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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

2006.10.31
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中国では90年代初頭以降、日本のテレビドラマがあまり放映されていません。
江沢民さんが反日を推し進めるために日本のテレビ番組を締め出したとか、プロセスにおいては、様々な推測が可能ではあります。しかし、この数年間の状況を冷静に考えてみると、市場原理に基づく結果である、と言うのが真っ当だと思うのです。
日本のテレビドラマが中国で放映されないのは、中国当局の"意地悪"によるものでは(ほとんど)無いと言うことです。

先端技術の輸出が振るわなくなったいま、コンテンツこそ日本の輸出品の花形になる、と経済産業省あたりが張り切っちゃっているのですが、テレビドラマにしても映画にしてもゲームにしてもアニメにしても、フツーの商品とほぼ同様の仕組みで取引されるわけです。シンプルに言ってしまえば、需要と価格合理性があれば取引が成立するのです。中国において、日本のテレビ番組があまり放映されないのは、この関係が成り立たないからです。
スゴク単純化すると、
日本のテレビアニメ: 中国での需要=有 / 価格合理性=無
日本のテレビドラマ: 中国での需要=無 / 価格合理性=無
だから、取引が成立せず放映されていない、と言うのが事実でしょう。

2005年に、CCTVを除く中国のテレビ局で放映されたテレビドラマは時間換算で約9,000時間。内1/3にあたる約2,000時間は外国製ドラマ(中国の立場で言えば、輸入ドラマ)を放映できるのです。ところが、実際放映された外国製テレビドラマはローカル局全体で70作品(シリーズ)、約1,200時間程度に過ぎません。しかも、この70作品の中で日本のドラマは1作品のみでした(2005年に許可され放映された作品なので、過年度に輸入許可を得て再放送などで放映されている作品を除きます)。
なんと韓国作品が28、香港作品が18、台湾作品が15、シンガポール作品が5、インド、イタリア、アメリカ作品がそれぞれ1つでした。

なぜ韓国作品がこんなに多いのでしょうか?それは需要と価格合理性が有るからです。
前回のエントリーでご紹介しましたとおり、中国のテレビドラマ視聴者層の中心は35歳以上の女性(主婦)です。高学歴でも無ければ"小金持ち層"でも無い人たちなのです。
日本でも韓流ブームが韓国ドラマから火がつきました。韓国ドラマはストーリーが比較的シンプルで、登場人物の行動や心の動きも予想される範囲内である場合が多いので、日本でも主婦層を中心に人気が高まりました。高学歴、"小金持ち"という部分は置いておいて、やはり中国でも主婦層が受け入れ易い"つくり"であったのでしょう。
しかも、1作品あたり60分弱で最低20話はありますから、連続ドラマを1日あたり2~3話連続して毎日放映するという、中国の標準的な番組編成であっても、1週間以上は放映を続けることができるのです。
さらに、(これは想像の域を出ませんが)日本のテレビドラマより合理的な値段で購入できるのでしょう。

これだけ韓国ドラマの比率が突出したのは、市場原理に基づく結果と言えるでしょう。
ですから、最近では中国当局が"規制"に乗り出す動きもあるようです。特定の国家の番組だけが多く放映されるようになるのは、中国に限らずどこの国でもあまりよろしくないお話でしょうし。
こうした規制の動きに対して、韓国側は、中国との共同制作やキャスト、スタッフ、スクリプトの単体販売などの方法で乗り切ろうとしています。努力してるんです。

いっぽう最近の日本のテレビドラマのほとんどは、F1層向けに準備されています。F1層と言うのは20~34歳までの若い女性のことで、この人たちの中で話題になれば、若い男性もおじさんもおばさんも、みんなついてきてくれると考えがあったのです。また、日本の都市生活者でなければ共感しにくい設定である場合が多く、心を動かすようなストーリーは"クサイ"と言われて敬遠されがちです。
しかも、日本のテレビドラマは通常11~12話で完結してしまいます。中国の標準的な番組編成なら、月曜日に放送が始まって土曜日には最終回が来てしまうので、話題作りができないうちに終わっちゃうのです。
さらに、番組の値段が高い安いと言う前に、日本のテレビドラマを中国で放映するとなると日本側のほうに障壁が多いわけです。海外への番組販売を前提に制作されているケースが未だに少なく、権利や承諾を一つずつ詰めていかなければならなかったり、人気タレントやそのマネージメント事務所に頼ったキャスティングが多いため、そのタレント売り出しの海外戦略に左右されて、"海賊版王国"と言われている中国が敬遠されたりしてしまうのです。また、"ものづくり"にこだわる日本だからこそなのかもしれませんが、翻訳された現地版についても日本の作り手がしっかりと管理したがります。
こうして、自ずと時間とコストがかかってしまい、結果的に買い手にとって合理的な値段で番組を販売することができなくなるケースが多いのです。
そして、何よりも日本のテレビドラマに関わっている人たちの多くは、中国での放映=中国への番組販売に関して消極的です。

こんなワケですから、日本のテレビドラマが中国でほとんど放映されないことを、中国当局の"意地悪"によるものだと考えるのは止めるべきです。
このことは、テレビドラマだけではなく、テレビアニメにも言えます。日本のメディアは一時期「中国当局が日本のアニメを締め出した。」「日本を狙い撃ちにした。」などと報道していましたが、日本だけを狙い撃ちにしているわけではありません。例えば日本が製鉄業を守るためセーフガードを発動して、最大の輸入元が中国だった、みたいなお話なのです。しかも、テレビドラマと同様に、テレビアニメに関わっている人たちの多くは、中国での放映=中国への番組販売に関して、消極的です。

日本人は、近代以降の自国の歴史、とりわけアジアに対して自虐的である必要は無いと思うのと同じくらい、中国におけるビジネス上の障壁を中国当局の政治的思惑に帰する被害妄想は止めたほうが良いと思います。しかも、自虐史観を非難する方に被害妄想になられる方が多いのは不思議な感じすらしてしまいます。
外国とビジネスをする以上、日本国内で完結するお仕事よりも障壁が高いのは当然でしょう。実際には"意地悪"されることだってたくさんありますが、根本要因を中国と言う国家そのものだと決め付けてしまうのは、あまりにも短絡的に思えたりします。そうした日本人の甘えの中にこそ、チャイナ・リスクが潜んでいるのでは無いでしょうか。

ちょっと話が飛躍しすぎてしまいました....。






Last updated  2006.10.31 13:40:29
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