2004/08/07(土)02:48
神は存在するのか。運命とは
神はこの世にいると思いますか?
「そんな非科学的な」と鼻で笑ってしまってもいいのでしょうか?
近代科学は自然現象や物理法則を解き明かし説明する事によって、「神の御業と意思」を理解しようと努めてきました。
実際、物理学者・科学者が研究を進めれば進めるほど「神の存在」を強く意識するようになることは稀では有りません。
アルバート・アインシュタイン
(物理学者・光電効果の法則・ノーベル賞受賞)
「私はただ、神から出ている線をたどっていくのみである。」
アーサー・L・シャーロウ
(物理学者・レーザー分工学・ノーベル賞受賞)
「生命や宇宙の驚異をまのあたりにすると、人は、なぜ、考えられる答は宗教にしかないのかを問わずにはいられない・・・私には、宇宙にも自分自身の人生にも神が必要だと考える。」
ルイ・パスツール
(科学者。細菌学)
「自然を研究すればするほど、私は創造主のわざに驚かされる。」
名だたる科学者たちが神の存在を口にしています。
神は決してオカルト的な存在ではなく、物理法則や数式の延長線上に常に存在したのです。
そして、幸運な事に私は科学とは違ったアプローチによって、神は存在するという偉人達と同様の確信に至りました。
物理や数学も突き詰めれば哲学となっていきます。
私の思索もはからずして同じゴールへたどり着いたのでした。
本日は、到達の喜びをみなさんと分かち合うべく筆をとることにします。
悟りの啓示というものはある日偶然もたらされるかに見えて、実は全てが必然です。
アイザック・ニュートンは、リンゴが木から落ちるのを見て万有引力の法則を発見するキッカケとしました。
しかし、彼がリンゴの落下を目撃した世界で最初の人間ではないはずです。
それまでに積み重ねた思索、練り上げてきた思考、蓄えてきた知識、育んできた直観力。
それらがあったからこそ、彼はリンゴの落下にヒントを得ることが出来たのです。
事実、彼は後に
「私が発見したものは、すべて祈りに対する答えであった。」
と語っています。
そしてやはり、私が体験した出来事も長年思索を重ねてきた私であるからこそ意味をもつものであったと言えるでしょう。
私は常々考えていました。
「人の運命とは予め決まっているものなのか。」
「運命は自らの力で切り開く事が出来ると言われているが、その時に下す決定自体も運命だとしたら?」
「人は果たして本当の自由意志というものを持ちうる存在なのだろうか?」
その答えをついに今日見つけました。
それはある飲食店でのことです・・・。
食生活の貧しい私ですが、たまには贅沢をします。
カレーハウスcoco壱番屋。
こんな場所に通っていると知られると私の清貧のイメージが崩れ、下々の嫉妬を集めかねませんが、告白します。
私は週一回ここでカレーを食べています。
私に嫉妬から来る反感を覚えた方はこちらから退出してくださって結構です。
さて問題はこの店のメニューの豊富さ。
豚しゃぶカレー(650円)うまとろ豚カレー(650円)チキンにこみカレー(600円)ロースカツカレー(650円)ソーセージカレー(650円)メンチカツカレー(650円)パリパリチキンカレー(650円)ゴロゴロポークカレー(650円)チキンカツカレー(650円)ハンバーグカレー(650円)ポークカレー
(400円)フライドチキンカレー(600円)牛しゃぶカレー(750円)ビーフカツカレー(750円)エビフライカレー(700円)シーフードカレー(850円)イカカレー(600円)エビカツカレー(700円)エビにこみカレー(600円)フィッシュフライカレー(550円)なすカレー(550円)山菜カレー(550円)やさいカレー(600円)ほうれん草カレー(600円)ホクホクコロッケカレー(550円)キムチカレー(550円)チーズカレー(550円)うずら卵フライカレー(550円)カニクリームコロッケカレー(600円)きのこカレー(600円)オムエッグカレー(550円)納豆カレー(550円)
ご覧下さい。この豪華なラインナップを。
さらにここにトッピングメニュー、ご飯の量、辛さの度合いを加えれば、そのメニューの組み合わせはおよそ65664通りにもなります。
毎日ココイチに通ったとして、全ての組み合わせを制覇するには約180年かかる計算になります。
(NASAのスーパーコンピューターCITIZEN DM-596Nによる計算結果)※断じて電卓などではありません。
しかし、これだけのメニューを前にして、私の選ぶメニューは全て一つ。
カニクリームコロッケカレー。
当初はなんの疑問もなくオーダーしていましたが、1/65664もの選択が続いていることに気がついた時、ある疑念が生まれました。
私がカニクリームコロッケカレーを注文する事は、既に運命として予定的に決まっていたことなのではないか。何か外部的要因によって動かされているのでは・・・。神・・・?
私とて、考え無しに注文しているわけでは有りません。
いい加減、カニクリームコロッケカレーばかりを注文している事にも気がついていますし、たまには目先を変えようという思いは自然にわくものです。
まず店内に入り席に座ります。店員が持って来た水を素早く口に含み水分を補給し、思考をクリアにしてから検討に入ります。
(最近野菜が不足しているし野菜カレーにするべきかな)
(いや、パリパリチキンカレーも美味そうだ。なんせパリパリだからな)
(む、そういう意味ではゴロゴロポークカレーも捨て難い。ゴロゴロ・・・)
何度も何度もメニューを行きつ戻りつしながら、私は脳内の思考パズルをまとめていきます。
よし!決まった!今日はハンバーグカレーだ。
決めるや否や店員を呼びます。
思考は慎重に。行動は素早く。我ながら素晴らしい。
近づいてくる店員。全ては完璧です。私はこの後、間髪入れずに「ハンバーグカレー」と発声し、店員は速やかに厨房にオーダーを通す。そして数分後に出てきたハンバーグカレーを食するでしょう。
完璧な世界です。一分の隙も無いパーフェクトワールドがこのココイチの店内に構築されるはずです。
(さあ、言うぞ・・・!)
しかし、次の瞬間、私は奇妙な感覚にとらわれます。
(本当にそれでいいのか?)
誰かが私に問いかけます。
途端に声が出なくなります。
「えっと・・・・・」
店員は静かに私のオーダーを待ちます。
「えーっと・・・」
5秒経過。
オーダーが決まったからこそ呼んだであろうはずの客が、今メニューを見ながら考え込んでいる。
(早く言えよ、この優柔不断男め。)
私には店員の声が聞こえます。
これ以上待たせてはいけない。私のためにも、店員のためにも、店のためにも。そしてひいては世界秩序のためにも。
わずかな隙間からダムが決壊するように、世界の秩序もこのような小さなカオスから壊れるものなのです。
滲み出る脂汗。落ち着かなくなる視線。こわばる顔。
(早く言わなければ・・!しかしあれほど考えて決定したハンバーグカレーに疑念を挟んだ今、もう一度同じくらい強固な論理構成に基づいて決定をするには時間がなさすぎる・・!)
(無心だ。無の境地だ!心を無にして深層心理の奥から答えをすくい上げるのだ・・!!)
「あ、カニクリームコロッケ・・・」
意外にも口から出たのはカニクリームコロッケという単語。
一番最初に除外していたはずの単語です。
これは一体どういうことでしょうか?あの声はなんだったのでしょうか?
私は悩みました。カニクリームコロッケが上がるまでの10分弱の間、となりのおじさんが読んでいるスポーツ新聞を覗き見るフリをしながら頭をフルに回転させました。
(分からない・・。なぜハンバーグカレーを注文しなかったんだ。なぜカニクリームコロッケと言ってしまったんだ・・。え・・清原けがで長期離脱?)
分からない。分からない。分からない・・・。
思考はまとまらず、さりとて時間は過ぎます。そして、時間が過ぎれば注文した料理が来ます。
(くそ!こいつめ。カニクリームコロッケめ!カニなんか入っていない冷凍食品のくせに、人を悩ませるとは!お前なんてこうだ!)
私は苛立ちと怒りの全てをカニクリームコロッケにぶつけるように食べ始めました。
(畜生、何様のつもりだ。私は万物の霊長、人間様だぞ。)
(お前は生き物ですらないじゃないか。なんだよその色。こんがりキツネ色じゃないか!サクサクしてんじゃねー!)
(けっカニの味がするからって調子に乗るなよ!)
(え?カレーソースの辛味とホワイトソースの甘みのコントラスト?その程度で威張るな!)
(だいたい美味けりゃいいってもんじゃ・・!ハッ!!)
(あ、あんた・・・・美味いじゃないか!!)
そうです。私は気がつきました。
カニクリームコロッケは美味い。
あの声は私の内なる声。私のカニクリームコロッケへの愛情、私の心の中にあるカニクリームコロッケが発した言葉でした。
神とは人の無意識的意識であって、それに突き動かされるようにして我々は選択しているのです。
そしてその無意識的意識とは外部の様々な要因によって形作られるのです。
私にとってそれはカニクリームコロッケでした。
みなさんの神はなんでしょうか。
画材屋本舗さん
2004年7月20日の日記より
6日の日記 (PM 02:08)
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