ばんブロ(ばんえいスタジオのブログ)

2020/10/24(土)10:12

ばんば牧場便り【 Vol.29 】ニセコ町の堀忠一さん

牧場(64)

「蝦夷富士」と呼ばれる美しい羊蹄山の麓に広がるニセコ町。スキーや温泉が楽しめる観光地として有名です。 羊蹄の麓にあるのが堀忠一さんの牧場です。 ニセコクイン、ヨウテイクインの重賞勝ち姉妹とコトブキクイン、名種牡馬ダイヤテンリュウが生まれた牧場。これらの母、名牝の名は「トツカワ」といいます。 生産馬の姉妹制覇に憧れ、堀さんの牧場を目標として挙げる生産者は少なくありません。 私も初めて訪れた15年前。羊蹄山とニセコアンヌプリを望む放牧地の美しさに息を呑みました。 まさに、名門牧場ここにあり。 ニセコは農業も盛んな町。昔は畑を馬で耕したり、牛乳を馬で運んだりしていたそうです。堀さんの家にも農耕馬がいて、馬好きな堀さんは毎週のように地域の草ばん馬に出ていたそう。当時は真狩、倶知安、蘭越とあちこちで行われていたそうですが、今は共和町を残すのみとなってしまいました。 近隣町村のばん馬の牧場も、2、3年前に1件がやめて今では堀さんだけです。 今は草ばん馬出ないんですか?と聞くと、出したくても装蹄師がいないので、調教もできないといいます。 堀さんが競走馬の生産を始めたのは、なんとトツカワが牧場に来てから。 ばん馬の縁で岩見沢競馬場をよく訪れていた堀さんは、関係者と雑談していた中である日トツカワを薦められたそうです。近親にタカラフジ、ニューフロンテアがいる良血だからというのが理由だそうですが、初年度のダイヤテンリュウから大活躍。すごいですね。 「ダイヤテンリュウの子は、小ぶりだが障害がうまい」と話していました。 種牡馬の話題でもう一頭。母父で活躍馬を出している種牡馬「第三竜王」も堀さんの生産馬。東北の草ばん馬で活躍していたそうで、競馬場デビューをしていないからこの名前なんですね。 さて、牧場では種牡馬のホンベツイチバンを繋養しています。初年度産駒が1歳です。 現役時代から健康な印象のある馬でしたが、今も相変わらず元気です。 この辺りには種牡馬も少なく、石狩、空知方面にまで種付けに行ったそう。15頭ほど種付けしたそうです。 ホンベツイチバンは母父がダイヤテンリュウなので、「トツカワとくぐるんだ」。 インブリードのことを「くぐる」と言うんですね。 その前はホッカイヒカルとタカラボーイがいました。3頭とも日本馬事協会の馬です。 ホッカイヒカルは2歳と3歳世代のみ。疝痛で命を落としてしまったそうです。 今年の黒ユリ賞4着のニセコヒカル、夏の休養明け2連勝した2歳馬ヒカルファンタジーが活躍しています。 放牧地を案内してもらいました。 堀さんは一時期体調を崩されたこともあり、馬は数頭を残すのみ。 ヨウテイクインのひ孫にあたるヨウテイヒカルが繁殖入りし、血をつないでいます。 ちなみに、牧場のあたりは里見地区といいます。「サトミクイン」聞いたことがありませんか? アアモンドグンシンの母親ですね。サトミクインはヨウテイクインの娘です。 ホンベツイチバン産駒の1歳馬2頭は、来月からトレーニングが始まります。 牡馬2頭、元気いっぱいですね。 ロケーションがいい場所に堀さんが馬を連れていってくれました(笑) 「後ろ追い」という、手綱を付けて歩く運動は堀さんが自ら作った練習馬場で行っています。調教するために、海砂を運んできたそうですよ。 堀さんは農業も営んでおり、この時期はカボチャが積まれていました。 馬もぼりぼり食べるそうです(笑)。この近辺の馬は、名産のスイカやメロンも食べるのでなかなかグルメです。 農場で研修されている方がニセコヒカルの応援サイトを作っています ​ https://www.facebook.com/NisekoHikaru/​ 文/小久保友香 写真/小久保巌義

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