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2020年06月24日
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カテゴリ:牧場
夏に道東の山道を走っていると、広い放牧地にばん馬がいる姿を見つけることがあります。
牧場によっては、仔馬の登録や繁殖牝馬の妊娠鑑定が終わった6月頃から10月末頃まで、夏の間のみ繁殖牝馬や1歳を自然放牧させています。


個人が持つ広い放牧地のほか、地方公共団体や農業組合、農業団体が管理する「共同牧野」に放牧します。
共同牧野は地域の畜産振興のため、集団による家畜(主に乳牛)の育成が行われます。

ちなみに、馬はいませんが日本一広い公共牧場は、上士幌町のナイタイ高原牧場。
北海道を感じられる景色として観光地になっています。
レストハウスは昨年リニューアルしました。ばんえい観光ができるようになったらこちらも訪れてみてはいかがでしょうか。
 ​https://www.kamishihoro.jp/sp/naitai/00000138

家畜改良センター十勝牧場も、夏になると放牧地に馬を放ちます。
基本的に見学禁止ですが、観光地として入ることのできる、白樺並木から展望台までの道路沿いに馬がいることがあります。見つからないこともありますが…
 ​http://www.nlbc.go.jp/tokachi/visitorsinfo/index.html

北斗市のきじひき高原には馬がいますよ。昨年秋は展望台から見えました。
 ​https://www.city.hokuto.hokkaido.jp/docs/1959.html
いずれも防疫に気をつけ、放牧地の中に入らない、馬に触らない、ごみを捨てないなどのマナーを守ってください。

さて、今年も放牧の季節がやってきました!

その前にワクチンを打つため、獣医師が捕まえやすいよう1歳馬の頭に「もくし」をつけます。これがまた大変。
捕まえられて自分の頭になんか付けられるのは嫌ですよね。
しかも、つけられる時って、大抵注射とか獣医師が来る時なので嫌な予感がします。
この日は音更町の牧場で、わがままっ娘にもくしをつけるため、競馬場から舘澤騎手がお手伝いに来ていました。
競馬場で働く人たちは若くて体力があり、馬のことをよく知るプロ。
生産地を支えています。








もくしをつけてこの日は終了。

6月に入り、ある牧場の馬たちは馬運車で浦幌町の放牧地に移動します。
今回は取材のため、許可を得て放牧地の中で撮影させていただきました。

私たちが着いたとき、この日の第1陣の繁殖牝馬4頭が馬を放し終わったあとでした。
先にいたほかの牧場の2頭と、今日の4頭がなんとなく分かれて一緒にいます。
クラス替えの初日みたいなもので、そのうち仲良くなったり、なんとなく分かれたままだったり。

「私が強いのよ」と蹴りを入れたりして、上下関係を築いていきます。
ここは芦毛ちゃんが先頭を切って移動していますね。(数時間でボスに)
耳を絞って(後ろに倒して)怒ります。





馬たちは、美味しく食べられる草を選んで食べます。
丘の上は、涼しい風が吹きます。雨の日は、木の下に移動。



いつも歩くところは「馬の道」(けもの道)ができています。



ここは地元の農協が管理し、管理人さんも在駐しています。
放牧地は5つに分かれ、草の状態をみながら移動していきます。
管理人さん、一人で馬を全部移動させるのだそう。「1頭を引っ張ればみんなついてくるよ」と言いますが、すごい技術です。
牛もいる放牧地も含めて、柵や家畜の状態を確認して回っています。
水飲み場と、ミネラル補給の塩も管理します。





ここは野生の花がたくさん咲いていました。
アヤメやスズランがきれい!! これらの野草は毒があって馬は食べないので美しく残っています。



牧場の方に放牧する利点を聞きました。
まずは、牧草費の節約。朝は朝露に濡れ、水分のある草をたっぷり食べられますね。
栄養価の高い青草を食べることでいいボディコンディションを維持できるそうです。
そして傾斜があるので、アップダウンすることで仔馬に筋肉が付き、鍛えられます。
繁殖牝馬もいい運動になって繁殖成績が良くなり、長寿にもつながります。
実際、腰の悪かった馬を放牧に出したら治ったこともあると聞きました。(すべての馬が治るわけではないです)
私は疲れました……



ばん馬はかなり昔から行われていたことですが、
サラブレッドが運動量や精神力をつけるために、夜間放牧や昼夜放牧が一般的になってきたのと似たような理由でしょう。
牛も同じように、体力作りだそうです。

気持ちのいい風、木陰など、避暑にもなりますね。
「太陽の光や緑など、生活にメリハリがあることでストレス発散や健康維持になるのでは」と牧場の方は話していました。
自然に近くなるというのは健康に近づくのでは、と思っています。

野生生物への対応力もプラスに働くように思いますが、
もちろん怪我や熊に襲われるリスク(そんなに多くはないですが、北海道の山なのでどこかに熊はいます)もあります。

午後、この日の第2陣がやってきました。1歳馬たちです。
くねくねした細い道を、馬運車は何事もなく走ってきます。すごい…


また舘澤騎手が手伝っていました(笑)



自由になって、とりあえず草を食べ、るんるん~と馬たちのところへ行く馬、マイペースな馬、
強い馬たちの洗礼を受ける子、年上のお姉様に向かっていく馬など、いろいろ(笑)


「こんにちは~!!」と向かっていく馬

秋まで、数軒の牧場の馬たちが群れをなし、それぞれが社会生活を営んでいきます。

秋には下牧、といって馬たちは牧場に戻ります。放牧地は閉鎖されます。
私は初めて見ましたが、自分の馬を集めやすいようにと、今日放した牧場の馬たちは前髪をぱっつんと切っています。



確かに見つけやすいですよね。それを見た他の牧場の方が「それいいな」と。みんなでやったらわからなくなるよ~(笑)
夫は風景撮影のために放牧地によくお邪魔するのですが、ちょっとモデルにはなりにくいかなぁ(笑)
管理人さんが「秋にはだいぶ伸びてるけどね」とぽそっと。

さて、それから数日後。こちらは足寄町の放牧地に向かう馬たちです。親子馬ですね。


これから自由な時間!!


秋、すっかり広い放牧地になじんだ馬たちを、どうやって集めて、馬運車に乗せるのか?!
ここにも苦労があります。あらためて、お知らせできればと思います。

ヒントはこの枠。「地獄」と言われています。すごいネーミング(笑)




文/小久保友香
写真/小久保巌義





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最終更新日  2020年06月24日 19時30分02秒



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