初回限定

2012/03/18(日)15:01

トリオ・バイ・トリオ・プラス・ワン

限定CD(41)

あえて名付けるならば「ザギン・ドシャメシャ・ナイト」か? ニコヤカなワークショップのステージが一瞬にして工事現場のゴリラと化す。新曲<ドレ>。新曲と言っても、すでにそこに完成されたものということではなく、その場でドシャメシャに構築されていくサマを ”アタマを開いて” 見守るという意味での新曲。ホントの、出来立てホヤホヤ。だからつまり、完成した瞬間にその曲はエンディングを迎えている。目の前には厭な静けさとヤリキッタ男たちのホットな恍惚しか残っていない。  森山威男のブルドーザーがおもむろに突っ込む。中村誠一のパワーショベル、激しくそのアームを軋ませる。山下洋輔の特大ダンプカー、思ってもいなかったモノを運搬。それを見ていた油井正一氏、「壊してるかのように見えるが、実は作られていくんだぜ、ボーズ」と、セクトのヤングを嗜めるかのよう。音の洪水というよりは残骸。無情にも空間から剥ぎ取られた瘡蓋が足元に捨てられていく。だがよく見ると、砂ぼこりの向こうにうっすらと<ドレ>の御姿が。ニッポン・ジャズ界最高の重機オペレーターたち、設計図なき明日を占うかのような信じられない手さばき。なるほど、昭和のチビッコの憧れのマト。「こんな音楽を聴いてはいけないザマス、ショパンを聴くザマス」と嘆く親を傍目にブーブーでドロンコ遊び。コレ、ドシャメシャが生んだ昭和の美しい風景にして、新しいドレミのレッスン。また、ハリキリすぎてブルドーザーの片側のキャタピラ外れる、という願ってもないハプニングも。     <木輪(もくりん)>と<グガン>。多少約束されたジカンも訪れるが、時すでに遅し。大巾に異形なモノになっていることに立腹する者、狂気乱舞する者、本日も真っ二つ。すでに主流派から距離をとった者たちがさらに賛否を分かつ。四分の一が大錯乱、四分の三が大アクビ。そういう世界が在ってもいい。マンガやプロレスにこれっぽっちも興味のないヤツは家に帰ってあやとりでも! ...とはおくびにも出さず、猛々しく騒々しく鬱蒼としてヤッカイなこのスーパーソニックのイイナリになる。意識遠のく。すばらしく夢ウツツだ。あくる日オレは、誰も見たことのないジャズのような大河でガッツポーズの土左衛門となって発見された。 ★【送料無料】 CD/山下洋輔トリオ、沖至トリオ、大野雄二トリオ、笠井紀美子/トリオ・バイ・トリオ・プラス・ワン (紙ジャケット)/DTHK-12 山下洋輔、沖至、大野雄二、笠井紀美子。日本のジャズ・シーンを席巻した若きミュージシャンたちが全身全霊を傾けた超弩級のセッション!! 昭和45年5月20日、第5回スイング・ジャーナル・ジャズ・ワークショップ・コンサートとして、東京銀座のヤマハ・ホールで開催された「トリオ・バイ・トリオ・プラス・ワン」の実況録音盤。出演は、山下洋輔トリオ、沖至トリオ、大野雄二トリオ、そして笠井紀美子。ゆえにこのタイトル。またオリジナルLPは、ビクターから<S・J・ジャズ・ワークショップ>シリーズ第5集として発売されている。 ディスク 1:山下洋輔 (p) / 中村誠一 (ts, ss) / 森山威男 (ds)        沖至 (tp) / 翠川敬基 (b) / 田中保積 (ds) ディスク 2:大野雄二 (p) / 水橋孝 (b) / 岡山和義 (ds) / 笠井紀美子 (vo) 1970年5月20日ライブ録音 

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