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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2006.01.12
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GDPの成長率を2年さかのぼって2桁に上方修正した中国ではありますが、高所得者層向けの消費財などは生産過剰で在庫が溢れている感じです。大都市の不動産も下落していますし、赤字企業も続出で、そろそろ本気で「中国経済崩壊だ」と声高に主張するひょーろん家の方も出現しそうです。「崩壊」とまで行かなくとも、2006年は1桁成長に留まるとか、ちょっと一息つくのではないかとか、様々な観測が飛び交っているようです。

私も都市部の成長は鈍化傾向にあると肌では感じています。都市部の高所得者層向けの消費が落ち着いてきているように思えるのです。
だからと言って油断してはいけません。「数の論理」は健在ですから...

「SAPIO」の記事(12/28・1/5号)を読んで岸宣仁さんのことを知ったのですが、岸さんの「中国が世界標準を握る日」を読みました。
一言で申しあげれば、日本企業が中国の模倣品対策に躍起になっているうちに、中国が"世界標準"を握り、日本のモノが"模倣品"になってしまいかねない、と言うお話です。

かつて"世界標準"には日本が関わりつづけて来ました。古くはベータやVHS、オーディオCD、JPEGのJはJapanのJですし、いまは次世代DVD規格で、2つの陣営が争っていますが、どちらも日本企業がリーダー的役割を果たしています。
"世界標準"の中には、たくさんの特許が埋め込まれていますから、そうした特許を持つ企業が"世界標準"化に成功すれば、たくさんの特許収入を得ることができます。裏を返せば、"世界標準"規格の製品を生産する企業は、特許料を支払わなければなりません。
かつて中国企業は、"世界標準"やそのために必要な特許にはあまり縁がありませんでしたから、モノを作れば作っただけの特許料を、主として日本や欧米の企業に支払わなければならなかったわけです(特許料を払わないケースも多いと思いますが)。

ここで見過ごしそうなのが、"世界標準"は誰が決めるか、と言うことです。様々な組織や機関があることはあるのですが、最終的には消費者が決める、と言っても良いでしょう。ブルーレイとHD-DVDの争いも、プロセスの中ではソフト・コンテンツ・プロバイダーの動向など大企業の綱引きもあるのですが、ベータvsVHSのときと同様、たくさん売れたほうが生き残る、と言うことです。

中国にやってきた日本人は「中国のケータイは日本で使えないから不便」と嘆きます。ここに"落とし穴"があります。
中国のケータイは、日本以外の多くの国や地域でそのまま使えます。一方、日本で最も普及しているタイプのケータイは、中国だけではなく欧米アジア諸国などほとんどの国ではそのまま使えません。規格が違うからです。
では数の論理でどちらが標準か、と強引に判断するなら、中国のケータイのほうが"標準"になってしまいます。なんと言っても、中国のケータイユーザーは3億人。日本はようやく8,000万人を越えたようですが、どう考えても3億人になることはあり得ません。
中国のケータイはいまは中国独自の規格ではなく、欧米規格なのですが、中国向けにケータイを生産する日本の端末メーカーは欧米企業に特許料を払っているわけです。

第3世代のケータイ方式を中国は独自に開発しています。あり得ないとは思いますが、通信事業はどの国も政治の力が強く働きますから、中国当局が強引に中国独自方式の3Gを採用してしまったら、その方式が"世界標準"になりえてしまうと言うことです。
中国は1.5G(次世代よりちょっと手前)のDVDで独自規格を確立しちゃいましたし、ワイヤレスLANにも独自方式があります。莫大な量的需要が期待されているICタグのフォーマットに関しても、独自規格を売り込み中とのこと。
中国が国を挙げて独自規格を採用すれば、"世界標準"になってしまう可能性が大きいということです。13億の民の力は大きいのです。たとえモノが買える人が3億人しか居ないとしても、です。

もし、中国の独自規格がどんどん"世界標準化"したらどうなるでしょう。日本メーカーは中国に特許料を払って、そのフォーマットでモノ作りしなければならなくなってしまいます。コピーの生産と一緒です。
いまは中国製品は日本の技術を模倣している、と言ってられますが、そのうち日本製品は中国の技術を模倣している、ということになりかねないわけです。

日本の政府や関連組織が、重い腰を上げてようやく"海賊版対策"などとやっている間に、日本のほうが"海賊版"扱いされかねない事態になるかもしれません。もちろん、こうした事態を防ぐべく努力している日本企業もたくさん存在するのですが、両国政府の不正常な関係が続けば、民間の努力は水泡に帰してしまうかもしれません。技術大国日本の危機です。
モノ作りにおける日本はホント優秀だと思いますが、それに甘んじていてはヤバイ感じになってきました。モノにはそれを使う人たちがいることを忘れてはなりません。そして、使う人が(潜在的にでも)たくさん存在する国のことも....






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Last updated  2006.01.12 23:40:06
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