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カテゴリ:ブランディング・マーケティング
11月8日に日本の公正取引委員会が「広告業界の取引実態に関する調査報告書」を公表しました。もちろん、日本のお話です。
日本の広告業界は、取引の透明性が低く、公正な競争が行われにくい、と言う点で、世界的にも極めて異質です。ようやく公取も重い腰を上げ始めたのかなぁ、という感じです。私に言わせれば、日本の大衆メディアの報道の質の低さも、元を質せば日本の広告取引の異常さにあるのです。 その元凶はメディア取引でしょう。日本の広告会社の儲けはメディア取引の手数料が中心です。 この手数料はテレビ局など媒体社から広告会社がいただく仕組みになっています。原則的には、どの広告会社を経由してもメディア料金は同じなのですが、広告会社が媒体社から受け取る手数料のマージン率は広告会社によって違います。ですから媒体社からのマージン率の高い巨大広告会社が、手数料の一部を広告主に還元したとしても(つまり割り引き販売したとしても)、マージン率の低い中小の広告会社よりも儲けが大きかったりするのです。ですから、巨大広告会社はいつまでも安泰で居られるのです。しかも、広告主は広告会社が媒体社から受け取るマージン率がどれくらいなのか、ホントのところを知ることはできません。 しかも同じ広告枠であればどの広告主に対しても、媒体社の提示する広告料金が同じなのか、というとそうでもありません。 例えばキー局のゴールデンタイムのテレビドラマの30秒提供枠を、ある広告主は月1,500万円で購入しているのに、別の広告主は月2,000万円で売りつけている、などというケースもあるのです。 公取の報告書にもあるとおり、契約書を取り交わすなど取引の書面化が少なくて、何億円もの買い物を口頭で済ませるケースがまだ多いのですが、料金やマージン率の不透明さを表に出さないための防御策と言われても仕方がありません。 それでは中国じゃどうなんだ、ということになりますが、中国の広告メディア取引は欧米スタンダードに極めて近く、世界的にみて日本ほど異質な状況ではありません。 広告会社は媒体社から手数料をいただくのではなく、広告主からコミッションをいただくのが原則になっています。そもそも日本と異なり、ほとんどの媒体社は広告主と直接取引が可能なのです。ですから広告主はメディアの実際の料金をかなり正確に把握することができます。広告主が直接媒体社と取引しても、広告会社を通して広告枠を購入しても、媒体社に支払うべき広告料金は原則的には同じです。広告主は仲介する広告会社のサービス内容などによって、広告会社やコミッション(手数料)の割合を決めることができるのです。 中国における広告取引の透明性を際立たせるのは、なんと言っても「オークション」でしょう。広告価値が高くて、多くの広告主が欲しがる広告枠については、その広告料金を競争入札によって決定します。CCTV(中国中央電視台)はゴールデンタイムの広告枠をオークションで最も高く入札した広告主に販売します。きょう(11月16日)は来年の広告枠のオークションが盛大に行われているところです。 このシステムですと、成金のベンチャー企業がお金の力にモノを言わせて、2億人の中国人民が視聴しているといわれるCCTV 1チャンネルの19時台にテレビ広告を流すこともできるのです。実際に過去には、無名のトイレタリー会社が優良な広告枠を大量に落札して、広告の力によって著名ブランドへと育ったりしています。 話を日本に戻すと、ゴールデンタイムの人気番組の広告枠は既存広告主が最優先。新興企業が、「料金を2倍払うから」とオファーを出しても、広告枠を確保するのが困難な状況です。ベンチャー企業などが投資を集めても、優良な広告枠を購入できないのですから、これも大きな障壁といえましょう。 もちろん中国の広告取引にも不透明な部分は多々あります。このあたりお話は、また次の機会ということにしますが、日本の広告業界よりも広告主に有利な 競争原理が機能していることは事実だと思います。その分、広告会社にとっては厳しい環境ではありますが..... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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