「ブログ・オブ・ウォー」 僕たちのイラク・アフガニスタン戦争
マシュー・カリアー・バーデン /島田陽子 2007/05 メディア総合研究所 単行本 326p 原書2006
No.843★★☆☆☆
1999年にアメリカに登場したと言われるウェブログ=ブログだが、実際の隆盛は2001年の9.11以降と言われている。一般には反戦的ネットワークとしてつながっていると思われているが、実際には、さまざまな活用がされており、この本にまとめられた、いわゆるミルブログと言われるような軍人達の現場からのメッセージのネットワークもかなりの数に上ったようだ。
何事も、スタート地点を9.11とすることには、私は拒否感がつよいのだが、この本の著者は、退役軍人だったが、9.11を契機にふたたび戦地に赴くを考え始める。しかし、体調もありすぐ軍務につくことはできなかったが、友人である軍人たちとのネットワークとしてブログを始める。
マシュー・カリアー・バーデン
17歳で入隊し、2001年7月にアメリカ陸軍予備役少佐の階級で退役。国防情報局分遣隊副司令官として加わった最後の任務で、彼の部隊は軍事情報の収集・分析手法を改革した功績を認められ、統合勲功感謝状を授与されている。シカゴ大学で理学修士(コンピュータ科学)取得、学部賞受賞。イラクで友人を失ったバーデンは、「テロとの戦い」に向かった兵士たちを支援しつつ彼らの物語を伝えようと、2003年半ばBlackfive.netを開設。Blackfive.netはたちまち人気ブログとなり、多くの人に読まれ、リンクに加えられるようになった。ブログ・アウォードではベスト・ミリタリー・ブログ賞を三年連続で受賞している。 巻末著者紹介
9.11を取り上げるにしても、例えばこのブログで見た映画「9.11 N.Y.同時多発テロ衝撃の真実」 のような、なかば偶発的に事件に巻き込まれていった「英雄的」な消防士たちとは、また違う、軍人、しかも、義憤に駆られて戦地に赴く軍人達の記録としてのブログである。
「マット、言っておきたいことがあるんだ」
チキショウ! こうなるってわかってたんだ!
「もし僕が戻ってこなかったら・・・・・」
僕は声を張り上げて彼を遮り、声をつかえさせながら早口でめちゃくちゃにまくし立てた。「そんなこと考えてたら死んじまうかもしれないぞ。いいか、家族は僕が面倒をみる。何があてもだ。おまえはさっさと向こうに行って、こっちのことなんか忘れろ。任務のことだけ考えろ。部下を死なせるな。おまえにはいつだって僕たちがついてる」p16
私はなんであれ、戦争には反対だ。戦争にはいい戦争も悪い戦争もない。戦争はなくならなくてはならない。にもかかわらず、人類は戦争に巻き込まれ続けてきた。我が家の大正生まれの年寄りも戦中派だ。まさにその青春時代を戦争によってめちゃくちゃにされてきた世代だ。彼女は、当時、戦地に赴く青年と、周囲のすすめでわずか数日だけの、かたちだけの結婚生活を送り、新夫を戦地に送った。
一年後に、夫の戦死が伝えられ、婚家から実家にもどって終戦。ふたたび、戦地から戻った別な青年と結婚した。そして生まれたのが私たち兄弟だった。しかしその夫も戦地で病を得てきており、その病が原因で早世する。その後、現在のように、介護ベットで介護保険に世話になるようになるまで、身体の続く限り身を粉にして働いてきた。
戦争時代の、自らの初婚のことを聞いたことはない。それは我が家のタブーであった。しかし、今では、親戚や周囲の言葉の端々から、50をゆうに超えてしまった私にも、大体のアウトラインはわかるようになってきた。彼女の口からこの話題がでることは一生あるまい。それでいいと思っている。
戦争を、自分にとっての「戦争」を語らないで、この世を去っていく人々のなんと多いことよ。その悲惨さは言葉にしては語りつくせない。ブログが、戦地にいる人々の生の声を反映していたとしても、していなくても、本当の「戦争」なんて、語れないはずだ。この本のタイトル「ブログ・オブ・ウォー」はとても重い。でもやっぱり、戦争は反対だ。
このブログでも、端々ではあるが、戦争をとりあげてきた。
「禅と戦争」、
「宇宙戦争」 、
「反戦平和の手帖」、
どのようにしたら「戦争」はなくなるのか 、
「9・11(ナイン・イレヴン)ジェネレーション」、
戦争に勝者はいない 、
戦争は道徳的な悪である 、
非戦平和ネットワーク 、
「憲法九条を世界遺産に」 、
防衛庁・自衛隊の記録 、
日の丸を掲げつつ、君が代を歌いつつ 、
地球政府への道筋としての日本国憲法論議 、
<帝国>(1)「武器」と「貨幣」、
「覇権か、生存か」、
「ネットと戦争」、
「誇りを持って戦争から逃げろ!」 、
ふう、きりがないからこのくらいにしようか。
せっかく、加川良がでてきたから、Youtubeから「教訓 I」
そして、「自由訳イマジン」。新井満は、自分の誕生日を逆算してみると、父親と母親が1945年の8月15日に愛し合って生まれただろうと推測する。
最後はやっぱり、Imagine - John Lennonを聴こう。