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2009年4月1日

地球人スピリット
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へ引越しました。

2007.11.13
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カテゴリ:チェロキー


「非常民の民俗文化」生活民俗と差別昔話
赤松啓介 2006/08 筑摩書房 文庫 425p
No.884★★★☆☆

 先日、銀行で順番を待っているとき、傍らにあった、たしか「週刊B春」11月1日号だったと思うが、何気にチラッと見たら、例のAスピリンスノーの奥さんの手記が掲載されていたので、思わず読んでしまった。彼は最近、日本の教育界、あるいは風俗誌業界、あるいはネット界に一大話題を提供した。別に比較するわけではないが、私とタメ年なので、関心を持ってしまった。

 奥さんからすると、彼はとても理想的な旦那さんだったらしい。23歳と20歳で結婚した二人は、北海道の誰も知人のいない街で、公立学校の教師と妻という形で人生をスタートさせた。数年の幸せな日々のあと、まず訪れたのは妻の病気、膠原病とある。重い病気らしく、治療のため妻の実家のある札幌に還ることを勧められる。

 夫は、猛勉強の末、札幌の教職の資格をとり、夫婦で帰る。札幌の妻の実家に住むものの夫は三階建ての家をたて、三階にある部屋で妻は闘病の日々を送った。夫は、妻の体の手当てなどにもいやな顔をひとつせずに、毎日でもガーゼの交換などをしてくれて、僕達はどうしてこんなに仲がいいんだろうね、と言い続けてきたという。

 妻の母との三人の生活は、この数年、夫が公立中学校の教頭になってからもずっと続き、逮捕される前夜には、11月22日にちなんだ「いい夫婦の日」のための俳句づくりをやっていたという。翌日、見知らぬ男達が階下にやってきて、どうやら、その日、無遅刻無欠勤だった夫が、生涯初めて欠勤をしたことによって、妻は、夫が警察に年少者に対するわいせつ行為で逮捕されたことを知る。

 二人の結婚生活は30年続いたが、その半分、16年間に渡って、夫は妻はもちろん、周囲に知られることなく、すすきのなどで、女子高校生に対する一連の行為を行っていたのであった。そしてその画像を出版社に送り、収入もあったという。たしか得た金額は1600万とか報道されていたように思う。もちろん被写体となったのは数百人の少女たち。

 彼は、一部の専門誌ではAスピリンスノーとして伝説の存在にすらなっていたらしい。もちろん、妻はそんなこと全く知る由もなし。夫逮捕のあと、警察で雑誌のインタビューを受けている人物の首から下の写真をひと目みただけで、あ、夫だと、すぐ分ったという。

 警察で夫に面接し、どうしてそんなことをしたの、と聞いたら、激しくやっていたのは、この2年だけだったという。妻にしてみれば、その2年は、夫が教頭に昇進して、もっとも忙しかったはずの2年間であり、この男は何を考えているのだろうと、狐に包まれた思いだったようだ。妻は自分のこの30年間の結婚生活とは一体なんだったろうか、と考えていた。

 自分の病気にも責任があると思う。でも、だったら、もっと先に離婚してくれればよかったのに、とさえ思う。今は夫の給料も止められ、家のローンも払えず、親の代からの土地も他人の手に渡り、老齢の母親と病身の妻は、現在、生活にも困っているらしい。夫は1600万円の原稿料を稼いだと言われているが、妻にしてみれば、夫はそれ以上の金額を彼のその行為のために支出していたと考えている。 私は、銀行の待合で、自分の順番が終わったあとも、この週刊誌を取り上げて、最後まで読んでしまった。

 閑話休題。この赤松本はリンクを張ってみると、2006/08に筑摩書房から文庫本としてでたことになっているが、私の読んだのは1986/07に赤石書店から出た単行本。ウェーバーの宗教社会学に狂躁、狂騒を意味する「オルギー」という概念があるそうだが、フロイトの弟子だった精神分析者ウィルヘルム・ライヒが開発した治療器具に、生命エネルギーを集積するオルゴンボックスというものがある。この二つに共通するのはorgyという語源だろう。ググってみればORGYというアメリカのへヴィメタの人気ロックバンドもあるようだが、アダルトビディオ世界ではオージーは乱交という意味に使われる。

 赤松の本に書かれているのは、まさに日本のorgy民俗文化だ。このような一種「健康」な文化を維持してきた日本の民衆と、ネットやIT社会の生み出したAスピリンスノーのような「不健康」な存在。その二つの間にある距離を、いそいで縮めてしまうこともあるまい。

 これは一人の男の、敗北と挫折の記録である。いまから金儲けしようとか、立身出世したいという希望をもっているような人間が読んで、ためになるような本では断じてないだろう。また労働運動、反差別運動、平和運動など、いわゆる社会運動のなかで、あるいは加わって、民衆を指導し、指揮しようという大志をもつ連中も、読まないようが良い。p1

  と、著者本人がおっしゃっておられるのだから、きっとそうなのだろう。なのに、2006/08に筑摩書房から文庫本として再出版されたということは、別な意味合いで現代人にとって、この本が読まれる必要がでてきた、ということに違いない。







Last updated  2009.02.11 09:42:02
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