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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2007.04.25
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以前身を置いていたトラディッショナルな広告会社の人たちと食事をしました。
とある大型広告主の中長期の広告扱いを決めるピッチング(複数の広告会社によるプレゼンテーション)の話題になったのですが、その準備のために田舎にお家を買える位のお金がかかったらしいのです。もちろん、その広告主の仕事が獲れれば年間数十億円の売上になるわけですから、投資と言うか開発費みたいなものです。その代わり、その広告主の仕事がよその広告会社に持って行かれれば、プレゼンテーションに費やしたお金は無駄になってしまうわけです。

広告会社がピッチングの準備のためにかける費用の大半は、外部の著名なクリエイターやブランディングなどのコンサルタントやアドバイスをしてくれる"先生"やそうした会社に支払われます。特に大きなピッチングの場合、広告会社内部だけでは智恵も足りないし、広告主企業に対するインパクトも小さいので、外部の"先生"などを担ぎ出して共同作業で準備をしたりします。
私が駆け出しの頃は、コピーライターが持てはやされていて、広告会社による"取り合い合戦"が繰り広げられたりしていましたが、いまは実績あるクリエイターが独立してつくったクリエイティブ・エージェンシーとかブランド・コンサルタントなどの協力を得て(実質的には、ほとんどの準備作業をこうしたところで行い、広告会社はちょっかい出すくらいの場合もあるのですが)、プレゼンテーションの準備を行うわけです。そして、こうした会社や"先生"個人に支払う報酬がプレゼンテーション準備費用の大半を占めたりるすのです。

日本で大きなピッチングがあると、D-H-Aという広告会社上位3社はたいてい参加します。以前なら、プランやアイディアが採用されなくとも、ピッチングに参加すると"参加賞"として、メディア扱いの一部を分けてもらえたりしていたものですが、最近はピッチングで選ばれた1社だけに、すべての業務を依頼する傾向が強くなりました。ですから、ピッチングで敗北し広告を受注できなかった広告会社は、プレゼンテーションの準備費用を回収できません。

そして、自分が準備に協力した(或いはアイディアや戦略を提供した)広告会社がピッチングに敗れたとしても、クリエイティブ・エージェンーやブランド・コンサルタントなどの"先生"は広告会社に請求書を突きつけて、多額の報酬を得る場合がほとんどです。
つまり、自分(たち)のクリエイティブのアイディアやブランド/マーケティングのストラトジーが広告主に採用されようがされまいが、多くの"先生"たちはしっかりと報酬をゲットするのです(もちろん、採用された場合のほうが大きなビジネスになるわけですが....)。

日本でも"成果主義"が徐々に浸透してきました。企業の人件費カットなどに悪用されるケースも多々ありますが、よい結果を出せば良い報酬が得られる、と言うのは人類のモチベーションに欠かせない鉄則でもあります。中国のセールス職は100%歩合制だったりします。

ネット・メディアの台頭によって、広告効果が明確になり、広告やブランディングの世界でも"成果主義"が潮流になってきました。
かつては、15秒CM1本いくら、と言う丼勘定が、視聴率1%を獲得するのにいくら、と言う取引になり、バナー広告を1回見てもらったらいくら(Cost Per View)からバナー広告をクリックして自社サイトまで誘導してくれたらいくら(Cost Per Click)に進化し、更にはネット上の広告からモノがいくら売れたらいくら(Cost Per Acquisition)と言う料金制度が浸透しているわけです。
この「楽天広場」のアフィリエイトにしても、ブログをみてもらっただけでは一銭にもならず、商品やサービスを購入してもらって初めてポイントになるんですよね.....。

欧米の広告主はもともと広告効果にシビアでした。効果的にメディア予算を配分するためにメディア・プランが進化しました。成果のあがらないメディアには広告が寄り付きません。クリエイティブ(広告表現)もそうです。
これはネット・メディアで明確に数値化されます。同じ広告主が同じポータルサイトの同じポジションに同じサイズのバナー広告を掲出しても、広告表現が異なればクリックされる回数も違います。そして、そのデータはリアルタイムで確認できるのです。ですから、ネット系広告の人たちはクリエイターも含めて成果に敏感なのです。成果のあがらない広告ではお金が稼げないのですから.....。

そのいっぽうで、トラディッショナルな広告業界で活躍し"先生"と呼ばれるようになった一部のクリエイターの人たちは、自身のアイディアが広告成果を上げるどころか、広告主から採用されず、世にも出ることも無いアイディアであっても、けっこうな報酬をもらっているわけです。
大手広告会社が弱小クリエイティブ会社のリスクを肩代わりする、と言う昔ながらの商習慣が、いまもなお引き継がれているのも事実でしょう。こうした一方で、実力や機会に恵まれず貧乏生活を余儀なくされているクリエイターもいらっしゃるわけで、ある意味で"成果主義"の弊害なのかも知れません。
けれども、日本の広告やクリエイティブ、ブランディングをリードするような"先生"たちまで、こんな甘い条件でピッチングに取り組んでいるのだとすると、先行きが暗い気持ちになってしまいました。既にがっぽり儲けたんだから、大きなピッチングに参加するときくらい、ハングリーな精神で取り組んでほしい、と思ってしまいました。広告は成果があがってナンボでしょう。





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Last updated  2007.04.26 15:35:05
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