支援介護 人体の仕組み 代謝とは?3 カキとカツオ
人体の仕組み 代謝とは?3ミトコンドリア細胞代謝とエネルギー産生で中心的な役割を果たす細胞内小器官で自分の遺伝子を持つ人のミトコンドリアは体重の10%肝臓、腎臓、筋肉、脳などの代謝の活発な細胞内には数百、数千個も共生し細胞質の約40%を占める 独自の生態系?のようなものを持つ生合成・融合・分裂=新たなミトコンドリアが発生したり、合体したかと思えば分裂をするまた、必要とされる場所に移動したり、応じて分解オートファジーの働きも持つ損傷したミトコンドリアの除去はマイトファジーが行うパーキンソン病の発症など、いくつかの疾患でマイトファジーの障害が関与しているミトコンドリア病(指定難病21) ミトコンドリアと代謝におけるミトコンドリアの機能エネルギー産生 主要な代謝経路ATP回路細胞運命決定機構活性酸素産生アポトーシスカルシウムイオンの貯蔵感染防御1⃣解糖系糖代謝(細胞呼吸 )は ミトコンドリアの内膜を挟んで起こる①グリコーゲン代謝経路脂肪酸合成に必要なアセチルCoAは、解糖系によるグルコースの分解で供給グルコース分解では、グリセロールも産生され3個の脂肪酸サブユニットと結合して中性脂肪 (トリグリセリド) ができる酸化的リン酸化(OXPHOS)は電気化学的勾配によって起きる事象 (プロトン濃度勾配) 膜貫通型酵素複合体が電子を1つの分子から別の分子に移動させ、得られるエネルギーでプロトンポンプを駆動しプロトンを輸送膜間腔に蓄積したプロトンは、電子伝達系の最後の複合体であるATP合成酵素を通って、形成された濃度勾配に従ってミトコンドリアマトリクスに流れ込むATP合成酵素分子は「分子モーター」として機能し、プロトンが濃度勾配を流れ落ちることで得られるエネルギーを利用して、ADPにリン酸基をくっつける反応を起こす酸化的リン酸化によって、グルコース1分子当たり30-36分子のアデノシン三リン酸(ATP)ができる②ペントースリン酸経路脂肪酸代謝に重要なリン脂質生体膜の主要な構成成分となるリン脂質は、グリセロールにリン酸基と脂肪酸2個で形成グルコース6リン酸から、五炭糖(C5)とNADPHを得るためにリボース-5-リン酸ができる異化の仕組みがある五炭糖はDNAとRNAの合成に必要NADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)脂肪酸代謝や活性酸素種 (ROS) の制御などNADPHオキシダーゼの働き具合が動脈硬化症の主な原因になる※リン脂質は細胞内で多数の機能を持つが、最も重要なものは細胞膜を成す脂質二重層の形成生体膜の透過性を向上させる目的で医薬品の合成にも利用されている※※糖新生糖新生は炭水化物以外の物質からグルコースが合成される反応グリコーゲン分解と同様、血糖値の低下を抑える適応プロセスであり、主に肝臓で起こる栄養素の摂取が低い時、激しい運動を行った時、あるいは低炭水化物食品を摂取している時に起こる2⃣クエン酸回路(TCA回路): クレブス回路のタンパク質解糖系によるグルコースの分解で出来たアセチルCoAはクエン酸回路に入り、代謝を繰り返す1脂肪酸にしてエネルギー貯蔵細胞質内の代謝物・脂肪酸シンターゼによりアセチルCoAと高エネルギー結合をしているNADPHから脂肪酸が合成される2脂肪酸のβ酸化でエネルギー解放この酸化還元反応は高エネルギー結合部で異化し,高エネルギーが解放される「NADHが3分子、FADH2が1分子、ATPアデノシン三リン酸が1分子」一方で弾き出された元素が同化し二酸化炭素と水が副産物としてできる脂肪酸のβ酸化は、脂肪酸を分解して、その構成成分であるアセチルCoAも取り出す仕組みになっている3⃣グルタミン代謝グルタミンは急速に増殖している細胞にとって重要な燃料源細胞内に輸送されたグルタミンは、ミトコンドリアでグルタミン酸に変換グルタミン酸はさらに、クエン酸回路の中で起きる代謝でα-ケトグルタル酸に変換4⃣尿素回路の最初のステップはミトコンドリアで起こる(オルニチン回路)体内のアンモニア毒性の蓄積を防ぐ主に肝臓細胞内で起こり、アミノ酸分解の副産物であるアンモニウムイオンから尿素を産生する生化学反応タンパク質代謝中に起こるアミノ酸のアミノ基転移で産生されたアンモニアに二酸化炭素を加え、最終的に尿素と水を産生後のステップは細胞質に移って行われ、その後、腎臓で尿として排泄5⃣酸素に依存する「好気的呼吸」は効率的なエネルギー産生プロセスになっているミトコンドリアの機能とエネルギーの生成は、脳内の細胞 (ニューロン)、心臓 (心筋細胞)、膵臓 (β島) など、体内のエネルギーの要求が高い組織と細胞では特に有力な仕組みになる酸化ストレスとその代謝における役割ミトコンドリアの電子伝達系を介したATPアデノシン三リン酸酸化ストレスとその代謝における役割ミトコンドリアの電子伝達系を介したATP産生の副産物として、活性酸素種 (ROS) が発生反応性の高い分子で細胞小器官やその他の細胞構造を酸化させるが細胞は抗酸化システムを持つ低い生理的レベルではスーパーオキシドジスムターゼ (SOD)、グルタチオン、カタラーゼなどによって制御しかし、レベルを超えた活性酸素の暴走でタンパク質、脂質、DNAに損傷を与え、ミトコンドリア代謝を妨げたり、細胞機能や生存に悪影響を及ぼしている※ROS活性酸素種(ROS:reactive oxygenspecies)酸素分子 (O2) に由来する反応性に富む一群の分子群の総称ROSはミトコンドリアの電子伝達系における副産物として,またNOXなどの酵素によって発生※酸化ストレスとは様々な環境条件や細胞機能の撹乱代謝に注目すると、エネルギーの需要に対して栄養素が過剰に供給された場合に酸化ストレスが生じる栄養素の過剰供給によって電子伝達系は促進これは同時に呼吸鎖複合体からの電子の「漏れ」となり、電子がO2と反応してROSを発生呼吸鎖構成成分の機能障害も電子伝達の撹乱の原因となり、ROSレベルを増加同様に、抗酸化酵素の発現低下や機能障害はROSの蓄積の原因となるミトコンドリアがROSの主な発生源は、この他、キサンチンオキシダーゼや食細胞にみられるシトクロムP450オキシダーゼ系などで産生されるROSや活性窒素種 (PNS) も酸化ストレスの原因となる酸素種 (ROS活性酸素種)代謝ROS活性酸素種には様々な形があり、フリーラジカル (不対電子を持つもの) と非ラジカル (不対電子を持たないもの) に大別自由電子が最初にO2と反応すると、反応性が非常に高く、不安定なROSスーパーオキシドアニオン (O2-) ができるスーパーオキシドは速やかにスーパーオキシドジスムターゼ (SOD) によって過酸化水素 (H2O2) に変換過酸化水素は、遷移金属と相互作用することでフェントン反応として知られる過程を経て有害なヒドロキシラジカル (・OH) に変換ヒドロキシラジカルは最も反応性の高いROSで、細胞内タンパク質と脂質に最も酸化的損傷を引き起こしやすい低酸素(酸素に制限がある) と細胞呼吸低酸素シグナル伝達パスウェイと低酸素シグナル伝達経路 低酸素 条件下では電子伝達系は正常に進行するが、最終的な電子受容体となる酸素が不足放置すると電子が漏れ出し、ROS(活性酸素)の産生が増加する原因となる酸化ストレスに関連して細胞呼吸に影響を及ぼす特殊な低酸素応答パスウェイを持つ細胞が進化してきたパスウェイは代謝活性を抑制して生体エネルギー機構が空回りするのを防ぐ低酸素応答の制御で中心的な役割を担うのが、転写因子HIF-1 (hypoxia-inducible factor-1) 酸素量の低下を感知して電子伝達系、タンパク質の翻訳 (大量のATPを必要とするプロセス)、Na-K-ATPaseの活性を抑制統制された反応によって、細胞とミトコンドリアは低酸素条件に耐え、互いに正常な酸素レベルに戻るまで持ちこたえる共生関係と言える