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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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ブランディング・マーケティング

2009.11.27
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仕事ネタの流用で恐縮ですが、面白いと思ったので載せてみます。
以下は、DCCI(Data Center of China Internet)が、2009年6月までに中国全土約9万人の調査対象者に実施したインターネット調査の結果を、各商品のカテゴリーごとに、現在の所有状況、所有者の満足度、半年以内に購入意向がある人が購入しようと考えているブランドを数値化して並べたものです。

私も日本人なので中国でも日本ブランドに頑張ってもらいたいと思って、日々仕事に励んでいるつもりですが、苦戦を強いられています。その中にあって大健闘しているのが、デジタルカメラですね。
購入意向のトップ10ブランドのうち、6つが日本ブランドです。所有者の満足度もトップ5まで日本ブランドが独占しています。

[デジタルカメラの購入意向ランキング]
1位:Canon (所有シェア:2位/満足度:1位)
2位:Sony (所有シェア:1位/満足度:2位)
3位:Nikon (所有シェア:4位/満足度:3位)
4位:Samsung (所有シェア:3位/満足度:8位)
5位:Aigo (所有シェア:10位/満足度:7位)
6位:Olympus (所有シェア:5位/満足度:5位)
7位:Panasonic (所有シェア:6位/満足度:4位)
8位:Kodak (所有シェア:7位/満足度:9位)
9位:Fujifilm (所有シェア:8位/満足度:10位)
10位:Benq (所有シェア:圏外/満足度:圏外)
※所有シェア8位Casio

そのいっぽうで、携帯電話はほぼ全滅と言う状況です。トップ10にSony Ericssonが入っていますが、Ericsson色が強くて日本ブランドと意識している中国の消費者は少ないのではないでしょうか。

[携帯電話の購入意向ランキング]
1位:NOKIA (所有シェア:1位/満足度:1位)
2位:Samsung (所有シェア:2位/満足度:5位)
3位:Sony Ericsson (所有シェア:4位/満足度:4位)
4位:Dopod (所有シェア:6位/満足度:3位)
5位:Motolora (所有シェア:3位/満足度:6位)
6位:Apple (所有シェア:圏外/満足度:2位)
7位:LG (所有シェア:7位/満足度:8位)
8位:BlackBerry (所有シェア:圏外/満足度:圏外)
9位:Lenovo (所有シェア:5位/満足度:7位)
10位:Philips(所有シェア:圏外/満足度:4位)

文系あたまの私には、デジカメもケータイも技術的には似たような仕組みにしか思えないのに、なぜこのような違いが生じたのでしょうか。モジュラー型製品ではあっても、DVDプレイヤーのようにコモデティ化してコスト競争で中国企業に太刀打ちできなかったようなタイプのものではないですから。

デジタルカメラは、USBで繋ごうがSDカードを使おうが撮影という基本機能においてはスタンドアロンなのに対し、携帯電話はネットワークに繋がることこそ基本機能だ、と言う違いが引き起こした悲劇なのでしょうね。端末の良し悪しに関わらず、プラットフォームリーダーになれなかった日本の携帯電話のシステムが、国際競争力を著しく失わせてしまったのでしょう。いっぽうのデジカメは、例えばキレイに写すためのレンズの工夫など日本の職人芸が評価される、感性的要素が携帯電話より強いのかも知れません。
総務省(旧郵政省)なのか経済産業省(旧通産省)なのかキノコの通信会社なのか分かりませんが、お陰さまで日本の携帯電話は酷いことになってしまったようです。

参考までに、化粧品の所有率シェアも載せておきます。価格帯やメイクアップとかスキンケアとか区別せずに化粧品ブランドとして調査しているので、少しチグハグな感じはしますが、、欧米系ブランドが圧倒的な人気であることが分かります。
驚きは、日本のDHCが所有者満足度でNo.1に輝いたことです。資生堂も満足度では第3位に入っています。

[化粧品の購入意向ランキング]
1位:L'oreal (所有シェア:1位/満足度:10位)
2位:Olay=P&Gの中国向けブランド (所有シェア:2位/満足度:9位)
3位:Lancome (所有シェア:圏外/満足度:4位)
4位:Maybelline (所有シェア:7位/満足度:圏外)
5位:Mary Kay=アメリカの直販コスメ (所有シェア:5位/満足度:圏外)
6位:Amways (所有シェア:6位/満足度:圏外)
7位:Avon (所有シェア:3位/満足度:圏外)
8位:DHC (所有シェア:圏外/満足度:1位)
9位:Nivea (所有シェア:4位/満足度:圏外)
10位:Shiseido (所有シェア:圏外/満足度:3位)
※所有シェア8位Mentholatun(満足度:6位)






Last updated  2009.11.27 18:57:12
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2007.04.25
以前身を置いていたトラディッショナルな広告会社の人たちと食事をしました。
とある大型広告主の中長期の広告扱いを決めるピッチング(複数の広告会社によるプレゼンテーション)の話題になったのですが、その準備のために田舎にお家を買える位のお金がかかったらしいのです。もちろん、その広告主の仕事が獲れれば年間数十億円の売上になるわけですから、投資と言うか開発費みたいなものです。その代わり、その広告主の仕事がよその広告会社に持って行かれれば、プレゼンテーションに費やしたお金は無駄になってしまうわけです。

広告会社がピッチングの準備のためにかける費用の大半は、外部の著名なクリエイターやブランディングなどのコンサルタントやアドバイスをしてくれる"先生"やそうした会社に支払われます。特に大きなピッチングの場合、広告会社内部だけでは智恵も足りないし、広告主企業に対するインパクトも小さいので、外部の"先生"などを担ぎ出して共同作業で準備をしたりします。
私が駆け出しの頃は、コピーライターが持てはやされていて、広告会社による"取り合い合戦"が繰り広げられたりしていましたが、いまは実績あるクリエイターが独立してつくったクリエイティブ・エージェンシーとかブランド・コンサルタントなどの協力を得て(実質的には、ほとんどの準備作業をこうしたところで行い、広告会社はちょっかい出すくらいの場合もあるのですが)、プレゼンテーションの準備を行うわけです。そして、こうした会社や"先生"個人に支払う報酬がプレゼンテーション準備費用の大半を占めたりるすのです。

日本で大きなピッチングがあると、D-H-Aという広告会社上位3社はたいてい参加します。以前なら、プランやアイディアが採用されなくとも、ピッチングに参加すると"参加賞"として、メディア扱いの一部を分けてもらえたりしていたものですが、最近はピッチングで選ばれた1社だけに、すべての業務を依頼する傾向が強くなりました。ですから、ピッチングで敗北し広告を受注できなかった広告会社は、プレゼンテーションの準備費用を回収できません。

そして、自分が準備に協力した(或いはアイディアや戦略を提供した)広告会社がピッチングに敗れたとしても、クリエイティブ・エージェンーやブランド・コンサルタントなどの"先生"は広告会社に請求書を突きつけて、多額の報酬を得る場合がほとんどです。
つまり、自分(たち)のクリエイティブのアイディアやブランド/マーケティングのストラトジーが広告主に採用されようがされまいが、多くの"先生"たちはしっかりと報酬をゲットするのです(もちろん、採用された場合のほうが大きなビジネスになるわけですが....)。

日本でも"成果主義"が徐々に浸透してきました。企業の人件費カットなどに悪用されるケースも多々ありますが、よい結果を出せば良い報酬が得られる、と言うのは人類のモチベーションに欠かせない鉄則でもあります。中国のセールス職は100%歩合制だったりします。

ネット・メディアの台頭によって、広告効果が明確になり、広告やブランディングの世界でも"成果主義"が潮流になってきました。
かつては、15秒CM1本いくら、と言う丼勘定が、視聴率1%を獲得するのにいくら、と言う取引になり、バナー広告を1回見てもらったらいくら(Cost Per View)からバナー広告をクリックして自社サイトまで誘導してくれたらいくら(Cost Per Click)に進化し、更にはネット上の広告からモノがいくら売れたらいくら(Cost Per Acquisition)と言う料金制度が浸透しているわけです。
この「楽天広場」のアフィリエイトにしても、ブログをみてもらっただけでは一銭にもならず、商品やサービスを購入してもらって初めてポイントになるんですよね.....。

欧米の広告主はもともと広告効果にシビアでした。効果的にメディア予算を配分するためにメディア・プランが進化しました。成果のあがらないメディアには広告が寄り付きません。クリエイティブ(広告表現)もそうです。
これはネット・メディアで明確に数値化されます。同じ広告主が同じポータルサイトの同じポジションに同じサイズのバナー広告を掲出しても、広告表現が異なればクリックされる回数も違います。そして、そのデータはリアルタイムで確認できるのです。ですから、ネット系広告の人たちはクリエイターも含めて成果に敏感なのです。成果のあがらない広告ではお金が稼げないのですから.....。

そのいっぽうで、トラディッショナルな広告業界で活躍し"先生"と呼ばれるようになった一部のクリエイターの人たちは、自身のアイディアが広告成果を上げるどころか、広告主から採用されず、世にも出ることも無いアイディアであっても、けっこうな報酬をもらっているわけです。
大手広告会社が弱小クリエイティブ会社のリスクを肩代わりする、と言う昔ながらの商習慣が、いまもなお引き継がれているのも事実でしょう。こうした一方で、実力や機会に恵まれず貧乏生活を余儀なくされているクリエイターもいらっしゃるわけで、ある意味で"成果主義"の弊害なのかも知れません。
けれども、日本の広告やクリエイティブ、ブランディングをリードするような"先生"たちまで、こんな甘い条件でピッチングに取り組んでいるのだとすると、先行きが暗い気持ちになってしまいました。既にがっぽり儲けたんだから、大きなピッチングに参加するときくらい、ハングリーな精神で取り組んでほしい、と思ってしまいました。広告は成果があがってナンボでしょう。






Last updated  2007.04.26 15:35:05
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2006.11.12
日本のテレビCMは15秒が基本になっています。番組の中で放送CMは30秒が多いのですが、番組と番組の間に放送される"スポット"と呼ばれるCMはほとんどが15秒です。放送時間帯に柔軟性のある"スポット"のほうが回数も多くなり易いので、CMのクリエイターは15秒を基本にアイディアを考えることが多いのです。
中国では15秒CMは日本ほど多くありません。5秒、15秒、30秒、60秒といろんな長さのテレビCMが放送されています。特に5秒や30秒のCMが日本と比較すると多く放送されています。ゴールデンタイムでも放送される欧米系のブランドを中心にした60秒CMは見応えがありますが、ブランドや企業の名前を叫ぶだけの5秒CMが立て続けに何本も続くと、ウンザリしちゃいます。

だからなのでしょうか?
なんと、中国中央電視台(CCTV)が、7.5秒のテレビCMを導入することになったです。60秒(1分)を半分にして30秒、また半分にして15秒、それをまた半分にして7.5秒と言うわけです....。はたまた、15秒を3等分してセールスするより、半分にしたほうが手間がかからないのでしょうか?儲かるからでしょうか?

7.5秒のCMを採用するのは、CCTV-1チャンネルで毎日午後7時から放送されるニュース番組『新聞聯播』の直後の広告枠で、レギュラーのテレビCM枠としては中国で最も高い時間帯です。この広告枠には"定価"が設定されておらず、11月18日にオークションが開かれ、最も高い金額で入札した企業が放送する権利を獲得すると言う仕組みです(厳密には、曜日や期間、CM枠内での放送順など、様々なパラメータが加わって競札にかけられるのですが)。
CCTVのウエブサイトではこの7.5秒CMを"自画自賛"して売り込みに賢明なご様子です。

『7.5秒テレビCMは、中国のテレビ広告のレギュラー・フォーマットになるだろう!!』
7.5秒テレビ広告枠は、市場環境、広告主の需要、さらに視聴者も含め、広範囲にフィージビリティ・スタディを行った結果、誕生したのです。7.5秒テレビCMこそ、中国のテレビ広告のレギュラー・フォーマットとなり、テレビ広告の歴史に新たな1ページを刻むことになるでしょう。
『7.5秒:ブランド時代のテレビ広告のフォーマット』
5秒のテレビスポットは、中国のテレビ広告の中において、ブランディングの補完という重要な役割を演じてきました。しかし、メディア環境が変化し、情報の量的激増と分散化が進む中で、広告メッセージ伝達の最適化を目指した場合、5秒スポットは7.5秒に取って代わられるでしょう。7.5秒スポットこそ、広告フォーマットの多様化に拍車をかけるのです!!
単独利用---5秒よりもオーディエンスの認知と記憶は高まるはずですし、クリエイティブのアイディアも広がるでしょう。
コンビネーションでの利用---15秒スポットや30秒や60秒の長尺CMと組み合わせて利用する方法。7.5秒はゴールデンタイムなどで利用し、告知的機能に絞り、他の時間帯の長尺CMを放送します。5秒CMが守備的だとすると、7.5秒CMは攻撃的と言えるでしょう。7.5秒をティーザー(キーメッセージを隠した予告広告)に利用し、長尺CMに期待を集めさせるのも面白いでしょう。とにかく、クリエイティブのアイディア次第です。
CCTVはテレビ局なので、テレビ以外のメディアと併用しましょうなんて言えないとは思いますが、インターネット経由で、より詳細な情報やメッセージを獲得したり、ブランドの擬似体験が可能になった現在の環境において、テレビ広告の果たす役割も変化しています。オーディエンスの細分化が苦手なテレビ広告を"メッセージのばら撒き役"として機能させるとするなら、頻度(広告の放送回数)を稼ぐことが必要でしょう。広くばら撒くコミュニケーションですから、ほんとうに届いて欲しいオーディエンスに的中させるためには、頻度が必要なのです。いっぽう、インターネットではテレビよりも深いコミュニケーションが可能ですし、コストも安くつくはずなので、メッセージ量やコミュニケーションの深さは、インターネットに任せてしまえば良いわけです。こうしたメディア・ミックスにおいて、コストパフォーマンスを考慮すれば、15秒や30秒のテレビ広告ではなくて、5秒とか7.5秒といった短時間のテレビ広告でも構わないはずです。
つまり、オーディエンスのアテンションを引くようなキーワードを埋め込んだ5秒や7.5秒のテレビ広告で頻繁に放送し、そのキーワードに関心を持ったオーディエンスがググるなどしてインターネットでより多くのメッセージを得ると手法ならば、30秒CMを1回やるより、15秒CMを2回やるより、7.5秒CMを4回或いは5秒CMを6回放送したほうが、パフォーマンスに優れているはずです。
でも、それだったら5秒CMでいいんじゃないの?わざわざ7.5秒の広告枠なんか設けなくとも....。と言う疑問に対しても、一応CCTVは答えています。

『7.5秒テレビスポットは、パフォーマンスが優れている!!』
最新の脳神経化学の研究によると、記憶すべき事象が発生して7~8秒後に、大脳の血流と酸素量のシグナルは最大限に上昇します。また北京師範大学心理学院の研究者によると、最良の広告効果を得られる最短時間は7~8秒とのこと。短期的な記憶に留めるべき事象は、発生と同時に忘却が開始されますが、6~9秒あたりからは安定していきます。
CCTVのサイトでは、血流と酸素量や忘却曲線のグラフまで持ち出して、5秒スポットよりも7.5秒スポットのほうが効果的であることを主張しています。
広告効果や効率については様々な数値や指標で測れるようになりました。テレビ広告では視聴率や放送回数をパフォーマンスの指標としてプランニングや事後評価に利用します。ところが、CMの秒数(長さ)と効果や効率の関係にはいまだに定説が存在せず、広告料金と直接関係する要素でありながら、科学的な分析と議論を避ける傾向にすらありました。この問題を単純化するなら、「30秒CMは15秒CMの2倍効果があるか?」ということです。これは新聞広告などにも言えるわけで、例えば全頁広告が全5段(1/3頁)広告の3倍以上の効果があるのか定説がありません。広告効果と広告料金が合理的に符合しなければ納得してもらえない現在の広告環境において、媒体社や広告会社にとって不都合な議論でもあるからです。
この場合、7.5秒スポットの効果が5秒スポットの1.5倍以上で、料金が1.5倍未満であるなら、広告主にとってパフォーマンスが優れている、と言えるのでしょうが、実証するのが難しいでしょう。そもそも、テレビCMの効果は秒数よりもクリエイティブにより依存する、と言われたりするわけで、クリエイターのご意見も参考にしなければなりません。というわけで、欧米系広告プロダクションのクリエイティブ・ディレクターが7.5秒広告を一応賞賛する意見をCCTVのサイトに寄稿しています。タイトルの『ほんとに不思議な7.5秒』というタイトルには、戸惑いの様子も感じますけど....。
私たちクリエイターにとって60秒が理想的な長さで、30秒は標準的、15秒が何とか受け容れられる長さで、5秒だと感動をクリエイトすることはできません。でもテレビCMの短時間化とローコスト化は時代の流れでもあり、最近のカンヌ(広告フェスティバル)でゴールド(金賞)を獲得したテレビCMの大部分が短尺(15秒)の作品になっています。例えば、北京オリンピックのスポンサーである『青島ビール』が、アーチェリー、陸上競技、バスケットの3種目を使って20秒のテレビCMを用意するくらいなら、「酔う」という一語にメッセージを集約させて7.5秒のCMにしたほうがインパクトが強まるかも知れません。
7.5秒は5秒と比較してより多くのクリエイティブなスペースがあるし、10秒と比較すると鋭いし力がこもる感じがします。7.5秒であっても、様々なクリエイティブの手法が利用できるはずです。ブランドや商品中心の訴求ももちろん有りですが、ストーリーもつくれますし、ユーモアがあるのも、オーディエンスに考え込ませることも可能です。ローコストになるとは言いたくないけどね.。

確かに5秒だと、企業名かブランド名か商品名のいずれかと、タグライン(企業やブランドの端的な説明文)くらいしか入りませんが、7.5秒だとちょっとした工夫ができそうな感じがします。いま流行りの広告主サイト誘導型のテレビCMにも効果的に利用できるかもしれません。
そして、何よりもロゴのCGと企業名かブランド名だけの耳障りな5秒CMが中国のテレビから減ると言うことは、オーディエンスにとって歓迎すべきことかもしれません。






Last updated  2006.11.12 20:27:12
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2006.10.30
先日、中国のテレビドラマ業界の実力者が日本に売り込みにやってきました。日本のテレビ・ドラマを含む映像コンテンツ業界の皆さんを前に、中国のテレビ・ドラマの状況などを話してくれました。中国に居た頃は当たり前だと思っていたお話も、日本に住んでしまうと新鮮に思えてしまいます。

中国におけるテレビ番組の視聴傾向を、マス(数量)的に述べてしまえば、(1)ニュース・報道番組 (2)連続ドラマ (3)エンタテインメント(主として視聴者参加型) (4)スポーツ中継 (5)ドキュメンタリー (6)インタビューもの の順で人気が高い(=視聴率を稼いでいる)ということになります。
2005年に中国で放映された新作テレビドラマは約1万2,000話。1日あたり約33話という計算になります。仮に日本でNHK総合と民放5ネットの6チャンネルが毎日20時から23時までの3時間に54分ドラマを3話ずつ放送したとしても、1日18話で年間で6,570話になります。日本では、実際はバラエティ番組や報道番組もたくさんありますから、年間1万2,000話という新作ドラマのが如何に多いかお分かりいただけると思います。

その中国のテレビドラマ業界の第一人者が暴露してしまいました。
「テレビドラマ視聴者層の中心は35歳以上の女性(主婦)です。高学歴でも無ければ"小金持ち層"でも無い人たちなのです。」
なぜこうした発言が飛び出したのかについては、次回のエントリーにでも譲ることにしますが、これはデータでも裏付けられています。確かに連続ドラマは全体として高い視聴率をとっています。ところが、20代で大卒以上で月収4,000RMB以上でなどと対象を絞り込んでいくと、連続ドラマの視聴率は決して高くないことが分かります。

中国でテレビCMをたくさん流している、日本ブランド商品といえば、自動車、電気製品(家電も情報機器も含む)、次いでトイレタリー、食品です。前二者は都市部を中心とした"小金持ち"若者が購入層の中心です。また、一般にはcommodity(日用品)とされる後二者ではありますが、トイレ掃除の洗剤や牛乳や納豆のテレビCMを行っている日本ブランドはありません。トイレタリーなら都会の"小金持ち"をターゲットにした高級シャンプー、食品なら主婦ではなく若者をターゲットにしたペットボトルの飲み物などです。
つまり、中国でマーケティング・コストをたくさん出している日本ブランドの商品とは、中国の連続ドラマを見る人たちが購入するような商品ではないということです。

多くの広告関係者はこのことに気づき、テレビCMの放映時間を連続ドラマからニュース・報道番組やエンタテインメント番組、スポーツ番組などにに移動するようになりました。
ところが、最もテレビCMを視てもらいたい層(ほとんどの日本ブランドの場合、20代の"小金持ち層")は、テレビそのものを視ていないようなのです。

中国のテレビドラマのプロデューサー氏はまたも正直に暴露してくれました。「(都市部に住む)高学歴、ホワイトカラーのテレビ視聴時間はどんどん少なくなっています。」仕事を終えて、同僚や友人と食事或いはお酒を飲み、帰宅は21時か22時、帰宅後はネットで情報チェック。週末など時間にゆとりがある時は、海賊版のDVDかネットで映画を楽しむ....。と言う感じの生活をしている人たちが非常に多いので、テレビCMはほとんど効きめ無しなのです。

こうした状況を、中国の現地でマーケティング活動に関わる皆さんの多くは実感されているのですが、はっきりと「テレビ広告はほとんど効きませんよ」とは言いにくかったわけです。多くの広告会社はテレビCMを進めたほうが利鞘が大きいわけですし、広告主企業の担当者の多くはテレビCMが他のビークルより準備作業がシンプルで、失敗がばれるリスクが小さいと考えているからです(これは日本国内と同じ状況です)。

でも先日、中国のテレビ業界の大物の方までがはっきりおっしゃったのです。
中国で、クルマやデジカメやフラットテレビやノートパソコンや機能性シャンプーや高級スキンケアなどを売ろうと考えている日本企業の皆さん、テレビ広告はほとんど効きめが無いかもしれませんよ。

最近は日本でもテレビCMの効果について議論がなされつつありますが、まあ、中国の状況のほうがもっとわかり易いと思います。テレビってどういうメディアなのか....。次回はコンテンツ篇を予定しています。






Last updated  2006.10.30 11:28:58
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2006.10.05
すっかり騙されてしまいました。
中国の[女圭]哈哈(Wahaha)という大手食品メーカーがこの6月頃、中国国内市場向けに発売を始めた『コーヒー・コーラ(珈琲可楽・Coffee Cola)』のお話です。
コーヒーっぽい味のするコーラです。これは、いかにも中国っぽい怪しげな商品だと思い、7月30日の「ぺきん日記」というブログにも書かせていただきました。北京のスーパーなどではエンドに対象にディスプレイされていて、初夏にたくさんの新商品が発売されては、数ヶ月で消えていくという中国のペットボトル飲料市場において、今シーズンのヒット商品だったと言えるでしょう。

[女圭]哈哈(Wa Ha Ha)は、フランスの大手食品メーカー「ダノン」などの出資も受け入れていますが、1998年には「中国人のためのコーラ」と称して『非常可楽(Feichang Cola)』を発売し、ナショナリズムに訴えたマーケティング展開をしてきました(表向きは....)。そんなこともあって、『コーヒー・コーラ」』こそはきっとオリジナルなのかなぁと思っておりました。

ところが、中国オリジナルと謳いつつ『コカ・コーラ』そっくりな『非常可楽(Feichang Cola)』に続いて、『コーヒー・コーラ」』も"パクり商品"だという疑惑が極めて高くなりました。
クールなウェブ・キャンペーンを探していたら、『Coca-Cola Blak』なるサイトに遭遇しました。ボトルのデザイン、特にテクスチャーのパターンとカラリングなんかは、『コーヒー・コーラ」』とほぼそっくり。もちろん、コーヒー・フレイバーのコカコーラです。なんとこの『Coca-Cola Blak』、ことしの4月下旬にはアメリカで発売を開始していたようです(コカコーラ社のプレスリリース)
更に調べてみると、昨年2005年末には発売がアナウンスされ、2006年1月にフランスで先行発売されていたことも分かりました(「コーラ白書」/2005年12月9日)。「コーラ白書」などによると、世界的にはペプシに追い込まれているコカコーラ社が若者向けの起爆剤として、またラインナップの強化として発売を決めたそうですが、コーヒー風味のコーラは過去にもコカコーラ社以外で発売されたことがあったようです。ですから、『Coca-Cola Blak』自体がパクり商品とも言えなくも無さそうですが....。

ともあれ、ペットボトルのパッケージデザインを見る限り、Wahahaの『コーヒー・コーラ』はコカコーラ社の『Coca-Cola Blak』のコピー商品としか言いようが無い感じです。限りなく黒に近いと言ってよろしいでしょう。
前述しましたが、[女圭]哈哈(Wahaha)は中国の人たちの民族意識に訴えるマーケティングを行い伸びてきました。『非常可楽(Feichang Cola)』を発売するときは、強力なグローバル・ブランドである『コカコーラ』との対決姿勢を明確に打ち出していたはずです((Wahaha ウェブサイトの沿革を参照)。それなのに、ライバルとして戦いを挑んだはずのコカコーラ社の新商品をほぼ丸ごとパクっていたとは、何とも情けない民族のホコリと言えるのではないでしょうか....。
コーヒー・コーラ


とは言え、見過ごせないのはこのスピード感。"パクり"と言えば、フツーは外国など他地域のマーケットである程度成功したモノを真似る、と言うのが私などの感覚です。逆の言い方をすれば、外国で流行しているものを真似るからこそ、"パクり"だとバレてしまうわけです。
インターネットをはじめとする様々なメディアを通じて外国からの情報がほとんどタイムギャップ無しで伝わってくる、いまの中国ではありますが、フランスで発売されて数ヶ月後、本土アメリカで発売されるとほぼ同時くらいに商品化されたのですから、『コーヒー・コーラ』が『Coca-Cola Blak』のコピー商品であると気づいた方は、ごく少数だったのでは無いかと思います。少なくとも私は、きのう『Coca-Cola Blak』のウェブサイトを発見するまではWahahaのオリジナル商品だと思っていました。

封切映画の海賊版DVDなども、非常に早いタイミングで市場に出回っています。配給会社がその映画のプロモーションをしている最中に、海賊版DVDを世に出せば、正規版プロモーションに便乗して売上を伸ばすことも出来るのでしょう(いっぽうで、海賊版DVDが出回ることが映画本体のプロモーションに一役買っているという観方もできなくはありません)。日本のテレビドラマやアニメも、放映1週間後くらいには中国のウェブサイトで無料で見ることが出来たりします。ちゃんと中国語で字幕までつけているわけですから、ホントにたいしたものだと感心してしまいます。
『コーヒー・コーラ』が先に出たことによって、コカコーラ社は中国市場で『Coca-Cola Blak』を出しにくくなったでしょう。きっと法的な対応など準備をしている間に、『コーヒー・コーラ』のほうが話題になってしまった、と言う状況ではないでしょうか。

トップダウンやコンパクトな組織だからこそ為せる業ではないかと思いますが、汚い技でも先手必勝なのでしょう。"パクり"は別としても、こうした中国の"スピード感"について、日本企業はまだまだ学ぶべき点が多いように思えます。






Last updated  2006.10.05 19:01:06
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2006.08.11
北京でコンサルタント会社を起業されている平田総経理さんのブログに、2005年の一年間に北京市と上海市を訪れた外国人の数に関する興味深いデータが紹介されていましたので、引用させたいただきます。
 北京市上海市
日本人450,020人1,089,672人
アメリカ人465,301人 451,543人
韓国人 453,479人422,641人

このデータによると、2005年に上海市を訪れた日本人の数は、北京市の2倍以上でした。
また、北京市には、日本人もアメリカ人も韓国人も同じくらいの人数が訪れましたが、上海市には、日本人がアメリカ人や韓国人の2倍以上も多く訪れた、と言うこともわかります。
平田総経理さんによると、このデータの出典はそれぞれ北京旅游局、上海市旅游事業管理委員会とのことです。それぞれの市を訪れた外国人の統計ですから、出張者も旅行者も含まれています。ちなみに、日系航空会社の方からお聞きした話ですと、東京-北京便の場合、ビジネス客と観光客の比率は4:6、東京-上海便の場合、6:4くらいだそうです(中国系航空会社の場合は、観光客の比率が増えるそうです)。

2005年10月時点のこの二都市に居住(在留)している日本人の数は、外務省の発表によると、上海市が40,264人、北京市が10,890人で、2倍どころか4倍です。この統計は在留届の提出者が対象で、私の周りの駐在員ですら多くの方が在留届を提出していない感じなので、実際の長期滞在者は二都市ともこのデータの2~3倍になるのではないか、と思います。

これらデータから推察できるのは、日本人はビジネスも観光旅行も上海中心ということ。日本人にとって中国と言えば上海なのです。
以前このブログでも取り上げたことがありますが、コンシュマー向け製品やサービスを提供する日系企業の多くは、"中国進出=上海進出"のように考えています。"=(イコール)"でなくとも、中国の巨大なマーケットに挑むためには、まず上海を制する、と言うお考えで臨んでいる日系企業が大多数では無いでしょうか。
いっぽう北京はビジネスに関して、例えば許認可などの交渉を中国当局と行うためには重要な都市です。首都であり政治都市でもありますから、内外のメディアが集中するのも北京です。けれどもマーケットとして捉えた場合、日本企業や日本人にとっては難しい都市でもあるのです。ですから、多くの日系企業は上海でのロウンチが成功してから北京への進出を考えます。

観光はどうでしょう?
北京も上海も中国の長い歴史の中では新しい都市と言えますが、北京のほうがより古い歴史を持ちます。北京には万里の長城や故宮など6つもの世界遺産がありますが、上海及びその周辺にはユネスコの目録に登録された世界遺産はひとつもありません。一般的に考えると、"観光資源"は北京のほうが上海よりも豊富ではないかと思います。
しかし、有効な資料が見つからなかったのですが、上掲のデータや航空会社の方のお話を総合しますと、観光で訪れる日本人も、やはり北京よりは上海のほうが多いのでは無いかと思います。
私の実感ですが、北京の観光地では日本人と差ほど多く出会いません。また観光地やホテルなどで見かける日本人観光客の年齢層は比較的高い感じです。それに対して、家族連れの韓国人や白人バックパッカーの若者は良く見かけたりします。いっぽう上海はバンドや淮海路・南京路あたりでも、観光旅行と思しき日本人の若い人たちを良く見かけたりします。上海は、ちょいと異国情緒を感じさせるアーバン・スタイルのツアーを楽しむことができるので、日本の若者がたくさん訪れるのでしょう。日本語対応のホテルやレストランも上海のほうが北京より圧倒的に多いように思えます。

こうした「上海ブーム」は日本に限ったこと、と言えそうです。
日本のみならず、アメリカでもヨーロッパでも韓国でも中国への関心が高まっています。観光もそうでしょうが、やはりビジネス上の関心と関わりが強くなっているはずです。冒頭のデータに立ち戻ると、上海市を訪れる人数が北京市の2倍以上というのは日本だけです。アメリカ人は若干ですが北京市を訪れる人数のほうが上海市より多くなっています。韓国人の場合、地理的要因も考えられますが、やはり北京市を訪れる人数のほうが上海市より多いのです。
つまり、中国と経済的関わりの深い国の中で「上海ブーム」なのは日本だけ。アメリカや韓国は北京と上海はほぼ同等の扱いと言うことになります。

ビジネスについて考えてみると、アメリカのマーケット構造は中国のそれと比較的近いものがあります。所得格差や地域や人種(民族)による嗜好の相違が大きいのです。アメリカ系の企業にとって中国は、日本企業が思い悩むほど特殊なマーケットではないのです。ですから、"まずは上海"のようなことをあまり行いません。初めっから"中国全体"を見据えて乗り込む場合が多いのです。多くのアメリカ系企業は、上海市場を極端に重視するような戦略は取りません。

中国全体のビジネスを考えた場合、上海を極端なまでに重視する多くの日本企業の戦略が必ずしも成功するかどうか疑問です。日本企業が活躍できるのは上海とその周辺のエリアのみで、中国のほかの都市や地域はアメリカやヨーロッパの企業が牛耳ることになってしまう....。いつか、そんなときがやってくるかも知れません。
少なくとも都市部においては、地方であっても購買力はどんどん増しています。中国で企業活動する外資系企業は、13億人のマーケットは無理としても、5億、6億のマーケットで勝負するほうが魅力的だと思うのです。上海エリア、多く見積もって1億のマーケットに甘んじることになってしまっては、せっかくの苦労も水の泡。欧米や韓国企業に、上海以外の他のエリアを丸ごと持って行かれてしまうでしょう。もう既に、そんな雰囲気すら漂っていますが....。

日本だけの「上海ブーム」。ちょっと考え直してみる必要があるのではないでしょうか....。






Last updated  2006.08.11 17:58:35
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2005.11.18
11月8日に日本の公正取引委員会が「広告業界の取引実態に関する調査報告書」を公表しました。もちろん、日本のお話です。
日本の広告業界は、取引の透明性が低く、公正な競争が行われにくい、と言う点で、世界的にも極めて異質です。ようやく公取も重い腰を上げ始めたのかなぁ、という感じです。私に言わせれば、日本の大衆メディアの報道の質の低さも、元を質せば日本の広告取引の異常さにあるのです。

その元凶はメディア取引でしょう。日本の広告会社の儲けはメディア取引の手数料が中心です。
この手数料はテレビ局など媒体社から広告会社がいただく仕組みになっています。原則的には、どの広告会社を経由してもメディア料金は同じなのですが、広告会社が媒体社から受け取る手数料のマージン率は広告会社によって違います。ですから媒体社からのマージン率の高い巨大広告会社が、手数料の一部を広告主に還元したとしても(つまり割り引き販売したとしても)、マージン率の低い中小の広告会社よりも儲けが大きかったりするのです。ですから、巨大広告会社はいつまでも安泰で居られるのです。しかも、広告主は広告会社が媒体社から受け取るマージン率がどれくらいなのか、ホントのところを知ることはできません。

しかも同じ広告枠であればどの広告主に対しても、媒体社の提示する広告料金が同じなのか、というとそうでもありません。
例えばキー局のゴールデンタイムのテレビドラマの30秒提供枠を、ある広告主は月1,500万円で購入しているのに、別の広告主は月2,000万円で売りつけている、などというケースもあるのです。
公取の報告書にもあるとおり、契約書を取り交わすなど取引の書面化が少なくて、何億円もの買い物を口頭で済ませるケースがまだ多いのですが、料金やマージン率の不透明さを表に出さないための防御策と言われても仕方がありません。

それでは中国じゃどうなんだ、ということになりますが、中国の広告メディア取引は欧米スタンダードに極めて近く、世界的にみて日本ほど異質な状況ではありません。
広告会社は媒体社から手数料をいただくのではなく、広告主からコミッションをいただくのが原則になっています。そもそも日本と異なり、ほとんどの媒体社は広告主と直接取引が可能なのです。ですから広告主はメディアの実際の料金をかなり正確に把握することができます。広告主が直接媒体社と取引しても、広告会社を通して広告枠を購入しても、媒体社に支払うべき広告料金は原則的には同じです。広告主は仲介する広告会社のサービス内容などによって、広告会社やコミッション(手数料)の割合を決めることができるのです。

中国における広告取引の透明性を際立たせるのは、なんと言っても「オークション」でしょう。広告価値が高くて、多くの広告主が欲しがる広告枠については、その広告料金を競争入札によって決定します。CCTV(中国中央電視台)はゴールデンタイムの広告枠をオークションで最も高く入札した広告主に販売します。きょう(11月16日)は来年の広告枠のオークションが盛大に行われているところです。
このシステムですと、成金のベンチャー企業がお金の力にモノを言わせて、2億人の中国人民が視聴しているといわれるCCTV 1チャンネルの19時台にテレビ広告を流すこともできるのです。実際に過去には、無名のトイレタリー会社が優良な広告枠を大量に落札して、広告の力によって著名ブランドへと育ったりしています。

話を日本に戻すと、ゴールデンタイムの人気番組の広告枠は既存広告主が最優先。新興企業が、「料金を2倍払うから」とオファーを出しても、広告枠を確保するのが困難な状況です。ベンチャー企業などが投資を集めても、優良な広告枠を購入できないのですから、これも大きな障壁といえましょう。
もちろん中国の広告取引にも不透明な部分は多々あります。このあたりお話は、また次の機会ということにしますが、日本の広告業界よりも広告主に有利な
競争原理が機能していることは事実だと思います。その分、広告会社にとっては厳しい環境ではありますが.....






Last updated  2005.11.18 13:22:21
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2005.11.16
中国都市部のテレビ広告料金は総じて高いと言われます。
テレビ広告の値段を比べる指標として、CPRP(Cost Per Rating Point)があります。その放映エリアにおいて1%の視聴率を獲得するための料金です。
でもこれでは、放映エリアの大きさ(そのチャンネルを視聴可能な人口など)がバラバラですから、国や地域別の比較ができません。
それを可能とする指標がCPM(Cost Per Mill, Cost Per Thousandとも言います)で、その広告を1,000人に視聴してもらうためにかかる費用です。これでも、日本と中国では現時点で経済力が違いますから、同じ1,000人でもモノが買える人がすべてなのか、そうでない人も含まれているのかで、実際の広告効果は違ってきます。
ですから、例えば日本の広告料金(効率)と比較するためには、その1,000人を個人月収1,000RMB以上などに限定して数値を出したりします。東京なら全住民の手に届く商品でも、北京だと個人月収1,000RMB未満の人たちには関係の無い商品の広告だったりしますから。
このようにしてテレビ広告の値段を比較すると、東京より北京のほうがはるかに高くつくことが分かります。

日本の広告主はテレビ広告の効果に期待します。日本ではテレビスポットの放映量と比例して、商品の売上が上がるようなケースもまだあるからです。でも私は、テレビ広告をあまりお勧めしません。予算や販売エリアが限られているクライアントには、OOHM(Out of Home Media)をお勧めしています。広告業界ではスグに横文字を使いたがるので、最近ではOOHMなどと言うようになりましたが、要は「屋外広告」です。

「屋外広告」と言えば、日本では真っ先に、ビルの屋上にあるネオン広告を思い浮かべてしまうでしょう。中国の大都市部では、バスストップや地下鉄ホーム周辺の広告ボードやラッピング・バス(バスの車体広告)がよく目に付きます。
そして、日本では一般的でないのが、「エレベータ広告」です。
高級オフィスビルやマンションのエレベータの”カゴ"の中にポスターを掲出する....こんな売込みがあったのは5年ほど前でした。ウチのローカル・スタッフは効果を疑いませんでしたが、中国都市部の生活者の日常に疎かった当時の私は懐疑的でした。
その後暫らくして、大きなビルの1階のエレベータホールに液晶モニタを設置して、そのモニタでテレビCMを放映する、と言う売込みがありました。
どちらもテレビ広告と比較すれば格段に安上がりなのですが、こんなゲリラ的な広告をしちゃうとブランド価値が下がるだろうと言う思い込みがあり、日本のクライアントにはお勧めしませんでした。
そのうち、エレベータの"カゴ"内のポスターやエレベータホールの液晶モニタがどんどん目に付くようになり、中国のトップブランドのみならず欧米系のケータイ端末やITサービスのトップブランドの広告なども目にするようになりました。

エレベータホールの液晶モニタを高価値メディアに育て上げたFOCUS Media(分衆伝媒)は、設立から半年後にはソフトバンクから多額の投資を受け、その後モニタの設置箇所をどんどん増やして、3年足らずでNASDAQに上場を果たしました。いまでは中国の50都市以上のオフィスビルに2万5,000台もの液晶モニタを設置して、広告メディアとして販売しています。
エレベータの"カゴ"内のポスター広告を早くから手がけたFramedia(框架媒介)も急成長を遂げ、最近FOCUS Mediaの傘下になり、この新興メディア・グループに、既存のテレビ局は脅威を抱いているとも言われるようになりました。

中国では高級なオフィスビルでも、エレベータの設置台数が少なかったり、制御システムの問題で待ち時間が長かったりします。1階のエレベータホールが人で溢れることもしばしばです。また、これは日本でもそうですが、エレベータの"カゴ"の中は何となく視線のやりどころに困ったりします。エレベータ広告は、こうした状況を捉えた画期的なメディアと言えます。
しかも、対象となるオフィスビルは20~30代の小金持ちが勤務したり商用で頻繁に出かけたりする場所です。若者の高所得者層に広告ターゲットを限定できるのです。

エレベータ広告は画期的なメディアではありますが、システムは極めてロウ・テク。液晶モニタで放映する広告素材はDVDに保存して、2万5,000箇所のモニタに人海戦術でセットします(NASDAQ上場でがっぽり資金調達できたので、近い将来ハイテク化するみたいですけど....)。"カゴ"内ポスターにしても、何万箇枚も人の手で張り替えているのですから、中国だからこそ可能だとも言えそうです。

欧米のトップブランドもエレベータ広告を利用するようになって、日本のクライアントに積極的にご紹介しているのですが、まだまだ熱心に検討してくださる企業は少ないようです。日本で生活してるとピンと来ないでしょうし、北京で生活していても、日本人があまり出入りしないようなオフィスビルやマンションに多く設置されていますから....。
日本人駐在員が暮らすような"超"高級マンションや一流日本企業が入居しているような"超"高級オフィスビルの多くには、こうしたエレベータ広告がほとんど設置されていないのです。






Last updated  2005.11.17 02:26:46
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2005.07.26
7月23日の北京はレアル・マドリッドの"サマーツアー"を象徴するような雨が降り続いていました。北京工人体育場で行われた中国サッカーリーグ甲Aのチーム「北京現代」とのエギジビジョン・ゲームには、それでも3万人以上(会場の7割方)のサッカーファンが詰め掛けていました。水はけの悪いピッチには大きな水溜りがいたるところにできてしまい、お目当てのベッカム(こちらでは"小貝"と呼ばれています)は遂に出場せず仕舞い。挙句の果てに「北京現代」にカモられ何とか辛勝という有様でした。

思えば中国に来る前には、アメリカの2都市でお金稼ぎをして、20日に北京に到着してからは、売れ行きの思わしくないチケットの直前プロモーションとして、プレス向けにデパートでお買い物をさせられたり、往復4時間かけ天津まで連れて行かれ"公開練習"をさせられたり、大したお金も支払わなかったスポンサー企業のために試合直前になって、仕切りの悪いパーティーに強制参加させられたり、選手にしてみれば、踏んだり蹴ったりでしたでしょう。
24日には日本に向かい、ヴェルディにも負けてしまいました。きょうは主要選手が六本木で映画のプレス発表に参加しているようですし、明日はジュビロとまた試合です。日本のあとは、タイ、サウジアラビアとツアーは続くようです。

まぁ、こうしたオフシーズンの"プロモーション活動"への参加が契約選手の義務になっているので、"公傷"でもしない限り欠席は認められません。でも、レアル・マドリッドは、こうした"サマーツアー"ができるからこそ、多額の資金を獲得して、一流の選手を揃えることもです。

特にレアル・マドリッドの場合は、アジア・マーケット、とりわけ中国市場を重視していました。2年前のベッカム獲得は、まさに日本と中国のマーケットを狙ったものでした。2年前にもレアル・マドリッドはアジア・ツアーを行いましたが、日本よりも中国のほうに"手応え"を感じたようです。
ちょうどSARS(新型肺炎)で盛り上がってた頃に、レアル・マドリッドの"北京公演"が決定しました。1ヶ月ほどの周知期間しか無かったにもかかわらず、中国のメディアは連日大きく取り上げ、スポンサーとチケットのセールスに貢献しました。雲南省のタバコ屋さんが推定2億円を支払い、冠スポンサーに名乗りを挙げ、"公開練習"を北京から2,000Km以上離れた雲南に持って行きました。ゲームの生中継を行うCCTV-2(CCTV-5と同時放送)の30秒の広告枠は300万円以上でも飛ぶように売れました。もちろんチケットも完売。レアル・マドリッドは中国で"大儲け"して、次の遠征の地、日本へと向かったのです....

ところが今年は4月の時点でチーム・プレジデントまで北京に招き、プレス・コンファレンスをしたにも拘らず、7月になっても冠スポンサーが見つかりませんでした。ほぼ同時期にマンチェスターがやってくることもあり、レアル・マドリッドの訪中を"商業主義"として批難する辛口の報道も多くありました。チケットの値付けも2年前より高飛車に出たためか、売れ行きもイマイチの状況でした。テレビ中継はスポーツ・チャンネルであるCCTV-5だけで、強気に出て前回以上の料金でセールスに出ましたが、こちらも人気無し.....
最終的には"叩き売り"により、ドイツ系の床材メーカーが冠スポンサーになりましたが、中国側のプロモータは推定2億円規模の赤字を出してしまったようです。レアル・マドリッドのほうは、赤字を出すようなことはありませんが、ミニマム・チャージしか得られず、前回ほどの"大儲け"はできなかったようです。

レアル・マドリッドはこの2年間の中国マーケットの変化を見抜くことができなかったのだと思います。
スポーツ・イベントもファンの意識も多様化し、サッカーに対する考え方も冷静になってきています。また、こうしたスポーツ・イベントへのスポンサードの効果は、中国では意外と小さいものです。
スポンサー企業が努力しなければ、冠企業名が報道されることは稀です。テレビや新聞記事で冠スポンサーであることをアピールしたければ、別にお金を取られたりします。更にレアル・マドリッドなどスポーツ・チームには通常チーム・スポンサーが付いていて、単発イベントのスポンサーの効果が損なわれやすいのです。レアル・マドリッドであればSIEMENSを思い浮かべる人は多いでしょう。今回はAUDIがチーム・スポンサーであるにも関わらず、大戦チームである「北京現代」のチーム・スポンサー・現代自動車(HUNGDAI)がイベント・スポンサーにもなる、と言う節操の無さを露呈しています。

かつては、中国の大企業が"節税対策"を目途としてスポーツ・イベントをスポンサードしたり、成金の新興企業が全中国制覇のためにスポンサードしたりして、スポーツ・イベント・マーケットはバブル状況だったのですが、北京オリンピックを控え、この1年くらいで様相が変わってきました。欧米のスポーツ・マーケッティング会社の参入などにより、中国の企業にも"費用対効果"の意識が高まってきたのです。レアル・マドリッドのファンがどういう属性の人たちなのか、3日間の中国滞在でどれほどの報道がなされ、PR効果が期待できるのか、どんな話題を提供し、それがスポンサー企業やブランドにとって有利になるのか、そうした検討が日常的になされるようになると、レアル・マドリッドの今回の値付け(冠スポンサーで推定2億円)は高すぎた、ということなのでしょう。

北京オリンピックのローカル・スポンサードについても、一時期の"熱い争奪戦"から費用対効果を見据えた"理性的な検討"にフェイズが移ってきています。石油関連企業のカテゴリーでは、かつての"熱い争奪戦"の中国的調整の結果、競合する二つのブランドがスポンサーになってしまったりしていますが、北京市の組織委員会の名誉ある勧誘にも拘らず有力なスポンサー候補が未だに見つかっていないカテゴリーもあります。

スポーツ・マーケットに関わらず、中国の市場は絶えず変化しています。2年前の戦略が通用することはありません。成功を目指すためには、常に最新の市場動向をウォッチしていなければならないと思います。






Last updated  2005.07.28 00:59:43
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2005.03.02
中国で販売されているボックス・ティシュは、130組(260枚)のものが圧倒的に多いようです。でも、ボックスそのものは日本で主流の200組(400枚)のものより大きかったりします。ボックスは大きいのに枚数が少ないので、あっと言う間に無くなってしまいます。
スーパーなど量販店で売られているボックス・ティシュのパッケージも多くて3ボックスまでです。ガサがでかいので仕方ないかと思いますが、日本の5ボックス・パッケージに慣れている私など日本人にとっては、不便極まりありません。個人的に使用頻度が高い(!?)のかもしれませんが、スーパーに行くといつもガサの大きなボックス・ティシュを買って帰る感じです。
こんな感じですから、蘇州の日系メーカーで出しているコンパクト・ボックス・タイプ(150組300枚入り)は、日本人の私にとって、とても快適な商品です。もちろん日本仕様と同じように、中身が少なくなったとき底面のツメを立ち上げて取りやすくする機能や、使用後にボックスをコンパクトに折りたたみやすくする機能もついています。

ところがこのコンパクト・ボックス・タイプ、中国では特段受けが言いようではありません。中国の日本人や上海などの一部の都市生活者の中では人気のようですが、特に北京あたりの北方市場では売れていません。どうして人気が無いのでしょうか。

まず第一に挙げられるのは、中国人が"デカイもの好き"だと言うことです。日本ではコンパクトに仕上げれらたものを崇拝しがちですが、中国では一概には言えません。広大な国土の中国だからコンパクトにする必要がないのか、と言うとそうでもありません。都市部の住宅事情なんて日本以下の狭い居住空間を強いられるわけですから、コンパクトなものの方が合理的に思えそうですが、そうではないのです。まぁ、単純に大きくて目立つほうが所有感を得られる、と言った感じでしょう。他の人の目に付きやすいので、私はこれを所有していると主張できるわけです。また、大きいものの方が高価だ、という信仰も捨て切れていないようです。これは自動車などにも言えることで、コンパクト・カーはあまり人気がありません。以前書き込んだと思いますが、"贈り物"などもデカイもののほうが好まれる傾向にまだあります。

日本はコンパクトにするモノ作りで成長してきました。でも、そのコンパクト化がいまの中国大衆にとってあまり価値あるものではないようなのです。
もちろんコンパクト化が人気の製品もあります。ノートPCやデジカメなどは、コンパクト化をお家芸とする日本のブランドとあいまって、高機能でよりコンパクトな製品の人気が高まっています。もちろん、こうした製品の購入を狙えるのは、中国人民の1%に満たないくらいの人たちですが。ただ同じ高級ハイテク製品のカテゴリーでも、クルマやケータイ電話などは、お金持ちの若者がコンパクトなものを求めるか、というと、そうではないようです。

お話をボックス・ティシュに戻しますと、第二の理由は、中国大衆の疑い深さがあると考えられます。コンパクトなボックスに200組もディシュが入っているはずがないだろう、と思ったりする。ボックス・ティシュというのは130組であれくらいの大きさだから、それより小さいのに200組入っているというのは疑わしく感じたりするようです。これは中高年層に多い考えですが、歴史的にいろいろ騙されてきたから疑い深くなるのも仕方ないでしょう。
日本のトイレタリー・メーカーのコンパクト洗濯粉もこの観点からNGでした。袋タイプのインスタントラーメンも日本標準の100gではなく、120g増量して、パッケージを大きくする必要があります。中国で良く売れているカップ麺のカップは日本と比べるとふた回り位大きくて、完全に"上げ底"なのですが、多くの中国大衆はそれを好んで買うのです。

そんなわけで、日本のメーカーは中国でもコンパクト・ボックス・タイプのティシュで頑張っていますが、世界ブランド・キンバリーの"Kleenex"などは、中国市場のニーズに合わせ、130組の"上げ底"ボックスを主力製品としてやっているわけです。
日本の誇るコンパクト化が、中国で歓迎されるには、まだまだ時間がかかるような気がしています。






Last updated  2005.03.03 04:14:23
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