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2009年4月1日

地球人スピリット
・ジャーナル2.0


へ引越しました。

2007.03.04
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「約束された場所で」 underground 2  
村上春樹 1998/11 文藝春秋


 地下鉄サリン事件の被害者たちのインタビューをもとにしたノンフィクション
「アンダーグラウンド」の続編として、村上が手がけたのは麻原集団の(元)信者たちへのインタビューだった。「文藝春秋」1998年4月号から11月号に連載されたものい加筆され、また、末尾に河合隼雄との対談2回分がセットになっている。以前にも二人の対談は一冊の本になっているが、この本に収蔵されているものは、97年5月と98年の8月に行なわれている。

 この本を読む限りにおいては、麻原集団のいわゆるエリート組ではない、一般の構成員たちの心情が吐露されていて、興味深いところが多かった。実名ででているので、都合の悪いところはカットされているのだろうが、それでも、より麻原集団の内部にピントがフォーカシングされていく感じで、読んでいて思うところは多かった。

 この集団性に関わった物書き達も多かったのだが、例えば中沢新一のように教義的に影響を与えたんではないか、と嫌疑された人や、不用意な擁護発言と見られかねない報道に関わってパッシングを受けた「宗教学者」島田裕巳のような立場とは、この本は一線を画す。村上は、小説家「ストーリー・メーカー」ではあるが、このような素材を文章化する段においては、自らの「ストーリー・メイク」の作業を落とさざるを得ない。つまりは小説家という立場から、よりひとりの人間として麻原集団(元)構成員たちに接している分だけ、より真摯な「出会い」となっていると思う。

 
村上 --- あの、あなたは小説て読めないでしょう?

 狩野 --- ええ、小説読めないです。3ページくらいで忍耐力が限界にきちゃいます。

 村上 --- 僕は小説家ですから、あなたとは逆に測定できないものをいちばん大事に思っているわけです。もちろん僕はあなたの生き方や考え方を否定しているわけじゃありません。否定でも肯定でもない、いわばニュートラルな立場でお話をうかがっているわけです。しかし世の中の人々が送っている人生の大部分は、測定できない雑多なものごとで成り立っているわけです。それを全部根こそぎ測定可能なものに変えていくというのは、現実的に不可能なことでしょう。
p33

 ここを読んでいてドキッとした。私も実は小説は読めないタイプだ。たしかに「3ページくらい忍耐力が限界きちゃ」う。村上の本も最近なんとか数冊目を通したが、彼の小説については、まだまだ正直言って読む気になれないでいる。

 例のサリン工場の偽装に関わった元構成員の証言も面白い。

 
細井 --- (前略)僕は美術担当です。僕も顔なんかをデザインして、それをCBI(注・早川率いる建築班)が実際に作っていくんです。できあがりはまずかったですね。顔なんかあまりに下手クソなんで、どうしようもなかったです。
 でもあれで騙されちゃまずいですよ。あれはいくらなんでもわかりますよ。島田裕巳さんなんかが来て、実際に見て、これは宗教施設だと断言したわけですが、位置的にも視覚的にも矛盾だらけです。「こんなのムリだよ」と僕は思っていたんですが。でもみんな早川が怖いからそんなこと口にはできませんでしたがね。
p152

 いやはや、ここまで笑われては、
宗教学者・島田裕巳も哀れのひとことである。

 
「オウムからの帰還」の高橋英利もインタビューをうけている。対談の時期としては宮内勝典との対談の前、ということになるだろう。

 高橋 --- ロバート・リフトンという宗教学者に「終末観を中心にした教義を持っているカルトは多いけれど、終末を自分から呼び寄せ、自分からそっちに突き進んでいったのはオウム真理教しかない」言われたことがあります。そのときに、そうなのか・・・と、思いました。p187

 このブログでは、麻原集団に対する日本人的評価の本を中心に読んできたが、リフトンのような海外からの視点も、すこしづつ読んでいく必要があるかもしれないと思う。元構成員として最後のインタビューを受けた高橋は、その対談をこう結んでいる。

 (前略)裁判における麻原彰晃の一連の言動を見ていると、なんだか自分がほんとに馬鹿にされているような気がしてkるんです。吐き気がするというか、実際に吐いちゃったこともあります。ただもうやるせない気持ちです。あんなものは見る価値もないとも思いました。でもたとえああいう無様な姿に見えても、僕は彼から目を逸らすわけにはいきません。侮ることはできません。麻原彰晃という存在がたとえ一時的であるにせよこの世の中で機能して、それがあのような惨事を引き起こしてしまったという事実は、忘れちゃいけないと思うんです。たとえ自分の中でひとつのケジメがついても、自分の中の「オウム真理教事件」が乗り越えられなかったとしたら、次には進めません。p202

 私は、このブログを始める時に、まさかこんなに麻原集団についてこれほど自分の時間を費やすことになるとは思わなかった。しかし、90年代を振り返るときにどうしてもさけては通れない問題のひとつであると今は認識している。本を借りてくれば来るほど、その問題にふれた書物がおおいことに驚く。最近は左木隆三の小説・林郁夫裁判「慟哭」などというものがあるのを知り、こちらもぜひ読んでみたいと思い始めている。

 河合との対談も、それぞれのパーソナリティがでていて面白いが、特段に目新しいということは少ない。村上は、自らの前作「アンダーグラウンド」にふれてこういう。

 村上 --- 日本とは何かということを知るためにも、外国の人にも是非読んでもらいたいですが、僕はオウムの側の人たちにもこの本を読んでもらいたいとずっと思っていたんです。結局のとkろ麻原の物語で固められたものを溶かすには、別の物語を持ってくるしかないんじゃないかと。いわゆる専門的なカルトバスターみたいに、「こっちは正しい、あっちは間違っている。だからこっちに戻ってきなさい」というふうに理詰めでやっても、これはどうしようもないんじゃないかと。p228

 私も、いわゆるカルトバスター達の姿勢をよしとはしない。ほとんど彼らのほうが間違っている、とさえ思うときがある。しかし、避け続けてきた彼らの本についても、このブログでもすこしは触れることになっていくのかもしれない。河合は河合でいつもの調子だが、こんなことも言う。

 河合 --- (前略)たとえばシンナーをやってる子に、お前シンナーなんか悪いからやめろ、なんて誰でも言えます。吸わないほうがいいなんてことは、やってる本人かてちゃんとわかっているんです。ところがシンナーをやめて、その人がそのあと生きていく世界というのをこっちがちゃんと持っていないかぎりは、絶対にやめさせることなんかできません。酒を飲む人でもそうでしょう。酒をやめた方がよろしいよ、なんて誰でも言えます。その世界がその人にとって意味があるからこそ、やっているわけです。だからオウムを出てきた人たちも、ほんと言うとそれはものすごい気の毒ですよ。p238

 この辺の葛藤は、ちょっと思い込みの仕方も違うし、立場も違うが、
宮内勝典と一脈通じるところもある。

 河合 --- (前略)これから一人ひとりをもっと強くしなくてはいけないなと思いますね。そのためには教育をちゃんとしなくてはならない。今の教育はもうぜんぜん駄目です。一人ひとりをもっと強くする教育を考えないかんです。p253

 二人の話は、ヒトラーやナチズムまで言及し、興味深いが、長文になるので割愛する。私が私であること、私が社会の中で生きていくこと、可能性のある世界観や宇宙観を作ること。地球人としてのスピリットはどこにあるのだろう。






Last updated  2009.02.10 18:11:29
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