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2022年06月30日
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カテゴリ:牧場
キタノキセキの初年度産駒が2頭生まれたと聞き、本別町の「ばんえいアズキとコムギ牧場」を訪れました。

4月に生まれた3頭の子馬のうち2頭がキタノキセキ産駒。
ユリネの子がソバコ



チーズの子がミモレットと名付けられました。父に似た流星ですね。





もう1頭はアズキの子(父カクセンキング)、ボタモチ(右)。構ってちゃんでした



夫がファンだった名牝アンローズの息子、キタノキセキ。代表の梅村智秀さん(46)は血統的魅力から、別海町までキタノキセキを種付けに行ったそうです。ファンからみれば良血、と簡単に言えるけれど、実際種付けをする立場から研究した結果、キセキ君を選んだというのはとてもうれしいです。
2頭とも生まれた時は小さめの馬体でしたが、急速に成長してかなり大きくなりました。期待も膨らみます。


同牧場は2017年開業。馬に全くゆかりのなかった梅村さんは、十勝に魅せられ、馬に魅せられ、馬主になり、ついに牧場まで開業しました。



札幌で自動車販売、修理の会社を経営する梅村さんは、仕事で道内を巡るうち、人や温泉の良さから十勝ファンになりました。何度か十勝を訪れ、ばんえい競馬は「面白いなぁ」くらいの気持ちで見ていましたが、競馬場で生産者と会い、さまざまな縁がつながり「まさかこんな展開になるとは」。
つくづく、馬は人生を変える生き物だなぁと思います。

2014年、すぐに馬主資格を取り、所有した馬が2012年生まれの牝馬、コムギとアズキです。おわかりかと思いますが、梅村さんは十勝の名産を馬名にしています。ほかにもチーズ、バターなど、かわいらしく身近に感じる名前ですね。


アズキ

さて、新馬勝ちして黒ユリ賞を目指していたコムギですが、途中でけがをして闘病生活へ。梅村さんは「最期まで面倒を見る」と、牧場を開設しました。
その後、コムギは亡くなってしまいましたが、牧場を天からずっと見守っているでしょう。
フジダイビクトリーの全妹という良血のアズキは5歳春まで走った後、繁殖牝馬として暮らしています。
競走馬となったアズキの子の名前はエリモとホマレ、両方小豆の品種です。


爆睡するエリモを見守る梅村さん

さて、牧場開設には大きな壁が幾つもはだかりました。周りに馬の知り合いもおらず、0からのスタート。新規就農したいといっても、生産者が減り続ける時代に馬を始めるなんて「何か企んでいるんじゃないか」と思う人もいたそうです。
正直「なんてことを言うんだ」と思いますが、実際、知らない世界に飛び込むというのはそういうものかもしれません。
逆境に負けず、人に話を聞いて学び、説明し、信頼を得て開設にこぎつけました。「地域の人に支えられた」と梅村さんは感謝しますが、当時から見てきた私は、すごいバイタリティーだな、と感心しきりでした。ビジネスセンスもあるなぁと。


写真奥にある小さな放牧地が、最初の放牧地。
それがここまで大きくなりました。


今では繁殖牝馬は5頭にまで増えました。
これまでの経験を、馬と暮らしたい人や、就農したい人にアドバイスしていきたい、と相談や研修に応じています。

馬との生活に向け、一歩を踏み出した1人が春から研修している奥村明加さんです。



愛知県出身の奥村さんは、3年前に旅行で訪れたばんえい競馬を見た時、途中で起き上がれない馬を見て泣いてしまったそう。そのことを親に話すと「ばん馬は開拓に大きな役割を果たしてきた。一部だけ見てかわいそう、と反対するな」と言われ、それからばんえいについて知る努力をしてきたそうです。

そのときに目に入ったのが、梅村さんが研修を募集しているというツイッターの書き込みでした。仕事をやめ、思い切って北海道へ。出産や種付けなど、生産を学びながら梅村さんの右腕として活躍しました。もう研修は終わってしまいますが「名残惜しい。帰りたくない」と、今後、どうやって馬に携わるかを考えているそうです。

牧場も、広くして調教コースを作ったり、民泊ができる場所を作ったりするなど、夢は広がります。
出産馬房を見られる部屋も馬房横に作りました。奥村さんは「馬小屋スイート」と呼んでいます(笑)。いいなぁ!





板張りの厩舎もおしゃれですよね。



梅村さんによると、ばん馬の生産は「自分のペースでできるのがいいところ」だといいます。もちろん病気の馬がいる場合などはずっと面倒をみることもありますが、基本は、えさを置いておけば出かけることもできる。イメージ的に「朝早いんでしょ」と言われるが、実はそこまででもない。



ただ「兼業を推奨する」といいます。また、施設や機械を新しく買うのは現実的ではないが、シェアはできるし、今の時代ならワーケーションという手もある。
いろいろなやり方はありますがまずは「雰囲気を感じてほしい」といいます。
「馬は中毒になるじゃないですか」。その通りですものね。




はじめは、生き物に対する理想もありました。でも「現場を見ないとわからない」。
肌で感じて、人から教えてもらって、自分の頭で考えて、できることとできないことを理解しながら馬と向き合う、その学びのチャンスを作り出して後世に伝えようと、行動しています。
「誰に何が刺さるかわからないから、やれることをやる」と梅村さん。私も「自分がやっていることって意味あるのかな?」と思うことがありますが、自分も頑張らなきゃとパワーをもらいました。



追記~
牧場に向かう途中には軍馬鎮魂碑があります。
戦時中、このあたりには軍馬補充部があり、ここで調教された馬たちが戦地へ送られました。




取材/小久保友香、小久保巌義






最終更新日  2022年06月30日 15時47分19秒



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