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紫色の月光

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紫苑 ゼロワン

紫苑 ゼロワン

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最終兵器リーサルウェポン


第一話「目覚めしリーサルウェポン」


第二話「ジョーカー」


第三話「コーリング」


第四話「ベルセリオンのマジックショー?」


第五話「アイアムマシーン」


第六話「沈黙の襲撃者」


第七話「受け取ってしまった挑戦状 前編」


七話後編


第八話「未知との遭遇」 前編


八話後編


第九話「おいでませ、ジャパン」  前編


九話 後編


第十話「三人目の泥棒」


第十一話「待ってましたよヒーロー警部!」


第十二話「その名はポリスマン・グレート」


第十三話「レベルの違い」


第十四話「雪月花」


第十五話「最終兵器少女」


第十六話「敗北」


第十七話「大パニックな空の旅」  前編


後編


第十八話「ベルセリオンの戦い方」


第十九話「イシュの天才科学者」


第二十話「月の狂戦士」


第二十一話「『起きなさい!』」


第二十二話「これぞ恐怖の血まみれ殺法」


第二十三話「風に乗れ!」


第二十四話「俺達の真の武器!」


後編


第二十五話「グレイト!」


第二十六話「ああ、愛しの怪盗様  前編」


後編


第二十七話「暗殺者」


第二十八話「プロジェクトの恐怖」


第二十九話「最悪のワルツ」


第三十話「サンダー・ボーイ」


第三十一話「デスマスクが割れた日」


第三十二話「ライジング・ブラザーズ」前編


後編


三十三話「人類最後の日」


第三十四話「デルタフォース」


第三十五話「ツイン・ウェポン」


三十六話「僕等のデンジャラス・ウォーズ」


後編


第三十七話「団長、再び!」


第三十八話「愛に年の差なんて~」


第三十九話「あいあむ、ストロンガー」


第四十話「別れの時」


後編


第四十一話「邪神ドレッドの子供たち」


第四十二話「僕等のヒーロー、ポリスマン」


第四十三話「駆け上がれ」


第四十四話「マーティオ」


第四十五話「降臨、バルギルド!」


第四十六話「昔話」


第四十七話「友達ができました」


最終話「追いかけっこ」


エピローグ


ZERO


スーパーロボット大戦OG・X


メインキャラ紹介


第一話「インビシブル・モンスター」


第二話「激戦の予感」


第三話「最強の欠陥品のダーインスレイヴ」


第四話「愉快な家族」


第五話「友情のダブルノックダウン」


第六話「ダークネス・アイ」


第七話「マリオネット」


第八話「ハゲタカ」


第九話「凶悪な殺人鬼」


第十話「生きる理由」


第十一話「クリスタル・ナイト」


第十二話「最強のジーン」


最終話「宝物」


エピローグ


特別企画物


恐怖の最強コンビ  前編


恐怖の最強コンビ 中編


恐怖の最強コンビ  後編


「裏人格からのリベンジ戦」  前編


後編


妖刀


「リーサルウェポン外伝1」 前編


後編


死神第十六小隊  ?話


『俺様と宇宙警備隊隊長』


後編


勢いだけのおまけ


小説一覧


最終兵器リーサルウェポン


スーパーロボット大戦OG・X


その他外伝物及びパロディ小説


~キメラ~


HPキャラ紹介



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ヴァリス小説 ~キメラ~


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第二話「美少女男」


第三話「怪盗イオ」


第四話「宿敵、再び」


第五話「働こう」


第六話「因縁のクリスタル・ナイト」


第七話「プロジェクト・ジーン」


第八話「『許さない』」


第九話「ゲーム」


第十話「人間失格」


第十一話「愚か者」


第十二話「ムーンバーサーカー」


第十三話「キメラ」


第十四話「ジョーカー」


第十五話「オレンジの恨み」


最終話「ウィルス」


エピローグ


初めに


SS外伝「とっとこアシュロント」


スーパーロボット大戦Final・X


第一話「次元の狭間でこんにちわ」


第二話「逆転、また逆転」


第三話「ANOTHER TIMEDIVER」  前編


後編


ジーン・メモリーズ


第一話


第二話


第三話 ~VSアシュロント


第三話 ~VSメラニー


第三話 ~VSメラニー 後編


2009.11.15
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 もうどのくらいの間流されたのだろうか。
 病院付近でアーニャに蹴られて再びどんぶらこどんぶらこと川を漂流していた赤髪の青年、和輝はそう思っていた。
 正直なところ最初はぶっ飛ばされる前の衝撃的なビジョンが頭から離れた無かった訳だが、にやけていたら殺されそうな予感がしたので今は封印しておくことにした。

(おえええ……大分流されたなぁ)

 ゲーム開始から約2時間。
 川から二度目の脱出を試みた時の事である。

 汚い川に流されて早1時間。
 どうやら今まで気絶していたらしく、大分汚い水を飲んでしまったようだ。
 出来れば直ぐにでも新鮮な空気を吸ってリフレッシュしたいところだが、

(新鮮なもんかよ。こんな場所で吸う空気なんて……)

 這い上がってみれば、橋が見えた。
 どうやら自分がぶたれた時に近くに見られた橋とはまた別の橋のようだ。

(さっきの橋より南にある橋みたいだな)

 地図で言えば最南端の橋になる。
 丁度この橋を渡れば主な戦場である市街地の方面に到達できる訳だが、

(また、襲われるのかな……他に参加してる皆も)

 名簿を全て読んだわけではないし、最初に襲われた際に誰に襲撃されたのかもわからない。
 だがゲーム開始直後に何者かの襲撃を受けた和輝としては進んで市街地と言う名の『殺し合いの場所』に行くことを躊躇った。
 
「……」

 目の前に見えるのは橋を通して見える市街地。
 そしてその奥にあるのは山だ。
 既に何人殺されただろうか。
 自分は生き残れるのだろうか。

 美咲や皆は生きているんだろうか。

 そう思うしかなかった。

「くそっ!」

 和輝がその場でやった事は悪態をつく事だった。
 何も出来ない。
 そう思うことで沸き立つ無力感が彼の苛立ちを募らせていた。

(何か俺に出来ることは無いのか!? 皆を助けることが出来る何か――――)

 皆が無事にゲームを切り上げてこの舞台から脱出する。
 大まかに考えてしまえばこれが現時点での最善のハッピーエンドなのだろう。

 ではその為に自分は何をすれいいのだろうか?
 何が出来るんだろうか?

 ソレを考えなければならない。

「ごきげんよう」

 だが、そんな彼の思考を遮るようにして可憐な声が静寂の闇の中に響き渡った。
 
「!?」

 誰かいる。
 どう思うと同時、和輝は声のする方向に振り返っていた。

「あんたは……」

 全身が白。
 それ故にこの夜の中では一際目立っている存在があった。
 だが前髪が長くて左目がやや隠れているその美女は和輝の知らない顔だった。

「えーっと……どちら様で?」

「私、このゲームに参加を余儀なくされたメシアと申します」

 白い美女はそう名乗ると、スカートを摘んでメイドのようにお辞儀をして見せた。
 しかし和輝が反応するべき事は彼女が礼儀正しいという点ではない。

「参加を余儀なくされたって事は……メシアさんも巻き込まれたってこと?」

「はい。同じくこのゲームに私のマスターも巻き込まれてしまったので、マスターを探したいと考えていたのですが……」

 夜風が吹いた。
 それを合図とするかのようにメシアの機械的な笑顔がぐにゃり、と歪んだ。

「私が優勝すれば済むことだと判断しました」

「え――――?」

 その笑顔は本当に嬉しそうで、まるで無邪気な子供が新しい玩具を買ってもらえたかのような純粋な笑顔だった。
 しかしその笑顔と言葉を認めたと同時、和輝は理解した。

(ゲームに、乗ってる――――!?)

 それを理解したと同時に、和輝の視界に無数の銀の線が走った。
 その無数の線は和輝の五体に巻きつき、彼にティアマットを抜く隙と時間を与えない。

「天津風吹雪……瀧波時雨……」

 メシアの両手に装着されている武装こそが彼女が引き当てた『武器』だった。
 暗殺の手段として最も有効であろうワイヤー殺法とナイフを一度に手に入れることが出来たのはゲームに乗ることを決意した彼女にとっては幸運だった。

 左手に装着されたワイヤーシュート用の時雨が獲物を絡め取り、右手に到着された方が投擲ナイフの吹雪を内蔵しているケースである。
 蒼龍騎士団四号機、レニーの武装だ。

「くっ、そ……!」

 既にワイヤーに絡み取られた和輝はそれでもティアマットを抜こうとするが、時雨のワイヤーが指にまで絡み付いていて自由が利かない。
 完全に『捕まった』。

「普通に考えれば吹雪で頭を刺せばそれで終わりなんですが」

 その言葉に和輝は息を飲む。
 今度こそ殺される。
 そう思うと体の奥から冷たい物が湧き上がってきて、止められなかった。

「生憎、私はまだ時雨を上手く使いこなしてないのです。なので少し実験をさせてください」

 こちらの了承の言葉を待たず、メシアは時雨を装着している左手を動かす。
 ソレと同時、

「う、ああああああああああああああああああああ!!」

 和輝の右腕。
 ソコから生える人差し指に強烈な痛みと熱が走った。

「お――――」

 何が起きたのかは目視で確認できる。
 人差し指の爪をワイヤーで引きちぎられたのだ。

「意外と細部まで弄り倒せそうですね。ここら一体にテリトリーを張っておくと意外と獲物が引っかかるかもしれません」

 その言葉を聞いた瞬間、和輝は理解した。
 この女はもう人を玩具としか見ていない、と。

(今此処で止めないと、何も知らない美咲や皆がやられるかもしれない……どうすれば……!)

 和輝が何とかして脱出を図ろうと考えていたその時、彼は見た。
 メシアが投擲ナイフ、吹雪を手に取ったのを、だ。

「では、誰か来る前に終わりとしましょう」

 殺される。
 和輝は直感的にソレを理解した。

 が、

「待ちなさい!」

「!」

 橋の向こう。
 市街地の方からこちらに向かってくる声が響いた。

「どちら様でしょうか。橋には誰もいないみたいですが……」

 確かに橋からこちらに向かってくる足音は聞こえない。
 だから彼女の言うとおり橋には誰もいないだろう。

 だが和輝は知っている。
 橋を渡らずにこちらにやって来ることが出来る知り合いが彼にはいた。

「レミエル――――!」

「やっと見つけたわよ! 手間かけさせて!」

 背中から広がる六枚翼を羽ばたかせて『空』から襲撃を仕掛けてきたのは天使だった。
 その手に持っているのは愛銃のガンスレイ――――


 ではなく、只の双剣であった。
 しかも結構短い。

「まあ、綺麗な羽ですね。ですが」

 落として差し上げます。
 そう言ってメシアは手に取っていた吹雪をレミエル向けて投擲。

 だがレミエルはそれを回避。
 直後、持っていた双剣の一本を和輝に向けて投げつけた。

「え、ええええええええええええ!!?」

 何でレミエルが投げつけるんだ!?
 俺レミエルに何かした!?
 
 別に風呂を覗こうとしたわけでもないしおやつのチョコレートを食べた訳でもないしっていうかあれ美咲が食べたんだっけ!?

「ちょっと! 聞こえてるわよ!」

 どうやら口に出してしまっていたらしい。
 極限にまで陥ったハプニング魂は心の呟きを勝手に口から出してしまうようだ。

「安心しなさい。もう自由に動けるはずでしょ?」

「あ、本当だ」

 放たれた双剣の一本は和輝を絡み取っているワイヤー目掛けて放たれた物だ。
 それが糸口になり、和輝はワイヤーからの脱出を試みる。

「ちっ」

 ソレを見たメシアは静かに舌打ちした。
 折角蜘蛛の巣に引っかかったのに、あっさりと脱出されてしまった。
 詰まらない。

 いや、何よりも

「マスターと私が逃げ出せないじゃないですか」

 せめて此処で一人は殺す。
 彼女の頭が身体にそう命令した。
 そうすれば彼女の身体は動き出す。




 ○




「大丈夫? 指が痛々しいけど……」

「ああ、大丈夫……幸いにも再生能力を引き当てたしな」

 レミエルの援護によりワイヤーから脱出した和輝は彼女に肩を貸してもらう形になっていた。
 いかに再生能力があろうとも、身体中にかかったダメージは深い。
 例を挙げるなら大蛇が獲物を締め付けてきたような物だ。
 此処は再生で徐々に回復しつつ、逃げた方がいい。
 そう判断した。

「それにしても……良かったぁ。やっと知り合いに会えたよおおおお……」

 半ば涙目になりつつある和輝にあはは、と失笑しながらレミエルは地面に突き刺さった双剣を抜き取る。

(一体この二時間でなにがあったのかしら……?)

 よく見れば服も濡れてるし、心なしか臭い。
 一応立てるようだし、此処は一度距離を離した方がいいだろう。
 臭いし。

「あ、あれ? レミエル、なんで離れるんだ?」

「彼女は逃がしてくれそうに無いわ。一緒に固まってまた捕まったら折角助けに着たのに意味が無いでしょ?」

 一応臭いの事は伏せておくが、一番の理由はソレだった。
 目の前に居る白の女の武器は投擲ナイフとワイヤー。
 しかもかなり自由自在に扱ってきている。

(それにしてもまさか彼女がゲーム乗るとは、ね)

 メシア。
 彼女の顔は外出して遠くに遊びに行った時に何度も見たことがある。
 よく笑顔を振りまいていて、紅茶やチョコレートをご馳走してもらったこともあった。

「ふ、ふふ……」

 彼女は笑っていた。
 何処か目が虚ろで、今にも壊れてしまいそうな笑い声が不気味に響く。
 
(まるで別人ね……)

 彼女の本体は元々AIで、目の前にいる女の身体はレギオンと言う『入れ物』なのだという。
 しかし少し触れただけで今にも壊れてしまいそうな危うさを放っている彼女は何処までも『人間』に見えた。

(武器のリーチが違い過ぎる……此処は逃げた方がいいわね)

 和輝とレミエルは橋の上にいた。
 メシアから逃げるとなればこのまま橋を渡って市街地の方に向かった方がいい。
 他にも殺人者が潜んでいる可能性は高いが、目の前の殺人者を回避するためにはそれしかない。
 何よりも和輝を連れては自分は飛べない。
 そうなると彼だけを見殺しにすることになる。

「レミエル、何とか逃げた方が……」

「あら、奇遇ね。私も丁度同じ事を思ってたわ」

 メシアのワイヤーが何処まで届いてくるのかはわからない。
 だが、レミエルの双剣ではリーチが届かないし和輝は未だに指のダメージを回復しきってない為にティアマットの銃口を引けない。
 
「逃がしません」

 だがそんな事は殺人者も承知の上だ。
 だからこそこの場で殺そうと彼女も動き出す。

「走るわよ! 動ける!?」

「な、何とか動けるくらいには回復してる!」

 メシアが走ってきた。
 と、いう事は橋にまではワイヤーを仕掛けていないという事が計算できる。
 もし仕掛けているなら橋で捕まえてしまえばいい話だからだ。

 ソレがないという事は今もっとも注意するべき物は、

「ナイフが飛んでくるわ! 注意して!」

「おう!」

 投擲ナイフ、吹雪。
 トラップを仕掛けていない以上はこれがメイン武器になってくる。
 それ故に後ろから追いかけてくる殺人者から逃げつつ、彼女から逃げ切る手段を考えなければならない。

 だからこそ後方にばかり注意が飛んだ。
 
 だから気付けなかった。

 

 真正面から。
 最初に放たれたナイフが大きくUターンして襲い掛かってきたことに、だ。

「え――――?」

 空を切る音が聞こえて来た時には手遅れだった。
 ナイフは吸い込まれるようにしてレミエルの頭部に迫り、

「レミエル――――!?」

 彼女の左側頭部に突き刺さった。
 





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最終更新日  2009.11.16 02:55:05
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