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横浜・山下公園に係留保存されている氷川丸は、かつて横浜~シアトル・バンクーバーを結ぶ北太平洋航路の客貨船でした。
![]() 最新の設備と行き届いたサービスが人気を呼び、昭和7年に喜劇王チャーリー・チャプリンが来日されたときにも乗船されました。 ![]() 氷川丸の船内 アールデコ様式のインテリアで造られた1等サロン ![]() 広々とした1等ダイニングルーム ![]() チャップリンも使用した1等特別室のベットルーム 氷川丸は昭和5年に誕生して以来30年間、太平洋戦争を乗り越えて活躍した「強運の海の女王」です。 昭和16年12月に太平洋戦争が始まると、海軍に徴用され病院船として使用されることになりました。 真っ白の船体に緑色の帯を引き、大きな赤十字のマークをペイントしたうえに、夜間はイルミネーションを輝かせての航海になりました。 チャップリンが使用した豪華な1等特別室も院長室になりました。 兵士たちからは「白鳥」と呼ばれましたが、南太平洋の最前線から傷病兵を帰還させる航海はいつも危険と隣り合わせでした。 実際に3回も機雷に触れて、あわや沈没という危機にも遭いました。 しかし幸いなことに氷川丸は、荒海の北太平洋航路を航海するために特に丈夫に造られていたため、触雷しても沈没を免れ悪夢の様な太平洋戦争で生き残ることが出来ました。 戦前の日本郵船が誇った太平洋航路の大形客貨船の内、生き残ることが出来たのは氷川丸ただ一隻だけでした。 姉妹船として建造された平安丸、日枝丸や、サンフランシスコ航路で使用されていた少し大形の浅間丸、龍田丸、鎌倉丸は、いずれも撃沈されてしまい太平洋の海底深く眠っています。 戦後しばらくは南太平洋の戦場から引き上げる復員兵の輸送や国内船として使用されましたが、昭和27年にサンフランシコ平和条約の締結によって日本の占領が解除されると、再び北太平洋航路の客貨船として横浜~シアトル・バンクーバーの航海に復帰することが出来ました。 そして、飛行機の発達によって昭和35年に引退してからは、山下公園のシンボルとして多くの人に親しまれています。 「強運の海の女王」の守り神は、氷川丸のブリッジ(操舵室)の神棚に今も祀られています。 ![]() ![]() 操舵室の神棚には氷川神社の御札が安置されています。 氷川神社は埼玉県さいたま市大宮区にあります。 成務天皇の時代に、出雲の兄多毛比命(えたもひのみこと)が武蔵国造となり、氷川神社を崇敬したと伝えられています。 埼玉県一帯は出雲族が開拓した土地で、武蔵国造は出雲国造と同族とされ、社名の「氷川」も出雲の「簸川」に由来するという説もあります。 現在の主祭神は以下の三柱です。 ・須佐之男命(すさのおのみこと) ・奇稲田姫命(くしなだひめのみこと) ・大己貴命(おおなむちのみこと) しかし、ご神殿の裏の禁足地に大切に祭られている女神様があります。 祓殿として瀬織津姫が祭られているのです。 愛知県尾張一ノ宮市の真清田神社でも同じ様に、ご神殿裏の禁足地に瀬織津姫を三明神社として大切に祭っています。 また、愛知県名古屋市熱田区の熱田神宮でもご神殿横の禁足地に一之御前神社として瀬織津姫を秘祭しています。 神奈川県横浜市神奈川区の一之宮神社は、大宮の氷川神社より1561年(永禄4年)に勧請されたものですが、境内にある由緒書きの看板には瀬織津姫の神名はありませんでしたが、神奈川県神社庁ホームページの神社検索をすると一之宮神社の由緒を見ることが出来ます。 何と、ここではご祭神に瀬織津姫が含まれているのです。 ・素盞嗚命 ( すさのおのみこと ) ・保食命 ( うけもちのみこと ) ・事代主命 ( ことしろぬしのみこと ) ・面足命 ( おもだるのみこと ) ・海津見命 ( わたつみのみこと ) ・水速廼女命 ( みずはやのめのみこと ) ・塩土老命 ( しおつちおじのみこと ) ・船玉姫命 ( ふなだまひめのみこと ) ・表筒男命 ( うわつつのおのみこと ) ・豊玉姫命 ( とよたまひめのみこと ) ・瀬織津姫命 ( せおりつひめのみこと ) 一之宮神社の側でも、ご祭神に瀬織津姫が含まれていることは承知しているのですが、それを公にすることを躊躇ってきたのにも係わらず、神社庁のホームページでは瀬織津姫が祭られていることを公表しているのです。 これも時代の流れなのかもしれませんが、ホームページを作る際に事務的に載せてしまっただけなのかもしれません。 瀬織津姫は、伊勢神宮では天照坐皇大御神の荒魂として荒祭宮に祭られ、兵庫県西宮市の廣田神社では、天照大神荒魂=撞榊厳魂天疎向津姫命(つきさかきいつみたまあまさかるむかつひめのみこと)として大切に祭られています。 撞榊厳魂天疎向津姫命は記紀の記述によると、三韓征伐にあたり神功皇后に降りて神託を与え、住吉神と共に船団を守護したと伝えられています。 瀬織津姫は、海の守り神・船の守り神でもあるのです。 「強運の海の女王」氷川丸の守護神は瀬織津姫だったのです。 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 11, 2010 01:58:25 AM
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