"ソニー・タイマー"大型テレビで再発動!?1万5,000軒を出張修理することに....
デジカメ問題のときは、いよいよソニーにも"苛められる番"が回ってきたんだなぁ、くらいの感想でした。一部日本のメディアは「日本ブランド狙い」などと反日運動の一環のように報道していたようですが、日本以外の外国ブランドも国内ブランドも大きくなると業界を代表するようになりますから、消費者意識が高まり、こうした政治と直接関わらないネタでくらいしか差別化を量り難い商業メディアが乱立するいまの中国においては、ちょっとした品質問題などが露呈すれば、ブランドの国籍に関わらず寄って鷹って苛められる状況だと思ったほうがよろしいでしょう。今回は、ソニーのほうから、自主的に申し出たようです。2月9日に自社サイトにて、液晶リアプロTV5機種のソフトウェアの”無料アップグレード”に関するリリースを出しました。それによると、とのこと。ソニーフリークだった私にしてみれば、何とも親切な"ソニー・タイマー"の事前発動予告だと言う印象です。1,200時間ということは、1日4時間使用したとして300日ですから、保証期間(1年)を少し過ぎてから発動すると言うソニー・タイマーの定義からすると、発動が早過ぎてしまうのですが、そのあたりも考慮して自ら申し出たのでしょうか?ソニーは中国の場合、ITブランドとしてのイメージが強いので、VAIOなんかはまだ良く売れていますし、最近はソニーエリクソンのケータイがじわりじわりとシェアを拡大しています。その反面、大型テレビに関して言えば、韓国や中国国内ブランドとの価格差が大き過ぎてパッとしていませんでした。他の日本ブランドとほぼ足並みを揃えて、販売価格の値下げに踏み切った矢先の出来事ですから、出鼻をくじかれた感じでしょう。テレビで起死回生を狙おうとする企業としては、残念なタイミングと言わざるを得ないですね。デジカメ問題から3ヶ月もしないうちの"品質問題発生"ですから、中国国内のメディアが寄って鷹って大騒ぎするのではないかと、心配でもあります。(参考:Serichina News)それにしても、購入者の自宅にまで伺ってソフトウェアのアップデートをしなければならないことは、サービス・ネットワークにおいて中国国内ブランドより見劣りする日本ブランドにとっては、かなりシンドイお話ではないでしょうか。対象機種は小さくて26インチ、大きいのは50インチの液晶リアプロTVですから、購入者に「サービス・センターに持って来てください」と言うのは、さすがに酷な話ではありますが。人民日報ウェブ版を転載したTOM.COMによれば、既に1万5,000台が販売されており、修理には30分程度要するとのことです。移動時間も含めれば技術者一人当たり8軒くらい回るのが限度でしょうから、のべ1,875人/日のスタッフが必要になります。50人のスタッフを揃えたとしても、全部回るのに1ヶ月以上かかる計算になってしまいます。技術者とは言え、相対的に人件費は安価ですから、太っ腹に考えたとしても、広い中国に散らばった15,000軒のユーザーの自宅を隈なく回るのは大変な作業でしょう。大都市だけならともかく、40インチ以上の大型テレビは案外ど田舎の大金持ちが好んで買ったりしていますから。もちろん、サービス部門は複数の提携会社にアウトソーシングしているとは言え、考えただけでゾっとしてしまいます。そして、こういうときにこそ、日本ブランドと中国国内ブランドとのサービスの差が出てしまうような感じがします。中国の大手家電メーカーの場合、自社でサービス・ネットワークを構築し、全中国に隈なくサポート拠点があり、24時間”電話一本”でご自宅まで飛んでくるような体制を敷いている場合がほとんどです。いっぽう、日本など外国ブランドは販売店や技術会社にアウトソーシングしながら、サービス・ネットワークを構築する場合が多いのです。上述のTOM.COMの記事(人民日報ウェブ版から転載)では、記者がその弱いところを突く様に、「ご都合の良い時間に自宅に伺う、と言っておきながら、実際電話してみると、テレホン・サポート・センターでは、24時間以内にお返事します、ということで、いつ修理に来てくれるかその場で明確な答えを返すことができなかった。」と書かれてしまっています。私としては、ソニー・タイマーの発動は致し方ないにせよ、その対応が機敏で無いと、ここ中国のユーザーの満足度は大きく下がるでしょうし、メディアもそのあたりをどんどん突いて来るのではないか、と心配ではあります。