ばんブロ(ばんえいスタジオのブログ)

2020/12/23(水)17:20

ばんば牧場便り【 Vol.33 】冬に備えて下牧

牧場(68)

ばん馬の牧場では夏の間、繁殖牝馬を広い放牧地で過ごさせることがよくあります。詳しくは以前の記事をご覧ください。ばんば牧場便り【 Vol.26 】夏の放牧​https://plaza.rakuten.co.jp/baneiblog/diary/202006240000/​夏に放牧するということは、冬が近づくと馬たちは牧場に戻ってきます。と書くと簡単なことのように思えますが、想像してみてください。広い広い放牧地にいる馬たちを集めて、1頭1頭馬運車に乗せるということを…サラブレッドのように、毎日馬房と放牧地を行き来していれば、ある程度慣れもあるかもしれませんが、年に1回、野生に近づいた馬たちの収牧がどれだけ大変なことか。しかも子馬は成長しています。 山々も冠雪。中央の噴煙が上がる山は雌阿寒岳。11月のある日、馬運車が放牧地にやってきました。馬を預けている牧場の方々と、またお手伝いとして舘澤騎手が登場です。牧場の方にも「助かるわぁ」と言われていました。まずは、馬を水飲み場があるところに追い込むそうです。馬たちは、山の中腹で固まっていました。人間を見つけて、わらわらと集まってくる馬たち。……と思っていたら、そのうち山の一番上に行ってしまいました(汗)。あらためて、20頭近くいる馬の中から、ボスに君臨している馬を捕まえて引っ張っていきます。一度馬を間違えてしまって引っ張ったら、馬はばらばらになってしまったそう。ボスってすごい統率力… 馬は人に引かれて、ゆっくりと戻ってきました。そろそろ家に帰るってわかるのかな? 我先にと走る馬たち。 そのうちみんな水飲み場に集合。すごい。柵を立てて、外に出ないようにします。 ここでは、ラッセルクインやヤマトジャパンなどの母・良姫とマサタカラの母エポナビューティーがボスとのこと。舘澤騎手は騎乗したこともあるエポナを「愛馬。」となでなでしていました。 左がエポナビューティーばんえいの世界では、小さめの放牧地のことを「ちゃつ」といいます。何語かも漢字もよくわからない独特の言葉。通路のような道を通り、馬たちをちゃつに入れて、ここから馬を引っ張り馬運車まで連れていきます。みんなちゃつに入ってる。戻れるってわかっているのかなぁ。 馬運車まで引っ張っていく前に、馬の頭に無口頭絡をつけることが必要。そうしないと馬を捕まえられないですからね。親は比較的すぐできますが、子馬は難しい。そのため、この枠「地獄」に入ってもらい、無口をつけます。 右の枠が「地獄」入れるの大変だろうなと思っていたら、子馬はなぜか自分で入っていくんです(笑)ちなみにこのような放牧地は基本的には牛用。地獄などの設備も牛用です。周りを囲って無口を付けて、手前のドアをオープン! それからは、馬運車に乗せるという苦労が待っています。 「一回乗ったべや」「みんな乗るんだって、おまえだけじゃないんだって」とかなだめながら馬を入れていきます。 途中で引き手が外れた子もいましたが、お母さんに付いていってました(笑)なんやかんやありながら、無事みんな馬運車に乗り、牧場へと帰っていきました。 「今日は思ったより早く済んだ!」と牧場の方。この牧場ではまだしばらく親子一緒に過ごしますが、牧場によってはこのタイミングで離乳させるところもあります。十勝は馬を下げるのは10月末~11月ころですが、暖かい道南は12月まで馬を置いておくそうですよ。 取材/小久保友香・小久保巌義                

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