2022/09/11(日)16:37
韓国 超ネット社会の闇
ネット利用が急速に進んだ韓国の現状を、
最新のトピックを盛り込みながら紹介してくれている一冊。
韓国の世論形成の背景にあるものが、なんとなく見えてきた気がしました。
そして、日本のネット社会の今後を考えるうえでも、とても参考になりました。
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一方でネイバーは、ネット上での世論操作を防ぐため、いくつかの措置を講じた。
まず、政治記事のコメントは「共感順」(「いいね」の多い順)ではなく、
「時間順」にだけ表示がなされるようになった。
一部の勢力によっていくらでもランキングを操作できる元凶だった
「リアルタイム検索ワード」も廃止した。
ニュース編集部はニュースの編集や配列に一切関与せず、
アルゴリズムのよってのみニュースが配列されるようにする方針も定めた。(p.63)
これは、2017年の韓国第19代大統領選挙において、
マクロプログラムを使って8800万件にも上るコメント操作を行い、
ポータルサイト上で世論操作をした「ドゥルキング」事件に関する一文です。
日本も、決して他人事とは言っていられない状況ではないでしょうか?
これらの法案が成立することはなかったが、
ネットの各種プラットホームでは様々な措置が講じられることになった。
韓国の2大ポータルサイトの人一つであるダウム・カカオは19年10月、
もう一つのネイバーは20年3月、そして第3のネイトも20年7月に、
芸能記事に対するコメント欄を廃止した。
20年7月、女子プロバレーボールの選手が悪質な書き込みによって自殺すると、
ネイバーとダウム・カカオは
スポーツニュースに対するコメント欄も廃止することとなった。(p.217)
これは、2019年にK-POPアイドルのソルリとク・ハラが1か月違いで自殺したことで、
ネットの悪質な書き込みが韓国社会で話題となったことに関する一文です。
芸能やスポーツに関するコメント欄だけでなく、政治や社会などの報道についても、
ポータルサイトでは自浄システムを設けているとのことです。
しかしながら、これらの対策も所詮いたちごっこに過ぎず、
管理が行き届きにくいコミュニティ上では、悪質な書き込みが行われ続けているそうです。
芸能人やスポーツ選手はSNS上に直接コメントを書き込まれ、DMが送られてくるとのこと。
こちらも、日本でも決して他人事とは言っていられない状況なのではないでしょうか?
彼女は同世代の若者たちと同じように、一日中BTSの応援にのめり込んだという。
その方法も現代ならではある。(中略)
「新曲が発売されれば、Twitterの『総攻』
(新曲の順位を上げるため、ファンらが総攻撃をかけること)アカウントで
教えてもらった通り、援護射撃をするんです。
PVの再生数を上げるためにストリーミング再生を繰り返す『ミュス』や、
無音でストリーミング再生を続ける『無音スミン』などをしながら、
夜通しARMYたちとリアルタイムでチャットをしていたこともあります。」(中略)
20年9月1日、BTSのシングル『ダイナマイト』が韓国歌手として初めて
「ビルボードHOT100」チャートで1位を獲得したのは、
米国のARMYたちが手を取り合うようにして成し遂げたものである。(p.120)
如何にして莫大な数値が短期間のうちにカウントされていき、
それが大きなムーブメントとして扱われることになっていくかが、よく分かります。
これは、芸能界に限ったことではなく、政治も含め様々なジャンルにおいてです。
ネット社会では、こういうことが起きていることを知っておく必要がありますね。