祖母の手術の日
12月22日入院中の祖母の手術の日、病院へ。内視鏡で狭窄している胆管にステントを入れるというもの。父は仕事が休めないので夜で来られず、母は現在五十肩と喉風邪をこじらせて仕事へ出るのが精一杯。我が家代表で私が行ったのだ。が、3時からの手術開始予定だったのに、随分早く始まったらしく、病院へ私が着いたときにはもう手術は終わっていた。というより胆管の狭窄がひどく、また狭窄の位置が膵臓からの管と合流して十二指腸へ下りる所に近すぎていくら十二指腸の方から作業をしようとしても膵臓側へ器具がそれてしまい、目的の処置が出来なかったらしい。伯父夫婦、神奈川から出てきた叔母と4人で担当の医師の説明を聞く。伯父は元々、この病院を定年し、今も系列病院で働く医師なので、担当の先生は後輩にあたる方らしい。だから先生が説明するのは素人の叔母や私たちへ。主に質問するのは実の娘である叔母がし、私はうちの家族に説明出来るようひたすらメモを取った。端的に言うと膵臓か胆管に出来た腫瘍。消火器外科が専門の伯父の見立てではおそらく悪性。若い体力のある患者さんでも手術が難しい部位の癌だそうだ。いわゆる「物言わぬ臓器」のあたりである。その腫瘍(祖母自身にはポリープと説明してある)が、胆管を圧迫し胆汁の通りを妨げて、胆管上部と胆嚢に排出されない胆汁が溜まり通常時の5倍以上の大きさとなってしまって、腹部の腫れや圧迫感、消化液の不足による消化不良便、溜まった胆汁が肝臓にも影響を与えることによる黄疸の恐れ、などの不具合を起こしているらしい。腫瘍自体は直径2cm大。そもそも祖母の年齢・体力で根本的腫瘍の除去は無理であるので、今回の手術は一番体力の消耗の少ない内視鏡を使った方法だったのだが、それが上手くいかなかったので、その次にリスクの少ない別の手術に切り替えることになるそうだ。わき腹から20cm以上の針を肝臓を突き抜けて胆嚢まで指し、その針をつたって管(チューブ)を通し、まずは溜まって悪さをしている胆汁を対外へ排出。その管がきちんと胆汁を排出しているのを数日確認した後、そのチューブを太いものに変えて、また数日。そして内視鏡手術などで使うような針金を挿し込み、ステントという網目状の金具を問題の胆管狭窄部位で広げて胆汁の流れを確保すると言うものだ。今まで病院へ通っていた父からも話は聞いていたが、やはり素人の父から伝言ゲーム状態で説明を聞くより、専門家の伯父や主治医の先生に直接話を聞くほうが分かりやすい。そして、父がそのことをうちの母や姉に説明するよりは私の方が多分説明がうまいだろう。まぁ、とにかく先生の説明を聞き終えた後、コンビニで買ってきたおにぎりやお弁当を食べながら祖母が麻酔からさめるまで待った。だが、よく麻酔が効いていたのか、疲れていたのか、声をかけても寝ぼけたような夢うつつで、消灯時間が近づいてきていたので帰ることとした。帰りに、同方向へ帰る伯父の車の後ろをついて行ったのだが、ずっとここを勤務先として通っていた伯父は裏道をバンバン使うので途中何度もはぐれそうになり、かなり焦った(笑)。家で母に説明をしているうちに父も帰宅。すぐに話をしに伯父の家へ。車の中で私から今日のことを父にも説明。全くぼけておらず、耳も口も頭もしっかりしている祖母は今回の手術でするはずだった「鼻から胃を通って胆嚢への管」が目が覚めたときに通っていなかったら「いったいどういうこと!」と思うだろう。恐らくむくれるであろうことは祖母の性格からして予想がつく。気がしっかりしていて自立心旺盛で、一度自分で「こう!」と決めたり、思い込んだらちょっとやそっとでは動かない祖母である。ただし、元々が賢い人なので、きちんと道理を通して、しかも上手く情に訴えて(この2月と3月に続けて生まれるひ孫のこと)、次の手術をすんなり受けてもらえるように…と、祖母説得の作戦会議をした。