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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2005.12.19
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19日、自社HPのリリースで表現を微妙に変えてることによって、ソニーチャイナは当該製品の"返品"について初めて言及しました。15日時点のリリースでは、「中国の規定に基づき消費者の利益を守る」と言う表現だったのです。
"リコール"(自主的な回収)にまでは踏み込んでいませんが、購入者の"返品"希望を受け入れる(人民網日本語版)、と表明せざるを得なくなったのは、前日CCTVニュースチャンネルで放送された番組の影響力が大きかったのではないでしょうか。

直前のエントリーと矛盾しそうですが、CCTVの権威性は依然として大きいのです。逆の見方をすると、地方の新興大衆紙やニュース・サイトが中心となって騒ぎ立てた消費者問題も、CCTVや中国青年報などの"真打が登場”すると、ほぼ"お開き"となる公算が高いということです。つまりその先、こうした"真打"の報道内容と相反する内容はセンセーショナル・メディア側が"自主規制"するので、ネタとしての面白みが薄れてしまうのです。

『毎週質量報告』。カタカナ日本語でタイトルをつけるなら『ウィークリー・クオリティー・レポート』とでも申しましょうか。毎週日曜日の12:30から16あるCCTVのチャンネルの一つ"ニュース・チャンネル"で放送されている、まさに消費者の品質問題に対する意識に訴える番組です。
CCTVの主要番組は、放送後に内容をHPで確認できるので便利です(18日の『毎週質量報告』テキスト版はこちら・映像版はこちらから"視頻"の文字を見つけてクリックしてください)。

CCTVでは問題が地方メディアで報道され始めた12日から独自に取材を続けていたようです。ソニーを含めた当事者のナマの声も多用していますし、一応東京の特派員からのレポートもありました。番組の内容をごく簡単に紹介します。


ソニー最初の公式声明は「検査結果への疑義」であった。伝統的なカメラとデジカメが混在する成長市場で基準でもバラツキがあるはずだ、と言うものでした。しかし、2002年に定められたデジカメの基準であるJB10362―2002に基づいた検査結果なのです。当局はソニーの社内基準の提出を求めましたが、6製品のうち、上海工場産の2製品で一つの基準、無錫工場産の4製品で一つの基準しかありませんでした。しかも後者はホワイトバランスや再現性など重要な項目についての基準が見当たりませんでした。上海工場産の2製品については相当する社内基準があったので、その社内基準に基づき再検査を行いましたが、やはり不合格でした。ソニーの担当者はその検査結果に承諾のサインもしていました。
2004年に公布された「流通領域商品質量監測辯法」によると、国家基準が最優先で、国家基準に規定が無ければ企業が自ら定めた基準、それも無ければその業界が定めた基準を参考に、工商局は抽出品質検査を行うことになっています。
15日の声明でソニーは、検査結果を受け入れ、当該製品の販売中止を決定しました。けれども、リコールについては触れていません。
16日、本件発覚後初めてメディアと接しました。CCTV番組チームの単独インタビューに応じたソニー・チャイナの李PR部長は中国の消費者に正式に謝意を表しました。李部長は業務上の過ちと内部管理上の落ち度を強調しました。しかし当該製品の回収については、ユーザーの生命や健康に関わる問題であればそうする、と言うことで明言を避けました。



ユーザーの生命や健康に関わるかどうか、ここがソニーの"最後の砦"だったのかもしれませんが、敢え無く崩壊してしまいました。
中国でも品質問題は、食品やトイレタリーなどヒトが直接口にしたり接したりするカテゴリーや自動車などヒトの生命に関わるカテゴリーに関心が集中するものです。この点で今回の"デジカメ"攻撃に違和感が残ります。でも不合格と言う検査結果を受け入れたからには、回収に対しても前向きで無いと、中国で無くとも消費者は納得しないでしょう。

実は中国ではこの種のテレビ番組がとても多くて人気です。先日ローカルテレビ局のこの種の番組でアイスクリームの品質問題を取り上げていたのを観ていました。ローカル・メーカー工場を直撃取材して、使用禁止の着色料を使っている現場を映像で捉えていました。工場の衛生状態も酷いもので、あの番組を見てからアイスクリームを自粛するようになってしまいました。
『毎週質量報告』でも毎週、品質問題を取り上げていますが、前20週のうち日本ブランドがメインで取り上げられたのは今回が初めてのことです。

ところで日本だったら、記者会見を開いて、役員揃って頭を下げる"のが"ブームのようですが、中国では止めておいたほうが良いと思います。あの方式は、謝る側も謝ってもらう側も日本人だからこそ成り立つのだと思います。少なくとも中国では、あの手の謝罪会見でコトが解決するとは思わないほうがよろしいでしょう。自社のHPとCCTVへの単独インタビューと言う情報をコントロールした今回のソニーの対応は、中国ではリスク発生時の正攻法のメディア対応と言えると思います。





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Last updated  2005.12.19 23:41:00
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