
「オープンソースを理解する」 秋本芳伸 + 岡田泰子 DART社 2004/1
マルチチュードが、新たなポスト・プロレタリアート=革命の主体に擬されて登場してきた背景には、インターネットの発達に伴うグローバリゼーションの成功があることはまちがいない。その成功をみながら、左翼陣営は、失敗した社会主義というイメージを払拭するため、あらたな結集軸を見出したかに見える。
インターネットと一言でいわれる分野には、現代人類の英知がぎっしりと詰まっている。それは増大しつつあり、変質つつあり、成長し続けている。インターネットの最先端技術は、ほとんどのユーザーがアップデイトでその利益を活用できるのにくらべ、実際はどのような技術がどのような方向で動いており、どのような問題を抱えているのかは、即座には理解できないまでにブラックボックス化している。
ハードウェアの発達とともに、漠然と考えているソフトウェアも、未曾有の発達経過を通りすぎているようだ。この本は2004年1月にでているので、もうすでに3年前の本ということになる。その後の状況はますます変化しているのだろうが、私には、この本の中でも新鮮なニュースが沢山ある。
ソフトウェアと一言で言うけど、いろいろある。p061以下
●フリーウェアは無償で使えるソフトウェア
●シェアウェアは開発費を分担するソフトウェア
●パブリックドメインソフトウェアは著作権放棄のソフトウェア
●パブリックドメインソフトはオープン・ソースの一種?
●パブリックドメインソフトウェアは商用化でえきる
●「フリーソフトウェア」とは何か
●擬似ソフトウェア(Semi-free Software)もある
●商用ソフトウェアの定義
●オープンソースの原点:フリーソフトウェア
etc
これらのソフトウェアの分類には、細かく定義されているが、ソフト開発にたずさわることのない一般ユーザーである私には細かい違いはよくわからないし、理解の必要性もにわかには必要がないが、フリーソフトウェアとオープンソフト、あるいは、商用ソフトとオープンソフトの違いは分かる。
マルチチュードなどの背景としてあるインターネットやソフトウェア開発の成功例をお手本として、その概念を拡大して、もっと広範な社会的規範として展開できないか、という希望がある。それは、門外漢であるがゆえに簡単に夢想してしまうとも言えるが、実際にソフトウェア開発の現場で突き当たっている問題を提示されると、なかなか簡単にいくものではないな、と痛感する。
この本の段階では商用ソフトだったJavaが最近、GPLでオープンソース化したとのことである。
「Javaと言うのはコンピュータ・プログラムの環境だけど、これがなんと自由なライセンスである「GPLライセンス」で公開された。正真正銘の自由なソフトウェアの仲間入だ。」 Sツのブログより
私はソフトウェアもマルチチュードについても門外漢だが、このような動きにはなんだか未知なる興奮を感じる。
<再読i>につづく