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カテゴリ:中国の日本企業・日本人
北京の現地法人に居ると、様々なアンケート用紙が送られてきます。送付元は、新聞社や雑誌社であったり、日本政府の経済関連独立法人であったり、日本の商工会議所であったり、或いは日本や中国の大学の研究室、シンクタンクであったりします。質問の内容は、「オタクの商売儲かってまっか?」と言う中国ビジネスの業績についてであったり、「何がお困りですか」と言う中国ビジネスの問題点についてであったり、いろいろです。
私も仕事柄こうした調査をお願いするほうの立場ですから、無回答のまま放っておくには相手が忍びないので、時間を見つけて、できるだけ丁寧に回答して返送するようにしています。 こうした調査の中で多いのが、日系企業の現地社員の給与実態に関するものです。 アンケートに答えた会社には、通常その調査結果のサマリーが届きますから、よその会社がどうか、他の企業と比べてウチの会社はどうなんだ、と言う比較ができます。しかし、こうした調査はほとんど日系企業だけを対象にしているのです。「中国ビジネスで困ること」などは、外資系企業、とりわけ日系企業であるがゆえの特殊な問題が多いでしょうから、「他の日系企業も同じように困ってるんだぁ」とお互いの傷を舐めあうくらいの役には立つのかも知れません。しかし、事社員の給与や待遇について、他の日系企業の状況が分かったからといって、実際にはあまり役に立ちません。 今日とある日本の団体が実施した給与実態調査のサマリーが届きました。 各業種、各役職ごとの平均月給、賞与の支給額や回数、昇給率や昇級回数などの数値が並んでいます。ただし、これは北京の日系企業だけの集計データなのです。このデータを使って、よその会社の平均給与よりウチは高い、とか、どこの会社も昇給は年に1回なんだ、などと納得していたら、それは日本村の「井の中の蛙」クンになってしまうのです。 中国の人材が日系企業間だけで流通しているのであれば、役に立つでしょう。しかし、求職者には日系企業以外の選択肢もあるのです。就職や転職を考えている人材のほとんどは、日系企業間で比較するわけではないのです。中国にある企業すべてが検討対象になっているのです。そして、有能な人材ほど、こうした傾向は顕著です。 ほとんどの日系企業の待遇は、中国において極めて特殊です。一般的に、中国の日系企業の給与は外資系や著名な中国企業よりも低めで、昇給率も小さく、昇給頻度も少ないのです。 給与の額はともかく、ボーナスは1月と7月の年2回、昇給は年1回、昇給率は経済成長率と物価上昇率を考慮したベースアップ+昇格分、というような日本での給与システムを、そのまま中国に持ち込んでいる日系企業が多いのです。 中国で良い人材を確保していくためには、こうした特殊例である日系企業間で比較していては無意味です。優秀な人材が集まる欧米企業や大学生の就職人気ランキングで上位になるような中国企業は、どのような人事制度を敷いているのか、どのような給与体系なのか、こういう役割の人材にはどのような待遇に処しているのか、などの情報をとることこそ大切なのではないでしょうか。 ウチの業界の場合、欧米系企業が人材の宝庫ですから、人気の欧米企業並みの待遇にして有能な人材を獲得しようとしています。ところが、日本の本社のお偉いサンは「キミのところは、中国の割りに人件費が高すぎるんじゃない?他の日本の会社はこんなに給料出してないよ。」などとのたまったりします。 中国の人材市場で有能な人材を捜し求めているのは、日系企業だけではないのですから、このあたりを冷静に考えて欲いものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.12.16 18:41:37
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