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紫色の月光

第二十四話「俺達の真の武器!」

第二十四話「俺達の真の武器!」  前編




 エリックとネルソンが超がつきそうな程の強行突破を行った際、マザーシップ全体を大きな揺れが襲った。

「おお!?」

 予想外のタイミングで揺れを味わったアルイーターは、椅子ごと派手にすっ転ぶ。まるでギャグ漫画のように。

「な、何事だぁ!?」

 アルイーターが部下に連絡を入れると、それに反応した部下のジャギからの応答が来た。

『は、は! そ、それが今先ほど金色の格好をした男が拳でマザーシップを押し退けまして……』

「馬鹿な! 奴等は生身だったはず。それなのにこの巨体のマザーシップを――――」

 しかし、この衝撃は最初にネルソンがパンチでマザーシップをぶっ飛ばした際に生じた衝撃で、次にエリックが穴をあける際に生じる衝撃が彼等に襲い掛かってきた。

「うおおおおおお!!!?」

 話の最中で次の衝撃が襲い掛かってきたお陰で、アルイーターは再び派手にすっ転ぶ。まさしくお約束だ。

『し、将軍! いかがなさいましたか!?』

 ジャギの方はシートベルトをつけていたお陰で何とか無事だったが、何もつけていなかったアルイーターはそうはいかない。転んで、更に頭部が机にぶつかったのである。

「うおおおおおおおおお!!!」

『し、将軍!?』

 ジャギが思わず叫びを上げるが、当のアルイーターは机に頭をぶつけてそれどころじゃなかった。しかも机の上に載せていた花瓶が思いっきり頭に降り注いできたのでダメージ二倍だった。

「だ、大丈夫だジャギ……それよりも何があったのか報告しろ」

 流石に将軍と言うだけあって頭は頑丈だ。しかし、花瓶を割ってしまったので水浸しで、しかも花が頭の上に乗っかっている姿は何処か情けなかった。

『は! 敵がマザーシップ内に侵入した模様です』

「何、それならば白兵戦の準備をしろ!」

 そう言うと、アルイーターは、地球からサンプルとして送られたナイフを力強く握った。

『しょ、将軍! 一大事です!』

 しかし次の瞬間、いきなり後方から通信が入った。

「今度は何だ!?」

 アルイーターが半ば苛ついた口調で言うと、通信を入れてきた部下が汗びっしょりの顔で言った。

『は、は! サンプルとして捕らえた地球人四名が、先ほどの衝撃の際、脱走したとの報告が入りました!』





 脱走した四人はそれぞれなりに行動していた。こういう奇妙な状況なのだが、流石に四人で固まると動きにくいと言うのが理由である。つまり、一応は現在休戦中なのだ。

「で、なんでジョン刑事が僕と一緒に行動しているんだろうか……」

 そして狂夜は廊下の曲がり角の影の中に隠れていた。その後ろにはネルソンに無理矢理このマザーシップに放り込まれた可哀想な刑事さんことジョンの姿もあった。

「そりゃあ流石に一人で行動してたら不利でしょう、色々と……」

「色々と……ねぇ」

 狂夜はあえて突っ込まない方向で行く事にした。因みに、あの女泥棒二人はどうしたのかと言うと、

「なんか『脱出する』とか言って張り切ってどっか行っちゃったけど……大丈夫なのかなぁ、彼女達は」

「流石にこういう場所だから何かあった時の脱出艇なんかはあると思いますけど……我々はこの船の中の構造まで詳しくはありませんからね。何ともいえません」

 流石ジョン刑事。色々と現実を見てくれるな、と狂夜は思った。
 しかしそんな時だ。不意に、後ろから聞いたことの無い声が響いてきた。

「いたぞ、あそこだ!」

「脱走者の方を二名発見! 繰り返す、脱走者を二名発見!」

 なんだか嫌な予感がして振り向いてみると、其処には武装したヘルメット男が二人ほどいた。しかもこちらに突撃してくるではないか。

「あちゃー……いきなり見つかっちゃいましたね」

 どうする、と狂夜に問いかけようとしたションだったが、そこであることに気付いた。何時の間にか狂夜が忽然と消えていたのである。

「あああああああああああ!! 逃げやがったあの牛ビンの底みたいな眼鏡男!」

 流石に泥棒だけあって逃げ足が速い。しかも風のように消え去っているのだから厄介だ。

「捕まえたぞ、脱走者め!」

 ヘルメットを被った兵士の一人がジョンの肩を掴む。武器は全部取り上げているから、何の反撃も出来ないと思ってしまったのだろう。しかし、それが命取りだった。

「映画みたいなノリですが……一度やってみたいとは思っていました」

 次の瞬間、ヘルメット男の視界からジョンの姿が消えた。

「!?」

 何事か、と思いヘルメット男が銃を構える。が、次の瞬間、突然股間に激しい痛みが生じた。素早い動きでジョンが蹴り上げたのである。

「あ―――――ご」

 予想外の部分を攻撃されたので男は思わず悶絶。しかしその隙をジョンは逃さない。
 彼は素早く、敵が落とした銃を拾い上げ、その引き金を迷うことなく引いた。その瞬間、銃口から一本の氷柱の様な光の弾が発射され、ヘルメット男の頭部を撃ち抜く。

「くそ!」

 ジョンの姿が先ほど殺された兵士の姿で覆われていた為、もう一人の兵士は行動できなかったが、仲間が殺されたとなれば話は別だ。彼は躊躇することなくジョンに発砲しようと引き金を引きかけたが、

「ぐあ!」

 それよりも早く、ジョンの方が兵士に発砲していた。その一発は兵士の右腕を貫き、続けざまに発射したもう一発がヘルメットごと頭を撃ち抜く。

「……た、倒したぁ~」

 がっくり、と項垂れてからジョンがほっ、としたような息をついた。
 流石にこんな映画みたいな展開になるとは予想だにしなかったと言うのもあるが、引き金を引くのが一秒でも遅かったら命を落としていただろう、という何ともいえない緊張感を味わったからである。

「さて、これからどうしましょうか……」

 しかし、其処で気付いた。こんな廊下で、しかも先ほどなにやら通信していた二人と騒ぎを起こしたのだ。次の兵士達がそう時間をかけずにやって来る可能性が十分ありえる。

「……取り合えず、逃げますかー!」

 その時、泥棒の気分を少しだけ味わったような気がした。




 エリックとネルソンが豪快な侵入してから20分が経過した。
 一旦、ネルソンと別れて行動する事にしたエリックの前には、一人の男が立ち塞がっていた。
 アルイーターの命令を受け、武装しているサジャである。此処の生身の兵士はどうやら全員ヘルメットをつけるようで、それがガスマスクの役目を果たしているのである。故に、どんな顔立ちをしているのかは分らないが、

(邪魔ならどんな可愛らしい顔でもぶっ飛ばす!)

 エリックは迷うことなくランスを構え、一気に突撃。レベル4の突風能力も合わさった超高速のスピードでサジャにランスの突きをお見舞いする。

「!?」

 しかし、ランスの矛先がサジャに命中したと思った次の瞬間。エリックは想像を絶する光景を見た。

(ランスの矛先を手で止めてやがる!)

 しかも掴んでいるのではなく、黒い手袋を填めた手を広げただけでランスの突きを止めてしまったのである。本来なら手を貫通して顔面に命中してもおかしくは無い。

「ぐ―――――この!」

 サジャの掌に命中したが、手袋に傷一つすらついていないこの光景に納得がいかないエリックはランスに更に力を込めるが、状況は変わらなかった。
 そんな時、サジャがぼそり、と呟いた。

「金属よりも硬いな……そして特殊な物と見る」

 次の瞬間、サジャの黒手袋が不気味な光を放ち始めた。何処となく最終兵器のレベル4の発動に似ているその光を見たエリックは、本能と感覚だけでそれが『ヤバイ』物だと察知した。

(だが、逃げられない!)

 手袋の光は既にエリックを捉えていた。至近距離のため、逃げる事が出来ない。

「ぶっ飛べ」

 その瞬間、エリックに衝撃の波が襲い掛かった。黒の手袋から発せられたそれをモロに受けてしまったエリックは、サジャの言葉どおりに宙へとぶっ飛ばされる。

「ぐあ!」

 床に強く叩き付けられる。思いっきり身体を打ってしまったが、それでも動く事が出来るのなら問題はない。

「まだ立てるのか」

 サジャは素直に驚いていた。今のを受けて立ち上がれる男を今までほんの少ししか見た事が無かったからである。それだけ能力がこの手袋から発せられたのである。

「てめぇのその手袋……ただの手袋じゃ無いな」

 ランスの柄を杖代わりに、エリックがゆっくりと立ち上がる。ギラギラと光るその眼光が、しっかりとサジャの姿を捉えていた。

「ご名答。この手袋は『ナスタリウム』と呼ばれる貴重な特殊合金製の手袋……だが、今から死する貴様にこの特殊手袋の機能を説明してやる気は無い」

「しなくても結構……要はその手袋にだけ気をつければいい話だって事がよくわかったぜ」

 次の瞬間、サジャの視界からエリックの姿が消えた。まるで風のように音もなく、何の前触れもなく消え去ったその姿をサジャは目で追おうとするが、

(いない、何処にも――――!)

 しかし次の瞬間、突然彼のズボンが皮膚と共に裂け始めた。まるで何か鋭い刃物にでも斬り付けられたかのように、だ。
 そしてそれは一つ、また一つと徐々に増えて行く。その傷が増えて行くと同時、サジャの皮膚も確かに刃によって裂かれているのだ。

「こ、これは……!」

 突然襲い掛かってきた痛みで気付くのが遅れたが、凄まじい風がサジャを包んでいる。今にも吹き飛ばされてしまいそうなその強い風の中から、姿が見えないエリックの声が響いた。

「見せてやるぜ、必殺のウィンド・ガトリング・ランサーをな!」

 次の瞬間、周囲から襲い掛かる強い風の中から無数の矛先がサジャに向かって飛んできた。その矛先一つ一つがまるでガトリングの弾のように飛んでくる。

(―――!?)

 その姿を視界に納めてから数秒としない内に、サジャはランスの無数の矛先によって身体中を一斉に貫かれる。手、足、胴体と次々と貫かれた後、サジャは口から赤い液体を吐き出しながら床に崩れ落ちた。
 ただ、その血が吐き出された結果、ヘルメットを染めてしまい、彼は誰にもその死するときの顔を見られずに逝ってしまったのである。

「……真剣なサシの殺し合いで、相手の顔が分らずにその死んで行く場面を見るってのもちょっと嫌だな」

 そう言うと、エリックは最後に一度だけサジャの亡骸に目をやったあと、振り返ることなく走り出した。




 狂夜はズレた眼鏡を直しながら大きな室内に侵入して行く。この部屋に入った理由としては、このマザーシップの構造を知りたいからである。ただ、それにはどこかにあるはずの管制室に行くことが必要だ。

(ただ、それ自体何処にあるのか知らないんだよねぇ……)

 故に、扉と言う扉を調べまくっているのである。しかし、中々そういう所が見つからないのだ。

(この部屋は今までのトコと比べて大きそうだけど……なんか無意味にゴージャスじゃないかなぁ)

 飾りつけもピカピカで、キレイな絨毯にリッチな置物まで置かれている。まるで何処かの貴族の個室にでも迷い込んだみたいな気分だった。

「人様の部屋にノックも無し、返事も待たずに入ってくると言うのは無礼だと思わないかね?」

 すると、後ろから声をかけられた。
 何事かと思い、振り返ると、其処には明らかに兵士達とは違う、何処かゴージャスな服装をした青年が居た。

「ふむ、翻訳機の調子はいいようだ……」

 その状態に満足したのか、青年はお辞儀をしてから自己紹介を始めた。

「初めまして、地球人の男性。私の名前はアルイーター・スンズヴェルヌス。この船で一番偉い男であり、皇帝軍の誇る四大将軍の一人」

「いきなり大物がご登場か……」

 しかし狂夜が驚いたのはそんな事ではなかった。彼が一番驚いた事はアルイーターの容姿にあった。
 今までの兵士達はヘルメットを被っていて分らなかったが、アルイーターの姿を見てみればその容姿が地球人そっくりなのだと言う事がわかる。エリックの話や銀行のモンスターを見た限り、今回現れた宇宙人も限りなく異形としか言いようがない者なのではないかと思っていたのだが、こういう形で予想を裏切られるとは思わなかった。

「君は脱出したいのだろうが、生憎私は先にこの星に到着してしまったジェノバとの賭けに負けてしまったからね。サンプルを運ぶ役目を押し付けられてしまった以上、折角捕らえたネズミを逃がす訳にはいかないのだよ」

「残念だけど、こっちも黙ってサンプルになるほどお人よしじゃ無いんだよね」

 そう言うと、狂夜はテーブルの上に置いてあったナイフ(最初にアルイーターが握っていた地球産のナイフ)を素早く取って、アルイーターに突撃した。

「いかんな」

 しかし、アルイーターは涼しい顔で突撃してきた狂夜の腕を掴んだ。流石に将軍と言うだけあってか、身体能力も高いようである。

「何!?」

 アルイーターの腕は見た目からしてか細く、力があまり無さそうなイメージがある。しかし、腕を掴まれて十分に分った。

(この男、見た目で判断しない方がいい!)

 狂夜が握っているナイフはアルイーターの顔面に突き刺さることなく、その直前で停止していた。狂夜の力をアルイーターが超越している証拠である。
 しかし、次の瞬間。狂夜は信じられない光景を見る事になる。

「いかんな。食物を武器として扱うべきではないよ。作ってくれたシェフ(職人)だって悲しむじゃ無いか」

 最初は何をいっているのだろうか、と思った。
 しかし次の瞬間、アルイーターはそのナイフの切っ先を自らの口へと運んで行く。

「な!?」

 次の瞬間、アルイーターはそのナイフの刃の部分を自慢の白い歯で『噛み砕いた』。いや、正確に言えばナイフの金属部分を『食べている』のである。

「嘘……!」

 流石の狂夜もコレには唖然とするだけだった。しかし、そんなの知るか、とでも言わんばかりにアルイーターは口内で刃を噛み砕き、飲み込んで行く。まるで煎餅でも食べているかのような光景だった。

「おや、驚いているような顔しているね」

 そりゃあそうだ。こんな光景生まれて始めて見る。

「では教えてやろう。我々エルウィーラー星人は本来、金属を主食とする」

 その言葉を聞いた瞬間、狂夜の脳裏にはあの銀行で現れたモンスターの姿が映し出されていた。なるほど、確かにアレも金属を食べると言う行為をしていた。磁石を食べて吐き出した訳だが。

「故に、通常なら地球人を傷つけるこのような武器であろうとも、我々の前では『食料』でしかないのだ。……流石に硬すぎる金属や何か特殊な金属は食べられないが」

「なるほど、では貴様等相手に『ただ』の金属は無意味と言う事か」

 すると、アルイーターは見た。
 狂夜がその牛乳瓶の底みたいな眼鏡を外したと同時、髪の毛が逆立ち、目つきが鋭くなり、更には発しているオーラまで違う物に変化するその光景を、だ。エリック曰く、狂夜の本気モードである。

「アルイーターとか言ったな。……我の持つ刃をただの金属だと思わないほうがいいぞ!」

 すると次の瞬間、アルイーターが掴んでいる狂夜の右掌に光の粉が集い始めた。それは徐々に形を成して行き、最終的には一本の剣になった。

「!」

 その剣の矛先が迫る前に、アルイーターは思わず狂夜の手を放し、そのまま後退して行く。

「その刃は……」

 アルイーターの目が驚きに変わる。
 今、狂夜が持つ剣こそ、古代の最終兵器の一つ『リーサル・ソード』だ。そして、その刃を見たアルイーターは思わずこんな事を口走った。

「馬鹿な! それは幻の『ルナゼタリウム』! 何故こんな小さな星にそんな貴重な金属が存在している!?」

「……ルナゼタリウム?」

 聞いたこともない単語に思わず困惑する狂夜だったが、アルイーターはそうはいかない。

「それを武器にするとは……恐るべき、地球人!」

 すると、アルイーターは徐に懐に壁にあるスイッチに手を伸ばす。

「そんな危険な物を使われる訳にはいかん! 使用禁止にさせてもらう!」

 スイッチのボタンを力強く押すと同時、室内が歪んだかのような違和感に包まれる。
 次の瞬間、突然ソードが狂夜の手から離れ、天井に吸い込まれるかのようにして宙に浮く。

「何!?」

 それだけではない。狂夜の眼鏡や室内にあるありとあらゆる金属が天井に吸い付いて行くのだ。それも恐ろしい力で、だ。

「まさか……磁石!?」

「そのとおり!」

 アルイーターが自慢げに言うと、彼は腰部からレーザーソードの柄を抜いた。磁石に吸い取られる事がないように特殊加工が施された物である。

「君等地球人が使う武器は既に調査済みだ。先ほどの『ナイフ』や『ピストル』も所詮は金属。そして君が扱うルナゼタリウム製の武器もまた、金属! 所詮は磁石の敵ではない!」

 どうやら彼等の星にも『磁石』という物があるらしい。
 そしてその強力な磁石によって狂夜の最大の武器は無くなってしまったのだ。

「……ふっ」

 しかし、そんな状況でも狂夜は鼻で笑った。

「何がおかしい?」

「アルイーターよ。我の武器があのソードだけだと思っているのか?」

 狂夜が指差す場所には、強力な磁石によって天井に張り付いているソードが存在していた。

「見せてしんぜよう。この切咲・狂夜の真の武器を!」

 すると、彼は懐から細い棒状の何かを取り出した。
 それを見たアルイーターは思わずレーザーソードを構えるが、

「……なんだそれは?」

 彼は狂夜が持つ『真の武器』の正体を知らなかった。故に、狂夜が鼻で笑いながら解説を行う。

「我の現在の職は敢えて言うならば『泥棒』。しかし、我の趣味はあくまで絵描きだ。……絵描きの武器はこの『筆』である!」

 箸と同サイズの大きさで、しかも見るからに木製である。故に、金属を問答無用で縛り付ける磁石の被害にもあわずに狂夜の懐に入ったままだったのだ。

「しかし、そんな物で何が出来る?」

 アルイーターの言う事ももっともだった。彼が持つ武器はレーザーである。見るからに木製で、金属よりも脆そうなあの筆で何が出来ると言うのだろうか。

「偉そうな口を慎むがいいアルイーターよ。貴様は我の筆により、そのレーザーを打ち砕かれる事になるのだ」

 狂夜は自信満々に言う。
 そして次の瞬間、筆を武器にした狂夜がレーザーを恐れずにアルイーターに向かって行った。

「馬鹿め、返り討ちにしてやる!」

 アルイーターがレーザーで迎撃しようと、狂夜に切りかかる。
 しかし次の瞬間、彼は信じられない光景を見る事になった。

「な、何だと!?」

 狂夜の筆がレーザーの刃を受け止めたのである。しかも木製なのにも関わらず、全く焼き焦た形跡もない。まるで同じ材質のレーザーで向かっているかのような光景だった。

「ば、馬鹿な! 何なのだそれは!」

 そのアルイーターの動揺が妙に心地よく感じられる。その為、狂夜は勝ち誇ったかのような笑みを浮かべてから呟いた。

「絵描きの最大の武器、『筆』だ!」





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