「『神秘と超能力』の嘘」
大槻義彦 1997/5 講談社
1994年から「噂の真相」に連載した記事を膨らませて一冊になったもの。火の玉教授が、いわゆる超能力者たちをまな板に上げている。対象となっているのは、宣保愛子、富田隆、タカツカヒカル、サイババ、青山圭秀、オウム、村上龍、矢追純一、織田無道、ライマ、X-ファイル、立花隆、などなど。
数日前、大槻教授の生家の近くをドライブした。例年になく雪の少ない霊峰からの吹き降ろしてくる涼しげな風の中の牧歌的な農村風景である。このような環境の中で、彼は火の玉を見たのだろうし、また真実探求の想いを強くしたのだろう。
村上龍は、山岸隆との共著「『超能力』から『能力』へ」を出したことを批評されている。その本が、こんな風に利用されているとすれば、かんがえものである。私も実はスピリチュアル・コンベンション(略称すぴこん)に行った時、一冊無料でもらった。
この本について、SNSの日記に書いたら、思わぬ人からメールが届いた。その人は、以前から「パパベル」(だったかな)とかいう商品の愛好者で、たいへん役に立ったという。ああ、そう、と相槌は打っておいたが、私はさっそくその書き込みを削除した記憶がある。
われらが世代の芥川賞作家・村上龍が、こっぴどく批判されているのは忍びないが、まぁ、このトンデモ商品の広告塔をさせられていることはまちがいない。この商品の開発者・2000年に亡くなっている。
最近の「あるある大辞典」での、納豆データ捏造事件での騒動は、番組そのものをみていないので、コメントを避けるが、私個人にとっては、納豆はダイエット効果あることはまちがいない。私がいままでいろいろ試したなかでは、一番の効果があった、ということはできる。
ただしいろいろ補足がある。もともと、僕は納豆が大嫌いだ。通常ならほとんど食べない。ところがダイエットしようと思い立った時になると、なぜか朝食の納豆がおいしく感じるのである。ある意味、納豆をおいしく食べられる、というのは、僕が健康に向かっているときの重要なサインだ。だから、鶏が先か、卵が先か、という論争になるが、すくなくとも、「僕が納豆をおいしく感じている時は、ダイエット効果が上がる方向に向かっている」という事実はある。
なんとか真理教、とか、なんとかの科学、などという団体もあるが、本当の真理や本当の科学はなかなか見極められるものではない。すくなくとも大槻教授のように「科学者」と自分を規定して世の中をぶった切り続けることはできないが、科学的な目でもって、常にものごとを観察し続ける姿勢は必要であろう。すくなくとも、データをいつわる、ということがあったのでは、それは、科学ではなくて、やはり詐欺としかいえない。