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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2006.03.30
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以前、中国側パートナーを軽視したため董事会で中国側から解任動議を出された日本人総経理のエピソードをご紹介しました。今回はどちらかと言うと逆の例です。
日本の本社から派遣されて現地法人を委ねられていたにも拘らず、現地幹部とうまくやってきたが故に、日本の本社の不評を買い、帰任してしまった日本人総経理と取り残された幹部社員のお話です。

その現地法人は世界的にも著名な日本企業がマジョリティを握っており、中国側パートナーはほとんど経営には関与せず、配当だけ入ってくれば良いような感じだったそうです。中国側から派遣された老齢の副総経理は、自分の子どもくらいの年頃の幹部社員の意見や方針に逆らうことなく、目を細めて見守っているような人でした。
その日本人総経理は、中国側総経理のメンツにも気を遣いつつ、現地幹部社員をうまく取り込み、短期間で業績を拡大していきました。更に現地幹部社員のモチベーションを更に高めるため、昇格や昇給など待遇の改善も行いました。
ここまでは理想的な展開と言えるでしょう。

ところが意外なところから綻びが生じ始めるのです....。
その日本人総経理と日本の本社との関係がギクシャクし始めるのです。いろいろあったようですが、一例として挙げるなら、現地人幹部社員を優遇し過ぎている、と言う批判が浴びせられたのです。
日本の本社はこの現地法人以外にも複数の現地法人を中国に抱えています。部品と製品、生産と販売などそれぞれ役割は異なりますし、経営規模や利益水準、現地社員の待遇も違います。しかし、本社からみれば業績を比較し、派遣した総経理などの幹部社員を評価するわけですから、ある意味でライバル企業同士とも言えるのです。ですから、私の推測ですが、他の中国現地法人の日本人から足を引っ張られたという可能性もありそうです。
その日本人総経理は、本社の方針よりも現地人幹部の意見を重視し過ぎている、他の現地法人と比較してその会社の現地人幹部の待遇が良すぎる、などと非難されるようになり、業績が好調なのにも拘らず、予定任期を1年残しての帰任と言うことになりました。

総経理帰任とその理由を知った現地人幹部は動揺しました。自分たちが最も能力が発揮できる環境が脅かされると察したからでしょう。
日本企業の中国現地法人は、ローカル化などと口にしながら、重要判断は日本の本社が行うケースがほとんどです。しかし中国の会社法では総経理に日常的な会社経営に関する絶対的な権限があります。資材の調達先を新たに開拓するとか、仕入れ価格を決定するような話にまで、本社の決裁が必要なような状況では、"飾り物の総経理"でしかなく、現地幹部社員の信任すら得られないでしょう。中国のホワイトカラーの働き場としての日系企業の人気が低いのは、こうしたことも影響しています。現地への権限委譲が進まなければ、配下の社員も働きにくいのです。
その日本人総経理は、そうした事情をわきまえて、"飾り物の総経理"に留まることなく、できる限り現地判断で経営を遂行したようです。幹部社員の意見や提案を尊重し、もちろん自分なりの検証を行った後に、日本の本社にいちいちお伺いを立てることなく、バシバシ進めて行ったので、現地の幹部も働き甲斐があったでしょうし、社員から尊敬と信任を得られたのでしょう。その結果として業績も拡大したのです。

彼(女)らは、そうした"老板"(親分)のもと自己実現に適した場の提供を受けて、楽しくも一生懸命働いてきたわけです。もちろん一方では、一般的な日系企業の堅苦しさも知っていたでしょうから、彼(女)らの多くは日本人総経理の帰任後の"反動"を心配して、その現地法人から去ることになりました。
傍観していた中国側副総経理も、いよいよ会社の行く末を心配して、中国側パートナーの上層部より日本人総経理の帰任を棚上げするように日本側にリクエストしたらしいのですが、日本の本社は聞く耳すら持たなかったそうです。

旧正月で帰国した際、その元総経理にお会いしました。「(中国のスタッフは)皆、会社のブランド力や知名度に惹かれて働いているのだと思っていた。自分についてきてくれたのも、自分があの会社の看板を背負っていたからだと...。ボクが中国を去ったとき、彼(女)らの多くが現地法人を離れてしまったのは、意外でした。」
私には良くある顛末に思えました。日本企業に限らず、総経理の入れ替わりとともに、中核社員も入れ替わってしまうことなんて、中国ではよくある話です。

中国のホワイトカラーの多くは、自己実現し易い環境で働きたいと思っているようです。自分の能力が如何なく発揮でき、尚且つ更に伸ばせるような環境を求めています。そうした環境を提供してくれるのが、会社なのか上司なのかはあまり重要なことではないのです。特に上昇志向の若い人たちは、会社の知名度よりも職場の環境を重視します(もちろん待遇も重要です)。
働き易い環境を提供してくれるのが、会社ではなくて上司だと知れば、彼らのロイヤルティーは自ずと上司のほうにシフトしてしまうでしょう。特に日系企業は、中国の若者に自己実現しにくい働き場所だと思われがちです。

日本に帰任した元総経理は、会社の看板ではなく、尊敬と信任できる親分のもとで働きたいと願い、転職したそうです。以前より更に輝いてみえました。





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Last updated  2006.03.30 16:43:45
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