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カテゴリ:バック・ヤード
世にトンデモ本の類に限りはないが、インターネットの時代、まずどのようなトンデモ本でも入手できないものはほとんどない。なにはともあれ何でも目についたものは読んでみようという身構えの当ブログではあるが、時間も能力も限界もある限り、おのずと読み込める範囲は限られてくる。一応は公立図書館の一般開架に並んでいる本なら、なんでもいいだろう、と始まった当ブログの読書マラソンではあるが、過去に何冊か「境界本」というものに出会った。もうこれ以上「あちら側」に行ったら、もう読めないぞ、という本である。 この本もまた、きわめて「境界本」に近い一冊と言える。近い、というのは境界線の「こちら側」という意味ではなく、すでに境界線を超えて「あちら側」に行っている、という意味である。なんとかテーマやキーワードでこちら側に引っ張ろうとするのだが、もうそれは簡単にはいかない。手をさしのばしても、手を引っ張られて、こちらがぬかるみに落ちて行ってしまう。 しかしまた、なんでまた、それまで酷評すべき本を読んでいるのか、と自問自答する。最近はあまり図書館には行かないようにしている。ここはすこし大人しくして、過去の書き込みを整理すべき段階だろう。そう思ってはいるのだが、ついつい書店の前を歩いていたりすると、鉄クズが磁石に引き寄せられるように、書店の中に足を踏み入れてしまう。しかも、決まって、「あの」コーナーに。 そんなコーナーにあって、最近、急に(かどうかはよくわからないが)目につくようになったのが徳間書店の「5次元文庫」シリーズ。わかったようなわからないような、実に下世話なタイトルの本が多い。その中でも、この「光シャンバラから誕生する超人類の謎」は、比較的発行が新しいものだ。読んでみようと思っても、公立図書館にも大学にもこの本はない。ない理由は二つ。一つは新しすぎる、こと。そして、二つ目には、その内容が「逸脱」していること。どこがどう逸脱しているのか、とにかく読んでみなくてはわかるまい。 ということで、大枚590円+税を払って書店から購入してきた。だから、ここで文句を言うとしても、当ブログには590円+税分くらいの権利はあるはずだ(笑)。当ブログ基準でこの本を考えるとすると、いくつかの問題点が浮かび上がる。 まず、著者である海野光彦という人物。「昭和31年岩手県花巻市に生まれる。大学卒業後、高校英語教師を経て、フリーライター及び翻訳業に従事。」とある。時代背景から考えれば、私とそう遠い環境でもなさそうだ。しかし「フリーライター及び翻訳業に従事」してきた割には、年齢的に考えて、その著書・翻訳は少なすぎる。複数のペンネームを使い分けている可能性もあるし、名前の出ない下翻訳のような仕事を中心にしてきた可能性もあるが、いずれにせよ、この人物のプロフィールがわからなすぎる。 科学的な読み物なら、誰がどう考えようと、第三者が検証可能な領域にそのテーマが存在しているはずだ。ジャーナリズムなら、そのニュースソースや客観的データが存在するべきだし、また類推可能であるべきだ。しかし、この本は科学的読み物でもないし、ジャーナリズムに属する本でもない。また、小説やミステリーのようや芸術の分野でもなさそうだ。つまりインスピレーションやオカルト本の類のようではあるが、結局はオリジナリティのない、巻末の「引用・参考文献」を中心とした引用、切り張りの寄せ集めにすぎない。 ガラクタを寄せ集めて、ガラガラポンして、さらにわけのわからない超ガラクタ本を一冊作ってみました、ということに過ぎない。いや、元本は必ずしもガラクタとは言い難いかもしれない。だが、仮に元本が宝ものだったとしても、それらに傷さえつけてガラクタにしてしまっている。 最後に本書の出版に当たり、的確なアドバイスを下さった徳間書店の石井健資氏及び溝口立太氏に深く御礼申し上げます。 「あとがき」p290 ということだが、例えば「プロジェクト・マネジメント」の視点から考えれば、徳間書店においては、この本が完成し、一定程度の部数が売れればそれでいい、という考え方かもしれない。つまり、半年くらいの間に3000部でも売れればそれでいい、というくらいの考え方なのではないだろうか、と推測してしまう。しかし、この本が扱っているテーマはそんなお手軽なものではない。もうすこしプロジェクトのテーマ自体を練り直す必要がある。 マネジメントは「物事を正しく行うこと」であり、リーダーシップは「正しいことを行なうこと」であります。「リーダーシップとマネジメントの違い」「プロジェクトマネジメント教科書」p12 この本においては、2012年とか、地球内部とか、いくつかの時間や空間を限定した言葉の言いきりが多用されている。そして、さまざまな引用文がごちゃまぜになってはいるが、その根拠や原典が示されていない。もっとも低劣な本の作り方であろうと思われる。この本を読んでも何も得られることもなく、むしろ時間も590円+税も失ってしまう可能性がある、ということを身にしみて感じた一冊。当ブログの推奨しない本のトップにあげておきたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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