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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2011.06.24
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facebookへのアクセスが規制されている中国で、企業がfacebookみたいにオンライン・プロモーションやブランディングに活用しているのが「開心網」。いまのところ「公式ファンページ」(ブランド・ページ)を設けているのは、外国ブランドが中心です。外国ブランド系のファンページのファンの数をまとめてみました(2011年6月24日現在)。

中国での人気やビジネスの大きさが、ファンの数を比例するわけではありません。ブランドそのもののパワーだけではなく、インダストリーや、そのブランドのファンページへの取り組み方、ファンへのインセンティブなどが、定量的に大きな影響を及ぼすからです。
とはいえ、中国のネットユーザーにおけるブランドのプレゼンスや、企業側のウェブ・マーケティングへの姿勢が、ある程度読み取れるのではないかと思います。半年後、1年後にどう変化しているかも、興味深いところです。

どうぞ、ご参考まで。

Brand Fans in KAIXIN


ピンクのフラグは、日本系のブランドです...。






Last updated  2011.06.24 12:56:05
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2011.06.22
ほんらい中国のネット企業には外国資本が出資できませんし、外国市場に上場もできません。
インターネット産業は外資規制の領域になっているからです。厳密に言えば、インターネットによってコンテンツを発信しその対価として収益を得るようなビジネスモデルが対象ですが、ウェブサイトで様々な種類のコンテンツを発信するたびに、当局にお伺いを立てて「許可証(ビジネス・ライセンス)」をいただかなければならず、外資企業だとだろいろ邪魔されたりするので、実質的には中国国内資本の企業でなければ、中国でウェブビジネスをうまく進めていくことができない仕組みになっているのです。

けれども、百度、SINA、SOHUをはじめ、中国の主要なネット企業は海外市場に上場していますし、多くのネット企業は中国国外のベンチャー・キャピタルや事業会社からファイナンシングをうけています。
実際にそれができているのは、コントロール・アグリーメント((支配権合意書。中国語では「控制協議」と書く)という契約上のからくりがあるからです。この契約により、外資企業が資本関係を持たずに、中国国内資本のネット企業を実質支配できるとされているのです。
外国資本を集めたり、外国市場に上場しようと考えている中国企業は、まず中国国外に持株会社をつくります。そして、その会社が資金調達を行うのです。
中国国外の持株会社は、100%出資の子会社を中国国内につくります。この会社の株主は外国企業なので外資扱いになってしまいますが、この会社と元来の事業会社が様々な契約を締結することによって、結果的に中国国外の持株会社が元来の事業会社を実質支配する仕組みを作るわけです。一般的に元来の事業会社の株主は、その企業の中国人ファウンダーですから、中国国内資本の企業ということになります。

コントロール・アグリーメントは、中国国内の企業と中国人株主との間で結ばれる、紳士協定みたいなものです。この当事者間の約束ごとを支持してくれる法的な根拠が中国にはありません。あくまでも当事者間同士の取り決めなのです。
もちろん大抵の場合は、もし約束を破ったなら、事業会社の株式を持株会社に無償譲渡する、という条項を盛り込むことによって、リスクヘッジを施します。慎重な場合は、中国国内資本の事業会社の株式に質権を設定します。

でも、このリスクヘッジ策そのものに矛盾があるのです。
もし、事業会社やその株主が約束を破って、持株会社がその株式を取得したらどうなるでしょうか?持株会社は外資企業ですから、事業会社も外資企業になってしまいます。つまり外資規制に抵触してしまうので、ビジネス・ライセンスが剥奪されてしまうことになり兼ねないのです。

こうしたストラクチャーを考え出し、中国国外の証券市場への上場を目指す中国企業に高値で売りつけたのは、世界的な監査法人や法律事務所です。彼らも法的にはグレーゾーンであることを当事者には説明しているのですが、コントロール・アグリーメントのリスクヘッジ策の非実効性については市場参加者に積極的には開示していませんでした。もちろん、公開されている情報をもとに考えれば、わかるような内容ではありますが。
ともあれ、百度もSINAもSOHUもYoukuも当当網も人人網も、このような投資ストラクチャーとコントロール・アグリーメントによって、中国国外証券市場で上場を果たしているのです。

アリババグループのトップであるジャック・マーが、その実質支配子会社であった第三者決済サービスのアリペイ(支付宝)を、取締役会の議決を経ずに、アリババグループから切り離した、とされる一件は、単純化すれば、上述のコントロールアグリーメントをアリペイ側が一方的に破棄した、という事象に置き換えられます。かつてのアリペイは外資規制のビジネス領域では無かったはずですが、恐らく中国における外資企業のさまざまな不利益を考慮して、アリババグループは、資本関係によってでは無く、コントロール・アグリーメントによって、アリペイを実質支配・完全子会社化していたのです。

昨年、中国の中央銀行は、「非金融機関による決済サービスの管理弁法」を発表し、インターネットを利用した第三者決済サービスを許認可制にすることを決め、原則として中国国内企業でなければライセンスを与えない方針としました。
【中国国内企業でなければライセンスを与えない】これは、前に述べたインターネット・サービス・プロバイダー、例えばNASDAQに上場している百度やSINAと同じ条件になった、ということであって、コントロール・アグリーメントによって支配権を外資企業である持株会社に譲っているにせよ、アリペイの事業会社は中国国内企業ですから、第三者決済サービスのライセンスを受ける条件は満たしていることになるはずです。

ところが中央銀行は、コントロール・アグリーメントによって外国資本の持株会社に実質支配されている中国国内企業を、許認可の対象から外す方針を突きつけたようなのです。ライセンス申請時に重要な契約をすべて開示し、外国資本の影響力をも審査対象にする、と。こういったルールがドキュメントとなって公開されることはまずありません。一般にドキュメントとなった中国当局のルールは大雑把なもので、運用の子細は担当責任者次第なのです。これがいわゆる「人治主義」であり、担当責任者へのもてなし次第では有利に運用してもらえるので、腐敗の温床ともなっているわけです。

最近Tencent傘下の第三者決済サービスであるテンペイ(財付通)が、かつてのアリペイ同様、コントロール・アグリーメントによって、香港上場企業であるTencentの実質支配を受けている、という業界関係者にとっては周知の事実が公になり、ライセンスが剥奪されるのではないか、という情報すら流れていますから、中国人民銀行による第三者決済サービスへの外国資本の影響力排除の方針は、確固たるものだと考えられます。

アリババグループとアリペイの一件を、「ジャック・マーは約束を守らない、中国企業は信用できない」と問題を矮小化して捉えるべきでは無いと思います。
想像するに、アリババグループ側も主要株主でありボード・シートを持つYahoo!やソフトバンクに対して、中央銀行の指針やコントロール・アグリーメントのリスクをきちんと説明していただろう、と。そしてYahoo!・ソフトバンク側はエビデンスを求めたのではないか、と。「アリペイは資本構成としては完璧に中国国内企業じゃないか、コントロール・アグリーメントを結んでいるとライセンスがもらえないなんて、誰が言っているのか、どこに書いてあるのか、エビデンスが無ければ納得できない...。」そうは言われも、「コントロール・アグリーメントが残ったままだと、ライセンスが下りません」なんて書かれたルールは無いわけですし、中央銀行に尋ねても曖昧な回答しか得られなかったのでしょう。中国のルール運用は「人治主義」。アメリカや日本の会社が求める確証など得られるはずが無いのです。中国国外の役員を説得できるような材料を揃えることはできなかったのでしょう。だから議決も行われなかった。そうしてYahoo!やソフトバンク、さらにはメディアまでが「ジャック・マーは、こうした中国の規制強化を悪用して、成長が期待されるアリペイを自分のモノにしようとしているのではないか...。」と疑心暗鬼に陥っていったのです。
中国も未だにコントロール・アグリーメントによる事由は、ジャック・マーの一人芝居(言い訳)に過ぎない、との論調も多いのですが、中央銀行がコントロール・アグリーメントの解除をライセンス付与の条件とする、とアリペイに示唆したのは事実だと思われます。

コントロール・アグリーメントによる外資規制対策が、中国政府関連機関から疑義を唱えられた、という事実こそ、この問題の本質と捉えるべきでしょう。上述のとおり、中国国外に上場している中国のインターネット関連企業はことごとくコントロール・アグリーメントによって、中国国内企業にしか付与されないライセンスを得てビジネスをしているわけです。
中国当局が、「外資とコントロール・アグリーメントを締結している中国国内企業は外資企業と同等に扱う」と、運用方針を変えてしまえば、上場企業は事業会社を持たない、すなわちビジネスの実体を持たない持株会社に過ぎなくなってしまうわけです。このことが市場参加者にとって大きなリスクとなるため、アリペイのトラブルが広がって以来、中国国外に上場している中国のインターネット関連企業の株価が軒並み下がってしまったのです。

自分の情報をGoogleで検索し、気に入らない結果が多かったことに腹を立て、Googleなど中国から追いだしてしまえ、と指示したとされる党中央政治局常務委員・李長春さんは、中国のインターネット関連ビジネス推進の旗振り役でもあり、環境に優しい産業としてさまざまな優遇政策を推し進めています。もちろん中国国内のインターネット産業成長には、中国国外からの投資資金が欠かせない、ということを彼らは十分承知していました。ですから、インターネットの主たる監督省庁である工業情報化部はコントロール・アグリーメントによる外資の参加をむしろ歓迎さえしていたわけです。

この方針がすぐにでも転換されるとは思えないのですが、コントロール・アグリーメントによるライセンスの付与というグレイな状態は、中国当局による言論統制の強化のための格好のツールになることは間違いありません。体制に不利な情報を流布するようなことがあれば、コントロール・アグリーメントを盾にライセンスを取り上げることができてしまうのですから!

アリペイのアリババグループ離脱事件が浮き彫りにした問題は、中国企業がビジネスルールを尊重しないこと、とか中国国外市場に上場する中国インターネット企業の企業価値に関するリスク、とか経済的な視点でしか、取り上げられていませんが、中国のインターネット企業は、当局の胸先三寸でその企業生命を絶たれる状況に常に置かれていることが露呈したことこそ、重要であって最大の恐怖なのです。

人民に影響力を持つウェブサイトほど、中国政府の顔色を伺いながらビジネスを行っていかなければ、ならないのです。






Last updated  2011.06.22 18:03:21
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2010.12.08
ついでもあったので、中国のECプラットフォームの最新情報をまとめてみました。

まず、1日あたりの来店者の推計から。Alexaなどのデータを元に独自にページビューやユニークユーザー数を算出しているChinazの直近1ヶ月の平均ユニークユーザー数を来店者数とみなしています。

1位 淘宝網(TAOBAO) 約2億5,000万人
2位 京東商城(360Buy) 約210万人
3位 拍泊網(PaiPai) 約180万人 (Tencent)
4位 アマゾン中国(卓越網) 約120万人
5位 当当網(DangDang) 約100万人
6位 VANCL(凡客誠品) 約100万人
7位 拉手網 約82万人
8位 美団網 約52万人
9位 麦網(M18) 約45万人
10位 一号店 約38万人

淘宝網(TAOBAO)が圧倒的強さを堅持しているのが分かります。淘宝の来店者のうちB2Cモール(淘宝商城)は2割未満と推測されます。3位の拍泊網<(PaiPai)はQQのTencentグループが運営しています。数百億円規模の資金調達を行っている京東商城(360Buy)やVANCL(凡客誠品)、米国市場でIPOを実施(予定)の当当網(DangDang)、麦網(M18)もトップ10にランキングされています。またGrouponモデル地域密着型の拉手網、美団網も急成長で上位に定着していまた。

売上のほうはどうなんでしょう?
易観(Analysys)という調査会社が2010年第3四半期のB2Cのマーケットシェアを発表しています。これによると、
1位 淘宝商城(TAOBAO MALL) 33.5%
2位 京東商城(360Buy) 14.1%
3位 当当網(DangDang) 3.7%
4位 アマゾン中国(卓越網) 3.3%
5位 New Egg(新蛋) 2.1%

淘宝はB2Cモールの売上のみが対象とみられますが、それでもマーケットシェア1/3のトップ。ちなみに、VANCL(凡客誠品)は1.4%、麦網(M18)は0.9%程度のシェアとみられます。

さて日本では中国でのECに過大な期待が寄せられていますが、日本製品の取扱を前面に出したECプラットフォームはどんな感じなのでしょう?少なくともトップ10には顔を出していませんね。
孫さんとジャック・マーのダブルキャスト・コンファレンスで話題をよんだ「淘日本」(淘宝がYahoo!オークションで販売中の日本製品を集めているモール)は、当初淘宝網のトップページから直接リンクされていましたが、すぐに外され、いまは細々と運営しています。taobao.comのサブドメインのトラフィックシェアの中で、japan.taobao.comは0.1%未満。多く見積もっても1日の来客数は20万人未満と考えられます。
実は淘宝内のショップを除けば、日本絡みの中国向けECプラットフォームで、最も来客数が多いのはニッセンの中国語サイトのようなのです。1日あたり1万~1.5万人の来客数が推定されます。日本郵政と中国郵政が提携しているJapaNaviや、SBIベリトランスと銀聯が提携して運営しているBuy-J(佰宜杰)は残念ながら中国からの来客数は、1日あたり数千人程度に留まっているのが現状です。

中国のネットショップで数が最も多く売れているのはお洋服やアクセサリーと言われています。日本のファッションも中国では人気と言われていますが、実は韓国勢に随分と水を開けられているのです。
韓国ファッションを売りにしたファッション系ECプラットフォーム時尚起義の1日あたりの来客数は約12万人と推定され、C2Cを含むEC来客数ランクでは20位台に位置します。いっぽう、日本のファッションを売りにしたファッション系ECプラットフォームで最も人気と言われているMinaStyle(久尚網)の1日あたりの来客数は時尚起義の100分の1程度と推測されます。このサイトは日本のファッション誌で中国でも人気の高い"MINA"と提携しているのですが。
ちなみに、淘宝のジャンクショップでいま最も人気と言われているのも韓都衣舍という韓国ファッションのお店です。
品揃えなどいろいろと考えられますが、最も大きい要因は価格帯なのだと思います。例えば時尚起義にしても韓都衣舍にしても、AWの厚手を除けば、ほぼ100RMB(1,300円)以下の商品がモードです。いっぽう、MinaStyle(久尚網)は100-200RMB(1,300円-2,600円)の商品がモードになっています。
こうしたカテゴリーの購入者層にとって、100RMB(1,300円)の価格差はとても重大なのでしょう。

中国でオンライン販売すると必ず売れる、ような神話を耳にすることがありますが、決してそうではありません。
そもそもモール出店といえども、参入のハードルは決して低くないので、マーケットの状況をよく研究してから判断したほうが良いと思います。

蛇足ながら、10月中旬にテストオープンした楽天と百度のJVである楽酷天も、まだ市場におけるプレゼンスを得られていない状態です。






Last updated  2010.12.08 20:42:21
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2010.01.08
カテゴリ:ビジネス習慣
中国でビジネスを円滑に進めるために、取引先や協力者個人に対して、金品を贈与する習慣があります。
これは何も中国に限ったことではありません。日本でも接待は行われていますし、お年賀、お中元、お歳暮、昇格祝い、出産祝いなど金品を贈与する習慣あります。<常識の範囲内>を条件に容認されているのです。

役人に対する賄賂は別格としても、日本企業が中国で戸惑うのは、中国における<常識の範囲>や倫理観が日本のそれとズレているからでしょう。春節(新年)、中秋など季節の付け届けや結婚や出産のお祝いなどについては、金額の多い少ないを別とすれば日本人でもすんなりと受け入れられるはず。いっぽう、取引金額の一定割合を現金でお返しすることが慣習化している業界もあります。中国では<常識の範囲>であっても、現在の日本企業においては個人に対するバックリベートという認識となり抵抗があるはずです。

特にナーバスになるのは現金の授受でしょう。iPhoneのプレゼントや日本への招待旅行であれば容易に承認できますが、それとほぼ同額(3,000RMBとか10,000RMB)の現金を取引先の個人にお渡しするとなると、躊躇してしまうでしょう。
けれども、受け取る側は現金のほうがありがたかったりするのです。
中国で働いていると、20代の会社員が推定年収をはるかに超える高級車を乗り回していたり、年収の数十倍はするマンションを購入したというお話に出くわしたりすることがあると思います。親族の援助やローンもありますが、中国では会社の給与とは別に<副収入>を得ている勤め人が、未だに多くいるのです。その<副収入>こそ、業務上有利な立場によって得られる現金なのです。
中国の現金授受を含む交際接待費は、GDPの10%ほどの規模になるだろう、と言っている方もいます。

善悪やモラルを言及するのは後回しにするとして、中国の日系企業が対応に苦心するのは、現金の会計処理でしょう。
そもそもご贈答に寛容な中国では、企業規模や業種によりますが売上の0.5%程度が税法上の損金扱いとなりますから、日本よりも交際費に寛容と言えます。
とはいえ、売上の0.5%程度で済まない場合が多いでしょう。損金扱い枠を超えてしまえば、使途不明金(利益)と見做され企業所得税が課せられてしまいます。しかも、中国税務は<インヴォイス主義>、發票(公給領収書)を信憑(エビデンス)とするので、個人に現金を贈る場合は、エビデンスが無いので全額使途不明金となってしまいます。
税務当局も、現地<優良>企業や零細企業には甘い場合もありますが、外資系企業、まして大企業であれば厳しくチェックします。

中国人財務経理責任者は、支払いを遅らせることと税金を少なくすることに、悦びを見出します。日本では内部統制やコンプライアンスへの過敏な対応が常識となっていますが、中国では中国人財務経理の方が中国の<常識の範囲内>で対応しようと努力しています。まわりの会社が同様の処理をしているのに、日本企業だけが真っ正直に対応する必要はない、と言う論理です。
ビジネス上個人への現金贈与も必要だとなれば、より税金を少なくする方法で会計処理したいと考えるのが、中国では<有能な>財務経理責任者なのです。取引先や協力者個人に贈与するための<裏金>は、以下のような手口で準備されるのです。

初歩的で無垢とも言えるのが<領収書集め>でしょう。
社員や知人に依頼して、プライベートな支出の際に必ず公給領収書を受け取ってもらい、会社として集めてしまう方法です。飲食代なら交際費になってしまいますが、事務用品や消耗品として処理できる領収書もあります。その領収書の額面金額が費用計上して、<裏金>として活用するのです。社員の領収書集めにインセンティブを出す企業もあります。例えば、額面10,000RMB分集めたら300RMBプレゼントみたいに。
また中国にお住まいの方ならご存かも知れませんが、公給領収書を売ってくれるお店もあります。偽物をつかまされるケースもありますが、本物を額面の10%くらいの金額で購入できることもあります。いずれにせよ、会社ぐるみでさまざまな手段で領収書を集め、費用として計上するという原始的方法です。

もうひとつの手口は、社員の給与に上乗せするパターン。
実際は月給5,000RMBなのに10,000RMB払っていると言うことにして、差額(年間ならば6万RMB)を<裏金>にすると言う方法です。この方法は労働法が改正され、福利厚生が厳格に運用されるようになってからリクスが高くなりました。給与の額面が大きくなれば、福利厚生費も多く計上しなければならないからです。ただ実際は<基本給>を基数に福利厚生費を計算している企業も多く、上積み分をボーナスやインセンティブとして処理することにより、余計な費用計上を逃れたりする場合もあります。

更に大掛かりなのは、第三者の企業にマネーロンダリングしてもらう手口です。
自社が影響力を維持出来ていて、ある程度の統制も効き、なおかつ税務当局などと良好な関係を持つ現地企業と組んで<裏金>を作る方法です。簡単に言えば、その現地企業に架空または上乗せ発注して、現金を用意してもらう仕組みです。原価または費用として会計処理できるので、比較的多額な<裏金>を用意することができます。

いずれの手口の場合でも、準備できる<裏金>よりやや多くの金額を費用や原価に計上することになりますが、使途不明金として課税させられるより<お得>になるように、財務経理責任者は頑張るのです。
付け加えるならば、贈与した相手個人に迷惑がかかってはいけないので、一切証拠は残さない、と言う暗黙のルールがありますが、このことがビジネス成長のためと<裏金作り>に関与した日本人管理者の前途を危うくする要因にもなることが多々あります。

いずれの場合も現在の日本では、不正経理操作として糾弾されるべき行為ですが、20年前30年前から日本の会社で働いていれば、きっと似たような不正行為に関わったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「日本も昔はこうだった....。中国も近いうちに変わるだろう。」日本企業のコンプライアンス担当者が、中国に来てよく口にします。10年前の私もそう思いました。けれども10年経ったいまも状況はあまり変わっていません。

中国の日系企業の管理者として、こうした状況にどう対応するのか、はっきりと筋を通すことが求められます。
現地のセールススタッフから「現生を用意できれば販路が思いっきり開けるんですが」と相談されたとき:
「日本企業はコンプライアンスを重視するから、そのようなことは一切できない。会社が用意した贈答品でなんとか頑張れ。」と激励しますか?
「うちの製品は品質がいい。バックリベート払ってまで取引する必要はない。」と突っぱねますか?
それとも、熱心な部下のために<裏金作り>に関与しますか?
ベストアンサーは無いように思えます。
また、自分のスタッフが金品や供応を受ける立場であったら、どう対応しますか。ローカライゼーションが進んでいる企業であればあるほど、現地スタッフが要職に就くことになります。中国でも日本の<常識の範囲内>で戦ってもらうことが美学なのでしょうか。

欧米系の企業のほうが、どちらかと言うと中国の<常識の範囲内>でうまくやっています感じは受けます。日本企業は潔癖症が多いですね。まぁ、清濁併せ呑むと言う考えも大切だと思います。

※本文は、違法行為や脱税などを教唆したり支持するものではありません。念のため....。






Last updated  2010.01.08 20:27:38
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2009.11.27
仕事ネタの流用で恐縮ですが、面白いと思ったので載せてみます。
以下は、DCCI(Data Center of China Internet)が、2009年6月までに中国全土約9万人の調査対象者に実施したインターネット調査の結果を、各商品のカテゴリーごとに、現在の所有状況、所有者の満足度、半年以内に購入意向がある人が購入しようと考えているブランドを数値化して並べたものです。

私も日本人なので中国でも日本ブランドに頑張ってもらいたいと思って、日々仕事に励んでいるつもりですが、苦戦を強いられています。その中にあって大健闘しているのが、デジタルカメラですね。
購入意向のトップ10ブランドのうち、6つが日本ブランドです。所有者の満足度もトップ5まで日本ブランドが独占しています。

[デジタルカメラの購入意向ランキング]
1位:Canon (所有シェア:2位/満足度:1位)
2位:Sony (所有シェア:1位/満足度:2位)
3位:Nikon (所有シェア:4位/満足度:3位)
4位:Samsung (所有シェア:3位/満足度:8位)
5位:Aigo (所有シェア:10位/満足度:7位)
6位:Olympus (所有シェア:5位/満足度:5位)
7位:Panasonic (所有シェア:6位/満足度:4位)
8位:Kodak (所有シェア:7位/満足度:9位)
9位:Fujifilm (所有シェア:8位/満足度:10位)
10位:Benq (所有シェア:圏外/満足度:圏外)
※所有シェア8位Casio

そのいっぽうで、携帯電話はほぼ全滅と言う状況です。トップ10にSony Ericssonが入っていますが、Ericsson色が強くて日本ブランドと意識している中国の消費者は少ないのではないでしょうか。

[携帯電話の購入意向ランキング]
1位:NOKIA (所有シェア:1位/満足度:1位)
2位:Samsung (所有シェア:2位/満足度:5位)
3位:Sony Ericsson (所有シェア:4位/満足度:4位)
4位:Dopod (所有シェア:6位/満足度:3位)
5位:Motolora (所有シェア:3位/満足度:6位)
6位:Apple (所有シェア:圏外/満足度:2位)
7位:LG (所有シェア:7位/満足度:8位)
8位:BlackBerry (所有シェア:圏外/満足度:圏外)
9位:Lenovo (所有シェア:5位/満足度:7位)
10位:Philips(所有シェア:圏外/満足度:4位)

文系あたまの私には、デジカメもケータイも技術的には似たような仕組みにしか思えないのに、なぜこのような違いが生じたのでしょうか。モジュラー型製品ではあっても、DVDプレイヤーのようにコモデティ化してコスト競争で中国企業に太刀打ちできなかったようなタイプのものではないですから。

デジタルカメラは、USBで繋ごうがSDカードを使おうが撮影という基本機能においてはスタンドアロンなのに対し、携帯電話はネットワークに繋がることこそ基本機能だ、と言う違いが引き起こした悲劇なのでしょうね。端末の良し悪しに関わらず、プラットフォームリーダーになれなかった日本の携帯電話のシステムが、国際競争力を著しく失わせてしまったのでしょう。いっぽうのデジカメは、例えばキレイに写すためのレンズの工夫など日本の職人芸が評価される、感性的要素が携帯電話より強いのかも知れません。
総務省(旧郵政省)なのか経済産業省(旧通産省)なのかキノコの通信会社なのか分かりませんが、お陰さまで日本の携帯電話は酷いことになってしまったようです。

参考までに、化粧品の所有率シェアも載せておきます。価格帯やメイクアップとかスキンケアとか区別せずに化粧品ブランドとして調査しているので、少しチグハグな感じはしますが、、欧米系ブランドが圧倒的な人気であることが分かります。
驚きは、日本のDHCが所有者満足度でNo.1に輝いたことです。資生堂も満足度では第3位に入っています。

[化粧品の購入意向ランキング]
1位:L'oreal (所有シェア:1位/満足度:10位)
2位:Olay=P&Gの中国向けブランド (所有シェア:2位/満足度:9位)
3位:Lancome (所有シェア:圏外/満足度:4位)
4位:Maybelline (所有シェア:7位/満足度:圏外)
5位:Mary Kay=アメリカの直販コスメ (所有シェア:5位/満足度:圏外)
6位:Amways (所有シェア:6位/満足度:圏外)
7位:Avon (所有シェア:3位/満足度:圏外)
8位:DHC (所有シェア:圏外/満足度:1位)
9位:Nivea (所有シェア:4位/満足度:圏外)
10位:Shiseido (所有シェア:圏外/満足度:3位)
※所有シェア8位Mentholatun(満足度:6位)






Last updated  2009.11.27 18:57:12
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2009.11.22
最近日本のマスメディアなどでも、盛んに中国のEコマースが取り上げられています。
確かに、中国のインターネット・ユーザーは3億3,800万人(09年6月・CNNIC発表)、Eコマースの市場規模は1,800億RMB(約2.5兆円・iResearch2009年予測値)で、毎年2倍近い成長を遂げています。国土が広大な中国マーケットをカバーするには、オンライン・ストアなどの無店舗販売のシステム構築が効率的でもあります。

オンライン・ストアは、多数の実店舗や小売店網を整備する必要が無く、販売スタッフも用意する必要が無いので、一般的には参入障壁が低いと考えられています。もちろん、自社でシステムを用意したり、物流(納品の仕組み)を整備したりするには、それなりの覚悟が必要ですが、楽天市場のようなショッピング・モールなどに出店するのであれば、個人でも零細企業でも簡単に販路を拡大することが可能です。
ご存知の通り、中国ではTAOBAO(淘宝網)がEコマースのプラットフォームとして最大かつ最強です。TAOBAOの一日の取引高は、中国最大の百貨店チェーンやいまや中国最大のDSチェーンといえるウォルマートの一日の売上を上回っています。

こうした中、数多くの日本企業からTAOBAOに出店したい、とのお話が舞い込んできます。またネット上には「TAOBAO出店代行」をうたったサービスも数多く出現しています。
でも、はっきり申しあげましょう。現時点では、中国に現地法人を持たない外国企業はTAOBAOに出店できません。厳密に申しあげれば、"個人"の資格として出店することは不可能ではありません。ただ、会社のビジネスとして出店するのはきわめて難しいと思ったほうが良いでしょう。

TAOBAOは元来C2Cのプラットフォームなのです。つまり、個人による出店販売、購入者個人がリスクを持った上での購入が原則でした。つまり、ヤフオクみたいなものです。しかし、粗悪品、まがい物、詐欺などがあとを絶たず、企業による品質保証を受けられるサービスを求める利用者の声に押され、2年前にB2CプラットフォームであるTAOBAOショッピングモール(淘宝商城)をオープンさせたのです。
TAOBAOショッピングモールはブランドショップとも呼ばれ、正規販売権を持つ企業しか出店できませんし、見込み客からのお問合せ対応やアフターサービス体制に対して厳しい条件がつきます。その分、利用者は安心して利用できますし、何よりも中国の公給領収書の発行を受けられますので、会社や役所の経費で何でも揃えることの多い中国の人たちにとっては利用し易くなったのです。
TAOBAOを覗いていただければ一目瞭然ですが、まさに玉石混交。フェイク(偽物)、並行輸入品から、メーカー保証付きのデジタル製品、本物の高級ブランド品に至るまで、怪しげなものも確かなものも何でも売られているのです。

TAOBAOショッピングモールは、正規品とアフターサービスを保証するB2Cのプラットフォームですから、普通のTAOBAO(C2Cプラットフォーム)のお店よりも断然集客力がありますし、売上も上がります。そうでなくとも、日頃からフェイク(偽物)やコピー商品、並行輸入品(非正規ルート販売品)に悩まされている日本企業であるならば、そうした怪しげな商品が並ぶ普通のTAOBAO(C2Cプラットフォーム)に出店するのでは意味が無いので、B2CのTAOBAOショッピングモールへの出店を望むはずです。

ところが現時点で、TAOBAOショッピングモールには、中国国内で小売販売ができる資格を持った企業でなければ出店できません。ですから、少なくとも中国に現地法人を持っていなければ日本企業は出店できないのです。更に申しあげれば、中国国内で小売販売ができる資格というのが、外資系企業にとっては獲得しにくい状態になっています(厳密には、無店舗販売ライセンスと言う外資企業では更に取得しにくい資格すら必要と言えます)。

もちろん、TAOBAOショッピングモールに出店するのではなく、自力でECサイトを立ち上げることも不可能とは言えません。けれども大きな覚悟が必要です。

第一に、中国からアクセスできなくなることを覚悟しなければなりません。
日本(中国国外)にホスティング(サーバーを設置)する場合、まず課題になるのは中国からのアクセス速度。ご存知の通り、中国にはゴールデン・シールド(金盾)というインターネット上の情報を検閲・制限するシステムがあるので、国外へのアクセスにボトルネックが存在します。ですから中国国内のサイトの場合、中国の利用者が快適にショッピングができません。
更に怖いのは、いつアクセス禁止になっても文句が言えないのです。
サイトに中国当局が秘かに定めるNGワードが含まれていたり、中国当局にとってよろしくないサイトがリンク先に含まれていたり、或いは中国当局に目をつけられているネットユーザーが頻繁に訪れたりすると、いつの間にか中国からアクセスできなくなったりします。
極端な例ですが、ある日本企業のオンライン・ストア(日本でホスティング)は、トラフィックが急激に伸びた途端、中国からアクセスできなくなってしまったこともありました。

第二に、売上代金を受け取れなくなったり、突然中国当局に税金を請求される覚悟をしなければなりません。
まず、日本から中国にモノを売る立場の出店者は、日本の銀行口座に代金を送金してもらわなければなりません。中国では居住者か現地法人を設立しなければ、原則として銀行口座が開設できないからです。第三者型電子決済のプラットフォームとして、中国ではAlipay(支付宝)が最も普及しています。中国のお客さまが人民元で支払った代金を、Alipayが日本円か米ドルなどに変換して日本の銀行口座に送金してくれれば良いのですが、そんなに甘くありません。Alipayは日本への送金も可能と宣伝していたこともありましたが、実際のところ毎月10万円くらいまでが限度です。中国の外貨管理は厳しいので、人民元から日本円や米ドルなどの外貨への両替やその外貨を中国国外に送金する際の制約があります。商品の売買がきちんと証明できれば良いのですが、Alipayは決済代行をしているだけで日本の出店者と中国の購入者の取引に関わっているわけではありません。毎月10万円程度の売上しか日本で受け取れないとなると、企業として取り組むのは難しいでしょう。
PaypalやVISAなど国際クレジットカードによる決済であれば、日本で代金を受け取れる可能性もより大きくなりますが、これらの決済方法を利用できるのはAlipay利用者の10分の1くらいですから、Alipayを導入しなければ売上も伸びない、というのが現状です。
税金の問題は、輸入関税ではありません。日本から小口で直接購入者に商品を送るのであれば、一般的には個人輸入と判断されます。税関審査で輸入関税を求められることがありますが、数百元(日本円なら数千円)くらいの商品であれば、見逃される場合がほとんどです。課税を求められたとしても、中国で受取る側つまり購入者が納税することになります。購入者が納税せずに商品を受取らず、返品になるというリスクはあります。
けれども、より大きなリスクは営業税や増値税(付加価値税)などの間接税や企業所得税などを中国側から請求される危険性があるということです。アメリカのAmazonに対して日本の国税当局が噛み付いたのと構造は一緒です。売買と言うビジネスが日本で発生したのか中国で発生したのかという解釈の問題ですが、下手をすると中国からの売上に対して中国での所得と言いがかりをつけられて、後になってから税金を払え、と言われかねません。

このように考えていくと、日本からの遠隔操作で中国向けECでビジネスを行うのはリスクが大きく実入りが少ないお話ということになります。
つまり、本格的に中国でオンラインでモノを売りたいというのであれば、中国に現地法人をセットアップして現地でのオペレーション体制を整えていくことが肝要だということです。それにはお金も時間も労力もかかりますが、広い中国に実際の販売網を築くことに比べたら、うんと安上がりなのです。
中国のマーケットの大きさの魅力は、もはや上海、広東、北京などの都市部には無いのです。沿岸部や都市部にこだわっていては、かつての日本軍と同じ悲劇をうむことになりかねません。広い中国では、拠点を押さえるだけではダメなのです。点と点を結ぶ線でもダメです。面としてカバーしなければ、中国マーケットの魅力は激減してしまいます。"僻地のゲリラ戦"を生き抜くためには、拠点を押さえても勝ち得ません。
そうした点において、広大な中国全地域に中間層向けの販売網を構築するのと同義のオンライン・ストアは、なお低リスクで高リターンが見込める戦術ですし、インターネットは極めて有効なマーケティング・ツールなのです

日本から遠隔操作でこそこそ行うようなものではありません。参入障壁は高くても、真剣に取り組むべきだと思うのです。






Last updated  2009.11.22 22:08:09
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2009.07.27
『China Joy』(中国国際数碼互動娯楽展覧会(中国国際デジタル・インタラクティブ・エンタテイメント・エギジビジョン)(主催-中国新聞出版総署、中国科学技術省、中国工業情報化部、国家体育総局、中国国際貿易促進委員会、中国国家版権局、上海市人民政府)に行って来ました。会場の上海新国際展覧中心は、若いゲーマーでごった返ししていました。特に人気オンラインゲーム・オペレーターが集中したW1館は、東京の通勤ラッシュの電車の中のような大混雑。中国のオンラインゲーム人気を実感する光景でした。
中国のネットユーザーは3億3,800万人(CNNIC:09年7月発表)。内64.2%がオンラインゲームを利用しているので、単純計算すると中国のオンラインゲーム・ユーザーは、2億1,700万人と言うことになります。

ChinaJoy観衆
ラッシュ時の通勤電車並みに大盛況のChina Joy会場


China Joyでは、中国の有料ユーザー数が1,100万人を越える超人気のオンラインゲーム『World of Warcraft(魔獣世界)』の元オペレーター"The 9(第九城市)"と新オペレーター"Netease(網易)"が隣り合った位置にブースを構え話題になりました。
『World of Warcraft(魔獣世界)』は、アメリカのBlizzard Entertainment社が開発し、美しい3Dグラフィックながら低スペックのパソコンでも楽しめるため、アメリカはもちろんのこと、ヨーロッパや韓国、そして中国で巨大な固定ユーザーを抱える超人気オンラインゲームに成長しました。
中国市場で『World of Warcraft(魔獣世界)』を大きく育ててきた"The 9(第九城市)"が、Blizzard Entertainment社からこの5月に突然中国でのオペレーション契約の打ち切りを告げられました。ポータルサイトを運営する"Netease(網易)"が、非常識なレヴニューシェア(収入の分配率)を提示して、中国でのオペレーション権を奪い取ったのです。"The 9(第九城市)"の『World of Warcraft(魔獣世界)』は6月で運営が中止されました。"Netease(網易)"はユーザーアカウントの移行作業に手間取っていて、7月末にようやくベータ版での運営を始める見通しとのこと。この1ヵ月半、ユーザーはゲームを楽しむことができない状況にああり、新オペレーター"Netease(網易)"への不満は爆発寸前でした。
そうした中、China Joyの会場で"Netease(網易)"は"新生"『World of Warcraft(魔獣世界)』を必死にアピールしていましたが、ユーザーの反応は冷めた感じのものでした。きっと固定ユーザーを大きく減らしての再スタートとならざるを得ないでしょう。いっぽう『World of Warcraft(魔獣世界)』というキラーコンテンツを奪われた、向かい側の"The 9(第九城市)"のブースは、FIFA公認サッカーゲームを中心にプロモーション展開していましたが、『World of Warcraft(魔獣世界)』が抜けた穴を挽回するのは不可能でしょう。

ChinaJoy2社争い
因縁のThe 9とNeteaseのブース


日本では、ファミコンやプレステなどのコンソール・タイプのゲームが"テレビゲーム"のマーケットを作り、PSP、DS、PS3、Wiiなどに受け継がれて、オンライン対応となっていきました。『ドラゴンクエスト9』は任天堂DSを持っていなければ遊べません。しかも、スクエア・エニックスが販売するソフトウェアの収入の一部が任天堂に入って、ハードウェア事業の損失を補填(利益を上積み)する、と言う典型的な"囲い込み型"のビジネス・モデルでした。プレステ2で『ドラクエ8』を遊んでいた人が、『ドラゴンクエスト9』を遊ぶには、ハード(任天堂DS)とソフトで2万円以上の出費を余儀なくされるのです.....。

エンタテインメントの初期費用に2万円も3万円も出せるのは、世界的に見ればごく少数の富裕層でしかありません。
いっぽうパソコンとインターネット環境があれば楽しめるオンラインゲームは、初期費用はほぼ無料。パソコンを持たない人たちでも、韓国ならPCバン、中国ではネット・バーと呼ばれる"インターネット・カフェ"で、1時間100~200円程度で楽しめます。ゲームそのもののランニング・コストも、結構遊んで1ヶ月1,000円~2,000円くらいが標準です。新興国ではパソコンやインターネットの普及にあわせて、オンライン・ゲームの市場が発展してきたのです。中国でもPSPやWiiを楽しんでいる人たちがたくさんいますが、この人たちはあくまでも"富裕層"であって、世界的にみれば、オンラインゲームのマーケットのほうが圧倒的に大きいのです。

そんな中、China Joyに出展していたゲームの中で、日本製はたった一つ(コーエーの『三国無双オンライン』)。しかも、中国のローカル・オペレーターへのライセンス供与と言うことで、日本ブランド(メーカー)としの出展は一社たりともありませんでした。
7年前北京で開催されたChina Joyでは、日本のゲームソフトの会社が何社か出展していました。ファイナルファンタジーなど、日本のゲーム・キャラのコスプレ姿の来場者もたくさん目にしました。ところが、ことしのChina Joyでは日本産ゲーム・キャラは姿を消しました。オペレーター・ブースのステージでのデモンストレーションは、中国産か韓国産のゲームキャラクターのコスプレ。かつてのぎこち無さも消えて、メイン・トレンドとして確立した感すらあります。
ゲームと言えば日本というのは、すっかり過去のお話になってしまいました。

ChinaJoyキャラクターショウ
中国製ゲームの中国製キャラクターの中国人によるコスプレ・ショウ


コミック、アニメ、ゲームなどのコンテンツが、日本の基幹産業になる、などとおっしゃっている方がいますが、このままでは終わっちゃいますね、少なくともゲームは。コミックやアニメも同様の運命を歩むことになるかも知れません....。
例えば、宮崎駿のアニメは中国でもたいへんな人気がありますが、正式に映画館で上映されたことも無ければ、正規版のDVDが流通しているわけでもありません。その理由をシンプルに言ってしまえば、海賊版やまがい物が横行する中国では、版権ビジネスで収益を刈り取るのが困難だ、と思い込んでいるからです。この考えは間違っています。日本ほど厳格に版権を収益化できないかも知れませんが、中国なら中国なりの収益化ビジネスモデルは存在するのです。

かつて日本製品の輸出は、欧米など先進国向けに成功しました。そして、各国に一定比率で存在する"富裕層"向けに高品質の製品やサービスを提供することで成功をおさめてきました。中国マーケットに対しても、「富裕層を狙え」みたいな合言葉が日本企業内で浸透しているようです。
中国の富裕層は確かに増えています。でも1億人とか2億人でしょう。インドは?中東は?アフリカは?と考えていくと、マーケットとして巨大かつポテンシャルが高く、真に魅力的なのは、新興国の富裕層ではなく、ボストン・コンサルティング・グループが"ネクスト・ビリオン"を呼んでいた、新興国における富裕層と貧困層の中間層向けマーケットなのだと思います。数年後には10億人規模の市場を形成するので"ネクスト・ビリオン"なのですが、このボリューム・ゾーンを狙っていかなければ、経済大国としての日本のプレゼンスは無くなってしまうでしょう。

<『ドラクエ9』が日本で何百万本も売れたし、アメリカやヨーロッパでもそこそこ稼げるから、それで良しにしよう><コミックやアニメなど日本のポップカルチャーは、版権収入が確実に確保できる欧米のみに絞って輸出攻勢を強めていこう>などという考えのままでは、日本のアニメやゲームなど日本のポップカルチャーもいずれは衰退してプレゼンスを失っていくことになるでしょうし、ビジネスとしても風化してしまうでしょう。

ご存知の通り、日本のケータイは端末もコンテンツも世界的には苦戦を強いられています。
端末メーカーは、通信オペレーターが決めたスペックに基づいて端末を用意し、コンテンツ・プロバイダーもほぼ統一された端末機能に最適化されたコンテンツを用意して、通信オペレーターが"公式サイト"というお墨付きを与える。こうしたビジネスモデルは、総務省(郵政省)や経産省(通産省)の強力な行政指導と、新興国の中間層一人当たりの月収と同じくらいの通信費やコンテンツ代を支出可能な富裕層が居てこそ成り立つわけで、島国ニッポンの特殊モデルに過ぎないのです。そんなビジネスモデルに甘んじてきた日本の端末メーカーもコンテンツ・プロバイダーも、海外では競争力が無いのです。

日本型或いは先進国型或いは富裕層向けのビジネスモデルを見直すことこそ、沈み行く日本を立ち直らせるための唯一の処方箋ではないでしょうか。
117億円もかけて"国立メディア芸術総合センター"を作ろうとする構想は、過去の遺物・産物を懐かしむ程度のものにしかなりません。日本の主幹産業として、アニメやゲームを育てていくと言うのであれば、ビジネスモデルの構造改革を側面から支援していくことこそ重要なのだと思います。それは貧困アニメーターを救い上げるなどと言う単純な話ではありません。単純労働の人件費など所詮新興国に敵うわけが無いのですから、指導系に切り替えていくとか。
繊細なものづくりの部分は日本人固有の価値として尊重し保持しつつも、海外の非富裕層向けのビジネスを早急に整えていかなければ、家電、半導体、IT製品などに続いて、日本の誇るアニメやゲームも衰退化していくようで心配です。

ChinaJoy女の子
おまけ(China Joyのキャンペーン・ガール)







Last updated  2009.07.27 21:45:51
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2009.07.22
中国内地以外の株式市場に上場している中国のネット系企業の「勝ち負け」が明確になってきているような感じを受けています。

「勝ち組」は、何と言っても世界最大シェアのインスタントメッセンジャーQQのプロバイダーで中国トップPVのポータルサイトのオペレーターでもあるTENCENT(騰詢)で、時価総額は2兆円を越えています。
そして、お馴染み中国での実質シェアが80%を越える検索サイトのBAIDU(百度)。TAOBAO(淘宝)打倒のために立ち上げたC2C型のECモール"Youa"のほうは、なかなか軌道に乗っていない様子ですが、一時低迷した株価は復活の兆しを見せています。
更には、ALIBABA(アリババ)。中国のECプラットフォームにおいて圧倒的なシェアをキープするTAOBAO(淘宝)やALIPAY(支付宝)も運営しているのに、意外に低めのバリュエーションではないか、とも思ってしまいます。

いっぽう「負け組」の筆頭はFOCUS Media(分衆傅媒)と言い切ってよいでしょう。エレベータホールなどに設置したテレビモニターで広告を放映するディスプレイ・アドが一世を風靡して、中国のネット広告エージェンシーに次々とM&Aを仕掛けて膨張したFOCUS Mediaでしたが、2008年決算では巨額の貸倒損失を計上し、キャッシュフローが危うくなってきました。現業であったディスプレイ・アド事業をSINA(新浪網)に売却する計画を発表したものの、どうもご破算になってしまったようです。株価も一時期の10分の1。いよいよアブナイ企業の筆頭になりつつあります(参考=拙ブログ)。
The 9 Limited (第九城市)は、稼ぎ柱であったオンラインゲーム"World of Warcraft(魔獣世界)"の運営権をNETEASE(網易)に奪われてしまいました。CCTV(中国中央電視台)のキャスター出身の美人CEOに代わってからの大失態で、苛酷なリストラの真っ最中です。
FOCUS Mediaのディスプレイ・アド事業を買収しようと目論んだSINA(新浪)も「負け組」濃厚と言えそうです。QQ、SOHU、NETEASEといった主要ポータルが、インスタントメッセンジャー、オンラインゲーム、Eメールサービスなどからの収入をバランス良く取り込んでいるのに対し、SINA(新浪)はポータルサイトの広告収入の依存度が高いので、安定性や収益性のうえで課題があるわけです。

ちなみに、ALIBABA(アリババ)の創業者・馬雲(Jack Ma)が"代用教師"から身を興した、と言うのは有名な出世話となっていますが、これはどちらかと言うと例外的で、多くの中国のネット系企業のトップは、スタンフォードやMITなどの修士課程で学んできた海外留学からの帰国組です(しかも、ほとんどアメリカ帰り)。
日本のネット系企業がNASDAQなど海外市場での株式上場を目指さないのは、またどうしてもドメスティックで囲い込み的なビジネスモデルで留まっているのも、海外留学やビジネス経験の無い創業者やトップが多いからかもしれません(三木谷さんはハーバード出ですけど)。



以下、主な中国ネット系企業のトップの経歴と時価総額。「海帰」(海外帰国組)は、中国語の発音が同じなので「ウミガメ」(海亀)です。

TENCENT(QQ) - 世界最大シェアのインスタント・メッセンジャーと中国語最大PVのポータルサイト
総裁・劉 [火只]平(ウミガメ・40代前半)
ミシガン大学で電子工程を学び、スタンフォード大学で修士。
HKSE(0700.HK) /時価総額:2兆2,500億円(180.5B HK$)

BAIDU(百度) - 中国での検索エンジンシェア80%
創業者・総裁兼CEO・李彦宏(ウミガメ・40歳)
北京大学情報管理学部卒業、
ニューヨーク州立大学バッファロー校にて修士号取得。2000年、BAIDUを設立。2005年、NASDAQ上場。
NASDAQ(BIDU)、フランクフルト、ベルリン、他 / 時価総額:1兆900億円(11.47B HK$)

ALIBABA(アリババ) - 世界最大のB2Bプラットフォーム"ALIBABA"、中国最大のECプラットフォーム"TAOBAO"、Yahoo!中国
創業者・馬雲(44歳)
杭州師範学院外国語科卒業後、杭州電子科技大学で英語を教える。1999年、ALIBABAを創業。2006年、香港株式市場上場。
HKSE(1688.HK)、フランクフルト、ミュンヘン、他 / 時価総額:1兆120億円(80.93B HK$)

KINGSOFT(金山軟件) - ウィルス駆逐や翻訳ソフトの開発販売、オンラインゲーム運営
創業者・董事兼CEO・求伯君(44歳)
人民解放軍国貿科技大学情報システム科(短期大学卒業資格)。2000年、KINGSOFT董事長。2005年、香港株式市場に上場。
HKSE(3888.HK)、フランクフルト、ベルリン、他 / 時価総額:9,000億円(7.22B HK$)

NETEASE(網易) - ポータルサイト大手、フリーメールサービス、オンラインゲーム運営
共同創業者・CEO・丁磊(37歳)
中国電子科技大学卒業。1997年にNETEASEを創立。2000年、CEOを退任しCTOとなる。2002年、NASDAQ上場。2005年、CEOに返り咲く。
NASDAQ(NTES) / 時価総額:5,000億円(5.34B HK$)

SOHU(捜狐) - ポータルサイト大手、オンラインゲーム運営
創業者・CEO・張朝陽(ウミガメ・44歳)
清華大学卒業後、MITで博士号を取得。1998年SOHUの前身となる愛特信公司を設立。2000年NASDAQ上場。
NASDAQ(SOHU)、フランクフルト、ベルリン、他 / 時価総額:2,300億円(2.45B US$)

SINA(新浪) - ポータルサイト大手
CEO兼董事総裁・曹国儀(ウミガメ・39歳)
復旦大学卒業。オクラホマ大学コミュニケーション学修士、テキサス大学オースティン・ビジネススクールMBA。1999年、SINA財務副総裁。2006年、SINAのCEOに。
NASDAQ(SINA) / 時価総額:1,700億円(1.77B US$)

Perfect World(完美時空) - オンラインゲーム運営
創業者・董事長総裁・池宇峰(37歳)
清華大学化学系卒業。P&Gに入社後、1995年起業。2004年、Perfect World(完美時空)を創業。2009年、NASDAQ上場。
NASDAQ(PFWD) / 時価総額:1,620億円(1.71B US$)

FOCUS Media(分衆傅媒) - オフィスビル・高級マンション内におけるディスプレイ・アド、インターネット広告代理
創業者・CEO・江南春(35歳)
華東師範大学卒業。大学三年生のときに広告会社を起業する。2003年、FOCUS Mediaを創設。2005年、NASDAQ上場。
NASDAQ(FNCN) /時価総額:1,050億円(1.09B US$)

The 9 Limited (第九城市) - オンラインゲーム運営
総裁・陳暁薇(ウミガメ・女性・多分41歳)
ピッツバーグ大学でバイオ化学の博士号を取得。CCTVでキャスター及びプロデューサーを経て、バイオ薬品会社経営陣からネット系への転職。08年5月に総裁就任。
NASDAQ(NCTY) /時価総額:230億円(242.96M US$)

SHENDA TECH(盛大) - オンラインゲーム運営
創業者・董事長兼CEO・陳天橋(35歳)
上海の復旦大学卒業。1999年、盛大を創業。2005年、NASDAQ上場。
NASDAQ(SDTH)、フランクフルト、ベルリン、他 / 時価総額:220億円(224.4M US$)

ちなみに、日本はというと....。

ヤフー株式会社(ヤフージャパン)
社長・井上雅博
東京理科大学理学部卒業、ソフトバンクからヤフージャパンに。
東証1部・JASDAQ(4689) / 時価総額:1兆7,500億円

楽天株式会社
創業者・代表取締役会長兼社長・三木谷浩史
一橋大学商学部卒業、ハーバード大学にてMBAを取得。1997年、株式会社楽天を設立。
JASDAQ(4755) / 時価総額:8,000億円

株式会社ミクシィ
創業者・代表取締役・笠原健治
東京大学経済学部経営学科卒業。2004年、mixi開設。
マザーズ(2121) / 時価総額:1,000億円

株式会社サイバーエージェント
創業者・代表取締役社長・藤田晋
青山学院大学経営学部卒業、インテリジェンスに就職。1998年、サイバーエージェント設立。
マザーズ(4751) / 時価総額:600億円

こんなんだっけ.....。






Last updated  2009.07.23 00:01:53
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2009.07.20
カテゴリ:OHTERS
映画『高興(Gao Xing)』(SINA映画=中国語)は西安のある陝西省出身の作家・賈平凹が自身の同級生の実話をモデルに書いた小説を原作に、テレビCF出身の映画監督・阿甘が映画化したもので、2009年の"お正月映画"として公開されました。

陝西省の貧しい農村から"一肌上げよう"と地方都市・西安に出稼ぎに出て来た農民と、大学の入学資金を稼ぐためにいかがわしいサウナでマッサージ嬢をしている女の子の恋愛ストーリーを中心に、地方都市の表舞台で無いところで気強く活きていく農村出身者たちの群像コメディに仕上がっています。(原作では、この二人の恋愛が成就することは無かったようですが。)張藝謀監督の『活きる』や寧浩監督の『Crazy Stone』などで様々な役どころをソツ無く演じてきた郭涛が出稼ぎ農民の劉高興を、著書『水の彼方 ~Double Mono~』が最近日本でも翻訳出版された作家兼シンガーソングライター兼女優の田原がマッサージ嬢・孟夷純を演じています。

弟分・五富とともに、憧れの街・西安に出てきた劉高興は、同郷の仲間に勧められて、廃品回収の仕事を始めます。北京の中心ではすっかり見ることも無くなりましたが、自転車でリアカーを引っ張って、空きカンやペットボトルから、壊れた家具やテレビまで、何でも引き取って回るお仕事です。数年前の北京では、500ミリリットルの空きペットボトル10本を0.5RMB(7円)ほどで引き取ってくれました。家電やベッドなど多少"値のはる"廃品が集まったとしても、1日100RMB(1,400円)ほどの利益が出るか出ないかの商売なのだろうと思います。
それでも、劉高興は前向きに仕事に打ち込みます。同郷の仲間に借りたオンボロ倉庫の何一つ無い"自宅"の部屋も、次第に家財が増えていき、"お家"らしくなっていきます。
余華の小説『兄弟』(兄弟 上 《文革篇》兄弟 下 《開放経済篇》)の主人公・李光頭は、廃品回収業から身を興してチョー大金持ちになりました。劉高興はチョー大金持ちにはなりませんが、毎日を仲間とともに楽しく過ごし(「高興」は中国語で、"うれしい・楽しい"と言う意味です)、恋愛も成就させるのです。

ステレオタイプに「経済格差の拡大」と「それがもたらす社会の歪み」などと叫んでいる評論家の皆さまにも、ぜひご覧になっていただきたい映画だと思いました。

蓄えていた進学資金を盗まれて落胆していたマッサージ嬢・孟夷純に、劉高興がお金を援助する場面があります。百元札(1,400円)2~3枚をプレゼントする劉高興に、孟夷純は「あなたが何日もかけて稼いだお金をいただくわけにはいかない」と言います(結局はもらっちゃうのですが)。いっぽうで200~300RMB(3,000~4,000円)というお金は、いかがわしいマッサージ嬢ならば地方都市であっても、一人のお客さんにサービスすれば稼げるお金でもあります。

飛行機好きの劉高興は、手作り飛行機で西安上空を飛ぶことによって、「多くの人の上に立つ」という弟分・五富の夢を叶えてやることになるのですが、ひょんなことからその飛行機のボディが広告メディアとして5,000RMB(7万円)で売れました。"広告主"であるIPOを間近に控えた地元の実業家にしてみれば、5,000RMB(7万円)は「一晩マージャンして負けるお金よりも安い」のですが、劉高興は警察に連行されたマッサージ嬢・孟夷純の"将来"を買い戻すことができました。

中国には明らかに経済格差が存在します。
汗と泥だらけになって一日中廃品回収をしても、せいぜい100~200RMB(2,000~3,000円)の収入にしかならないでしょう。けれども貧農地域で農業をしていたときより、10倍~100倍の現金収入アップです。毎日働けば、北京や上海の大学新卒初任給くらいにはなります。運が良ければ、小説『兄弟』の主人公・李光頭のように億万長者になって宇宙旅行に出かけることもできるのです。
「格差の拡大」を統計的に証明している評論家は知りませんが、中国の"空気"として格差が固定化したり、拡大すると言う状況では無いと、私は感じています。

テレビも洗濯機も冷蔵庫も無いような農家に、家電製品を普及させたいと「家電下郷」(大和総研による解説)という政策がとられました。農家が指定家電製品を指定販売店から購入すると13%の補助金が出るという制度です。これはGDP8%成長を死守するための景気対策として始められたのでは無く、金融危機が顕在化する前の2007年12月から試験的に始めている政策です。2008年だけで、9,200億RMB(13兆円)の家電製品がこの制度を利用して購入された、とも言われています。
最近では、携帯電話やエアコン、バイク、パソコンなど、農村地域ではかなりの贅沢品と思われる製品への対象が拡大しており、結果として中国の"内需拡大"に貢献しています。

もちろん、この制度を利用できるほどの現金収入が無く、未だ家電製品を購入することのできない貧困農民も多くいるでしょう。また高年齢や病弱のため、出稼ぎに出たくともできない"弱者"もいるでしょう。
ただ私は現代中国の経済階層は、かなり流動性に富んでいると感じています。都市部のスピードには着いていけないかも知れませんが、農村部も総じて言えば豊かになってきています。そして、努力を惜しまなければ、運が良ければ、都市部でそれなりに豊かな暮らしをすることも可能でしょうし、事業を興してお金持ちになることもできます。

もちろん、経済的に裕福なことだけが人間の幸せでは無いと思いますが、ある程度の水準の暮らしぶりができてこそ精神的なゆとりも生まれてくるものです。
余華の小説『兄弟』の主人公・李光頭が、経済優先のため"弟"をはじめ精神的に大切なものを失ってしまったのに対し、映画『高興』の登場人物たちは、貧困からそこそこの暮らし向きができるようになって、友達や夢を大切にしながら活きようとしているのです。
こうした姿は、富裕層にも貧困層にも共感をもって受け容れられたのでしょうし、私自身、中国の「経済格差」は必ずしも中国崩壊の主要因にはなり得ないだろう、と言う想いを強くしました。
高興






Last updated  2009.07.20 19:44:48
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2009.07.13
カテゴリ:OHTERS
田原(Tian Yuan)の『水の彼方 ~Double Mono~』は、私にとってはある意味で難解な作品でした。

1985年生まれとは言え、16歳でHopscotch(跳房子)と言うバンドでデビューし、2年後には香港映画でメインキャストを演じ、著名な映画賞をも受賞した田原(Tian Yuan)を、「八〇后(中国の80年代生まれの若者)」の典型として語ることは無理があると思いますし、典型的な「八〇后」が田原(Tian Yuan)を支持しているか、というのも疑問です。

<女の子たちのおしゃべりの話題>といえば<テレビドラマ、新しいダイエット法、オープンしたばかりのレストラン、S.H.E.、心理テスト><男の子はもう少し単純で、バスケかサッカーかゲームのことだけ>。
『水の彼方 ~Double Mono~ 』の冒頭で語られる高校二年生の放課後の喧騒こそ、典型的なその時代の「八〇后」でしょう。
映画『タイタニック』のディカプリオとウィンスレットの真似をして、船先に立ち手を広げセリーヌ・ディオンの『マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン』を歌うのも、私がイメージする典型的な「八〇后」です。「ニルヴァーナ」や岩井俊二の映画『スワロウテイル』ですら、私の理解している「八〇后」のイメージからみると少し尖っています。

私に言わせれば、田原(Tian Yuan)は八〇后のサブカルチャーそのものです。

冒頭の引用されている清代の怪奇小説『聊斎志異』の中の短編『水莽草』は田原(Tian Yuan)自身が「日本語版あとがき」で述べているとおり、同世代人にとってポピュラーなものではありません。
ビートジェネレーションのユダヤ系アメリカ人作家・アレン・ギンズバーグの作品『リアリティ・サンドウィッチズ』にしても「八〇后」のバイブルとは言えないでしょう。出典を理解してからでは無いと読み進められないかも知れません。

作品を更に難解にしている要因は、青春(心境)小説と幻想小説とのボーダレスな交錯と、突然の白昼夢、それに伴う時制や人称の転換にあると思います。もちろんこうした手法により、主人公・陳言の内面をよりデリケートでリッチに表現することができたのだと思います。
泉京鹿さんが翻訳に取り組み始めて、2年近い歳月を経て、ようやく日本語版として完成させた苦労が分かる気持ちがします。

原題『双生水莽』の一部となっている<水莽草>。
主人公・陳言が日記に挟んでいる一本の根から二本の葉が伸びている水草が<双生水莽(双子の水莽草)>です。武漢市内を貫く長江(揚子江)の河岸の湿地で摘んだものなのです。
田原自身は日本語あとがきで、前述の怪奇小説『聊斎志異』の短編『水莽草』の物語を田原自身の青春時代と結び付けています。小説の中でも、主人公・陳言が<周波数>の合う仲間にお気に入りの物語として『水莽草』を語って聞かせたています。水莽草を食べて水莽鬼(亡霊)になり、好いてくれたオトコを身代わりにしてでも現実世界に帰るべきか葛藤しているのが陳言なのか、『水の彼方』を書いている田原自身なのか、こうした二重性が『水の彼方』の中で、作者・田原と主人公・陳言との関係をより複雑なものにしています。
幸いにも田原本人にこの件について尋ねる機会がありましたが、「この作品は私自身のイメージから飛び出した言葉の物語」だとお答えいただきました。短編『水莽草』の美少女水莽鬼(亡霊)三娘のように、小悪魔的で小悪女的だったのは、 『水の彼方 ~Double Mono~ 』を書いた時の田原自身だったのでしょう。

<水莽草>をはじめ、<(赤い)恐竜の泡><象魚(ピラルクー)><月の中の小人>などのファンタジックな比喩的象徴が、『水の彼方』の文学性を強くするとともに、難解にもさせています。
こうしたメタファーは、作品に詩的な生臭さ(泉さんは訳者あとがきで<生物学的匂い>と述べています)を醸し出させ、作者のセクシャリティ(女性性)をいっそう強く引き出しています。
いっぽうで、主人公・陳言の従兄弟との初恋のエピソードは、まるで綿矢りさの『蹴りたい背中』のように甘酸っぱい思春期小説風でもあり、舞台が北京に移ってから結末までの展開はスピーディかつ残酷で、ゴダールの『気狂いピエロ』を彷彿させてくれたりと、作者・田原或いは主人公・陳言の複数のパーソナリティが一つの小説に封じ込められている感じがします。

『水の彼方』は、田原自身の<周波数>にシンクロした<重力ポテンシャルエネルギー>によって自動記述された、幻想的青春小説と言えるでしょう。
1950年代アメリカの若者がサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』(『水の彼方』では主人公・陳言自身中学2年生のときに読んでいる)を愛読し、大人の世界を自分自身の価値観で拒み通そうとする主人公の少年に共感したように、また村上龍の『限りなく透明に近いブルー』が1970年代の日本のサブカルチャーから若者の普遍的な虚脱感(村上は中国語版の解説で<近代化の達成という大目標を成し遂げた後に残る「喪失感」と述べている>を書き記したように、『水の彼方 ~Double Mono~』は生活も風景も価値観も目まぐるしく変わる現代の中国を舞台に大人になる一歩手前の少女のモラトリアム体験を幻想的に描いたものだ、と私は勝手に解釈しています。

第二次大戦後栄華を尽くした1950年代のアメリカ、GMのシボレー、ライ麦畑。高度経済成長期の日本、学生運動、オイルショック、限りなく透明に近いブルー。
そして、21世紀初頭の中国。WTO加盟、富裕層の拡大、GMもTOYOTAも中国頼り。そうした中、次代を先んじて捉えているように行動しているように見えても、実は置いてけぼりにされている、若者のこころの内側。
『水の彼方 ~Double Mono~』は、若者のこころの中に突如現われる空隙を満たす液体の如く、世界中の若者に読み継がれていくことでしょう。新世紀エヴァンゲリオンのLC.Lみたいに、血生臭くけれと心地良く。

田原が音楽活動を本格的に再開するとのことで、たいへん楽しみにしています。
『水の彼方 ~Double Mono~』の主人公・陳言と同様、ニルヴァーナが大好きだったという田原ですが、最近はまさに八〇后世代に人気のミュージシャン羽泉や李宇春を手掛ける音楽プロデューサー張亜東と組んで音作りをしているようです。張亜東作曲による『50 Seconds From Now』は、ヴェルベット・アンダーグラウンドのニコを彷彿させるアンニュイなヴォーカルで、冒頭に述べた八〇后サブカルチャー路線を証明してくれた感じです。
田原は、私が大好きなテレビヴィジョンも大好きだそうで、『50 Seconds From Now』の歌詞やヴォーカルは詩人ギタリスト・トム・ヴァーレインの影響も伺われます。
この秋にはアルバムが完成するとのことで、こちらのほうも大きな話題になって欲しいと願っています。

水の彼方



■関連リンク■
田原ブログ(新浪博客)
八〇后(中国新人類・八〇后(バーリンホゥ)が日本経済の救世主になる! (洋泉社Biz)=次代高消費層として捉えている点では普遍的な八〇后を確認できると思います
水莽草(青空文庫・田中貢太郎訳)
アレン・ギンズバーグ(ウィキペディア)
スワロウテイル [DVD](goo映画)
気狂いピエロ [DVD]ウィキペディア
限りなく透明に近いブルー(ウィキペディア)
新世紀エヴァンゲリオンのLC.L(ウィキペディア)
張亜東(C-POP)
『50 Seconds From Now』(百度MP3の検索結果)
ニコ(ウィキペディア)
テレビヴィジョン(ウィキペディア)
トム・ヴァーレイン(ウィキペディア)






Last updated  2009.07.13 19:23:19
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