
<正アウトサイダー>からつづく
「続アウトサイダー」 コリン・ウィルソン 中村保男訳 1969年 紀伊国屋書店 原書1957年 RELIGION AND THE REBEL
「続」とついてはいるが、必ずしもウィルソンの処女作「アウトサイダー」と対をなす本ではない。出た時期や内容的に日本版としてこのようなタイトルで訳出された、ということであろう。もともとは「宗教と反抗人」とされる。この「反抗人」REVELは、Oshoの重要単語でもある。Oshoがウィルソンを取り上げているかどうかは知らないが(そういう話は聞いたことない)、おそらくOshoのライブラリーには、この本があったことは間違いなし、と思う。
シャンバラならぬ、西洋的理解のアガルタを訪ね、1990年あたりをはさむ西洋的神秘主義の流れを見るときに、種々雑多な「シャングリラ症候群」に対する「サニワ」になってほしいと思って、選んだウィルソンだったが、彼自身が、ひとつの妖怪のようなものだなぁ、とつくづく思う。
一般のアカデミズムに頼らず、図書館に通いつめるという彼独特の手法からでてくる世界は、知的といえば知的だが、枝葉にまで神経をとぎすませなくてはならないので、ちょっと神経症的になりかねない。もっと、包括的に、帰納的に、最後は「だからみなさん、まいにち、ニコニコ&ワクワク暮らしましょう」」とでも締めくくってくれればいいのだが、彼の世界はそうはいかない。
なにはともなれ、膨大なウィルソンの世界の原点として、正・続「アウトサイダー」を手にとって目を通したことにはなった。1931年生まれの彼は、現在76歳か。あのままの青年らしさを残して、年齢を重ねてきたのだろうか。彼には、隠者とか名人、達人、などの形容詞は似合わないようだ。どこまでも、探究心あふれる一青年、を持って任じているかのようだ。
<3>につづく