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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

2008.04.03
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「来月からガソリンが値上がりします!!今すぐ、満タンにしておきましょう。」
そんなケータイ・メール(ショートメール)が北京の自家用車所有者に送りつけられてきたそうです。
日本では暫定税率の一時撤廃を見込んで、早くも4月1日からガソリンの値下げに踏み切ったガソリン・スタンドに車列ができたそうですが、中国・北京でも翌月からの値上げに対抗しようと、ガソリン・スタンドに車列ができたそうです。

実はこのケータイ・メールが一種の"囮広告"であったことが判明しました。
ガソリンに含まれる鉛など成分の規制が厳格になるため、在庫を早々に売り切ってしまおうと考えた石油会社の策略だったのです。
中国でもケータイのダイレクト・メールにはイカガワしいものが多いので、中国の人たちは安易に信じたりしません。ところが、このメールは多くの人が信じてしまいました。なぜなら、発信元が100番から始まるケータイ・キャリア(=通信会社。日本ならDocomoやauやSoftbank)だったことと、メッセージの最後に大手石油会社の社名まで入っていたからです。

この"囮広告"は2つの点から"効果的な"マーケティング手法だったといえます。
まず、北京に住む自家用車所有者に絞り込んでダイレクト・メールを送ったということ。つまり、ガソリンが必要な消費者だけに照準を合わせた高度なターゲット・マーケティングだったと言えます。
次に、ケータイ・キャリアがそのダイレクト・メールの発信元だったということ。スパム・メールが氾濫する中、疑わしい発信元からのメールであれば、フィルタリングに引っかかって受信すら拒否できるとか、仮に受信しても開かない(読まない)でゴミ箱行きとかできちゃうわけですが、さすがに100番(ケータイ・キャリア)が発信元だと何か重要な通知かと思って、多くの受信者が開いてしまうことになります。つまり"開封率"が極めて高いダイレクト・メールだったわけです。
見込み客をできる限り絞り込んで、見られる可能性の高いメッセージを届けることこそ、究極のマーケティング・コミュニケーションと言えます。

なぜこんなことができるか、結論から申しあげれば、ケータイ・キャリアが莫大な個人情報を集めていて、それを一部のケータイ・ダイレクト・メールの広告会社が利用できているからなのです。
さすが情報管理と統制と個人の行動に目を光らせている中国だけあって、ケータイ・キャリアは契約者の氏名や住所のみならず、多くの情報を収集し管理しているようです。自家用車所有者ならば、例えばベンツを購入した、というような情報まで握っているようです。もちろん、性別や収入、学歴、趣味や嗜好性などの情報まで管理しちゃっている様子です。きっと通話を盗聴したり、メールやケータイ・サイトへの訪問利益を分析しているのでしょうね....。もちろん、ケータイ・キャリアを後から操っているのは中国の政府当局であることは言うまでもありませんけど。

3月15日(かつては3月8日だったのですが...)は中国の「消費者の日(消費者権益日)」です。
消費者保護の観点から、メディアが様々な特集を組みますから、日頃後ろめたいことをしている企業は恐々諤々としてこの日を迎えるわけです。いわゆる"偽装食品"や"品質不備"はこの日に叩かれるべき事象なのですが、日中関係がよろしくないときには、日本ブランドが批判の矢面に立たされたりしていました。
ことしの「消費者の日」の"告発"番組の目玉は、CCTV(2チャンネル)が放送した"個人情報"に関する特集でした。

エレベータ・ホールのディスプレイ広告から成長し、いまや中国トップのオンライン・エージェンシーをはじめ多数のメディア企業を傘下におさめるNASDAQ上場企業"FOCUS Media(分衆伝媒)"の子会社であるFOCUS Mobile(分衆無線)と言う広告会社が、中国のモバイルユーザー5億人のほぼ半数に関する様々な個人情報を利用してケータイ・ダイレクト・メールのビジネスをしている、と暴露したのです。
その個人情報たるや、保険や金融商品の購入履歴、銀行の預金残高、住居のレベル(持ち家なら高級マンションなのかどうか)などまで含まれていたのです。
FOCUS Mobile(分衆無線)はこうした個人情報を"売り"にして広告主を集めており、幹部社員が広告主に売り込んでいる様子を、生々しく隠し撮りされてしまい、CCTVで曝されてしまったわけです。

このスキャンダルは、「短信門事件」("短信"はショートメールのこと。中国では"活力門事件"を呼ばれたライブドア事件に引っ掛けた感じです)として他のメディアやネットを通じて中国じゅうに広がりましたが、さすが中国のお国柄、そうした個人情報がどのように収集され管理されているのか、についてはほとんどスルー。そうした個人情報をビジネスに利用したFOCUS Mobile(分衆無線)と、片棒を担いだとみられたケータイ・キャリアに非難が集中したのです。
特にメディアと広告ビジネスで"一人勝ち"状態のFOCUS Mediaは批判の矢面に立たされ、グループ・トップの江南春が謝罪声明を出すまでに至ったのです。今後はユーザーの事前承認を得たPermission Mailのみのビジネスにすると明言しましたが、果たしていかがなものでしょうか....。
ちなみに、ネットのBBSなどに書き込まれたFOCUS Mediaに対する非難コメントは、キレイに削除されたり、或いは擁護のコメントによって薄められたりしたことは、言うまでもありません。

元来、中国では個人情報に対する意識が極めて低く、同僚の給料から家の間取りまであっという間に筒抜けになるのが当たり前、と言う雰囲気でした。そのくらい口が軽い、というか情報管理の意識が浸透していなかったのです。
まして当局が様々な手段で個人情報を収集している、と言う暗黙の了解と諦めがあるので、秘密の情報が公然と曝されなければ良し、と考えている人も多いようです。

とは言え、最近ではこうした(たぶん当局が"治安維持"のために収集している)
個人情報がビジネスに流用されるようになると、中国人民の不満も抑えきれなくなっていくでしょう。
そこで、ようやく中国でもオンライン(ネット上)での個人情報などを保護するための「オンライン商業データ保護規定」を6月施行に向けて、準備しているようです。それにしても、"商業"って入っているところが中国っぽいですね。






Last updated  2008.04.03 11:25:42
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