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ばんブロ(ばんえいスタジオのブログ)

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牧場

2020年11月25日
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カテゴリ:牧場
田山産業の草ばん馬競技大会に合わせ、道南にいるばん馬たちに会ってきました。その時の様子を2回に分けてご紹介いたします。

まずは、日本海側の八雲町熊石にある大竹さんの牧場へ。キサラキクが繁殖入りしています。

昨年訪れた様子です
ばんば牧場便り【 Vol.010 】キサラキクがいる八雲町・大竹さんの牧場
 https://plaza.rakuten.co.jp/baneiblog/diary/201905300000/

そのキサラキクは、今時期は熊石から少し南にある厚沢部町の共同牧野に放牧されているそう。
「草ばん馬に出る馬を、海岸で運動しているよ」と聞いたので、まずは熊石へ。
以前もご紹介しました通り、海岸調教は美しくて大好きな景色です。

夜明け前の午前5時。つなぎ場に1頭の馬が。真っ暗な中ライトを頼りに馬具をつけています。
草ばん馬に出るということは1歳馬なのかな? と思っていましたが、1歳にしては大きなシルエット。
近づいて見ると……この特徴は。




ライデンティダでした!
道南で種牡馬入りしていたのですね。

こちらの馬運車で運動場所まで移動します。





ここからスタート



少しずつ明るくなってきました。熊石の町並みをバックに、砂浜を歩きます。大竹さん(左)も一緒についていきます





障害練習は自然の砂山。かけ声とそりを引く音、波の音だけが響きます。





この日は前日なので軽めの調整でした。終わって人馬ともに一休み。





海水で脚を洗い、家ではシャワーもしてもらって、明日に備えます。
結果、草ばん馬では見事1着を取りました!
大竹さんの牧場は見学も可能とのことです。


さて、キサラキクは厚沢部町の放牧地で過ごしています。
今回、取材のため許可を得て撮影させていただきました。

夏にばん馬が放牧する理由についてはこちらをご覧ください
ばんば牧場便り【 Vol.26 】夏の放牧
​ ​https://plaza.rakuten.co.jp/baneiblog/diary/202006240000/
この日は熊石から南下して、江差町にいる馬たちに会ってから厚沢部まで行きました。江差の模様は次回お伝えします。

厚沢部では、近隣の牧場の仲間たちも合わせて20頭ほどとの共同生活。
この放牧地、かなり坂が急なんです…。馬は見えているのに、ここにたどり着くまで息切れ…。
馬たちはここで歩いて運動し、体を鍛えていくのでしょう。


いた! キクちゃんは見えているのに、1つ谷を越えて向かわねばなりません。
小川も流れていて馬にはいい環境なのですが、泥に埋まって大変(汗)


キサラキク。
残念ながら流産してしまったそう。今はゆっくり過ごしてほしいです。


みんな、キンミズヒキの実をいっぱいつけておしゃれしていますね。




大竹さんの牧場にいるドウナンカツヒメ。魚目と流星の形、短い脚などが特徴的でかわいいです。


突然大移動! せっかく山超えてきたのに、軽々と戻られてしまったよ~(笑)

十勝だと11月には牧場に戻りますが、暖かい道南は12月を過ぎてもまだ放牧地にいるそうです。

この後、渡島半島を横断して北斗市の「きじひき高原」に行こうと思ったのですが雨が降ってきてしまったので断念。
天気が良ければ、展望台からは津軽海峡や函館山、駒ヶ岳、北海道新幹線の高架橋などを望める絶景が広がります!
しかも、ここには馬が放牧されているのです。







昨年の写真。このときはたまたま展望台近くに馬が放牧されていました。
放牧地の多くは奥地にあるし広すぎて、外から馬を見られるチャンスはそうないのてすが、
きじひき高原は馬を見られる数少ないスポットだと思います。(頭数はそんなに多くないですが…)
毎年位置はばらばらですが、たいてい馬がいる姿を見ることはできました。


取材/小久保友香、小久保巌義






最終更新日  2020年11月25日 17時23分17秒


2020年11月11日
カテゴリ:牧場
 10月11日、道南の北斗市(旧大野町)で、田山産業運輸の「ばん馬競技大会」が開かれました。ばん馬のほかポニーもいます。








 今年で24回目。毎年10月第2日曜に行われるこの大会が、いつも北海道のラストを飾ります。全道各地のほか、青森からも参加者が来る、にぎやかな大会です。
(青森はこの後、県内で感染者が増えたため今年最後の馬力大会が中止になってしまいました。結果、この日がラストの方も多かったと思います…)


スタート地点で出走前の準備。参加者が皆で手伝います


馬の背もお手の物
 例年北海道では10数カ所で行われる草ばん馬ですが、今年は中止が相次ぎました。町村の祭りに合わせて行うところが多いため、祭りが中止になればばん馬も中止になってしまいます。個人で行う大会は、新型コロナウイルス対策を万全に行った上で、7月から開催されました。田山産業以外は全て日程を延期しての開催です。
 最初は7月26日に行われたむかわ町穂別のポニーばん馬。5月の予定が延期になりました。久しぶりのばん馬仲間たちとの再開、懐かしくて涙が出そうだったなぁ。最初に行うのは勇気がいったことと思います。




 ちなみに穂別のばん馬は、2019年公開の、馬と人間を描いたドキュメンタリー映画「馬ありて」でも紹介されています。
 その次は紋別市渚滑で8月9日。その後9月13日の富良野市「フラノトレッキングサポート遊馬」、旭川の大高牧場は6月が中止になり、その後10月4日に急遽開催。これらは全てポニーのみでした。
 ポニー以外のばん馬は、9月27日に今回と同じ場所で行われた渡島家畜商商業協同組合北斗大野支部の大会が初。いつもは7月第1週日曜日でした。頭数が少なく、午前中で終わったそうです。
 というのも、ばん馬は帯広競馬場から連れてくる現役馬が多いから。今年はコロナ禍で、馬を連れてくる厩務員や調教師が来られないため、来ることができませんでした。
 さて今回は、1歳馬や種馬のほか、馬主が自ら連れてきた馬が参加。ばん馬はのべ24頭。ポニーを合わせると、のべ71頭で18レースが行われました。こんなに集まるとは、と田山社長も感謝していました。(2走する馬もいるのでのべ数としています)
 田山社長は、8時間近くかかる道東の別海町や、青森のばん馬にも馬を連れていきます。すると各地の主催者が「こっちも行かなきゃ」。そのようにしてお互いが草ばん馬を盛り上げていきます。
スケジュール(☆はポニー)
1R 1歳ばん馬
2R 1歳ばん馬2
3R ☆ポニーA
4R 2流
5R 2流
6R ☆ポニーB
6Rー1 2歳1
6Rー2 2歳2
7R ☆ポニーC
8R 3、4歳
(昼休み)
9R ☆ポニーD
10R ☆ポニーE
11R ☆ポニー2歳A
12R ☆ポニー1歳A
12R-1 ☆ポニー1歳B
13R ★しまうま
14R ☆ポニー重量
15R 重量
 通常なら、昼休みには歌手を連れてきての歌謡ショーや、チャグチャグ馬コの展示を行っていますが今年は中止となりました。
 さて、コースは200mの直線。トロッコの動力はトラクターです。うまく引っ張ります


 1歳馬。来年のデビューに向けて一歩リードですね。


 今回は道南で種牡馬になったライデンティダが出走していました! 牧場を訪れたときの話は次回のばんブロで。




 今回はエキシビジョンとして、シマウマと馬の異種交配「zorse」が登場!
 新冠のスターファームさん生産の1歳馬2頭で、牡馬が母ハフリンガーのしまじろう。牝馬が母アパルーサのしまみ。ロバみたいな鳴き方をするんですよ!
 穂別、紋別、北斗と回数を重ねるごとに、ばん馬らしい? レースをするようになってきました。馬(シマウマ?)の成長力は素晴らしい…




 最後を飾る重量戦は、800キロのそりを引き、ばんえい記念さながらに刻みながら進みます。




 午後3時ころに終了。田山社長の馬、ブラックニセイとドウナンジローは、歩いて奥の厩舎に戻っていきました。
 田山社長はこの近くの馬場で馬を運動させているそうです。


来年は、通常通りなら5月に道南の森町か厚沢部町からスタートします。
普段どおりに行われることを願っています。
以前の草ばん馬の記事
ばんば牧場便り【 Vol.011 】旭山ばん馬競技大会ばんば
ばんば牧場便り【 Vol.015 】第58回鹿追競ばん馬競技大会
「ばん馬大会情報」で今後の情報を載せています
北海道の情報一覧 ​http://banbaphoto.blog.jp/archives/16223667.html
文/小久保友香
写真/小久保巌義






最終更新日  2020年11月11日 10時30分39秒
2020年10月21日
カテゴリ:牧場
「蝦夷富士」と呼ばれる美しい羊蹄山の麓に広がるニセコ町。スキーや温泉が楽しめる観光地として有名です。



羊蹄の麓にあるのが堀忠一さんの牧場です。
ニセコクイン、ヨウテイクインの重賞勝ち姉妹とコトブキクイン、名種牡馬ダイヤテンリュウが生まれた牧場。これらの母、名牝の名は「トツカワ」といいます。
生産馬の姉妹制覇に憧れ、堀さんの牧場を目標として挙げる生産者は少なくありません。
私も初めて訪れた15年前。羊蹄山とニセコアンヌプリを望む放牧地の美しさに息を呑みました。
まさに、名門牧場ここにあり。

ニセコは農業も盛んな町。昔は畑を馬で耕したり、牛乳を馬で運んだりしていたそうです。堀さんの家にも農耕馬がいて、馬好きな堀さんは毎週のように地域の草ばん馬に出ていたそう。当時は真狩、倶知安、蘭越とあちこちで行われていたそうですが、今は共和町を残すのみとなってしまいました。
近隣町村のばん馬の牧場も、2、3年前に1件がやめて今では堀さんだけです。
今は草ばん馬出ないんですか?と聞くと、出したくても装蹄師がいないので、調教もできないといいます。

堀さんが競走馬の生産を始めたのは、なんとトツカワが牧場に来てから。
ばん馬の縁で岩見沢競馬場をよく訪れていた堀さんは、関係者と雑談していた中である日トツカワを薦められたそうです。近親にタカラフジ、ニューフロンテアがいる良血だからというのが理由だそうですが、初年度のダイヤテンリュウから大活躍。すごいですね。
「ダイヤテンリュウの子は、小ぶりだが障害がうまい」と話していました。
種牡馬の話題でもう一頭。母父で活躍馬を出している種牡馬「第三竜王」も堀さんの生産馬。東北の草ばん馬で活躍していたそうで、競馬場デビューをしていないからこの名前なんですね。

さて、牧場では種牡馬のホンベツイチバンを繋養しています。初年度産駒が1歳です。





現役時代から健康な印象のある馬でしたが、今も相変わらず元気です。
この辺りには種牡馬も少なく、石狩、空知方面にまで種付けに行ったそう。15頭ほど種付けしたそうです。

ホンベツイチバンは母父がダイヤテンリュウなので、「トツカワとくぐるんだ」。
インブリードのことを「くぐる」と言うんですね。

その前はホッカイヒカルとタカラボーイがいました。3頭とも日本馬事協会の馬です。
ホッカイヒカルは2歳と3歳世代のみ。疝痛で命を落としてしまったそうです。
今年の黒ユリ賞4着のニセコヒカル、夏の休養明け2連勝した2歳馬ヒカルファンタジーが活躍しています。

放牧地を案内してもらいました。
堀さんは一時期体調を崩されたこともあり、馬は数頭を残すのみ。
ヨウテイクインのひ孫にあたるヨウテイヒカルが繁殖入りし、血をつないでいます。









ちなみに、牧場のあたりは里見地区といいます。「サトミクイン」聞いたことがありませんか?
アアモンドグンシンの母親ですね。サトミクインはヨウテイクインの娘です。

ホンベツイチバン産駒の1歳馬2頭は、来月からトレーニングが始まります。
牡馬2頭、元気いっぱいですね。





ロケーションがいい場所に堀さんが馬を連れていってくれました(笑)





「後ろ追い」という、手綱を付けて歩く運動は堀さんが自ら作った練習馬場で行っています。調教するために、海砂を運んできたそうですよ。



堀さんは農業も営んでおり、この時期はカボチャが積まれていました。
馬もぼりぼり食べるそうです(笑)。この近辺の馬は、名産のスイカやメロンも食べるのでなかなかグルメです。




農場で研修されている方がニセコヒカルの応援サイトを作っています
​ https://www.facebook.com/NisekoHikaru/


文/小久保友香
写真/小久保巌義






最終更新日  2020年10月24日 10時12分51秒
2020年08月19日
カテゴリ:牧場
8月上旬、オホーツク海側にある紋別市で行われたポニーばん馬を見に行きました。今年は草ばん馬大会も中止が相次いでいます。






紋別に行く途中、滝上町にある2つの牧場を訪れました。
滝上町といえば、5月下旬から咲く芝桜が有名な町です。

まず、佐藤節雄さんの牧場にお邪魔しました。タキニシダイヤとトウカイシンザンの種牡馬2頭と、繁殖牝馬5頭、ポニーが過ごしています。
トウカイシンザンは純ペルシュロンとして貴重な血を残しています。現在21歳。
佐藤さんの牧場に来る前は、帯広市にあった三井牧場で過ごしていました。アンローズなどに会うため私たちはよく三井牧場を訪れており、のんびりとして優しいトウカイシンザンをすっかり気に入っていました。久しぶりの再会です。
たてがみは少し減ったけれど元気そうで、食欲も旺盛とのこと。大きな病気もないそうです。
年とともに繁殖能力も下がってはいますが、これからも牧場で余生を過ごせそうとのことで、ほっとしています。






同場で産まれたタキニシダイヤは、5歳で引退して種牡馬として牧場に戻ってきました。現在9歳、若々しくてかっこいいですね。初年度が2歳。まだデビューした馬はいませんが、これからです。
父はダイヤノホシで、タキニシダイヤは唯一デビューした馬。ダイヤノホシはサダエリコ(センゴクエースの母)の弟でもあります。



カネゾウの母、弥生姫さん。純ペルシュロンのきれいな芦毛です。子どもとともに





2011年のオークス馬、アグリコトブキもいました





十勝や釧路以外は、競馬場がなくなったこともあり馬産農家が減っています。滝上町は現在3軒だそう。
地域の特徴というのもばんえいの魅力ですが、種馬も少なく、繁殖相手も限られます。馬をいつも見ているという獣医師や装蹄師も多くありません。
でも、そんな中からの活躍馬は応援しがいがありますね。

次は、芝桜高橋牧場を訪れました。


コーネルトップやセンショウリなどの大種牡馬を扱う名門牧場として活躍馬を送り続けてきました。
以前は種牡馬3頭、繁殖牝馬30頭ほどがおり、種付けのために来ていた牝馬を含めると100頭ほどがいたこともあったとか。
今は牧場を縮小し、繁殖牝馬2頭を残すのみとなっています。





代表は高橋敏さん。以前はなんとサラブレッドの世界にいました。
道営競馬から錦岡牧場へ。そして開業当初からいたレックススタッドではカツラギエースやダイナガリバーを担当していたそうです。


ヤマニンアピールが馬生活のはじまりだそうです。
障害馬として名を馳せた同馬の貴重な平地勝利の写真ですね

そして30歳で、馬で丸太の切り出しなどを行う父の牧場に戻ってきました。
ばん馬とサラブレッドの違いを聞くと「ばん馬は楽! サラブレッドは神経質だから」。両方大変だと思いますが……



休憩室にあるポスター。サラブレッドでよく見られるタイプのポスターですね。ばん馬ではあまり見かけません

1997年ばんえいグランプリなど重賞8勝、マルミシュンキなどを輩出し、帯広一市開催となった頃のリーディングサイヤーだったコーネルトップを種牡馬として繋養していました。
コーネルトップ、種付けが大嫌いだったそう! なかなか繁殖牝馬に乗らず、2時間ほど立って待っていたこともあったとか。
そのうち「仕方ないなぁ…」と種付けを行うそうです。しかし「乗れば一発」。
ご飯もいやいや食べるそうで、めんどくさがりだったのかなぁ笑。こんな馬だったとは!



レイをたくさんかけたコーネルトップと、ばんえい大賞典を勝ったキクスピードの写真

むしろ種付けが好きで、毎年120~30頭近くをこなしていたのはセンショウリ。スミヨシセンショーなどを輩出しています。血統表でもよく名前を見かける馬です。
「食べる量が違う!」比例するものなのかな。
ばん馬は種馬が馬運車に乗って回ることが多いですが、高橋さんは種付け希望があればその繁殖牝馬を自分の牧場に運んで種付けを行っていたそうです。

そして、私が好きだった馬、重賞13勝のサダエリコが繁殖牝馬として過ごしていました。
「こんなうるさい馬いなかった。横っ飛びするんだから」。かなり敏感な馬だったようで、それが強さの理由でもあったのでしょう。

最初に種付けを行ったのは、当時牧場にいたサロマオーカン。そんなに大きな馬ではなかったのですが、大きなサダエリコに向かって「片足で這いつくばって種付けしていた。感激した」そう。そして産まれたのがサクセスクィーン。残念ながら脚が悪く、子どもは遺せませんでした。
サダエリコは子煩悩で、おっぱいを自分で飲ますほど子どもを大事にしていたそうです。ただ、アブを払うのが下手で、刺され放題だったとか。
3番仔となるセンゴクエースを産んだ年に、頭を蜂に刺されて命を落としてしまいました。
一度牧場で会いたかったな…。

さて、センゴクエースの幼少時は「手のかからないおとなしい馬だった」。
途中半年育成に出し、デビュー年の3月まで牧場にいたそうです。
普段は褒めることのない、当時90歳近い装蹄師がべた褒めしていたそう。

思い出に残るレースは、と聞くと「(取り消した)ばんえい大賞典!!」と悔しそう! 帯広に向かい、三国峠を走っていたら連絡が来たそうです…。
逆にうれしいのは「菊花賞。やられたと思った」。素晴らしい差し脚でしたね。
初めての挑戦で優勝したばんえい記念。工藤元騎手が調教をつけたとき、オレノココロと同じ量の荷物を積んでもこたえずに障害を上がり「力あるんだわ」と話していた、と教えてくれました。

さて、サダエリコのほかに2003年のヒロインズCなどを勝ったコスモカップも引退後しばらく牧場にいました。オークス馬2頭!
2頭とも安産で「脚が出た、と思ったらスポーン!って。腹筋違うのかなぁ」と。馬によるのでしょうが…。




さて、滝上町では郷土館にも寄りました。北海道の郷土資料館は馬が多く、楽しいです。
滝上の周りの町は林業が盛ん。ということは、馬搬が多く行われていたということですね。
1954年(昭和29年)9月の「洞爺丸台風」で倒木被害を受けた後にも馬が活躍しました。1960年には町内に1448頭の馬がいたそうです。
鞍やハミ、馬搬に使うバチ橇やタマ橇などの展示もたくさんありました。馬の剥製もリアル!

図書館には、町出身の作家、小檜山博さんと加藤多一さんのコーナーがありました。
お二人の小説には、馬とともに過ごした記述が多く、開拓時代の馬について知ることができます。
加藤多一さんは特に馬をテーマにした児童文学が多く、当時の雰囲気がよくわかります。


文/小久保友香
写真/小久保巌義






最終更新日  2020年08月19日 17時21分37秒
2020年07月29日
カテゴリ:牧場
今回は、芽室町・加納友喜さんの牧場で過ごすコマクインをご紹介します。



今年14歳。重賞制覇はなりませんでしたが、柏林賞、はまなす賞、ヒロインズCで2着。
鼻白でかわいらしい顔、スピードっぷり、2障害を頑張って越える姿などが人気の馬でした。



2014年に引退。ウンカイとの初仔コマサンブラック(牡4、青毛)が7月25日現在15勝。


2019年ばんえいダービーに出走

2番仔のコマサンダイヤはイレネー記念馬。





今年デビューした3番仔コマサンタカラは1勝しAクラス入り。



子どもたちが活躍を続けています。
コマサンダイヤは今週2日の3歳三冠レース1冠目、ばんえい大賞典に出走しますね。

加納さんも芽室町の名産スイートコーンなど、農業を営みながら25年、ばん馬を育ててきました。
十勝は今、秋小麦の収穫シーズン。ジャガイモは品種ごとに白や紫の花を咲かせています。





放牧地の前には畑が広がります

ばんえい大賞典、ばんえいオークスを制したワタシハスゴイや今も元気に活躍中のキタノサムライを生産しています。



2010年、キタノサムライの仔馬時代!

コマクインは現在、4番目の仔となるスギノハリアーの仔がいます。5月生まれなのに大きい!「よくこの腹から出てきたなってくらい大きかった」そう。



デビューした3頭は父ウンカイに似た青毛。当歳もスギノハリアーと同じ栗毛と、父馬の特徴を引き継ぐ馬を出す名牝です。そして全て牡馬。

驚くことに、コマクインは昼に一人で産んでしまうそう!
「夜はちゃんと(出産しないか)見ているんだよ…」といいますが、日が昇り、加納さんが畑に出ると一人で仔馬の世話をしているそうです。
サラブレッドに比べてばん馬は体が大きいため、人の介助が必要になることが多いですが、毎年安産というのはファンとしては安心ですね。



今年は10時頃、空をトンビが回っていたので、娘さんに聞いて見てもらうと脚が出ていたとか。
「キツネが近くで待ってるんだよ」。出産時に「後産」と呼ばれる胎盤などは栄養があるので、キツネのごちそうとなります(しかしキツネを介した病気の原因になるのですぐに処理しなくてはいけません)。
後産は馬プラセンタの原料として、業者に引き取られていますね。

道南出身の加納さんはもともと馬好き。仕事で十勝に来た時にも、牧場で馬の世話などを手伝っていました。
そして加納さんの結婚が決まると「結婚祝だ」と馬が贈られたそう! そこから馬との生活が始まったそうです。



今はコマクインのほかに、コハルとインフィニティーの仔の親子2組。自宅そばの放牧地で過ごしています。
コマクインはコハルの仔にもお乳をあげるそう! 母馬はほかの仔が近づいてくると耳を絞って追い払うことが多いですが、優しい馬なのですね。
とても懐っこくてかわいいです。コハルも仔馬たちもです(笑)



以前は夏の間、近くの河川敷に放牧されていました。とても美しい場所でしたが、2016年8月の台風10号が直撃、河川敷は流木がなだれ込みました。このときは台風直前に避難して親子3組の馬たちは無事だったそう。
「汽車ぽっぽで運んだんだ」。これは道南で昔行われてた、馬の荷物を運ぶ駄載(だんづけ)でよく行われる、しっぽと無口をつなぐ方法のことです。
道路を馬が並んで歩いていたらびっくりしますよね。放牧地と牧場を移動する時は、いつもこの方法だったそうです。



5年前、河川敷放牧地のコマクイン


だいぶ当時の爪痕は目立たなくなりましたが、美しい放牧地でした。
今の放牧地も小川が流れるきれいな場所です。



加納さんの目標は、「ヨウテイクイン、ニセコクインを出したニセコの堀忠一さんのように、生産馬できょうだい対決を見たい」。近い将来見られそうですよね。
コマクインのファンの方なら見学OKとのことです。


文/小久保友香
写真/小久保巌義






最終更新日  2020年07月29日 13時00分08秒
2020年06月24日
カテゴリ:牧場
夏に道東の山道を走っていると、広い放牧地にばん馬がいる姿を見つけることがあります。
牧場によっては、仔馬の登録や繁殖牝馬の妊娠鑑定が終わった6月頃から10月末頃まで、夏の間のみ繁殖牝馬や1歳を自然放牧させています。


個人が持つ広い放牧地のほか、地方公共団体や農業組合、農業団体が管理する「共同牧野」に放牧します。
共同牧野は地域の畜産振興のため、集団による家畜(主に乳牛)の育成が行われます。

ちなみに、馬はいませんが日本一広い公共牧場は、上士幌町のナイタイ高原牧場。
北海道を感じられる景色として観光地になっています。
レストハウスは昨年リニューアルしました。ばんえい観光ができるようになったらこちらも訪れてみてはいかがでしょうか。
 ​https://www.kamishihoro.jp/sp/naitai/00000138

家畜改良センター十勝牧場も、夏になると放牧地に馬を放ちます。
基本的に見学禁止ですが、観光地として入ることのできる、白樺並木から展望台までの道路沿いに馬がいることがあります。見つからないこともありますが…
 ​http://www.nlbc.go.jp/tokachi/visitorsinfo/index.html

北斗市のきじひき高原には馬がいますよ。昨年秋は展望台から見えました。
 ​https://www.city.hokuto.hokkaido.jp/docs/1959.html
いずれも防疫に気をつけ、放牧地の中に入らない、馬に触らない、ごみを捨てないなどのマナーを守ってください。

さて、今年も放牧の季節がやってきました!

その前にワクチンを打つため、獣医師が捕まえやすいよう1歳馬の頭に「もくし」をつけます。これがまた大変。
捕まえられて自分の頭になんか付けられるのは嫌ですよね。
しかも、つけられる時って、大抵注射とか獣医師が来る時なので嫌な予感がします。
この日は音更町の牧場で、わがままっ娘にもくしをつけるため、競馬場から舘澤騎手がお手伝いに来ていました。
競馬場で働く人たちは若くて体力があり、馬のことをよく知るプロ。
生産地を支えています。








もくしをつけてこの日は終了。

6月に入り、ある牧場の馬たちは馬運車で浦幌町の放牧地に移動します。
今回は取材のため、許可を得て放牧地の中で撮影させていただきました。

私たちが着いたとき、この日の第1陣の繁殖牝馬4頭が馬を放し終わったあとでした。
先にいたほかの牧場の2頭と、今日の4頭がなんとなく分かれて一緒にいます。
クラス替えの初日みたいなもので、そのうち仲良くなったり、なんとなく分かれたままだったり。

「私が強いのよ」と蹴りを入れたりして、上下関係を築いていきます。
ここは芦毛ちゃんが先頭を切って移動していますね。(数時間でボスに)
耳を絞って(後ろに倒して)怒ります。





馬たちは、美味しく食べられる草を選んで食べます。
丘の上は、涼しい風が吹きます。雨の日は、木の下に移動。



いつも歩くところは「馬の道」(けもの道)ができています。



ここは地元の農協が管理し、管理人さんも在駐しています。
放牧地は5つに分かれ、草の状態をみながら移動していきます。
管理人さん、一人で馬を全部移動させるのだそう。「1頭を引っ張ればみんなついてくるよ」と言いますが、すごい技術です。
牛もいる放牧地も含めて、柵や家畜の状態を確認して回っています。
水飲み場と、ミネラル補給の塩も管理します。





ここは野生の花がたくさん咲いていました。
アヤメやスズランがきれい!! これらの野草は毒があって馬は食べないので美しく残っています。



牧場の方に放牧する利点を聞きました。
まずは、牧草費の節約。朝は朝露に濡れ、水分のある草をたっぷり食べられますね。
栄養価の高い青草を食べることでいいボディコンディションを維持できるそうです。
そして傾斜があるので、アップダウンすることで仔馬に筋肉が付き、鍛えられます。
繁殖牝馬もいい運動になって繁殖成績が良くなり、長寿にもつながります。
実際、腰の悪かった馬を放牧に出したら治ったこともあると聞きました。(すべての馬が治るわけではないです)
私は疲れました……



ばん馬はかなり昔から行われていたことですが、
サラブレッドが運動量や精神力をつけるために、夜間放牧や昼夜放牧が一般的になってきたのと似たような理由でしょう。
牛も同じように、体力作りだそうです。

気持ちのいい風、木陰など、避暑にもなりますね。
「太陽の光や緑など、生活にメリハリがあることでストレス発散や健康維持になるのでは」と牧場の方は話していました。
自然に近くなるというのは健康に近づくのでは、と思っています。

野生生物への対応力もプラスに働くように思いますが、
もちろん怪我や熊に襲われるリスク(そんなに多くはないですが、北海道の山なのでどこかに熊はいます)もあります。

午後、この日の第2陣がやってきました。1歳馬たちです。
くねくねした細い道を、馬運車は何事もなく走ってきます。すごい…


また舘澤騎手が手伝っていました(笑)



自由になって、とりあえず草を食べ、るんるん~と馬たちのところへ行く馬、マイペースな馬、
強い馬たちの洗礼を受ける子、年上のお姉様に向かっていく馬など、いろいろ(笑)


「こんにちは~!!」と向かっていく馬

秋まで、数軒の牧場の馬たちが群れをなし、それぞれが社会生活を営んでいきます。

秋には下牧、といって馬たちは牧場に戻ります。放牧地は閉鎖されます。
私は初めて見ましたが、自分の馬を集めやすいようにと、今日放した牧場の馬たちは前髪をぱっつんと切っています。



確かに見つけやすいですよね。それを見た他の牧場の方が「それいいな」と。みんなでやったらわからなくなるよ~(笑)
夫は風景撮影のために放牧地によくお邪魔するのですが、ちょっとモデルにはなりにくいかなぁ(笑)
管理人さんが「秋にはだいぶ伸びてるけどね」とぽそっと。

さて、それから数日後。こちらは足寄町の放牧地に向かう馬たちです。親子馬ですね。


これから自由な時間!!


秋、すっかり広い放牧地になじんだ馬たちを、どうやって集めて、馬運車に乗せるのか?!
ここにも苦労があります。あらためて、お知らせできればと思います。

ヒントはこの枠。「地獄」と言われています。すごいネーミング(笑)




文/小久保友香
写真/小久保巌義






最終更新日  2020年06月24日 19時30分02秒
2020年06月11日
カテゴリ:牧場
繁殖シーズンも終盤を迎えています。
ファンへの開場が待たれるばんえい牧場十勝を訪れました。


タナボタチャンも無事ミタコトナイを受胎。




メムロコマチもフジダイビクトリーを受胎して牧場に帰ってきました。




キサラキクが、ジェイワンを種付けするためにばんえい牧場に嫁入りしています。
キサラキクがいる間に牧場の見学が可能になればいいですね。




アアモンドセブンはこの写真を撮影した次の日に初めての子どもが生まれました。
この時は「まだ先かなぁ」と言っていたのに(笑)

アアモンドセブンとヒメサマ、クレッシェンドです

馬は春にしか発情の来ない「長日性季節繁殖動物」。種付けから出産まで11カ月前後なので、仔馬は春に生まれます。
出産、種付けと忙しい季節。ある日、牧場に行くと獣医師の方が来ていました。
サラブレッドの牧場が多い場所のように、馬専門クリニックというのはほとんどないので「NOSAI(農業共済組合)」や開業した獣医師の方です。
ばんえい牧場では、この時期は週に2回来ているとのこと。何をしているのか、話を聞きました。




繁殖牝馬に対し、一般的に行うのは直腸検査です。略して「直検」。
直腸に手を入れて直腸壁から卵巣や子宮を触診、またはエコー検査などで、妊娠しているか、種付けに適した状態かを確認します。
まずはボロを出してから。ボロを入れる用の一輪車がそばにあります






左手で直腸にモニターを入れ、右手でモニターを見ます

卵の鑑定は、略して「卵鑑」(らんかん)。
種付けは排卵に合わせて行いますが、排卵前から発情が始まるのでそのタイミングを、卵の大きさから見計らいます。
重種の場合、個体差はありますがおおよそ卵胞が5~6センチで発情、6~7センチで種付け。
大きさを見て、これから種付けしていいよ! とか、まだかなぁ、という話をします。
エコー検査も行います。「これ」と言われるけどわからない…







発情の周期は3週間ほどで、1週間ほど続きます。発情誘発剤を打つこともあります。
重種の発情が長いというのは、十勝牧場の馬の担い手研修で聞きました。


仔馬はフリーダムに歩き回ります。ほかのお母さんにちょっかい…

種付けを終えた馬が、ちゃんと妊娠しているかを確認するのは「妊娠鑑定」、略して「妊鑑」。
妊娠していることを「妊鑑+(プラス)」と表記し、このまま市場の名簿に記載されることもあります。
最終種付けから15~19日、30日、50日と確認します。
流産予防の注射も打ちます。
 

慣れたもので余裕の注射…ではなく、注射器のキャップを加えていますので念のため(笑)


一頭一頭丁寧に子宮の様子をメモし、順調な種付けや胎児の生育をサポートしています

最後に、検査をした場所を牧場の方がきれいに洗います。ここが大事で、ばんえい牧場の方はすごく上手! と獣医師の先生のお墨付きでした。
人間も同じですが、当たり前のように生まれているように見えて、そこまでには繁殖牝馬や牧場スタッフ、獣医師やさまざまな人の大変な苦労があるんですよね。
サラブレッドに比べると、大きなばん馬は特に人の手が多くかかっているように思います。
流産や命を落とした話を聞くたびに、このような事故が少しでも減れば、ばん馬の生産頭数も上がるのに、と思います。
楽天競馬の「ばんえい十勝応援企画」では生産振興策として帯広畜産大学と連携し、獣医畜産学の観点からも生産数増加に向けた取り組みを検討していく予定です。

身ごもった、または残念ながら受胎しなかった繁殖牝馬たちは、これから広い広い放牧地に移動し、夏を過ごします。
ばんえい牧場の馬たちも、6月に入って市内の放牧地に移動しました。
ばん馬特有の放牧について、次回あらためてご紹介します。


文/小久保友香
写真/小久保巌義






最終更新日  2020年06月11日 16時15分37秒
2020年05月27日
カテゴリ:牧場
ナナノチカラの初仔が生まれたと聞き、足寄町にある加藤信一さんの牧場を訪れました。
2016年のばんえい記念馬、フジダイビクトリーが昨年6月末から種牡馬として過ごしています。







今年のばんえい記念直前企画でフジダイビクトリーを取材した記事・動画は​こちら


フジダイビクトリーはすでに50頭ほどに種付けを行ったそう。
前回も話していた通り、人の言うことは聞き、馬には厳しく色気が強いとのことで、種牡馬としては理想的ですね。

ばん馬は種牡馬が繁殖牝馬のもとに行くことが多いですが、フジダイビクトリーは近くの牧場にだけ行き、函館や釧路など道内各地から「嫁入り」している牝馬がたくさんいます。モテモテですね。
もう一頭の種馬、ライデンロックに種付けしにきた牝馬もいますよ!!


10数頭の馬たちがいて、今が一番にぎやかです。


牧場には、2016年ヒロインズCなど重賞5勝のナナノチカラがいて、自由に出入りできる小屋がある放牧地で過ごしています。




今年3月末に、初仔となるカネサブラックの牝馬を出産しました。人懐っこく、膝の上に頭を載せて寝てしまうそうです。
相性はナナの仔だから「ハチ」。雨が嫌いで、雨が降ったら小屋に入ったり、庇の下に入ったりするそう。かわいいお嬢様ですね。
ナナのお腹にはフジダイビクトリーの仔がいるそうです。
おそらくカネサブラックの血を引き青毛でしょう。青毛は仔馬の頃、グレーっぽい毛に覆われます。銀色に輝いているようです。








なんとか、左から(ライデン)ロック、ナナ、ハチ、を並べて撮ったつもり(笑)
ナナは馬房の中にいます。


隣の放牧地には、今年繁殖入りし、すでにフジダイビクトリーを受胎したカツフジヒメとプランセスもいます。




青毛がオークスなど重賞に出走したプランセス。栗毛、カツフジヒメのかわいらしい前髪は現役時のままです


2018年クインカップを制したメヂカラも、今年のヒロインズCを最後に引退し、繁殖入りしています。



以前加藤さんの牧場にいたカネサブラック。ラストクロップとなる今年の仔は8頭生まれているそうです。
最後に種付けをしたという、プレシャスリンの仔に会うことができました。草に埋もれていますね(笑)。
みんな元気に育ってほしいです。今年生まれた仔たちは早くて2年後、2022年にデビューです。





文/小久保友香
写真/小久保巌義






最終更新日  2020年05月27日 21時53分09秒
2020年03月30日
カテゴリ:牧場
2月26~28日に、日本馬事協会の主催で「馬の担い手技術者養成研修会」が開かれました。
12月に前半となる1回目が行われており、その参加者が対象です。

前回の内容はこちらのブログをご覧ください。
ばんば牧場便り【 Vol.020 】馬の担い手技術者養成研修会・前期 その1
 ​https://plaza.rakuten.co.jp/baneiblog/diary/201912250000/

ばんば牧場便り【 Vol.020 】馬の担い手技術者養成研修会・前期 その2
 ​https://plaza.rakuten.co.jp/baneiblog/diary/201912250001/

すべて家畜改良センター十勝牧場で行われ、21人が参加しました。
今回行われた座学はすべて獣医師によるもので、深い内容で大変ためになりました。難しかったけど…

初日は「馬の防疫について」。十勝家畜保健衛生所の小林主査から、感染症や予防対策、衛生管理についてお話いただきました。



重要な4つの感染症「馬鼻肺炎」「馬パラチフス」「馬インフルエンザ」「ロドコッカス・エクイ感染症」について学びました。
いずれも感染馬の隔離や人による媒介、馬房などの施設、馬体を消毒するなどの対策が必要。
消毒薬の効果的な使い方や種類についても解説していただきました。

最後に、家畜の衛生管理として、農水省が定めた「飼養衛生管理基準」8項目の紹介。
こちらは以下にPDFファイルがあるので、興味がある方はご覧ください。
 ​https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_shiyou/


午後からは「重種馬の蹄管理」。よく馬の世界では「蹄なくして馬なし」と言われますね。
大学時代は馬術部という、十勝牧場の廣澤獣医師による講義でした。

図を使い、覚えておいたほうがいい脚や蹄の名称について教わりました。重種馬の特徴は、距毛(脚のふさふさ)があって見にくいとのこと。確かに!
代表的な疾病について教わりました。
「挫跖」「白線病」「蹄叉腐爛」「蹄癌」(人間でいう腫瘍性疾患の癌ではないです。重種馬に多い)「裂蹄」「蹄膿瘍」「蹄軟骨化骨症」「蹄葉炎」。
蹄葉炎はよく聞きますね。イラストで説明してくれたのでよくわかりました。
蹄の疾病を見るときには、歩行に異常がみられる「跛行」をしているかどうかを確認します。

跛行や熱がある場合は獣医師を呼び、「いつから痛いのか」「傷はあるか」「治療歴はあるか」「自家治療はしているか」「最後に削蹄をしたのはいつか」を説明。
触ってみるとき、痛いのが右なら左も触って比較することが大切です。

それから外に出て、実習です。蹄を管理するときに、軽種の場合は手で脚を持ちますが、重種馬は重いし力が強いので持てません。そのため、枠場にロープで脚をくくりつけます。







爪切りも見学しました。十勝牧場の馬たちはみんな放牧されていて自然にすり減るため、人間が切ることはそんなにないそうですが、それでも年3、4回は切るそうです。ナイフを使って結構豪快に切るんです。

猫が遊びにきました。廣澤先生によるとこの「にゃんこ先生」はネズミ捕獲長だそう。






2日目は引き続き、獣医師による講義と実習です。

午前の講師は、帯広競馬場の診療所「アテナ統合獣医ケア」の福本奈津子獣医師。十勝牧場に勤務していたこともあります。
テーマは「重種馬の疾病について」。個人的には重種馬、ばんえいの競走馬について知ることができて大変興味深かったです。

重種馬の特徴は、もちろん「馬体サイズが大きい」こと。そして「温厚」「痛みに強い」「蹄のトラブルが多い」。
さらに、ばんえい競走馬の特徴は、呼吸器病、蹄葉炎や裂蹄、疝痛、喘鳴症、外傷が多い。
筋肉が豊富なので、獣医師は力がいると話していました。

蹄葉炎の説明では、ミルキーの写真が使われました。ミルキーも診ていた福本先生の説明で、想像以上の重症から立ち直ってくれたことがわかります。




脚は血液循環のポンプ作用を行うため「第2の心臓」といわれます。
毎日ずり引きをしていても、それだけでは運動不足だそうで、競走馬には脚が腫れる「慢性進行性リンパ浮腫」が多いそうです。

疝痛、食道梗塞(のどつまり)のほか、寄生虫性疾患についてもは回虫の素敵な写真付き(笑)で教えていただきました。
お産のトラブルとしては、早期胎盤剥離や産褥熱などがあります。
仔馬の疾患についての説明もあり、生後1週間までは様子の変化に注意とのことでした。

大事なのは、かかりつけの獣医師を何人か見つけておくこと。
広澤先生と同じように、診察の際、獣医師に伝えることをまとめてくれてました。

それから実習です。



脚です。もちろん模型

まずは体温測定。デジタル式体温計を肛門に入れるとすぐ体温がわかります。1分待ったりはしません。
馬の平熱は38度前後。やってみたけど、低かったな…。糞に刺さっていたかも。計れてないぽいです。

聴診器をあてて、音も聴きました。腸は位置によって「ゴーーーッ」「ゴボコボ」「ゴロゴロ」と聞こえてきます。
心音は場所を見つけるのが難しかったです。

口腔粘膜を見て、駆虫薬を入れるところも見せていただきました。頬と歯の間に入れます。



鼻ねじと耳ねじも見ました。鼻ねじをすると首筋が張るそうで、実は注射しにくくなるんだとか。

午後は座学「重種馬の繁殖について」。
十勝の名門牧場の診療経験がある、北海道NOSAIの研修所所長、三木渉獣医師です。




重輓馬の繁殖特性としては、発情持続時間が長いこと。
よく知られているように、妊娠期間は330~340日で、双子は育たないということ、分娩が夜間に集中すること、などを挙げてもらいました。
季節によって変わる発情持続時間の話から、排卵、発情を促進させるためのホルモン剤投与、ライトコントロール(排卵促進)についての説明も受けました。
子宮の形や卵胞の大きさ、分娩管理や仔馬の疾患についても写真を見ながら説明していただきました。

かみ砕いて説明していただきましたが、獣医学の講義ってこんな感じなのかな、と……
集中していないと頭に入らず、授業をサボっていたけどテスト前に慌てて出席した授業みたいな。懐かしい感覚でした(笑)。久々に頭使った-!

3日目はロープワークでした。十勝牧場の方々が講師です。
4班に分かれて、馬の頭につける「無口頭絡」を作ります。「もくし」といわれるものですね。
マニラロープやサイザルロープといわれる、麻のロープを使っています。






1人1つ、もくしを作りました。
作り方の動画です。


十勝牧場の方々は、もくしを作ったり細い紐から縄を作ったり…なんでも手作りしてしまいます。
使う人がいないから売っていないという現状もあるのでしょうが、それだけにこの伝統も受け継いでいかなくてはと思いました。
思っただけで、もう忘れてる…(汗)

それから実際に、もくしを馬に装着してみました。また、あらためて12月に行ったロープワークについても復習。



このあと、牧場の方の配慮で生まれたばかりの仔馬を見せていただきました。





ご飯を食べるお母さん馬たちと、仔馬たち

この時期は、コロナウイルス感染拡大防止のため、イベント等が中止になりはじめた最初の頃でした。あと少し遅かったら研修は中止になっていたかもしれません。
先が見えない状況で、それぞれがもやもやした感情の中、馬たちが心を癒やしてくれました。

以上、2回に分けて6日間の研修が終了しました。
幅広く、深く馬について学ぶ機会をいただき、感謝の言葉しかありません。
来年度十勝牧場では、人工授精の講習会と、高校生向けの研修会を検討しているそうです。
今後、さらに重種馬、馬の世界が発展していくことを願っています。





取材/小久保友香






最終更新日  2020年03月30日 15時02分01秒
2020年03月18日
カテゴリ:牧場
最後に訪れたのは、音更町の赤間清美さんの牧場にいるナリタボブサップ。大きな馬体と優れた障害力と末脚が特徴的でした。
出迎えのシーンに驚き!!




大きな馬体のボブサップですが、性格はすごくおとなしいそう。画面からもかわいさが伝わってきます。



「なついてくれる、言うことを聞いてくれるとうれしい」。
赤間さんに限らず牧場の方って、普段は照れなのか、馬への愛情の言葉を口にすることはないたげに、動画にはぐっときますね。
背中に乗って、馬を引いて運動させているそうです。疝痛が怖いので、食事に一番気をつけていると話していました。

過去にはニュータカラコマなどの父ナリタビッグマンや、カゲオー、カネサスピードがいました。
「馬は寿命が短いのでお別れがある」。長くて10年、短い馬だと1、2年ということも。
辛い思い出もあるのでしょうが、それ以上の馬の魅力があるのだと、ボブサップとの関係から感じられます。

ばんえい記念には6回出走し、最高成績は2010年、2012年の3着ですが、1トンを一腰で上げた2010年のレースは伝説。競馬ブックの定政さん、鈴木恵介騎手も驚いた、と当時の話を聞かせてくれています。
2013年に引退し、産駒は4世代目までが走っています。昨年はメムロボブサップが3歳三冠を達成。シンエイボブやオールラウンダー、トワトラナノココロなどが活躍していますね。

大滝さんがなんとボブサップの背中に!! 背中からの貴重な映像もあります!!





赤間さんの牧場を訪れた時のばんブロです
 ​https://plaza.rakuten.co.jp/baneiblog/diary/202001300000/

ばんえい競馬は、サラブレッドほど血統が重視されてはいません。
しかしばん馬にも同じように父、母がいて、脈々と受け継がれた血統があります。
それは、世界で唯一のそりを引くレースで結果を残すため、掛け合わされたここにしかない血筋。
最高峰レース「ばんえい記念」を勝った馬、出走できる力を持った馬たちは、
彼らの父と同じように、これからのばんえい競馬の歴史をつないでいきます。


文/小久保友香
写真/小久保巌義

ばんえい記念が近づいてきました。3月21日(土)第9レース17:20発走予定。本当に楽しみです。無観客の中の開催となりましたが、楽天競馬ではニコ生特別番組を配信いたします。ぜひご覧ください。
また、楽天競馬サイトでは​「春のばんえい十勝まつり!帯広重賞購入でばんえい記念グッズプレゼント」​と題してキャンペーンを行っております。
上記の動画も同様に公開中。ぜひ皆さんご参加ください。






最終更新日  2020年03月18日 19時34分06秒

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