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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2007.04.15
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カテゴリ:OHTERS
香港などを除く中国本土の企業として初めて(香港系資本と経営陣が上海に設立した新華ファイナンスが2004年に上場していますが)日本の株式市場に上場を果たす『アジア・メディア・カンパニー・リミテッド』。"ケーブルテレビ関連事業を手掛ける"などと2007年3月22日付けNIKKEI NETでは紹介していますが、実態は広告会社です。しかも、上場するアジア・メディアと言う会社は中国本土には存在しません。イギリス領バミューダで登記された持ち株会社なのです。

これは主として中国の外資規制や海外市場上場障壁をクリアするために用いられるストラクチャーで、NASDAQに上場している百度(BAIDU)も新浪網(SINA.com)も分衆伝媒(Focus Media)も、中国の事業会社がIPOしたのではなく、イギリス領ヴァージン諸島やケイマン諸島などに登記されている持ち株会社が上場したのです。
持ち株会社『アジア・メディア』傘下の事業会社には、地方CATV局の番組ガイド(の広告)を扱う『北京寛視網路技術有限公司』(以下『寛視ネット』)、BTV(北京電視台)などの広告枠を扱う『北京寛視神州広告有限公司』(以下『神州広告』)、そしてソフトウェアの開発や販売を行うことになっている『北京寛視軟件技術有限公司』(以下『寛視ソフト』)があります。

2006年の『アジア・メディア』の連結売上は約34億円(2.2億RMB)で、純利益は8億6,000万円(5,500万RMB)、利益率は25%となかなか高収益ではありますが、『神州広告』によるテレビ広告レップの比率が約60%とダントツなのです。自社サイトでは、「中国におけるメディア・プラットホームを越えたテレビプログラム・ガイドソリューションとサービスの提供の先導者であります。」などと、地方CATVの番組ガイドや映画のテレビ局への配信などの事業を強調してはいますが、実態は広告会社(メディア・レップ)なのです。

『アジア・メディア』の売上の6割を稼ぎ出しているのは『神州広告』ですが、実は『アジア・メディア』の子会社ではありません。『アジア・メディア』のCEOである崔建平さんが100%出資する中国独資企業なのです。『アジア・メディア』は自身のCEOであり『神州広告』の出資者でもある崔建平さんと出資持分質権設定契約や独占買取権契約などを結ぶことによって、『神州広告』を実質100%支配の会社として連結決算に取り込んでいるのです。
なぜ、そんな面倒なストラクチャーになったのでしょう?
まず第一に海外市場でのIPOを前提としたために親会社をイギリス領バミューダに置かなければならなかったこと、第二に最も"稼ぎ出す"業務セグメントが広告ライセンスを必要であったこと、第三に広告ライセンスは100%外資でも受けられるのですが、出資する外国の親会社がに3年以上の広告業務の実績を必要とすること、などの条件が重なったからでしょう。ですから、『神州広告』を設立する必要に迫られた際に、持ち株会社である『アジア・メディア』からの直接投資にすることができず、また広告業務の実績が無い"外資企業"扱いの『寛視ネット』や『寛視ソフト』の子会社にすることもできなかったのでしょう。

『アジア・メディア』の"中核会社"とも言える『神州広告』が『アジア・メディア』と直接的な資本関係が無いという事実は、日本の投資家に少なからぬ不安を与えることになるでしょう。公募予想金額が600円~650円に対し、初値予想も600~640円(鉄拳制裁!IPO!! 萌えろ!初値予想!!IPOはノーリスク・ハイリターンといわれる…など)。ブックビルディングで当選しても、エースを引き当てた、と言う感動が得られるかは疑問と言えるでしょう。
とは言え2007年の業績予測は、売上が前年比2.1倍、純利益も1.9倍の15億5,000円とのことなので、中国企業のIPO独特のストラクチャー・リスクを無視すれば、なかなかの成長株とも言えそうです。現にIPOにより調達を見込んでいる資金は約14億円(1億RMB弱)で、これを元手にプレペイメント(前払い)で優良なメディアの広告枠を仕入れることができれば、売上や利益が倍増するのも絵空事ではありません。

『アジア・メディア』の株式のうち6.71%を電通(の関連会社)が持っています(NTTドコモも少し)。今回のIPOで60万株を放出するので3億6,000万円のキャッシュを手に入れることになります。まぁ、もっと多く注ぎこんでいたとは思いますが....。





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Last updated  2007.04.16 08:59:43
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