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テーマ:読書(10139)
カテゴリ:本
![]() 競争の番人 内偵の王子・新川帆立 講談社 2022年8月29日 第1刷発行 競争の番人シリーズ・第2弾 <主な登場人物> ♣︎白熊 楓(しろくまかえで) 30歳。公正取引委員会審査官。空手は県大会2位、関東大会2位、全国大会2位。いつも決勝戦で負けてしまう。父の影響で警察官になるのが夢だったが、母親の猛反対で、警察学校を中退。その後1年間猛勉強して公正取引委員会に入局する。 霞が関の本局から公正取引委員会福岡事務所に赴任して来た。 ♣︎古賀 40代、楓の直属の上司 ♣︎常盤恭太郎 入局8年目の32歳。白熊より2才上だが職位は同じである。炭鉱から始まった日本有数の財閥だった常盤グループ一族の次男坊。交友範囲が広く仕事面では成果を上げ優秀だが女性関係には問題あり。 ♣︎石山 4年目の係員。真面目で努力家。 ♣︎梶原 「梶原呉服」店主 ♣︎小勝負 勉 入局5年目。16歳で公認会計士試験、20歳で司法試験に合格。東大法学部を主席で卒業、TOEICやTOEFLは満点。国家公務員試験1位。ハーバード・ロースクール主席。白熊楓が霞ヶ関本局にいたとき、バディを組んでいた同僚。 白熊楓は、公正取引委員会 福岡事務所の審査課に配属されて1ヶ月弱。呉服業界の内偵を指示されている。 呉服業界のカルテルから抜けた「梶原呉服」は暴力団から目をつけられ、脅迫の対象となっている。放っておいたら梶原の身に何が起こるか分からない。それでも店主の口は堅く、話をしてくれない。 カルテルや入札談合は特に悪質性が高く、事件も複雑化しやすいことから基本的に霞が関の「本局」が処理する。本局に話を持って行こうという石山に、上司の古賀は難癖を付けて渋る。 その日、常盤と白熊が「梶原呉服」に着くと、引き戸に手をかけた常盤が「鍵がかかっている」と言う。雨戸がおりた店の奥から何やら焦げたような匂いがする。人を呼びに行っていては間に合わない。とっさに白熊は助走をつけて飛び上がり、身体を回転させて引き戸に蹴りを入れた。引き戸は壊れることなく外枠がはずれて店舗の中に倒れた。奥の畳敷きの上に店主の梶原が倒れており、着物の胸元は赤黒く染まっていた。 内偵中の梶原呉服の店主が拳銃で撃たれて死んだのである。自分たちが近づいたせいで梶原が殺されたのか・・・。打ちひしがれ、意識が朦朧とした白熊楓。机の上の電話が鳴っている。白熊が第1発見者と知った小勝負からの電話だった。 その後、霞が関の本局から「ダイロク」が出動。支部では白熊はじめ、常盤、石山の働きもあり一件落着。 4月に赴任した白熊が翌年の1月から本局に戻る。異例中の異例であった。上司の古賀が自分の言いなりにならない白熊を追い返したとも、常盤が後ろで糸を引き、白熊を追い出したに違いないとも囁かれているらしい。 <小勝負勉の事情> 小勝負は盆休みに実家に帰った。母の裕子は道の駅で売り子のパートをしながら、畑でみかんを作っている。彼は母と白熊を重ねて見ていた。人を信じて裏切られ、貧乏くじばかり引いている。母さんみたいなやつだと思った。絶望的にくじ運が悪いどんくさいやつなのだ。小勝負が忠告しなかったら、常盤にも裏切られ、散々傷ついていたはずだ。 人を踏みつけ、ないがしろにする人間をどうしても許せない。生理的な嫌悪だった。白熊も大人だ。放っておくしかないと思っていながら、どうして口出ししてしまったのだろう。 小勝負の陸上競技の表彰状の横に新しい額が飾られていた。「合格証書 司法試験に合格したことを証する」末尾に「司法試験合格委員長 朝山稔」と書いてあるのを見て身体が自然に動き、額を外した。 父の名前など見たくも無かった。父と言っても認知はされていず、会ったこともない。妊娠が発覚し母は父に捨てられたのだ。母を捨てた父はいくつかの大学で教授を務め、今や最高裁判事である。 すぐ近くの人間を大切にできない者が、自由だ正義だと謳っていることに鼻白んだ。父など軽く超えることができる。そう思ったからそこ東大法学部に入った。司法試験くらい通っておこうと思い受験した。それだけだ。実際、小勝負にとっては造作もないことだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2026.07.11 11:40:21
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