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地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2009年4月1日

地球人スピリット
・ジャーナル2.0


へ引越しました。

2008.09.01
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カテゴリ:環境心理学


「ブータンに魅せられて」
今枝由郎 2008/03 岩波書店 新書 p191
Vol.2 No.268 ★★★★★

 
ブータンについて当ブログでは「地球の歩き方」05~06年版を読んだきりだ。それでも「最後のシャングリラ」的ニュアンスは十分に読みとれた。著者・今枝由郎については、「知の再発見」シリーズのフランソワーズ・ポマレ著「チベット」の監修者や、ロラン・デエの「チベット史」の翻訳者としていつの間にか当ブログにも登場していたが、詳しくは知らなかった。

 正木晃は、「さらに深くチベットの歴史を知るための読書案内」の「ブータン仏教をよく知るために」では3冊の本を挙げているが、その3冊とも、この今枝由郎の著書であった。今枝については、これまで「四半世紀以上フランスでチベット研究に従事」していた、という程度の認識しかなかったが、実は、すでにブータンに10年以上も長きにわたって滞在し、唯一のブータン国立図書館の顧問として強い指導力を発揮してきた、れっきとしたブータンの専門家だったのだ。しかも、こうしてみると、ことブータンに関しては今枝以上に詳しく語れる日本人は現存しないようである。

 人口60万とも70万とも言われるブータンは地球上から見れば、小国でしかないし、地理的に、あるいは政治的状況から、ほとんど完全な鎖国状態であった。1960年代からブータンとの付き合いが始まり著者がブータンに入るまでの足取りは、まるで、前々世紀のチベット探訪記を読むような、なんともじれったくなるような経過であった。

 もっともブータンはそれほど地理的に過酷な地域ではないが、決して外部に積極的に開いた国でもなかった。そこに育まれたチベット密教文化と人々の暮らしは、幸せにみちたものだ。国民の97%が、自分は幸せだ、と感じる、「国民総幸福」大国である。本を読んでいる限り、まるで、映画「失はれた地平線」をそのまま現実にしたような国なのか、とさえ思う。

 「まぁお聞き。そば畑から切り株を抜いたら、トルコ石が出てきたのさ。それが馬になり、馬が牛になり、牛が羊になり、羊が雄鶏になったのさ。ところでお前さん、お前さんの歌をこの雄鶏と交換する気はないかい」
 歌好きの男はびっくり仰天、驚いて棒立ちになってしまいました。ヘレーじいさんは男の腕に雄鶏をあずけ、自分は嬉しい心のうちを歌に口ずさみながら遠ざかっていきました。ブータンでは、誰が見ても馬鹿げた取り引きをする者を、「ヘレーじいさんのようだ」と言います。
p97

 まさに日本の「わらしべ長者」の逆をいくような意表をつく微笑ましい民話だが、今枝にとっては「ブータン人は全員どこかヘレーじいさん的なところがあり、それが一番の魅力ではないかと思える」p97という。人間とはなにか、ヒューマニティとはなにか、を深く考えさせられる。畑でみつけた、一生遊んで暮らせるほど価値のあるトルコ石を、通りすがりの男の思いつくままの「歌」ひとつにしてしまった、ヘレーじいさん。それで幸せいっぱいになったヘレーじいさんは、モンゴルのみんなに愛されている。

 ヒューマニズムとは、堂々たる体系をもった哲学理論でもなく、〇〇主義と称される思想でもなく、洋の東西も、時の古今も問わず、あたしたちがなにをする時でも、なにを考える時でも、かならずわたしたちに備わっていたほうが望ましい、ごく平凡な人間らしい心がまえである。p168

 One Earth One Humanityを標榜する当ブログ「地球人スピリット・ジャーナル」としては、上記の「ヒューマニティ」コンセプトを根幹に据えたいと思う。ヘレーじいさんのようにはなることはかなわないし、ブータンのような国民総幸福(GNH)が高い国に住んでいるわけでもないが、地球上にブータンのような国があり、まだヘレーじいさんが住んでいるかもしれないなぁと思うと、地球上にはまだまだ希望が失われていないことを痛感する。






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Last updated  2008.09.11 16:45:23
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