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カテゴリ:牧場
9月1、2日に音更町で、4年に1度の「第18回北海道総合畜産共進会」が開かれ全道から名馬が集まりました。遅くなりましたがその模様をご紹介いたします。
以前の牧場便りで紹介した十勝地区の共進会は毎年開かれますが、全道となると4年に1度。2018年は胆振東部地震の影響で2019年に延期となり、2022年もコロナや馬パラチフスの影響で今年の開催となりました。 牛部門と馬部門があり、牛は乳牛を安平町で、和牛を十勝で行います。開会式も和牛と馬が一緒に行われました。和牛は道内初の「全国和牛能力共進会」が2027年に十勝で開かれることが決まって大盛り上がりです。そんな中でも「馬は開拓の担い手であった」というあいさつにうれしくなります。 開会式の様子 馬と牛の兼業農家さんも多いこともあり、ばん馬を見ていると自然と牛にも興味がわいてきます。 北海道の家畜全体の発展を願う気持ちになります。 こちらがパンフレット。審査基準が掲載されています。 馬部門は十勝のほか釧路、網走など各地域の共進会上位馬などが集まりました。全道ならではの特徴は、重種馬だけではなく北海道和種馬(どさんこ)とポニーが出ることです。重種馬は27頭(5頭欠場)、どさんこは8頭(1頭欠場)、ポニーは3頭の計37頭が出品されました。 十勝同様、1日目が測尺と1頭ずつの展示。2日目は比較展示です。 共進会の流れは十勝の様子をご覧ください。 ばんば牧場便り【 Vol.054 】第52回十勝総合畜産共進会 1日目 ばんば牧場便り【 Vol.055 】第52回十勝総合畜産共進会 2日目 各部門で最高成績の馬を紹介します。 北海道和種馬 606 白流仙の四(函館市・長谷川繁) どさんこは側対歩という歩様も見ます。白流仙の四(はくりゅうせんのよん)は、馬房に帰るときもばっちり側対歩で素晴らしかった! 顔つきがどさんこ。歩様もしっかりしていると満点での1席でした。北海道和種馬とポニーの審査委員である近藤誠司氏(ドサンコの著書も多数!)の講評では「存在こそが開拓の歴史」。 だんづけなど、どさんこの馬文化が盛んな函館からさすがの受賞です。 ポニー 703 マーブルチョコ(釧路管内白糠町・寺沢蒼馬) ポニーです。大の大人がポニーを囲んでたまに笑顔になって審査している姿はとても良いです(笑)。 マーブルチョコはまだ若いがとてもバランスがいいとの評価でした。 ここまで世話してきたのは小学3年の寺沢蒼馬さん。写真左端の蒼馬くんは2歳のころからポニーばん馬にも出場しています。ちなみにばん馬では父親のエックスとコンビを組んでいます。 重種馬を紹介します。1歳牡牝、2歳牝、3歳以上牝こなしと子付きの5部門でした。 1歳雌 101沙羅2021(網走市・佐藤牧場) 1歳雄 201琴桜2021(網走市・佐藤牧場) 1歳の1等1席は、雌雄ともに前回の全道共進会で最高位を出した網走の佐藤牧場さんでした。 佐藤牧場さんの馬はぴかぴかですごい…!!1月生まれで馬格は目立ちますが、その分長く飼養しているということになり、苦労もその分多くなります。ここに向けての仕上げは見事です。 琴桜2021については牡馬らしく欠点がないとのこと! 講評を行った重種馬の審査委員、日本馬事協会の山下大輔氏は「全道のトップだった馬が冠獲ってくれたらうれしいなと思います」と述べていました。 この2頭、父はトレジャーハンター!素晴らしい馬を出しているようです。 佐藤牧場さんは和牛部門にも出品しているので行ったり来たりしていて大忙しです。 和牛の方が馬をのぞきに来ることもあり、「あれっ?こっちも出しているの?」と言われていました。 休み時間、佐藤さんと、十勝最高位だった鈴木さんが熱く馬について話し合っている姿はとても良かったです…… お互い考えは違うところもあるけど認め合っているよう。馬の話をしあうのがすごく楽しいんだろうなぁと思いました。 2歳雌 302タカラアメイジング(本別町・新津良明) 十勝でも1等だったタカラアメイジングです。 前駆、中駆、後駆への移行、全体のバランスが良いとの評価でした。 3歳以上雌・子付 505フレイムサクラ(釧路市・三宮久蔵) 釧路地区の最高位馬、フレイムサクラがここでも1等1席となりました。1等2席は十勝の最高位、優姫です。前回の最高位、ウィナーサラは2等。でも4年間これだけの美しさを保っているのは素晴らしいです。 フレイムサクラは馬体に加え歩様検査がよかったということでした。また、仔馬もいい歩様だったとのことです。 この部門は各地区でいい馬がかなりそろっていたそうです。今回も順列は付けたけど皆素晴らしい馬とのことです。 みんなピカピカで、元モデルも多数いる美しいママさん(子も優秀)が集まる会を覗いているようでした…… 3歳以上雌・子なし 403ホワイトマンカツ(帯広市・上見信一) 全道では今回からできた部門です。 2等は2021年に引退したナカゼンレディーも選ばれていました。 1等は純粋ペルシュロン種、ホワイトマンカツ(5歳)です。 「ペルシュロン種の美点とされる、前駆の肩の厚み、胸の深さ、中駆の背が長く肋張りが充実。斜尻も広く長く充実している。弱点といわれるところも改良している」との講評でした。 そして重種5頭の中でも最高位。それから品種ごと3頭が並んで審査され、馬の部の最高位となりました! 出品者の帯広市の上見信一さんは「最高だな。これで勝負だと考えていた」そう。 コーネルトップをはじめ、50年以上馬を生産してきた上見さん、8年ほど前から純粋ペルシュロン種を多く生産し始めました。 ペルシュロンの魅力は「ごついところ」だそう。帯広畜大の研究に協力している縁で、獣医師や学生が多くサポートしていました。このような関係も素敵です。 山下さんによると各地の共進会で好成績でも、その後体調を崩して今回出られなかった馬もいたそう。また、馬パラチフスが出た影響で出品を控えた地域もありました。 馬については、全体的に「肉がのっている」というコメントが多かったです。ピカピカにするのにどうしてもふっくらさせてしまいますよね…。 何度も、肢蹄管理の大切さについて述べられていました。 取材/小久保友香・小久保巌義 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年12月20日 12時52分01秒
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