白銀の墟 玄の月(1)
『風の海 迷宮の岸』に始まり、 『黄昏の岸 暁の天(上)』、 そして、蓬莱を舞台とする『魔性の子』、 さらに、『黄昏の岸 暁の天(下)』へと紡がれてきたお話の続編。 18年ぶりのシリーズ新作で、しかも全4巻。 愛読者なら、狂喜乱舞の状況。 そして、実際読み始めると、その格調高い文体はまさに『十二国記』。 時空を超えて、その世界に引き込まれてしまいます。 ***禁軍中軍師帥・楚の項梁は、二十代半ばの女・園糸とその三歳ばかりの幼子・栗と共に、放浪の旅を続けていた。一方、新王・阿選の登極に際し、その経緯に疑義を呈したため誅伐された瑞雲観。その残党である去思は、騎獣を連れた二人連れを追っていた。そして、この二人連れこそ、文州を目指していた泰麒と李斎。この三者が、江州墨陽山で出会い、驍宗の足跡を一緒に辿ることに。去思の案内で、泰麒、李斎、項梁は、街道を北に向かっていたが、その途上、泰麒は李斎らを残し、項梁だけを伴って白圭宮を目指す。泰麒と項梁が白圭宮に辿り着くと、王宮全体の様子が何かおかしい。阿選は王宮の奥に閉じ籠ったままで、国のことは全て、張運とその一派が好き放題に取り仕切っているという。一方、李斎と去思らは、琳宇で驍宗の足跡を追っていた。