カテゴリ:日本と中国の関係
日本の中国に対する外交政策は、(たぶんしっかりしたものが無いような気がするのですが)まず一義的に「日中友好」なのだと思います。日本側が抱く「友好」というイメージは、"仲良し"という感じに思えます。もちろん、中国側も「中日友好」という言い方をしますが、その意味は単なる"仲良し"ということではなく、まず互いの利益を尊重する、と言う姿勢があります。
例えば、1950年代日中間の貿易は"友好商社"と呼ばれる一部の会社にしか許されていませんでした。"友好"という文字がつくので"仲良し"なのかというとそうでもなくて、台湾の国民党政権を認めない立場を明確にした会社と言うのがほんとうのところでした。中国側は、共産党政権の支持を堅固なものにしていけるというメリットがあり、日本の会社は中国との貿易を寡占的に扱えるというメリットがあったわけです。 現在問題視されている対中ODAも、始めた頃は日本のエネルギー資源確保などの国益に根ざした意味合いが大きく、お互いの"利益"を尊重した政策だったように思えます。 このように"友好"とはお互いの損得関係の中で成り立っていたものだと思うのですが、いつの頃からか日本の対中外交は"日中友好"という言葉が先行してしまい、日本の国益は二の次という状況になってしまったように思えるのです。 日中間のビジネスにおいても、"友好"優先の意識があるのは事実だと思います。 「中国は巨大市場たる潜在力がある。いま儲からなくとも、いずれチャンスが来る。いまは"関係作り"が大事。"中国は特別だから"」とおっしゃる日本企業の方が多いのですが、何年後にどれくらいの利益が期待できるのか、という実現可能な数値目標があり、現在はそのためのどういうプロセスなのか、ということを明確にできない企業がほとんどです。日本や中国以外の海外展開では、シビアに数字と向き合っている日本企業であっても、"中国は特別だから”と言う一言で、トップマネージメント自身が、ビジネスより"友好関係"が先だ、と言う意識になっているケースにもよく接します。 私自身も赴任した頃は、先輩や知人から"中国は特別だから"とさんざん言い聞かされましたが、今はビジネスにおいて"中国は特別だ"と思っていません。むしろ"特別だ"という理由で逃げれる立場では無い、と言う感じでしょうか。 日本も含めどこの国でも多かれ少なかれ、ビジネス上の障害は存在しますし、アンフェアなルールの適用もあります。客観的な尺度を以って比較できないのですが、その中でも中国は"しんどい"ほうだとは思います。でも多くの企業が同様の環境の中でビジネスをしているのも事実でしょう。もちろん外国企業だからより不利になるケースは多いですし(それは日本でも同様でしょう)、日本企業だともっと不利を被るかもしれない。しかし、自分の会社だけがビジネス上の不利を被ったとしたら、それは会社側の対応にも問題があったと考えることも必要ではないでしょうか。また、反論できる余地があるのであれば、正々堂々と戦う姿勢を示せば良いと思います。"日中友好"或いは"中国は特別だ"という概念のもとで"泣き寝入り"する必要は無いと思います。私たちはビジネスにやってきているのですし、企業活動の根本は利益の創出であって"日中友好"ではないのです。 こうした想いで、日々"戦っている"(もちろんケンカするワケではなく、利益を生むような良好な関係作りも含まれます)日本人が中国にはたくさんいらっしゃいます。つまり、自社にとって何が"得"かということをいつも考えながら中国の出資者、得意先、発注先企業、政府機関などと交渉にあたっているわけです。 ところが、こうした企業の日本のトップマネージメントが、"友好"優先主義だったりします。"友好"的と言えない現地マネージメントの対応が中国の出資者や得意先のトップからダイレクトに日本のトップマネージメントに報告が上がる場合もあります。そんなときに、現地マネージメントに「中国側ともっと"友好的"にやりなさい」などと言われるとたまったものではありません。 そうした"友好"気分のトップが日本から出張でやってきたりすると、ウンザリしてしまいます。現地の苦労も理解せずに、中国のパートナーや取引先のトップに"友好"ムードをばら撒いて帰っていきます。宴会と乾杯漬けです。中国がそれでうまく行くと思ったら、大間違いです。 ビジネスは利害関係で成り立っていますし、お互いの利益が確保できれば"友好関係"が生まれると思います。私は、外交もそうではないかと思うのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[日本と中国の関係] カテゴリの最新記事
、ヲ。チ、?トサ荀テ、ニコヘヌ竡ネ、、、ホ、ォ、ハ、。。ト、ロ、ォ、ホソヘ、ホクォ、ニ、ネ
シォソョ、ハ、ッ、ハ、テ、チ、网ヲ。ト http://blog.livedoor.jp/yuming_2/ http://blog.livedoor.jp/yuming_2/ http://blog.livedoor.jp/yuming_2/ (2005.04.28 02:47:54)
ビジネスも国家間の交渉も基本的には利害のぶつかり合いですからおっしゃるように利害なしの友好なんてありえないと思います。日本の場合、企業も含めて豊かで余裕がありすぎてそんな悠長な友好をしていられるのだと思います。http://zhuangyuan.exblog.jp/
(2005.05.04 09:48:53)
マスメディアの影響力の大きさをもっと日本政府にも考えて欲しいですね。以下の文章は「人民網」に日本人からの投稿として掲載された文章ですが、いわゆる「アカ」の人の文章であることがまるわかりです。こんなあほな文章が中国の人に見られて「そうだ、そうだ!」とかってなるとお思うとぞっとしますよ。
http://www.people.ne.jp/2005/05/07/jp20050507_49833.html こういう情報ゲリラ戦に日本は弱いですね。 (2005.05.08 13:45:07)
突然の書き込み恐れ入ります。この度中国に関するBLOGを対象とした2つのサイトを同時オープンいたしました。
【中国最新情報局】 http://www.china-nav.com/china-tb/ 【中国遊歩人】 http://www.chinawalkers.net/ 【中国最新情報局】は中国関連BLOG限定としては日本初のトラックバックセンターです。中国に関するBLOG記事についてテーマ別にトラックバックを受け付けます。詳しくは下記のURLをご参照ください。 http://www.china-nav.com/china-tb/about.html 【中国遊歩人】は中国駐在員や中国現地採用者の中国滞在記、留学生の中国留学生活記、中国旅行記等、中国での生活や中国での見聞をメインテーマにしているBLOGGが集うサイトです。詳しくは下記のURLをご参照ください。 http://www.chinawalkers.net/article+index.id+1.htm 本年2月にオープンした中国ランキング http://www.china-nav.net/ と合わせて、総合的なBLOGアクセスアップのシステムとしてご利用ください。サイト登録は無料です。貴BLOGのご登録をお待ちいたしております。 なお、この書き込みは削除していただいてかまいません。突然のご無礼を改めてお詫び申し上げます。 (2005.05.08 16:13:14)
zhuangyuanさん、コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、日本はまた"余裕"があると思い込んでいるような気がします。財政赤字、国債、市場の収縮など、危機はそこまで迫っているような気もするのですが... (2005.05.08 22:50:21)
ぺきんさん、コメントありがとうございます。
日本政府は外交と広報(Public Relations)が苦手に思われますね。 この際、欧米系のPRエージェンシーを雇ってしまったらどうなんでしょうかね。 (2005.05.08 22:52:38)
日本のビジネスは日本の住民のためには成らないだろうと思います。
もはや日本文化さえも中国商品です。 資源の無い日本の土地に国産文化と国産商品を海外に売り渡しては、国民の仕事をなくしてる。 日本の国内では悪しき習性である口減らしが始まり、押入れから子供の遺体が何体も出てくる事象がここ数年増えました。 国内の住民も国内では役割を失い、外国に出稼ぎに出て行かなければ成らないだろうと思います。 去年ドミニカ居住民の補償問題が解決したばかりですが、百万単位での移住計画が行われるのではと危惧してます。 満蒙開拓団のように軍隊が計画をしなければいいのですが、将来のことは解りません。 国内から売れるか売れないかのアイデアを中国や韓国に特許申請できればと考えてます。 まずは物価の安い中国に技能者としてのアイデアを売っていこうと思います。 日本語を話せて、良心的な特許申請を代行してくれる中国の人はいないものでしょうか、 (2007.09.18 08:08:31) |
|