ばんブロ(ばんえいスタジオのブログ)

2021/06/23(水)13:53

ばんば牧場便り【 Vol.35 】キタノキセキがいる粂川さんの牧場

牧場(64)

アンローズという牝馬をご存じでしょうか。名種牡馬ウンカイの妹で、2002年のダービーとオークスのほか2004~06年岩見沢記念3連覇などの記録を残す名牝。名門三井牧場の出で見た目も美しく、「ご令嬢」という表現がぴったりでした。 唯一の息子、キタノキセキが種牡馬になったということで、別海町の粂川正幸さんの牧場を訪れました。 牧場便りの写真を担当している小久保巌義はアンローズのファン。(文章担当は妻の小久保友香です) 生まれたころからキタノキセキを追いかけていました。 「かわいかったんだよ」と言ってますが、今はすっかり12歳のおじさん笑。それでも長く競走生活を続けることができました。ウンカイの種牡馬が増えている今、種牡馬入りしたことは嬉しいです。 粂川さんに案内されて、キセキ君の馬房へ。ちらっとこっちを見たあとはじーーっと横を見たまんま。「覚えているか~」と言っても、ちらっと見て、それからまた横をじーーっ。目線の先には牝馬がいました。 すっかり種牡馬の性格になってしまったようです(笑)。良いことです! 牧場に到着した時は、汗をかいて、ご飯もなかなか食べないなど緊張していたそうですが、だいぶ慣れてきたのでしょうね。 父は純ペルシュロンのトウカイシンザン。試験種付けも上手だったといいますし、花嫁も決まっているようで、産駒の誕生を楽しみに待ちたいです。 それにしてもファン目線ですが、キタノキセキ、いい馬だなぁと惚れ惚れしてしまいます。 「(祖父の)マツノコトブキがこんな感じだった」と粂川さん。本当ですか!! ファンへのリップサービスかなと思いつつ嬉しいですね。 マツノコトブキの母初姫は、「サラブレッドみたいに小さい馬だった」そうです。 帯広競馬場南側に展示されている「生産者の祭典」パネルで、ウンカイのパネルの下にマツノコトブキと二世ロッシーニの立ち写真がありますので、競馬場に来ることのできる方はご覧ください。 粂川牧場といえば、ばんえい競馬初の1億円馬、キンタロー(1977生)の生産牧場でもあります。 母・宝玉(ほうぎょく)から取り上げたとき、粂川さんも「これは大きい」と思ったそう。 宝玉は当時は甲乙丙の「乙」と評価されたそう。しかしキンタローをはじめクメワカやクメチカラといった牡馬も繁殖入り。娘キタミヒメも血をつないでいます。 お腹にキンタローが入ったまま草ばん馬にも出走し、かなり強かったそうですよ。昔は繁殖馬たちもよく草ばん馬に出ていました。 キンタローは16歳のときの子。27歳まで生きた、元気なお母さんだったようです。 3歳特別を勝った時のキンタローの貴重な写真。 その下には引退式や共進会のレイがありました。 2006年の蛍の光賞(定年制があった時代に定年の11歳牡馬、8歳牝馬によるレース)を勝ったクメノビューティーは、祖母がキンタローの妹キタミハナ さて、キンタローの父は純ペルシュロンの二世ロッシーニ(1966生)。マツノコトブキの父も二世ロッシーニですね。2006年までは名を冠にしたレースもありました。 網走にいた二世ロッシーニは、流星がきれいで胴長。ひふが柔らかく「ポコポコ歩く馬だった」そう。 当時、近くには「楓朝(ふうちょう、1968生)」がいたため、そんなに人気はなかったそうですが、サロマシンザンなどの活躍馬を出し、年間120頭ほど人工授精を行ったそうです。 二世ロッシーニが亡くなった時は、馬では珍しい農協葬が執り行われました。 ちなみに「2世ロッシーニ」(1969生)という数字の馬もいます。純ペルシュロンの青毛で、阿寒にいたので「阿寒ロッシーニ」と言う人もいますね。 馬事協会のページで検索をすると(すべて大文字の「ロツシーニ」です)、「ロッシーニ二世」という子どもや牝馬の「二世ロッシーニ」などいろいろいますね…。 粂川さんは年に数回、帯広競馬場で馬車体験を行っているはまなす乗用馬生産組合などの会長でもあります。牧場にはポニーや乗用馬、道産子もいます。 キタノキセキが来る前まではトウリュウがいたのですが、1月に亡くなってしまったそう。 いろいろな馬の話を聞かせていただき、勉強になりました。粂川さん、ありがとうございました。 牧場にいた1歳馬 それから「すぐ近くだよ」と聞き、車で10分ほど走り(北海道の「近く」には気をつけてください!)、町内の坂脇牧場さんへお邪魔しました。 メインは牛の牧場ですが、こちらにはメメノチカラやアアモンドノースがいます。 現役時の2頭です 珍しく両目が魚目(さめ)のメメちゃんは4月下旬に出産予定だそうです。 坂脇さんは浜中町のクラブで乗馬にハマり、そのうち「乗るなら北斗の拳のような重種馬に」とばん馬を飼いはじめたそう! 馬を置ける場所があることや、周りに馬を飼っている人がいるという強みはありますが、馬が好き、という情熱と行動力で、馬と住む夢を叶えた方がいるのですね。 取材/小久保友香・小久保巌義

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