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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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パブリックリレーションとCSR

2006.08.30
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先週の8月22日頃、「NECのケータイ電話の辞書に中国人を侮辱する言葉が含まれている」と言うニュースがネットを中心に広く流れました。
このニュースは、NECが2004年に生産・販売したGSM携帯電話"730"に関するもので、安徽省の地方紙『新案晩報』への投書から端を発したようです。
安徽省宿州市の李某さんが、新しくNECケータイを買い、付属する辞書をいじっていたら、中国人を侮辱する"中国狗"(狗は犬の意味)という言葉が含まれていた、という事で『新案晩報』へ投書し記事になりました(『中国金融網』の転載記事)。この記事は数多くのニュースサイトに転載されるようになり、いくつかの人気BBSには、このニュースに関連して、NECや日本ブランドの製品に対する反発のメッセージが数多く書き込まれました。

"中国狗"という言葉をめぐっては、実は3年前に大きな出来事がありました。中国国内企業である中電通信公司が生産販売した"CECT"というブランドのケータイ電話の英文起動メッセージが"Hellow Chow"と表示されることに、中国国民から反発が起きたのです。英語の"Chow"は中国語に訳すと"中国狗"になります("チャウチャウ"のことなのか不明ですが、元来"chow"という英語は中国語を起源としているようです)。CECT側は"可愛いペット"の意味だったと釈明しましたが、直ちにこの起動メッセージを変更することにしました。
これは、中国国内企業の問題であるにもかかわらず、ネットのBBSなどでは「日本人が仕掛けたものだ!」ということになってしまい、"抗日活動"の根拠の一つにされてしまったりもしました。
この出来事は雑誌『セールスとマーケット』が選ぶ「2003年度十大企業危機PR」のひとつにも挙げられています(雑誌『セールスとマーケット』ウェブサイト)。

今度の出来事に関してNECはほぼ沈黙を通したようですが、騒ぎが大きくなり出した8月23日に、中国の電子辞書のトップメーカーである金山公司の総裁が複数のメディアに対して「"中国狗"には侮辱的な意味は無いと思うが、中国国民の感情に配慮して"技術的処理"を行う」と発言し、金山公司が編集する電子辞書のデータから"中国狗"という言葉を削除する方針を明らかにしました『金融界』ウェブサイト)。

実は、問題となりかけたNECのケータイ電話の辞書は、この金山公司が提供したものだったのです。NECは中国の電子辞書トップメーカーである金山公司の辞書をケータイに組み込んでいたわけです。それで、金山公司が先手を打って対応に乗り出したのでしょう。"中国狗"と言う言葉をめぐる騒ぎは、これで収まるのか、引き続き"日本ブランド攻撃"の根拠の一つにされていくのか、いまのところは何ともいえません。
とは言え、ここ1週間のネット上の報道やBBSでのメッセージを通じて、一部の中国人の間に「NECのケータイが中国人を侮辱した」と言うイメージが植えつけられたのは事実でしょう。

この出来事を知って、ソニー製パソコン用バッテリーの問題を思い出しました。過熱して発火事故を引き起こしたとして、アメリカのDELLがソニー製バッテリーを使用している自社ブランドのノートPC410万台をリコールしたという話です。この問題はAppleやLenovoなどDELL以外のノートPCにまで波及しました。
多くの報道に触れてみると、不具合のあるバッテリーをパソコンメーカーに供給したソニーだけが深く傷ついてしまい、そのバッテリーを採用したノートPCのメーカーは被害者的な雰囲気になっているように思えます。

ところが中国における今回のNECのケータイ電話の辞書問題では、不都合とも受け止められる辞書データをNECに供給した金山公司はほとんど傷つくことなく、寧ろ堂々とした潔いイメージさえ形成することに成功し、その辞書を採用したNECのイメージが随分と損なわれてしまったように思えるわけです。

製造物責任云々の法的議論は別にして、やはりパブリック・リレーションが大きく影響しているのでしょう。
NECの出来事の場合、「辞書は中国企業である金山公司のものだ」などと声高に宣言したとしてもマイナス効果だったかもしれません。ただ金山公司がトップ(総裁)自らメディアに説明したように、迅速な対応で"削除"の方針を表明したなら、傷は浅くて済んだのかもしれません。いずれにしても、中国における日本ブランドのパブリック・リレーションやメディア対策は、ビミョーかつ難しいものです。

ところで"中国狗"と言う言葉。旧日本軍が中国人を侮辱する意味で使ったとされますが、金山公司の辞書の説明文(英語の"chow"に対応する中国語)としては「中国の犬」ということになっています。"中国狗"に対する言葉としては"日本猪"(猪は豚の意味)。この言葉は、明らかに日本人を侮辱する言葉として認識されています。
個人的には、ブタといわれるよりイヌと呼ばれたほうが、まだましにも思えるのですが....。






Last updated  2006.08.30 13:32:32
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2006.05.19
中国民政省、中国社会工作協会と新聞『公益時報』が共同主催による「多国籍企業の中国における寄付ランキング」が発表されました(新浪網)。
誇るべき第1位はソニー。中国で寄付や社会貢献活動に5,215万RMB(8億円近く)費やしているとのことです。第2位がオランダ籍のやはりエレクトロニクス企業でPHILIPS、そして第3位がスターバックス・コーヒーと言うことです。42位まで公表されていますが、日本企業はソニーのほか、トヨタ自動車(10位)、松下電器(16位)、日立(39位)の4社がランクインされました。アメリカ企業が20社で最も多く、イギリス企業も日本企業と同じく4社がランキングされました。
以前、日本の雑誌で"ODAのごとく、中国にたかられ、寄付や社会貢献にお金を使っている日本企業"のような記事を読んだことがありましたが、ソニーを除く日本企業はアメリカ企業ほど社会貢献などにお金を費やしているとは言えないようです。

ソニーは中国で、「希望工程」とは別に独自に貧困地区の学校に黒板や文房具などの寄付を行ったり、スカラーシップを設けたり、長期的かつ地道な社会貢献活動を行っておりますが、HPでは"海賊版撲滅"のためのコンサートや北京に開設した体験型サイエンス・ミュージアム"Sony Exploration Science"なども紹介されています。この2つについては"寄付ランキング"の金額に含まれているのか分かりませんが、どちらかと言うとブランディング施策としての意味合いが強い"社会貢献活動"と言えるでしょう。

いっぽう北京大学管理案例研究中心と雑誌『経済観察報』が主催する「中国で最も尊敬される企業」の"表彰式"が4月末に盛大に行われたそうです。中国国内企業を含む25社がリストアップされましたが、その中の日系企業は広州本田汽車有限公司(HONDA)の1社のみでした(新浪網)。(外資系企業という意味ではなく)外国ブランド系企業は9社選ばれており、アメリカ系が4社、ドイツ、オランダ、フィンランド、韓国、日本がそれぞれ1社ずつでした。

「多国籍企業の寄付ランキング」で第1位のソニーは、残念なことに「最も尊敬される企業」25社の中には入りませんでしたし、トヨタ自動車も松下電器も日立も「最も尊敬される企業」の仲間入りを果たせませんでした。外国ブランドでは、HP、GM、NOKIAが5年連続で「最も尊敬される企業」に選ばれており、「寄付ランキング」第2位のPHILIPSが今回初めて選ばれたようです。「寄付ランキング」にも「尊敬される企業」にも顔を出している外国ブランドは、このPHILIPSのほか、SiemnensとSAMSUNGの2社のみです。
つまり中国では、必ずしも寄付(社会貢献活動)が多いから尊敬されるというわけでは無いようです。

では中国においてどんな企業が尊敬されるのでしょう?「最も尊敬される企業」にリストアップされた25社の傾向を見てみます。
まず第1に、コンシュマー向けの製品やサービスのブランドを持っていて、そのブランド力が強い企業です。石油資源開発や精製の中国石油(一応ガソリンスタンドもありますが)、製鉄業の上海宝鋼、発電や送電の国家電網などの大企業は選ばれていません。おそらくカテゴリーでトップ5以内の販売シェアを持つことが必要なようです。
第2に、テクノロジーや時代の潮流を感じさせる企業ではないでしょうか。新浪公司はじめ、実に15社が広い意味でのIT関連企業です。いっぽう日常的なコモンディティズ中心の企業は、杭州娃哈哈(Wahaha)と青島ビールの2社のみでした。
第3に、外国ブランドであっても何となく中国に根付いている企業。PHILIPS、Siemens、IBMなどは古くから中国で企業活動を展開しており、経営のローカル化が進んでいます。いっぽう「寄付ランキング」第2位のStarbucks Coffeeなどは外国ブランドの匂いをプンプンさせておくことが大切なので、中国にとっては"外国から乗り込んできた"というイメージが強いわけです。Starbucks Coffeeをはじめ、Microsoft、Intel、Coca Colaなどもこうした理由で「尊敬される企業」から漏れたのではないかと考えます。
第4に、過去1年以内に大きな消費者問題を起こしていない企業。「寄付ランキング」にリストアップされたソニー、Amway(安利)、Nestle(雀巣)などが「尊敬される企業」に含まれなかったのは、こうした事情もあるのではないかと推測します。
第5は中国企業に限ったことなのですが、国有企業であっても国有っぽくないイメージ形成をしたり、カリスマ経営者が居るような企業や私企業が尊敬され易いようです。例えばHaierは国有企業でありますが、張瑞敏と言うカリスマ経営者が有名ですし、新網公司は私企業です。IT関連の大企業であっても中国移動や中国網通は、国有臭を強く感じさせますし内輪揉めも多いようなので、あまり尊敬されていない、ということになりそうです。

「尊敬される企業」と言っても、大学の先生や新聞・雑誌・テレビ関係者20人によって選ばれたものなので、実際の消費者意識をどの程度まで反映できているのか疑問ではありますが、参考にはなるのではないでしょうか。






Last updated  2006.05.19 15:09:47
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2006.03.15
日本人や日本企業の多くは「遠慮深い」ものです。「口数が少ない」とも言えましょうか、「いちいち言わなくも分かって貰えるはずだ」と言う気持ちがあるのだと思います。むしろ「自慢話」は美しくないと考える日本人が多いのではないでしょうか?
ですから、企業の社会貢献活動などについても「大々的にアピールしなくとも、きっと分かってくれるだろう」と考えることもあるでしょう。

でも、現在の中国においては「口数が少ない」ことが必ずしも美学にはなりません。主張すべきところはキチンを主張することが「潔い」と思われることのほうが多いのです
我らが指導者・小泉さんは「適切に判断します」とか「心の問題です」など、多くを語らず、短くてわかり易いワードによって、多くの日本国民の共感を得たようです。でも中国では温家宝さんにしても、李肇星さんにしても、孔泉さんにしても、長い時間を使ってしっかりアピールしていますよ。「説明責任を果たす」という点では疑義がありますが、機会を捉えて「言いたいことをしっかりとアピールする」という姿勢が感じ取れます。

中国では、欧米系と比較すると日系の企業やブランドの人気はいまいちです。そして何かのきっかけでバッシングされ易いのは日系企業です。
もちろん一次的な要因として中国の大多数の人民の対日感情の悪化が挙げられます。90年代以降の愛国教育や現在に至る政治関係の悪化などにより、日本という冠がつくだけでネガティブなイメージを持たれる場合があります。残念ながら、この要因は短期間で拭い去ることはできないでしょう。
ただ二次的な要因として、日系企業が「口ベタ」で「口数が少ない」ことが影響していることも確かでしょう。広義で捉えるならパブリック・リレーションが得意でない、と言うことになりますし、的を絞るなら「アピールすべきことを、アピールすべきタイミングで、アピールしていない」と言えるでしょう。

特にアピールが足りないのは、中国に対する貢献についてでしょう。
「ウチの会社はそれほど社会貢献活動はしてないから」などと考えず、広い意味で中国に対する貢献を捉えてみれば良いと思います。例えば、投資です。日系企業は多かれ少なかれ、中国に対して投資しているのです(しかも、未だにリターンを得ていない日本企業が数多く存在しています)。外貨も、工場も、技術も中国の発展に寄与しているはずなのです。
或いは、雇用です。大企業であれば数万人の雇用を創出していますし、中小企業であっても生産工場を持てば1,000人規模の雇用を創出しているわけです。特に単純労働力がダブついている中国で、雇用を創出していることはどんどんアピールして良いと思います。「ウチなんかヨソと比べたら投資も少ないし、社員も少ないから....」などと遠慮していると、「だったらもっと投資して、もっと社員を雇え」みたいな話にしかなりませんから、「ウチが中国に進出しなければ、こんな田舎に工場なんてできなかったし、数100人は失業のままだった」と言う気持ちで、堂々とアピールすれば良いと思います。

ドネーション(寄付や支援行為)などもうまく活用すべきですね。
中国では、"脅し半分"ではないか、と疑ってしまうようなドネーションの要請があったりします。従順な日本企業は、"お付き合い"で一口のったりします。そうこうしていると、あちこちから寄付や援助の要請がやってきて、断りきれず、小口で複数のお付合いをすることになったりします。こうして受動的なドネーションが中心になってしまい、ポジティブで特徴のある社会貢献活動にお金が回らないような状況に陥ることもあるようです。
もちろん、小口のドネーションであっても、中国に貢献しているわけですから、機会があればしっかりアピールするのが良いとは思います。

はやり、欧米企業のほうがドネーションを企業のパブリック・リレーションにうまく活用しています。
例えば、学校の無い田舎に学校をつくってあげるという「希望工程」には、多くの日系企業が参加しています。でも中国人民の多くは「希望工程」と聞くと"P&G"を思い浮かべるようです。"P&G"は多額のドネーションを長期にわたって「希望工程」に続けており、建てられた学校にはロゴが掲げられ、事ある度にアピールするばかりか、「器」だけではなく学校運営のための「ソフト」まで面倒をみたりしているのです。
日系企業が単発でドネーションを行っても、インパクトに欠けてしまいます(もちろん、こうしたドネーションは学校に行けない子どもたちにとっては、大変有益なことではありますが)。むしろ、長期的で継続的な独自性のある社会貢献活動を行って、しっかりアピールしたほうが良いのではないか、と思ったりします。

最近はCorporate Social Responsibility(企業の社会的責任)が注目されていますが、当面この国では「企業として当たり前の"責任"を果たしている」という話よりは「こんなにたくさん貢献している」という"アピール"のほうが、企業イメージの向上に結びつくように思えます。






Last updated  2006.03.15 14:12:07
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2005.01.14
韓国ハンナラ党の国会議員ら脱北者問題について北京で記者会見を行おうとして、中国当局に実力で阻止されました(産経Web、他)。中国国外のマスコミ関係者の目の前で、「言論の自由」を問われる強行手段をとったわけですから、中国当局も相当な覚悟で臨んだのでしょう。韓国政府は直ちに中国大使を呼び付けて強い姿勢で抗議したそうで、どこかの国より毅然とした外交ができているなぁ、と感心しました。

冷静に考えてみてください。現代化して経済成長を続けている北京や上海の市街地を歩いていると、すっかり忘れてしまいがちですが、中国では「言論の自由」が保証されていないのです。
とは言っても、オーウエルの『1984』みたいに秘密警察がいちいち監視している、という感じではありません。レストランやカフェなどでお酒を飲みながら、現政権についての不満を大声で話していても、直ちに捕まるわけではありませんから、最近はおおっぴらに政府の悪口を語り合う中国人も増えています。

でも、報道はもちろんのこと、出版や集会にも許可が必要という決まりがあります。
記者会見を開くには、中国当局の許可が必要です。とは言って、すべての記者会見が許可を得て開かれているかと言うとそうではありません。政府関係者が臨席するような記者会見でも、許可無しで平気で行われています。ですから、中国で開かれる記者会見のほとんどは、「許可無し」です。
ただ注意しなければならないのは、許可無しの記者会見は、本来ダメなのですから、中国当局に中止を求められたら何も言えないのです。

これは、企業が実施するプレス・コンファレンスにも当てはまります。日本企業も新製品の発表などで、中国でプレス・コンファレンスを実施しますが、報道関係者を呼び「集会」を行うわけですから、ほんとうは中国当局の許可が必要なのです。現実的には、新製品のプレス・コンファレンスを実施するにあたって、いちいち中国当局の許可を得ている企業など、ほとんどありませんし、そうしたプレス・コンファレンスに公安が乗り込んできて、電源を切り中止を叫ぶようなことは、ほとんどあり得ないでしょう。
報道関係者を呼ばないプロモーション・イベントなども、「集会」に該当しますから、本来は許可が必要です。北京で開催されるコンサートなどは、公安当局に集会許可を得ています。小さなライブハウスで行われるコンサートでも、ちょっと心配なアーティストは必ず許可を得てから開催しているようです。しかし企業が行うプロモーション・イベントは、ほとんど許可を得ないで行われています。
そもそも広告行為を行う場合、中国当局の許可を得る必要があるのです。テレビや新聞の広告などは、メディア側が厳格にチェックすることで中国当局の許可を得たことになっていますが、ポスターやチラシなどは政府機関の許可番号を得ないと本来はダメなのです。イベントも広告行為ですから、ほんとうは許可が必要なのです。

地域によって、機関によって、担当者によって、対応が異なるのが中国ですから、一概には言えませんが、広告印刷物には特に注意が必要です。許可なしのチラシを店頭で配っていて摘発され、多額の罰金を支払うハメになった日本企業はたくさんあります。
プレス・コンファレンスやプロモーション・イベントに、いちいち許可をとってやる企業は少ないですし、面倒な手続きと摘発される危険性を天秤にかければ、許可無しでもいいかぁ、と思ってしまうでしょう。でも、中国当局が乗り込んできて、「許可を得てないから、スグに中止しなさい」と言われると逆らえない、と言うことを覚えておいてください。

日中関係が更に悪化して、日本への批判がその経済行為にまで及ぶようになって行けば、見せしめ的効果も含めて、中国当局が、日本企業の無許可のプレス・コンファレンスを強行阻止することもあるかもしれません。
ことしあたり、もしかしたらどこかの会社がぶち当たりそうな予感がします.....まるでロシアン・ルーレットみたいですけど。






Last updated  2005.01.14 23:03:49
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2004.12.12
nikeNIKEのテレビCMが中国で放送禁止になってしまいました(産経Web)。例の如く気合いの入ったNIKEのブランド広告で、わざわざアジア市場向けに制作されたものです。
NBA選手が、「龍」に向かって何か誓いを立てます。そして、「仙人」を思わせる相手選手のディフェンスを軽やかにかわし、高々とジャンプしシュートするときには、女神か天女のような女性が祝福している、こんなコマーシャルだと私には見えました。
ところが、中国人にとっては、いずれも中国民族と文化を象徴する、「龍」に対して戦いを挑み、「仙人」を打ち負かし、民族衣装をまとった「中国女性」を投げつけている、ように見えるらしいのです。つまり、この外国企業は中国の民族と文化を侮辱している、ということになってしまったのです。

放送行政を統括する国家ラジオ・テレビ・映画総局は、中国のテレビ放送管理規則第6条の「祖国の伝統文化を尊重しなければならない」と第7条の「民族習慣を馬鹿にしてはならない」に抵触するとして、中国のテレビ局に対して、このテレビ広告の放送禁止を通達したそうです(商都信息港・中国語)。この処分を受けて、NIKIはPR会社と中国の報道機関を通じ、中国人民に謝罪しました(新華社Web・中国語)

toyotaちょうど去年の今頃、トヨタのPRADOの広告が、中国を「侮辱」した広告として槍玉に挙げられました。中国では屋敷の門などに飾られている「獅子」像さえもトヨタのPRADOに畏敬の念を抱くと言う雑誌広告です。キャッチコピーも「PRADO、あなたを尊敬せざるを得ない」ですから、明らかに「獅子」像の尊厳を使ってトヨタのクルマの凄さを表現すると言うコンセプトで制作されたものでしょう。
テレビと比べると影響力の小さい自動車雑誌に掲載された広告ですが、ネット等を通じて瞬く間に批難の嵐となってしまい、PRADOが「獅子」に踏みつけられてしまうコラージュ広告がネット上で大人気になってしまいました。トヨタはこの広告を掲載した雑誌に謝罪コメントを掲載するとともに、記者会見を開き謝罪しました(中国情報局)
さすがトヨタ、収拾まで2ヶ月ほどという、日本企業にしては早業の対応でしたが、その後も日本関係のイヤなニュースなど機会あるごとに中国では取り沙汰されています。
最近では日本ペイントが「国際広告」という広告の業界誌に掲載したブランド広告が、「龍」を使ったことで批判を浴びています。

日本企業であるトヨタや日本ペイントの広告は、いずれも雑誌への掲載で、本来影響力が大きくない割には、中国人民の間で随分話題となりましたし、大きく報道もされました。しかも中国当局が正式に違法性や不適切さを認めて処分したものではありません。ネットやマスコミで展開される批難に苦慮して、広告主が自ら取り下げたのです。
一方、今回のNIKIの場合は、影響力の大きなテレビで放映された広告で、中国当局が正式に「放送禁止」という行政処分を行いました。オンエアされて1ヶ月足らずほどで、謝罪して収拾に向かう、という手際の良さもあり、こちらのほうは恐らく長く尾を引かず済みそうですし、ブランドヘ影響力も小さくて済みそうな感じが個人的にはしています。

NIKIの広告は、日本のユニクロなども手がけるアメリカのクリエイティブ・ブティックが手がけているはずです(現時点では未確認ですが)。問題になったトヨタの広告も、実は日本の広告会社が制作したのではなく、イギリス系のメガ・エージェンシーの北京法人が手がけたものです。恐らくどちらのクリエイティブ・アイディアも、欧米人とシンガポールや台湾を含む中国系人のコラボレーションではないかと思います。「龍」や「獅子」や「仙人」は東洋的神秘として欧米人は興味を持ちそうですし、中国系人も広告表現に自国の文化的なものを使いたいがります。日本人クリエイターでこんな発想をする人は稀です。

きっと中国人民の共感を得られると思い、良かれと思って選び出したモチーフなのでしょうが、結局はアダとなってしまいました。外国企業は、「龍」や「獅子」のような中国の民族や文化に絡む題材の広告での利用を、中国では止めておいたほうが良さそうです。






Last updated  2004.12.12 23:57:08
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