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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

2006.11.14
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11日に時事通信社が北京から伝えたきたニュース。日本の大手新聞各社はスルーしちゃったようですが、ニュースサイトに転載されていました(Infoseek楽天ニュース)。
【北京11日時事】中国に進出した日本企業の総経理(社長)を含めた邦人計4人が2005年以降、輸入品をめぐる関税逃れなど「普通貨物密輸罪」に問われ、上海などの裁判所で相次いで有罪判決を受けていることが11日分かった。中国に製品や部品を輸入する際、価格の過少申告や輸入物品の虚偽申告で関税などを逃れようとしており、上海では今年9月、日本企業で総経理だった男性が懲役2年の実刑判決と350万元(約5250万円)の罰金を科され、控訴中で現在も拘束されている。
関税逃れと言うことで摘発され、実刑判決を受け、拘束されている日本企業の総経理(経営責任者)が中国にいらっしゃると言う話です。"脱税行為"だから犯罪なのですが、きっとビジネスを成り立たせていく上で仕方なく行った行為なんだと思います。

中国で製造やアッセンブリーを行っているメーカーさんにとっては、日本などから中国に輸入される原材料やパーツを、いかにスムーズに通関を通すかが命綱です。通関でもたついて予定期日を過ぎても原材料やパーツが工場に届かなければ、ラインは止まってしまいます。それでも、工場の労働者にはお給料を払わなければなりません。出荷も遅れるわけですから、販売店や顧客からの信頼を失い、多大な損害が生じることになります。
日本のように、ある程度システマティックに通関業務が行われ、陸揚げされて中何日で通関完了と読めるのなら良いのですが、中国の場合はそんな甘くはありません。税関の方と"仲良し"にしていれば優先的に通してもらえたりしますが、"仲良しでない"と逆に意地悪をされてなかなか通してもらえないかもしれません。ときどき日本の時代劇で、関所のお役人さんに"袖の下"を渡してこっそり通してもらうようなシーンを見かけますが、まぁあ~いう感じもアリなのです。
ですから、中国外からの輸入品を扱う企業の多くは、税関の方と"仲良し"になるために、ご飯をご馳走したり、キャバクラにご招待したり、最新のケータイをプレゼントしたり、本社のあるアメリカや日本やヨーロッパの国に視察旅行にお連れしたりします。これは贈賄行為とも言えますし、イケないことだと分かってはいるのでしょうが、「ウチの会社だけはそんなことはしない」と正義を振りかざしたとしても、通関が滞るだけ。ライバル企業のほうは税関の方と仲良くしているわけですから、仲良くしていなければ不利を被る可能性が大きくなります。

通関業務をスムーズにしていただくための税関当局との"関係作り"あたりまでですと、まだ"グレイゾーン"なのかもしれません。けれども、企業側にも税関当局にも、更なる"欲"が出ちゃうわけです。企業側は関税をできるだけ安く済ませたいですし、税関の方はリッチな企業の皆さんともっと仲良くしたいと思っちゃうわけです。ライバル他社のように、輸入品の価値を過少申告したでも見逃してくれる、ような"理想的関係"を税関当局と築くことができれば、価格競争力までアップするはずです。本社から課せられた中国でのミッションを達成しようと真剣に頑張っている日本人マネージメントならば、そうしちゃうかもしれません。
過少申告とか虚偽申請までいっちゃうと、さすがにグレイとは言い難いわけで、時事通信社の報道にあるように、"普通貨物密輸容疑"などで摘発されたりしまうのです。税関にもグルになっている方がいると思うのですが、そういう方々が収賄で摘発されたのかどうかは不明です(たぶん何らかの処分は受けてると思いますけど)。

とりわけ税関-密輸となると、『アモイ事件(遠華密輸事件)』が有名です。7年前に発覚した事件でありながら、カナダに逃げ延びた主犯格の頼昌星さんが、中国共産党中央政治局常務委員で江沢民さんの仲間だった賈慶林さんのことを、胡錦濤さんたちにチクるのではないか、と言うことで、最近また話題を醸し出しているようですが(産経新聞中国総局記者・福島香織さんのブログ『北京趣聞博客』にわかり易い解説記事があります)、当局も過敏に反応しているのかもしれません。
この手の脱法行為に関しては、日本企業だけではなく、中国企業も欧米企業も様々なところでいろいろと摘発されていますから、日本企業の総経理が実刑を喰らった、と言う日本向けのニュースだけで、また「日本企業潰しだぁ」などと決めつかないほうが良いと思いますけど。

私が北京でお勤めしてたときは、あまり税関とはご縁が無くて助かりましたが、税務当局や工商行政管理局などのお役人さんと"仲良く"しておく必要はありました。ライバル他社がお役人と仲良くして優遇されているのに、こちらがキレイごとを通して意地悪されてしまっては、競争力に差がつき、大きな不利を被りかねませんから、これはもうある程度やるしかなかったのです。
実刑になってしまった日本人総経理の場合もきっとそうだと思うのですが、日本人の責任者が率先して、お役人を接待しようと贈り物をしようとか、言い出すことはほとんど無いと思います。多くの場合、中国人の幹部やマネージャーが言いだしっぺであるはずです。「Aさんとの関係を強化するとうまく行く。私の知人のBさんが仲介できる。ライバル社はCさんと仲良くしているようだが、Aさんのほうが"実力がある"からライバル社より有利にしてもらえる....。」まぁ、例えばこんな感じでしょうか。もちろん、接待の場に日本人の責任者が連れ出されることも多いでしょうが、"実弾攻撃"のほうは中国人の幹部やマネージャーが"汚れ役"を演じるわけです(ピンハネなどによって"役得"になる場合もありそうですが)。
日本人総経理はギリギリの判断を迫られるでしょう。日本の本社はコンプライアンス強化と言ってきているわけですし、"工作資金"の財務処理だって考えなければなりません。日本人の責任者に相談すれば「ダメだ」と言われると思い、或いは日本人をトラブルに巻き込まれたくないと言う気遣いから、中国人幹部が独断で"工作"を行う事だってあるはずです。

日本人が直接関わっていないケースも多いはずです。それでも大規模な摘発があれば、経営責任者である日本人総経理(社長)が責任を問われることになるでしょう。「宮内さんが勝手に行ったことで、私は知りませんでした。」という感じで主張しても、総経理(社長)という肩書きを持っていたら、簡単には納得してもらえないでしょう。
私は中国における違法行為や脱法行為を奨励する意図はありませんが、いまの中国で経済活動を行っていき、それなりの成果を挙げるためには、怪しげと思う領域に足を踏み込む必要が生じることになるかもしれません。日本の独資を含む中国の法人で総経理である日本人は相当な覚悟が必要だと思います。
できることなら、信頼できる中国人幹部に総経理(社長)というタイトルを明け渡し、自らは董事長(会長)か副董事長(副会長)に棚上げされるのが良いかもしれません。総経理には日常的な業務の責任がありますが、董事長や副董事長にはありませんから。
またこうしたコンプライアンス上のリスクを回避するために、日本側は敢えてマジョリティーを取らない(出資比率を50%未満におさえる)というのも手だと思います。中国人同士の話し合いで丸くおさめてもらいましょう.....。






Last updated  2006.11.14 16:19:52
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