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カテゴリ:アガルタ
「ダライ・ラマ 怒りを癒す」 ダライ・ラマ十四世・著 三浦順子・訳 2003/3 講談社ペック 原書 1997 HEALING ANGER この本も比較的、このブログでの読書歴の中で、チベット関連本としては新しい部類にはいる。日本語訳がでたのは2003年だが、原書は1997年。さらには、この本の講演がされたのは1993年9月11日、米国アリゾナ州のリゾートでのことである。原題もまさしくHEALING ANGER。怒りを癒す、という日本語そのものである。 題材とされたものは8世紀のインドの僧シャーンティデーヴァの「入菩提行論」。シャーンティデーヴァの人生の美しさとともに、テキストそのものにも美しさが備わっている。 この世に[布施行の福田となる]乞食は大勢いるが [忍耐行のきっかけである]危害をなす者は稀である このように、[こちらが]相手に害を与えもしないのに [逆にこちらに]危害を加えようとする者などほとんどいないのだ それゆえ、手に入れようという努力もしないのに 自宅に宝が湧き出たように 敵を自分の菩提行の味方として 好むべきである p188 シャーンティディーヴァがなんといおうと、ダライ・ラマがなんといおうと、このような心境になり得るというのは、よっぽどこちらが修行を積んだか、よっぽどこちらに余裕があるときしか、ありえないだろう。「右の頬を打たれたら、左の頬を出せ」というイエスの言葉にもさも似ている。 しかし、怒りに対する報復は怒りで、という負の連鎖を、どこかで断ち切るには、このような菩提行をもって、怒りを無化していかなければならないのは、本当だろう。それは個人生活においても、国際政治の場においても同じように思われる。 中国政府との交渉に関していえば、私たちは常々中国に対してネガティブな感情をもたないようにしています。感情に溺れることが決してなきよう、怒りや憎しみが生じても、丹念にチェックして取り除き、中国人へのあわれみの心をやしなうようにしています。 加害者や侵略者に対して何故あわれみの心を起こさなければならないかというと、因果の法則によれば、加害者はそうした行いをすることによって、後の人生に望ましくない果を得る因縁を積んでしまったからです。このように考えれば、加害者あるいは侵略者に対してあわれみの心をおこす十分な根拠があるとわかるはずです。 p49 これまで、このブログでみてきただけでも、中国共産党によって行なわれたチベット虐殺、そして現在も続く、チベット文化への圧制、というものは、ただならぬものがある。気の弱い私などは、涙が流れて、怒り心頭に達するという状況だ。しかし、ダライ・ラマは「耐えよ」という。我が家に湧き出た宝のように、この怒りを耐えるこの機会を「使え」という。 Q 西洋のサイコセラピーでは怒りを表現することを奨励しています。忍耐をもって応じる代わりに、怒りを適切な形で表現することも可能ですか? 「怒りや憎しみを解き放ち、表にだしなさい」とアドバイスする心理学者やカウンセラーにどういう意見をお持ちですか? A 多種多様な状況があることを考慮しなければなりません。過去の事件や虐殺などが原因で心に傷をおい、強い怒りを覚え、それから逃れられない人もいます。チベットの諺にも、法螺貝がつまったなら、吹いて通りをよくしなければならないとあります。そのように怒りを解き放ち、表に出したほうがよいケースもあることは想像がつきます。 とはいえ、怒りや憎しみは放置しておけば自己増殖し、肥大するのも事実です。ですから用心して怒りや憎しみの力を減じていくよう努力するほうがよいでしょう。 p74 この本にもアテーシャについての部分があったので、抜書きだけしておく。 ラムリム アティーシャ(982~1054)が著「菩提道灯論」で提唱した悟りへの修道階梯。発菩提心、方便としての五波羅蜜と智慧の双方を行じることの必要性、智慧によって無分別の境地に至ることなど、修行の階梯を順を追って説く。後にツォンカパがこの教えに基づきゲルク派の基本教義<ラムリム>を完成させた。 102p お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.03.31 12:49:56
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