めんどうはごめんだ

2009/02/16(月)22:32

チェ・ゲバラ第二部、「39才別れの手紙」

この映画、第一部もそうですが、かなり抑揚の効いたドキュメンタリータッチの作品に仕上がっています。第二部ではチェ・ゲバラの革命思想がボリビアでは空回りして、山間部の農民の支持を得られず、何度も政府軍に密告されて追い詰められていきます。 奇跡的勝利に上りつめたキューバ革命とは打って変わって、敗北していく様子が淡々と描かれており、極力作り手の感情移入を抑えているような印象を受けました。 彼らが戦場としたボリビアの山間部の農村にはインディオが多く、これがキューバとの大きなちがいでしょうね。 親米政権も革命軍も多くはスペイン系の白人であり、インディオの目から見れば相も変わらず白人どもが我々の先祖伝来の土地でゴチャゴチャとやっている程度にしか映らなかったのか・・・ 山間部で細々と農業を営み食べていける限りにおいては、誰が統治者になろうと関係無かったのかもしれません。映画ではチェ・ゲバラの遺体を運ぶヘリコプターを見上げるインディオの冷ややかな目が印象的です。 15世紀末にコロンブスが到達して以来、南米の先住民はスペイン人にさんざん苦しめられました。特にカリブ海の島々ではほとんどの先住民がスペイン人によって絶滅しています。このあたりは宣教師であったラスカサスの「インディアスの破壊に関する簡潔な報告」に簡潔どころか詳しく描かれています。(あまりにも残酷なシーンの連続で、最後まで読み通すのはむずかしいかも。) キューバでは16世紀にインディオは全滅させられたため、現在の住民はスペイン系白人、インディオ絶滅後に奴隷として運ばれてきた黒人、およびそれらの混血が主のようです。 ボリビアではスペイン人に対する怨念を受け継ぐ(そんな意識があるかどうかはわかりませんが)インディオが農村の中心であり、スペイン系白人同士の戦いには冷徹な目しか持ち合わせなかったのかもしれません。 そんな感想を抱かせるほどクールな描写に徹した映画でした。

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