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テーマ:中国&台湾(3332)
カテゴリ:危機管理・PRとメディア
「浙江省工商行政管理局(工商局)が品質検査で不合格となった、ソニーのデジカメ6製品の販売を停止させる決定」と報道されたのは13日。
結果から申しあげますと、その二日後15日の午後にソニーは、検査結果を受け入れ、謝罪し、消費者の利益を守る対応をする、と公式に発表しました(ソニーチャイナHP)。 13日の報道を受けて、販売停止となった浙江省以外の地域でも、家電量販チェーン店を中心に当該機種の販売を自粛する動きが広がりつつありました。ソニーの対応を非難する論調もニュースサイトを中心に広がろうとしていました。 そして、報道されて2~3日というなかなかのスピードで、全面的な敗北宣言といえる"検査結果の受け入れ"を表明するに至ったのですが、私個人としては"大人の判断"として拍手を送りたい気分です。 浙江省発新華網の報道や「国家カメラ品質監督検査センター」周剛主任のインタビュー記事(南京日報)など、比較的客観的と思われる報道から読み取ることができる、本件の経緯を整理してみますと: (1)浙江省工商局の販売停止決定は唐突なものではなかったようです 不合格の通知が届いた11月15日から15日以内にソニーチャイナは、異議を申し立てることができました。この間、ソニー内部の基準で再検査を試みたが、結果は不合格だったようです。一方検査を浙江省工商局に検査を委託されている国家カメラ品質監督検査センター」も12月初旬から別のサンプルで検査したが、結果は不合格だったようです。こうした経緯を経て、"発売停止決定"が発表されたようです。 (2)検査サンプルの中に、自社基準を満たさない製品があったようです (1)で述べましたようにソニー内部でもチェックしたらしいのですが、当局が無作為に抽出して不合格となった製品は、自社基準を満たしていなかったようです。 この間、ソニーと当局との間で様々なやり取りがあったようで、その一部が中国でソニーにネガティブに報道されたりして、このままでは影響が広がるのではないか、と心配していた矢先、ソニは「検査結果を受け入れる」と正式発表をしたのです。 素朴な疑問として残るのは、この検査では13製品に問題があることが判明したのに、ソニーだけが販売停止となってしまったと言う事実でしょう。 Fuji Sankei Business iによると、検査対象となったのは、ソニーのほか、パナソニック、キヤノン、ペンタックス、SAMSUNGだそうです。うち、PENTAXには連絡があった様で再検査を申請しているようですが(Y! Japan News)、現段階で販売停止になったのはソニーだけです。 Sankei Webが伝えているように、「今回の事件は、製品性能ではなく、デジカメ市場でトップシェアを占めるソニーを問題視したためではないか、との見方も業界に出ている。」「一社が狙い撃ちされたことに困惑」というのは、もっともかもしれませんが、敢えて申しあげれば、私には"有名税"みたいなものだ思えるのです。 中国における"日本企業(ブランド)バッシング"の好例として、この事件を捉えるのは無理があると私は思います。 日本同様この種の品質問題は中国でも日常茶飯事です。大広告主への気遣いから報道が控え気味の日本のメディアとは違って、読者を増やそうと必死の"都市報"と呼ばれる中国の新興大衆紙やニュース・サイトでは格好のネタになり大きく報道されます。 こうした品質問題の"犠牲"となっているのは、何も日本ブランドだけではありません。むしろ日本ブランドとしては、今回のソニー"が堂々の初登場"と言えるくらいです。 この1年で有名ブランドが品質問題でバッシングされ、販売停止などに追い込まれた例を挙げてみましょう。 中国国内の中小食品メーカーもきっと使っていそうな"スーダン・レッド"と呼ばれる非許可着色料の使用でバッシングを受けたのは、"HEINZ"のケチャップと"KFC(ケンタッキーフライドチキン)"でした。マーケットで圧倒的なシェアを誇る"Johnson & Johnson"のベビーローションも、有害成分を含むということで中国ではNGを喰らいました。”Nestle"の粉ミルクも国家基準を超えるヨウ素が含まれているということで販売停止となりました。 もちろん外国ブランドだけではなく、中国産ビールのホルムアルデヒド問題では、2大国内ブランドが矢面に立たされました。 消費者意識が強まっている中国では、当局もチェック機能をしっかりやらないとメディアに叩かれますので、頻繁に"抜き打ち検査"をやっているようです。もちろんメディアのほうも独自に"品質検査"をします。 きっと、いろんな問題が発覚するのでしょうが、ニュースバリューが大きいのは"外国ブランド"だったり"著名ブランド"だったりするわけです。マーケット・シェアが大きいブランドの品質問題ほどインパクトがありますし、強いてはその業界(製品カテゴリー)全体に警鐘を鳴らす効果もあるわけですから。 ソニーは中国のデジカメ市場でトップシェアを誇っています。しかも他のブランドのデジカメにもモジュールを供給しています。デジカメ業界(カテゴリー)ならばソニー、となるのは、私にとっては"想定の範囲内"です。政治的背景が絡む「アサヒビール事件」とは話が違うのです。 私は報道を根拠にしているだけで、実際にソニーのデジカメに品質問題があるのか確認していません。 ただ今回の出来事を、中国における反日の動きの一環としてのみ捉えてしまっては、問題の普遍性を見失うことになりかねないと思います。 中国では消費者意識が高まっており、当局(工商局や品質検査センターなど)やセンセーショナル・メディアはそうした消費者の興味に応えてこうという姿勢になっています。トップブランド、売れ筋製品、話題性のあるブランドほど、その標的になり易いのです。残念ながら中国マーケットにおいて、そうした要件を満たす日本ブランドは非常に少ないのですが.... もし不幸にも標的になった場合は、当局への対応と同時に消費者への対応がたいへん重要なのです。報道されて3日で検査結果を受け入れて"謝罪"したソニーの対応は、"ブランド"への影響を最小限に食い止める、と言う意味では、"大人の対応"と言えるのではないかと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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