地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2009年4月1日

地球人スピリット
・ジャーナル2.0


へ引越しました。

2008.04.15
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カテゴリ:アンソロポロジー

「地球の歩き方 チベット'04~'05」 
ダイヤモンドビッグ社 2003/11  288ページ
Vol.2 No.0051 ★★★★☆

 
このシリーズの最新版と、かなり古い90年度版を読んでみたが、たまたま5年前のバージョンもあったので手にとってみた。このようなガイドブックは最新版であることが命なのだろうが、逆にいえば、年々、どのように変化していっているのかを比較してみるのも面白いかも知れない。

 チベットの遺跡や町並みの風景の変化もともかくとして、03年当時に「清蔵鉄道」について書かれた「チベットの高原を走る鉄道」というコラムが興味深い。北京オリンピックとともに近年話題になってきた清蔵鉄道だが、中国共産党は、ずっと前から、その意図をもっていたことが、このコラムを読んで気がついた。

 チベットと中国のメインランドを結ぶこの鉄道は、今から50年ほど前に提起され、次のような変遷をたどり、現在にいたっている。
 1955年、鉄道建設に関する調査が初めて行われ、四川、雲南、甘粛、青海の4つのルートから、コスト面や技術的問題によってゴルムド・ラサの路線に決定されたのだが、1960年代に経済的理由で計画は停止。そして、その13年後に毛沢東の指示により敷設のための研究が再開されたが、今後は文化大革命によって病弊した国家財政と技術的な困難によってまたもや中止に追い込まれてしまった。

 その後1994年になって、江沢民前国家主席の提案により、準備作業が再開され、ようやく2001年6月に着工の運びとなった。そして2002年10月19日には、標高4905m地点に全長1338mの風火山トンネルが完成した。
 順調に進めば、2007年に全線が開通する予定だ。

 さて、この清蔵線の建設には3点ほど問題がある。
 まずは地盤に関する問題だ。清蔵高原は多くの部分が凍土なのだが、シベリア鉄道が敷設されたシベリアの永久凍土と異なり、緯度が低く、夏場になると強い日差しに晒されるため、いたるところで泥土と化し、軟弱な地盤となってしまう。このため、線路の敷設には困難がともなうということ。

 第2に4000mもの高地を走るため、気圧の低さなどにより人々(建設作業員、列車の乗務員、さらには乗客も)が高山病になってしまったり、列車を牽引する車両の動力効率が低下してしまうことなどがある。
 そして、おそらく最大の問題となるのが、清蔵高原の脆弱な生態環境をどのように保全するのかという点だ。チベットの自然は過酷な環境にあるため、少しでも人間の手が入ってしまうと、回復がほとんど不可能となってしまうのだ。

 それぞれについて、技術的解決のめどは立ったようだが、環境保護については、運用する人間がしっかりとした意識を持たなければ、取り返しのつかない事態になってしまう。 p83

 技術や環境面からの問題を提起しているが、もっと象徴的なことは「変貌するラサを見て僕が思ったこと」というコラムの中にあった。

 成都の空港を飛び立つときから小さな驚きを持っていた。僕が利用した中国国際航空の定期便の座席は、ほとんどが中国人団体客で占められていたからだ。
 このところ、2年おきにラサを訪れているが、4年前の同じ路線では、ほとんどの旅行者が外国人だった。2年前の同じ便では三組40人ほどの中国人ツアー客と乗り合わせ、「中国人がチベットへ旅行に来るほど豊かになったか!」と驚いたが、今やその旅行者のほとんどは、中国人になってしまったらしい。しかも、2年前まで1日2便だった路線は、5便にまで増えている。つまり1日1000人近い中国人観光客がラサを訪れているという計算になる。(長岡洋幸/写真家)p95

 このコラムを書いた長岡洋幸には「天空列車---青蔵鉄道で行くチベット」という近著がある。
チベットの変化は、中国国内の人々の変化でもある。今後、チベットとともに中国が、今度どのように変化していくのか、見守っていく必要があるだろう。


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Last updated  2008.04.16 18:42:46
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