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2009年4月1日

地球人スピリット
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2009.02.21
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カテゴリ:バック・ヤード


「戦争絶滅へ、人間復活へ」 93歳・ジャーナリストの発言
むのたけじ 2008/07 岩波書店 新書 p205 発行年月
Vol.2 No.530 ★★★★★

 この人には、おべんちゃらや、お世辞を言っても仕方ない。ありのまま感じたことを書いておくしかないだろう。もっとも、いままで当ブログは基本的にいつでもそうしてきたが、しかし、やっぱり、それでも、この人にコメントをつけるのはむずかしい。

 実際、この本の出版直後に一度目を通しているが、その時は、当ブログがチベット密教真っ盛りの時でもあり、なんにも書けなかった。今回だって、さて書こうと思ってもそう簡単ではない。ほめ言葉から書こうか、批判から始めようか。

 93歳。当ブログでは「百歳回想法」「人生を癒す百歳の禅語」など、長寿をテーマにした本も何冊か読んだ記憶があるが、この93歳のジャーナリスト、ますます現役だ。高齢であることをカサにも着ていないし、エクスキューズにもしていない。先輩でも後輩でもない。人間対人間だ。

 この本のテーマが大きく二つに分かれ、一つが「戦争絶滅」で、もう一つが「人間復活」だとするなら、前半の「戦争絶滅」については、その従軍記者として見聞した戦地の体験をもとに、戦後、朝日新聞を退社し、みずから小さな新聞を出し続けたことを別にすれば、必ずしも目新しい哲学があるわけではない。

 しかし、その哲学を生きたのだから、もう余人は何にも言えない。その本人がここにきて「朝日を辞めるべきではなかった」p69と発言しているのだから、その勇気と正直さと、くったくのない人間性に驚かざるをえない。この本、どこを切り取っても、何行もコメントをつけることになり、収拾がつかなくなる可能性が高い。

 「今回の話は、93歳の私からの遺言みたいなものです。この本を読者がどう読んでくれるのか、楽しみですね。」  p194

 まさに遺言だ。ひとつひとつが重い。しかし敢えて言うなら、93歳になって、これが残されるべき言葉だろうか、と疑問が残る。戦争については「禅と戦争」「浄土真宗の戦争責任」「反戦平和の手帖」「特攻隊と憲法九条」「特攻隊だった僕がいま若者に伝えたいこと」「兵役を拒否した日本人 灯台社の戦時下抵抗」「戦争と聖書 兵役を拒否した燈台社の人々と明石順三」「非戦という希望」などなどを断片的に読んできた。戦争、反戦、非戦、平和、については、十分な読み込みではない。圧倒的に不足している。しかし、この本は、これらの本の流れで読まれるべき本ではないだろう。著者は「戦争をやめさせた反戦運動はない」p76と断言する。

 戦争は悲惨だ、兵士はかわいそうだ、あれは許せない罪悪だ、ということを百万回大声でしゃべったって、戦争をやろうとしている連中には、痛くもかゆくもないわけです。戦争が始まってから反戦平和運動をやったところで、戦争の論理とエネルギーに引きずられてしまう。戦争をなくすには、戦争をする必要をなくして、戦争をやれない仕組みをつくらなければだめです。かつて、そこまで踏み込んだ平和運動は一つもなかった。p76

 この本は当ブログで言えば、「アート・メディアとしてのブログを考える50冊」の中に加えたい一冊と言えるのではないだろうか。故郷秋田に帰って創刊した「たいまつ」は、コンテナとしてのメディアを形成していた。自ら取材して記事を書き、活版を組んで印刷し、全国に配送する。そして代金を回収して、次号の経費に回す。コンテナとしての、そのサイクルを作り上げたのだ。

 今なら、このサイクルをインターネット上のブログ機能で十分できる。生活費は稼げないが、個人メディアを形成するのに、経費はほとんどかからない。ひょっとすると、読者さえ、もっと大量に獲得できる可能性が高い。

 著者にして、このコンテナとしての「たいまつ」を維持させたのは、もちろん「反戦平和」のコンテンツがあってこそだが、「反戦平和」のコンテンツを持っていたとしても、みずからコンテナを作ることは、非凡な才能がなければできなかった。でも、鎌田慧の「反骨のジャーナリスト」にも著者は取り上げられているが、当ブログがこの著者から学びたかったのは、本当は、もはやコンテナでもなく、コンテンツでもなく、コンシャスネスとしてのジャーナリズムだった。

 反骨、反権力というより、さらに一歩進んだところに、著者はなにかを言い残したがっている。それこそが、この本の後半のテーマ「人間復活」についてであろう。

 教祖様がこの世を救うなんてことは、あるわけがないんです。一人が何千、何万の人間を救うなんて、常識で考えてもありえない。宗教は、人間が「ウルトラ」の存在を求めて創造したものにすぎません。「神様が人間をつくった」というところからうそで、人間がいなければ、神も仏も悪魔も天使も出てこない。人間が人間のつくったものに額づく、というのはおかしいじゃないですか。p184

 若かろうと、高令であろうと、ジャーナリストとしての見識なら、このコメントはごくごく当たり前のことだ。しかし、無遠慮を最初から自覚しながら言わせてもらえば、すこし煮詰めが甘いように思う。即断しぎる。「私は宗教は否定はしないけれども、『宗教を卒業するときだ』というふうに言っているんです。」p184とは言っているが、当ブログとしては、むしろ、人類はまだ真の「宗教性」に入学さえしていないのではないか、ととらえている。

 私たち普通の当たり前の人間たちは、結局のところ人間の常識を大切にして普通に生きぬくことではないか。人としてやらねばならぬと自分で思うことは、できるだけ力を込めてやる。人の道にそむくと思うことは、自分でやらないだけでなく、他人にもやらせないように手をつないでいく。この道を進めば、各個人をも人類みんなをも最もあやまりの少ない道に導くのではあるまいか。p203

 ここの部分についても、反論するものは何もないのだが、必要かつ十分とは思えない。93歳のジャーナリストに「私たち普通の当たり前の人間」と括られてしまう時、私は、その言葉のなかにすくい取られていない、私自身の不可知な部分の神秘な部分が取り残されているような気分になる。別に特別な人間だとは思わないし、特別な人間にもなりたいとも思わないのだが、私たち人間は、普通でありながら、なおかつ、ひとりひとりが「特別」だ、というニュアンスの味付けが欲しい。

 「人間の常識を大切にして普通に生きつらぬく」ことに何の反論はないのだが、人間とは何か、常識とはなにかについて、煮詰めが足らない。既知、未知、不可知、の3ステージがあった場合、この著者においては、既知の常識、というニュアンスが一番強い。もちろん未知についてもオープンなことは分かる。しかし、不可知な存在としての人間、というものに言及されなければ、当ブログとしては、素直に無批判的に著者のこの部分の言葉を受け取ることはできない。

 「常識」や「普通」はどこからやってくるのか。単一価値観によりかかった社会ならそれもいいかもしれない。しかしこれだけグローバル化した地球社会の中で、常識とか、普通、とは一体なにか。どこからそれはやってくるのか。そして、著者においては、常識や普通は、「社会」の中にあるようであるが、ひとりひとりのなかにある「常識」とか「普通」とはなにか。

 93歳の人生の先輩に対して、言上げすべき内容ではない。感想として書かれるべき言葉ではないかもしれない。しかし、個人的にこの本を読んだとしたら、やはりその点を私はこの本に求めるのだろうし、その部分が、この本に限定した場合、不足していると、私は思う。







Last updated  2009.02.25 14:33:57
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