2004/03/20(土)16:29
価値を伝える
お酒の話が続きます・・・
皆さんは上等(?)のお酒についている
以下の意味って分かりますか?
・冷やおろし
・荒走り
・山廃
・YK35
だいたい、値段の高い日本酒についているので
なんか、ついてる方が良さそうだなぁ~とは
思われると思うのですが
ほとんどの方は、その意味が分からないのではないでしょうか?
私が聞いた範囲では、以下のような意味があるそうです。
#お酒については、素人ですので
記述に間違いあればお許し下さい。
▼冷やおろし
寒い時期に作られたお酒が、火入れされたあと、
夏を越し、秋風の吹く頃(外気温くらいに冷えた頃)
樽詰めされ、出荷されたものを「冷やおろし」と言います。
灘の酒のように硬水で造られたお酒は
夏を越した方が、まろやかで旨くなるそうです。
▼山廃
よく、酒造りの風景で樽に入ったお酒を櫂棒(かいぼう)で
かき混ぜている(?)シーンがありますネ。
この工程を「山卸」と言います。
ところが、山卸(米をすり潰さなくても)をしなくても、
麹の酵素の力で、米が溶けることがわかり、山卸を廃止するように
なりました。これを「山廃」といいます。
#近年、多くの酒造が速醸酵母(乳酸を添加し、短期間で酒母を
育成する製造法)を採用する蔵が多くなりました。
山廃づくりは経験と技術が求められ、大量生産には向きませんが
上手に作ると旨味のあるお酒ができる方法だそうです。
▼荒走り
もろみを搾り、最初に出てくる香りの強い酒です。
まぁ、何というか日本酒の「一番搾り」です。(^^
色々な貯蔵桶から取れた荒走りの一番良いものを
鑑評会に出品すると、ある蔵元からお聞きしたことがあります。
▼YK35
「Y」は山田錦(原料米)、「K」は熊本酵母(協会9号酵母)
「35」は精米歩合35%(米の表面を65%削っています)と
いう意味です。
鑑評会の入賞上位を占めるお酒の多くはYK35で
作られるものが多いことから業界では
YK35=その蔵で最高品質の大吟醸酒・・・という意味合いが
どうやらあるそうです。
皆さんは、どれだけご存じだったでしょうか?
恥ずかしながら私は3年ほど前まで
全然知りませでした。
でも、説明を聞くと「荒走り」なんて聞くだけで
「飲んでみたい!」って思いませんか?
逆に、説明を聞かないとYK35なんて言われても
「あぁ、1本3,500円のお酒の型番ね」って
思ってしまわないでしょうか?
#ちなみに米を30%磨くのに(精米するのに)
8時間かかるのに対して
35%まで磨くのは100時間かかる・・・って
皆さんご存じでしたでしょうか?
(3/23訂正)
精米歩合70%(精白率30%)にするのが8時間、
精米歩合35%(精白率65%)にするのに100時間
最近、日本酒は焼酎に押されているそうですが
価値を正しくお客様に伝え切れていないのも
原因のひとつにあるのでは?と私は思っています。
・・・と、人の業界では
岡目八目というか、よく分かるのですが
たぶん自分の業界(食肉加工業)も、外から見ると
同じだと思います。
先日、播州ハムの製法紹介をあるライターさんに
委託したのですが、我々が通常あたりまえと思って
使っている言葉が、全然通じなくて、ちょっと驚いた
という経験をしました。
お客様の立場に立って「価値を伝える」
なかなか難しいですねぇ~(^^;;