ふぁみりー・Kのおうち　別館

先日、夫の中学校の合唱祭にお邪魔してきました。
夫は歌が、特に合唱が大好きで、
だから、夫の葬儀は合唱祭のCDが一番ふさわしいと思い、
お通夜も告別式もずっとCDを流してもらいました。

出棺の時には、最後に夫が担任していた学年（中２）の生徒たちが
「時の旅人」を合唱して送ってくれました。
号泣でかき消されながらの、「時の旅人」。
あんなに哀しい、でも心に染み入る、忘れられない合唱は初めてでした。

だから、あの子たちの合唱祭には必ず夫を連れて拝聴する。

ずっとそう決めていたのです。

事前に校長先生たちと目立たないようにそっと聞く、という打ち合わせをしてから
小さな遺影を胸に体育館へ。

「僕たちの自由曲は、「空駆ける天馬」！
この曲は、○○先生（夫の名前）が大好きだった曲でした！」
「天国にいる○○先生に届くように心を込めて歌います。」

生徒たちのそんな宣言から夫のクラスの合唱は始まりました。

課題曲は、あの「時の旅人」　。
生徒たちが夫を見送るために歌ってくれた曲です。
続いて「空駆ける天馬」　。
素晴らしい歌声でした。心のこもった合唱でした。
私は涙がこぼれて嗚咽をこらえるのだけで必死でした。

６月、夫がまだ介護休暇を取る前、
クラスの自由曲が「空駆ける天馬」に決まった、コレ大好きな曲なんだ、って、
学校から帰ってきて、にこにこしながら言っていたこと。

どれだけ、この歌声を聞きたかっただろう、
どれだけ、彼らと共に合唱を作りたかっただろう、
どれだけ、共に泣いたり笑ったりしたかっただろう。

生徒たちは担任の死を乗り越えようとして、きっと頑張ったんだろうな、
それは集団としてものすごいパワーが必要なことだったんだろうな、
そう思うと、夫が大事にしていた、人としてのつながりの強さにまた涙がこぼれました。

２学年の合唱が終わって、職員に目だけで挨拶をして、そっと退出しました。

２年３組のみんな、２学年のみんな。
きっと君たちの歌声はかっちゃんに届いたよ。
ありがとう。夫を好きでいてくれて。
夫を大切にしてくれてありがとう。
私もみんなのことを忘れない。

本当にありがとう。

帰りの車でまた声をあげて、ただ泣くしかできなかったあ～さんママでした。