ばんブロ(ばんえいスタジオのブログ)

2019/07/25(木)13:30

牧場便り【 Vol.011 】旭山ばん馬競技大会ばんば

牧場(64)

「草ばん馬」は、農林作業に携わる「おらが馬」の力比べとして行われたもので、ばんえい競馬のルーツといわれています。 今でも、道内や東北では、5~10月の1、2週に1度、草ばん馬が行われています。6月2日は十勝西部の清水町で「十勝清水旭山ばん馬競技大会」が行われました。 旭山ばん馬の主催者高村さんは、「十勝の草ばん馬を盛り上げたい」と2010年、自ら所有する牧場の横に重機でコースを作りました。 清水町にも大きな被害をもたらした2016年8月の台風10号では、ばん馬コースも全て豪雨で流されましたが、その後一から作り直して翌年も開催。 高村さんのような、ばん馬愛があふれる方のおかげで草ばん馬の歴史が続いています。 道内で行われている草ばん馬は10数カ所。200メートルで障害が2つ、というのはばんえい競馬とほぼ同じですが、主流は直線ではなくU字コースです。旭山もU字。 レースが終わったあとにソリを運ばなくていいこと、山を一つ作れば障害が2つできあがることなど、運営的に便利です。レースは善し悪しですが。 2障害から撮った写真。木の右側がスタートで「つ」の書き順のように進み、左側がゴールです この日はばん馬とポニー合わせて18レースが行われました。1レースに道内の馬好きが飼う馬1~5頭が出走し、騎手は馬主自らや友人、高校生や女性も。この日は外国人もいました!相手が子どもでも容赦なくおじさんは追い込んできますよ~ ばん馬はほとんどが競馬場から来た馬。デビュー前の1歳馬もいるので、今からチェックして楽しめます。 他の大会では種牡馬や草ばん馬用の馬もいます。ばんえい競馬側も草ばん馬を盛り上げたいという思いがあるそうで、 競馬場から外に出た馬は7日間レースに出られない検疫も、草ばん馬の場合は5日間と短い特例が設けられています。 調教師さんも、馬主さんとのつながりがあるのでたまに姿を見かけますね。 草ばん馬の常連、ブラックニセイ 14レースがポニーでした。高齢でも飼いやすく、馬具やソリも小さくてすむことなどから増え、今ではポニーのみの大会も多く行われています。「そりゃもちろん大きい方がいいさ」という方もいらっしゃいますが。 ところで、「ポニー」ってどのような馬のことをいうかご存じですが? 血統、生まれ?実は体高が147センチ以下の馬をポニーと呼ぶのです。ただ、ばん馬では120センチ以下の馬がほとんどで、体高や年齢などでクラス分けがされています。引くのは30キロから300キロくらいかな。ミニチュアポニーのレースもあって、かわいいですよ! 最近では若い参加者も増えており、重量や馬名の管理など、システムがしっかりしつつあって頼もしいですね。 ポニーレースはスピードが見ものです! しかしポニーといっても侮るなかれ。見た目はムキムキ、馬具もぴかぴかでばんえい競馬の馬に引けを取らない迫力(ちょっと大げさか)。 昔、「さんまのナンでもダービー」に出ていたポニーの「ナリタブラリアン」が、森安輝正騎手の調教でムキムキになって出てきたのを覚えている方もいらっしゃるでしょうか(かなり昔ですが…)。あんな感じです。 グレイシーは「ミニオレノココロだよ」と。真っ黒く筋肉質のかっこいい馬体、オレンジ色の馬具はオレノココロのようですね。 ポニー高重量戦を優勝したのはキングパワー(右)。馬主さんは30代の頃からばん馬をはじめ、今年50年! 左はダイヤ。 実況を担当するのは廹田(さくた)栄重アナウンサー。草ばん馬の半分は廹田さんの実況です。 全て手作りの大会なので、ゼッケン番号がわからなくなったり騎手が誰かわからなかったり、というのは日常茶飯事なのですが、 廹田さんがマイクを持ったままスタート地点に行って馬名を聞いたり、「騎手は○○さんだと思われます」とアナウンス。 廹田さんがいないとレース成り立たないです…(笑) 私たち夫婦は、草ばん馬が好きでできるだけ訪れるようにしています。 その魅力は馬の近さや迫力もありますが、個人的に好きなのは、人間らしさを感じられるところ、というのでしょうか…。 ねじり鉢巻きやほっかむりが似合う人たちが歩いていたり、熱くなってコースの中に入って人馬を応援したり。 殴り合いのケンカ…は、ここ最近はみんな高齢化して少なくなっちゃったなあ(笑)。 みんな馬が好きで、趣味を本気で楽しんでいるのがびんびん伝わってくるんです。 今年、道内の草ばん馬は16回予定されています(ポニーのみもあり)。 十勝管内は旭山のほか、7月13日(土)の鹿追町競ばん馬競技大会、9月1日の本別きらめきタウンフェスティバル(ポニー)の3つのみです。 鹿追は「競馬」と「ばん馬」を合わせた造語の「競ばん馬」。 今ではここと別海でしか行われていない、騎乗の草競馬も行われます。速歩、駈歩、繫駕、ドサンコによるレース(たまに親子の出場馬も!)など。 帯広から会場の鹿追町ライディングパークまでは車で1時間弱なので、ばんえい競馬の前にぜひ訪れてほしいな、と思います。 草ばん馬の情報は、以下のページで紹介していますので参考にしてください。 「ばん馬大会情報」 Facebook  ​https://www.facebook.com/kusabanba/​ Twitter ​https://twitter.com/kusabanba​ 北海道の情報一覧 ​http://banbaphoto.blog.jp/archives/16223667.html​ ちなみに、6月15日発行の、ばんえいのフリーマガジン「ポムレ」の連載コラム「小久保とこくぼ」のテーマも草ばん馬。帯広競馬場や場外発売所、郵送でも読めますのでぜひご覧ください。 7月にはグリーンチャンネルで、浅野靖典さんが森町の草ばん馬を訪れた番組「新・競馬ワンダラー4外伝 草ばん馬に焦がれて」が放映されます。 取材/小久保友香、小久保巌義

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