「権力に迎合する学者たち」 「反骨的学問」のススメ
早川和男 2007/09 三五館 単行本 189p
No.910★★★★★
良いことがいっぱい書いてあるこの本の著者は、9条の会の会員であるし、小田実を高く評価している人でもあった。p1には次のことが書いてある。
1)研究テーマは本質的であるか。
2)時代の課題に応えているか。
3)研究は主体的であるか。
4)研究の方法は科学的・論理的であるか。
5)時代をリードする先頭に立っているか。
6)研究体制(態勢)は十分か。
あえてこのブログの検証に使ってみよう。
1)研究テーマは本質的であるか。
オープンソースプロジェクトとしてのOSHOmmp/gnu/agarta0.0.2の研究テーマは本質的であろうか? その中に「21世紀の指導原理」が含まれ、「現代社会とスピリチュアルティ」に関わる領域を開発できるとすれば、本質的なものにならざるを得ないと自負する。
2)時代の課題に応えているか。
時代の課題を掘り起こすことこそ、そのテーマなのであり、もし時代の課題に応えるテーマと連結できなかったとしたら、それは最初から失敗しているといえる。
3)研究は主体的であるか。
個人メディアからオープンソースプロジェクトを目指すのは、至難の業だが、個人であることは当然、主体的であることをあらわしており、主体的な他の個たちと連携しないことにはオープンソースプロジェクトそのものが成立しない。
4)研究の方法は科学的・論理的であるか。
公共図書館にある一般的書籍からスタートしている限り、検証・追認可能な方法をとってはいるが、必ずしも方法論としては明確になっていない。また、科学的であり論理的であることと共に、芸術性に富み、直感的であることも考慮されるべきだ。
5)時代をリードする先頭に立っているか。
方法論が確立していない現在、結果として先頭に立っているかは確認しようがないが、アンテナを時代の先端に向けようとしているのは間違いない。もっと最先端に感性を向けようとすれば、あらたな方法が探求される必要がある。
6)研究体制(態勢)は十分か。
時間的、空間的、経済的、能力的現状をかんがみ、できることしかやっていないので、十分といえば十分である。しかし、そのプロジェクトの大きな可能性を考えれば、今後更なる何事かがあってしかるべきである。
似たような内容だが、著者自身の心がけが書いてあるので抜書きしておく。
早川和男流「五カ条」
1)研究テーマは本質的か
・何のため、だれのための研究か。どんな意義があるか。矛盾の核心をおさえているか。
・人権、福祉、平和、地球環境維持などの普遍的価値を内包しているか。
2)研究は主体的か、精神の自由は保たれているか
・権力・権力追随、集団主義、パリサイ主義、事大主義、研究部品労働者化、教官による囲い込みなどに陥っていないか。「大先生」からは離れよ。
・流行を追うな。流行に染まるな。既存の成果を真似せず、自分で考える。
3)学問全分野の中で自分の研究を位置づける
・境界領域で仮説をたて、体系的に構想し、固有の論理の創造を目指す。
・現実・現地から学ぶことは「想像力・創造力」の原点である。
4)情報に振り回されず、かつ専門馬鹿にならない
・情報取得は自己の課題に必要な最小限に止める。
・発表テーマが細分化された学会、行政・業界主導の学会、権威主義・封建性の強い学会などには深入りするな。問題意識が抑圧されて、全体が見えなくなる。
5)「感動力」を養う
・音楽、歌劇、落語、絵画、彫刻、社寺、仏像、美しい風景、読書、何でもよい、自分が感動できるものとの接触を心がける。
・暇があれば(借金をしてでも)国内外旅行をする。
(番外)
・他人の悪口(批判と悪口は違う)ばかり言っている人は敬遠せよ。 p146
前段と矛盾する部分も見え隠れするが、まずは転記しておいて、いつか自己検証の鏡として使わせてもらおう。