎手が主戦ジョッキーでした。妹に名牝アンローズがいます。 ウンカイは今年で24歳。ここ数年で足腰が弱り、種付けも難しくなってきたそうで、今年は種付けを行いませんでした。昨年は種付けした7頭中、コマクインの仔など4頭が生まれたそうで、今の当歳がラストクロップとなりそうです。 足腰が弱くなったため体に擦り傷があり「見せられる姿じゃないよ」と聞いていました。会うまでドキドキしていましたが、実際会うと、細くはなりましたが澄んだきれいな目で食欲もありました。耳も遠いそうですがもう24歳ですものね。年相応の姿は、シンザンやシンボリルドルフの往年を思い出します。長生きしてほしいですね。 産駒がウンカイのどのような部分を受け継いでいるのか樋口さんに聞くと「気性かな」。普段はおとなしいけれど、レースや種付けでは気性をあらわにするそうです。人を見るので、樋口さん以外の人にはかかっていくところがあるそう。活躍については「いい繁殖牝馬に恵まれたから」と謙遜? 種付けは3~6月末ころまで。シーズン前の1~3月までは汗が出るまでソリを引いて運動し、仕事にそなえます。馬具を付けるときもおとなしく、運動時もとことこと自分から歩いてくれるそうで「今までの馬で一番楽!」だそうです。 種付けでも、牝馬の排卵の状態が良くないと感じたら種付けを嫌がるなど、自分の仕事をわかっていたそうです。 2012年に撮影したウンカイ 父はヒカルテンリュウやフクイチ、最近ではトモエパワーなどを出した名種牡馬マツノコトブキ。その父は青毛の純ペルシュロンで、北見競馬では冠レースもあった二世ロッシーニ。ウンカイの姿を見た人は「二世ロッシーニに良く似ている」というそうです。 サラブレッドは、スタリオンに繁殖牝馬が訪れて種付けを行いますが、ばん馬は逆。種馬がトラックに乗って、繁殖牝馬のもとを訪れます。このことは、名種牡馬がいる地域は活躍馬が多くなる、という状況を生みだします。ウンカイも片道1~2時間の十勝管内の牧場を訪れることが多いそうです。 種馬がいる牧場(俗に種馬屋さん、と呼ばれます)にあるトラックには馬名が入っています。ウンカイ号、かっこいい! ウンカイの場合は遠くからも種付けをしたい!という希望があるため、繁殖牝馬が樋口さんの牧場に数カ月嫁入り? しています。 ちなみに私が以前訪れた時、偶然、ファンだったサダエリコに会うことができました。今思うと、お腹の中にはセンゴクエースが入っていたんですよね…。 2012年の写真です。ヨメたちに見つめられた… この時は「長生きしてほしいから」と、種付けを年60頭ほどに抑えていたと聞きました。 樋口さんの牧場にはもう一頭、アローファイターがいます。2007年のダービー馬で、2014年に種牡馬入り。昨年初年度産駒がデビューしました。「性格は臆病。種付けはうまい」とのこと。ウンカイと同じく、小さなパドック(ばん馬の世界では「ちゃつ」と呼びます)と自由に出入りできる馬房にいます。 カメラマンに首を伸ばして近づくアローファイター チャームポイント(と私が勝手に思っている)、ボリュームあるたてがみも健在(少し漉いたそうですが)。馬体の大きさを受け継いだ子が多いようです。 引退レース 2007年ばんえいダービー 樋口さんによると、ファンの方の来訪にも対応していただけるとのことでした。元気なうちに会いにきてとのことです。 牧場のすぐ近くには、旧国鉄・仙美里駅があります。 本別町にはかつて軍馬補充部の十勝支部があり、仙美里駅からは、多くの軍馬が戦地に送られました。駅跡は今はバスセンターになっていますが、資料館として軍馬補充部や、一時補充部に勤務していたロス五輪の馬術競技金メダリスト西竹一少佐(バロン西)のパネルもあります。 樋口さんは、9月2日(日)に本別町で行われるポニーばん馬大会の実行委員長として、コース整備を一人で行っています。幅広く、馬文化を残していきたいとの思いから少なくなった草ばん馬を続けようと尽力されています。 ポニーによるスピードある競馬も面白いですよ。「本別きらめきタウンフェスティバル」の一環として、利別川河川敷の特設会場で行われます。フェスティバルも楽しいので、行ける方はぜひ、訪れてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年08月29日 19時47分12秒
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